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インタビュー 平成27年12月まで

 

インタビュー 2015(平成27)年12月

インタビュー 2015(平成27)年12月
 
浅漬キムチ3大インタ 秋本食品株式会社 代表取締役社長 秋本 大典氏
高品質キムチの要望増加
原料が安定し収益回復
 漬物製造・流通の最大手、秋本食品株式会社(本社=神奈川県綾瀬市)代表取締役社長の秋本大典氏にインタビュー。平成27年度の決算、キムチと浅漬の動向、今後の予定などについて話を聞いた。
(千葉友寛)
◇   ◇
 ――平成27年度の決算について。
 「平成27年度は春先から原料が高騰し、11月中旬まで高値安定で、11月下旬から白菜・大根を中心に例年以下に相場が下がりました。胡瓜と茄子原料に関しては、安くなる時期が少なく年末まで高値安定でした。当社としましても、春夏の上半期は昨年来高騰しやすい胡瓜製品の売り方が大きな課題でした。消費税が8%になった時点で、胡瓜の3本入りと茄子の2本入りを税込198円の店頭売価にするには販売店の値入を下げていただかないと厳しい状況で、当社からの納品価格を下げるのはもう限界でした。上半期は浅漬胡瓜の3本は248円から298円の販売価格帯に値上げしていただくようにお願いしました。それで他の競合メーカーに注文が移ってしまったところも多少ありましたが、胡瓜茄子商材で大きな赤字を出さず、また青果相場が高めに推移したことで浅漬全般の売上は好調に推移しました。昨年不採算の卸売市場店舗や直売店を何店舗か退店しておりますが、その前年実績の売上減をカバーして、昨年対比102%で折り返しました」
 ――キムチと浅漬における消費者ニーズの変化は。
 「キムチに関しては、ここ数年価格競争が激しくて現状売上を維持するのが精いっぱいの状況でしたが、こだわり商品や品質の良いキムチの要望が増える傾向が出ており、堅調に売れております。また、『パリパリ胡瓜』シリーズが人気で、キムチのヤンニョムをマヨネーズのディップのように付けて食べる商品がヒットして売上増加につながりました。個食カップについては、グループ企業の㈱アキモが開発したプチカップシリーズが広範囲な売場で定着しており、当社の展示会で紹介して本社でも製造を開始したことで、今年は本社の得意先にも浸透しました」
 ――今年の原料動向について。
 「9月の台風19号による集中豪雨の影響で、茨城県常総市の鬼怒川氾濫で大きな被害が出ました。白菜原料価格の高騰が心配されましたが、天候に恵まれて生育状況はほぼ回復しました。当初は、白菜と大根は契約比率が高いので、高騰した時も市場買は不足分の補充のみですので、安定して原料が入荷して10月、11月は前年対比106%と好調で収益もこの2カ月で回復しました。もともと、白菜・大根の秋冬に収益が出る体質なので、春夏で何とか赤字を出さずに下期に入れば目標としている収益も出てきます」
 ――御社の課題と今後の予定は。
 「現在の課題は、展示会で発表する新商品が売れるようになることです。このところ環境的に価格志向が強かったので、新商品が売り場に定着することが困難でした。新発売の時から安売りするわけにもいかず、新商品ゆえにどこかでの販売実績が無いのでスポット扱いでの注文しか入らない傾向が出ています。今回は『春夏提案会』をお休みしましたが、試験販売で改善点を改良し、賞味期限の確認と検証など1年に春夏と秋冬の2回発売するには、リードタイムが短いことに対応しました。漬物の付加価値を、素材の組み合わせや容器デザインの変更などの簡易的な開発から、もう一歩踏み込んだ製造技術や季節素材の原料、熟成発酵などにチャレンジした開発ができるようにしたいと思っています。来年の2月28日に実施される全日本漬物協同組合連合会漬物製造管理士試験には7名がチャレンジします。また、展示会は6月21日、22日に東京流通センターで開催する予定です」
【2015(平成27)年12月14日第4828号2面】
 
秋本食品株式会社 http://www.akimoto.co.jp/

 
 
浅漬キムチ3大インタ 西海食品株式会社 代表取締役社長 高見 健二氏
専業の使命と誇りで
発酵食品をキーワードに
 西海食品株式会社(東京都板橋区)の高見健二社長に、一年を振り返ってもらい、浅漬け業界の現状と課題をインタビュー。高見社長は自社の取り組みを例に、高付価値商品の開発に力を入れていく考えを示し、漬物売場の活性化では発酵をキーワードにあげた。(文中敬称略)
◇     ◇
 ――12月決算とお聞きしましたが。
 高見 おかげ様で売り上げの方は昨対を上回りました。新規のお客様もいらっしゃいますし、仕入れ商品が比較的好調でした。ただ、ここにきて自社製品は少し苦戦しています。
 ――と言いますと。
 高見 これは浅漬け全般に言えることかもしれませんが、特に、弊社は白菜が中心ですから、既定路線では、これ以上の量的な拡大は、難しい状況にあるように思います。白菜はホールもの、カットも伸びていない。
 ――今年は原料状況も厳しかった。
 高見 今年も含めて、ここ数年、天候が不安定で、原料手当てには苦労しています。旬の時に契約している原料野菜の絶体量を確保できなかったり、浅漬けのビジネスが、やりにくくなっているのは、事実ですね。
 ――打開策は。
 高見 原料野菜の契約比率を増やしたり、幅を持たせることです。また弊社に限って言えば、大容量製品でなく、小容量で手間をかけて味と品質に徹底的にこだわっていくことですね。そして、決して安く売らない(笑い)
 ――マクロでは。
 高見 昔はよい原料を使って、乳酸発酵させて、それがヒットして。ところが、いかんせん今は、野菜の味や質が漬物に加工するのにそぐわなくなってきている。白菜は特にキムチ用というわけではないでしょうが、全体的に硬くなってきているので、種苗メーカーさんにもお願いして、耐病性も重要ですが、ここでもう一度漬物の原料として野菜を見直す時期にきているかもしれません。
 調味については、弊社のコンセプトである「うますぎず・・・ 〝おいしい〟」という少し物足りないくらいの方が、長続きすると思っています。
 ――具体的には。
 高見 これまで長く、198円がプライスゾーンの中心でしたが、末端250円、300円の商品が受け入れられてきた。バイヤーさんもそういった商品を求めてきている。ですから、もちろん年間売る定番はある程度大量生産してコストを下げて、よいものを安く提供していかなければなりませんが、それとは別に、これからは、付加価値を高めて、例えば手作りで手間ひまをかけて、それなりの価格で販売できる製品を出していけるようにしたいと思っています。
 原料状況も年々変わってきているし、それだけリスクも大きくなってきていますので、大型のヒット商品を狙うというよりは、原料や産地を限定して季節感を出しながら、最低、春夏秋冬のなかで、その時季、産地も限定して商品を切り替え、商品群に幅を持たせていきたい。丁寧な仕事をすれば、それが製品の味や品質に出てお客様も認めていただける時代に徐々に戻ってきたのではないか、と思っています。
 ――西海さんの取り組み、製品でいうと。
 高見 まだ今年始めたばかりなので、何とも言えませんが、バイヤーさんは、よそにない商品は扱ってくれますから、売場を活性化するためにも付加価値の高い新商品が必要になってくる。弊社でいえば夏場に季節限定で出した「オーイ!キムチ」が割りと評判がよかった。手作りの浅漬けのオイキムチですが、価格設定や量目、パッケージをもう一度、ブラッシュアップして来年につなげられれば、と思っています。それと現在、製造販売している「美味旬菜 松前白菜」。今までも松前風の商品はあったのですが、昆布・スルメなどの素材を見直して本格志向をより強めました。ごはんのおかずはもちろん、今はやりの家飲み、晩酌のおつまみにも、美味しいと思います。
 また今年発売した「ぬか漬三兄弟」と量目を減らして販売価格に幅をもたせた「枝豆のお漬物」が好調です。「ぬか漬三兄弟」は、量目は基本半分ですが、徐々に行き渡ってきています。
 ――最後に、来年に向けて。
 高見 漬物専業の製造卸問屋として、漬物売場の活性化を図りたいと思っています。それが我々の使命であり誇りですから。スタッフにもよく話をしています。季節商品をどんどん入れて、漬物の需要を底上げできれば、と。
 さらにこれから健康志向が一層強まるでしょうから、仕入れメーカーさんとも諮って、乳酸発酵、発酵を一つのキーワードにして、POPやコーナー取りをして、漬物は発酵食品として売場を演出していきたいと思っています。
【2015(平成27)年12月14日第4828号9面】
 
西海食品株式会社 http://www.saikai.co.jp/

 
 
浅漬キムチ3大インタ 株式会社ピックルスコーポレーション
代表取締役会長 荻野 芳朗氏
代表取締役社長 宮本 雅弘氏
 
漬物にこだわらず会社も変化 株式取得でステップアップ
 株式会社ピックルスコーポレーション(埼玉県所沢市)の代表締役会長の荻野芳朗氏と代表取締役社長の宮本雅弘氏にインタビュー。平成28年2月期第2四半期決算や自社株取得によって出てきた変化、今後の方向性などについて話を聞いた。(聞き手・千葉友寛)
◇     ◇
 ――平成28年2月期第2四半期決算について。
 (荻野会長)「売上は順調に伸びて10%以上増加しています。利益は春先からの長雨、日照不足等の影響で原料価格が高騰しました。その後、9月の台風で茨城など野菜の産地に大きな被害が出るなど、2回の悪天候によって大きな打撃を受けました。そのため利益はやや苦戦し、前年と比べると増収減益で推移しています」
 ――定番となっている「ご飯がススム キムチ」の動向は。
 (荻野会長)「好調を維持しています。西の方の新規が増えていて、関西や広島を拠点に九州方面で広がっています。広島工場ができたことによって中四国地方をカバーできるようになりました。今は広島から九州に納品していますが、広島から九州に送るとなると、やはり限界があります。来期には自社工場のない九州に新工場建設を検討しています」
 ――「ご飯がススム ふなっしーの梨キムチ」や「ご飯がススム さといもキムチ」などの新製品の動きは。
 (荻野会長)「コラボ商品や新しい商品の動きも良いです。年明けにはこれまでになかった味のキムチを発売する予定です。コラボ商品や新感覚の製品は期間限定で販売するものだと考えています。話題性や消費者を飽きさせないという意味もありますが、新商品を発売して常に一定の数量をキープしつつ、定番の商品で販促を行うなど、キムチ市場全体の底上げを目的に取り組んでいます。販売期間は長くて半年、短いと3カ月となります。新商品を投入し続ければ売場を確保できる、というメリットもあります。どんな商品もそうですが、味や形態など何も変えずに続けていくと売上はジリジリ下がっていきます。そうなると、切り替えた方がいいということになります。弊社でも定番商品の味を微妙に変えて提供しています」
 ――惣菜も好調のようです
 (荻野会長)「首都圏、中京、関西までは入っていますが、中国・四国、九州では拡大余地があります。日本国内全体を見ると惣菜は今後も伸びていくカテゴリーですが、弊社の惣菜の割合が今後も継続して増えていくのか、というと必ずしもそうではありません。大手スーパーは惣菜の自社工場を持っていて売れ筋商品は自社で製造しています。そうなると、ニッチな部分を狙わなければならなくなるので、そこを目指して体力を使っても大きな見返りは期待できません。現在はキムチと浅漬をメーンに製造していますが、漬物にこだわっているわけではなく、必要とされるものが変わってくれば弊社も変化していくということです」
 ――夏場と打って変わって秋冬は野菜の価格が下がっていますが、売れ行きに変化はありますか。
 (宮本社長)「野菜が安い時は漬物が売れなくなる、ということについては昔ほど連動していないと思います。いまのところ、浅漬の売れ行きに大きな変化はありません。キムチは鍋やパスタなど、料理に利用できるため、需要としては底堅く、安定したものがあります。消費者ニーズが急に変わることはないと思いますが、少子高齢化や簡便性は今後も商品開発のポイントです。また、機能性についてもお取引先様からの要望が多く、勉強している最中です」
 ――自己株式の公開買付から1年以上が経過しました。自社株取得によって出てきた変化や今後の方向性について。
 (荻野会長)「東海漬物さんから株を購入して親会社、子会社の関係ではなくなったことで、証券アナリストから注目していただけるようになりました。自己株式を取得したことなどの影響により株価が上昇し、上場以来の大きな転機となりました。これからも皆様の期待に応えられるように事業を行っていく所存です」
【2015(平成27)年12月14日第4828号10面】
 
株式会社ピックルスコーポレーション http://www.pickles.co.jp/

 
 

インタビュー 2015(平成27)年11月

インタビュー 2015(平成27)年11月
 
理事長に聞く 長野県漬物協同組合 理事長 久保 廣登氏
野沢菜の惣菜利用広がる
健康志向でおやき人気上昇
 長野県漬物協同組合の久保廣登理事長に県内の漬物産業の現状や課題について聞いた。(藤井大碁)
――長野県の状況
 野沢菜に関しては、油炒めやおやきの具材など惣菜としての需要が伸びており漬物以外でも広く食べられるようになってきています。おやきは美味しくヘルシーということが県外にも浸透し始めており今後も伸びが期待できる商材だと思います。おやき具材の野沢菜を漬物メーカーが加工して提供するケースも今後増えていくのではないでしょうか。
――野沢菜は不安定な原料状況が続いています
 農家の高齢化や温暖化の影響もあると思います。また、以前は多めに作っていたため足りなくなれば県内の他のエリアから分けてもらえることができましたが、現在は需要の低迷もあり、各社がギリギリのラインで生産しているため天候不順などが起きればその度、原料が足りなくなる状況になってしまっています。今後は一層、生産農家と一体となった取り組みが求められます。
――漬物品評会について
 今年の品評会では、本漬け浅漬け両部門で野沢菜漬けが農林水産大臣賞に輝きました。野沢菜漬けの品質を高める努力を各メーカーが積極的に行っている結果だと思います。浅漬以外にも豊富な製品が登場し野沢菜製品の裾野が広がってきています。これを機に野沢菜の価値をさらに高められるよう長野全県で努力していきたいと思います。
――組合の活動予定について
 来年の新年会では全国漬物検査協会の佐藤惠専務理事を招いて新食品表示法に関する講習会を実施する予定です。その他、HACCPも含めて新たな制度への対応に備えるため組合員にとって有意義な活動を行っていきたいと考えています。
――最後に
 新食品表示法における栄養成分表示が実施されるまでに、さらに減塩に取り組み、漬物は塩分が高いというイメージを払拭していきたいと考えています。カップ麺やパンにも高い塩分が含まれています。米には塩分はないため、漬物と米の組合せは決して塩分が高くないということを広くPRしていきたいと思います。来年は上田市に所縁の真田幸村を主人公にしたNHK大河ドラマの放送、諏訪では7年に一度の御柱祭が開催されます。県内に訪れる観光客の方にも引き続き漬物の魅力を発信していきます。
【2015(平成27)年11月30日第4826号5面】
 
長野県漬物協同組合 http://www.ngn.janis.or.jp/~shokuhin/Pickles/
 
 
 
理事長に聞く 広島県漬物製造業協同組合 理事長 山本 千曲氏
需要拡大に向け活動強化へ
広島菜漬を次世代に
 広島県漬物製造業協同組合の山本千曲理事長に、県内の業界の動きや組合の取組みについて伺った。(高杉直起)
◇    ◇
 ――県内の業界の動きについて
 組合員数はピーク時に比べると減少しましたが、広島菜漬の全体的なパイ自体はそれほど大きく落ちてはいません。やはり進物としての需要が大きいですし、これまでは旬の冬場だけの商材でしたが、古漬への加工や、原料の冷凍保存や県外での栽培をはじめとした年間供給への対応など、各社、なんとか生産量を維持していこうと努力を重ねています。
 ――原料事情について
 今年の広島菜の生産量は平年並みあるいは増加ということで、しっかりと確保できる見通しです。不作の年と豊作の年が交互に入れ替わる傾向にありましたが、今では生産者の方々の栽培技術も向上し、安定しています。ただ栽培面積は減少しており、都市化や後継者不足とともに生産地も徐々に宅地化している現状です。組合として原料対策について更に強化していかねばなりません。また、他の原料に関しましては、冬場の広島菜に対して、夏場の原料を模索しています。特産のレモンや県内の伝統野菜に注目しており、なにか製品化できないかと組合として協議しています。
 ――業界の新たな流れについて
 漬物製造管理士制度は広島菜漬をはじめとした漬物の品質管理や製造技術の伝承をしていく上で、大変有益であると考えています。弊社におきましても1級を2名、3級を2名が取得いたしました。スキルや人間力が少しでも向上すればと会社として求める社員にはできるだけの支援をしております。現在、協議中の漬物ソムリエについては漬物を広くPRし、需要拡大はもちろん漬物の位置付けを上げていくものとなればと思います。広島菜も地域産品ですから知名度の向上が期待できるのではないでしょうか。
 ――組合の今後の取組みは
 新たな事業としましては生涯現役雇用制度の構築です。導入マニュアルを作成し、普及へと動いています。今後、社会全体としても雇用の延長や定年の廃止が予想されますし、我々としても非常に人手不足ということもありますので、女性や障がい者の方々の雇用にも取り組んでいきたいです。また、農水省が6月に施行した地理的表示保護制度におきましても広島菜の認証を目指しています。需要拡大に向け、やることはたくさんあります。少しでも参画企業を増やし、広島のPR事業を地道に進め、次世代につないでいきたいです。
【2015年11月30日第4826号8面】
 
広島県漬物製造業協同組合 http://hiroshima.tsukemono-japan.org/index.html
 
 
 
この人に聞く 株式会社楠清 常務 藤井 緑生氏
地域性プラス価値ある商品を お漬物は重要な商材
 株式会社楠清は広島菜漬をはじめ地域性の強い商品とともに、アイデア溢れる商品開発に定評がある。営業の最前線に立つ藤井緑生(りょくせい)常務に同社の強み、売場やトレンドについて伺った。
◇    ◇
 ――御社の強みは
 弊社では以前より国産原料に重きを置いておりまして、国産がまだそれほど重要視されていないころから農家さんと一体となってこだわりのお漬物を製造してきました。中国製品の過去の不祥事や近年の価格の上昇、消費者の方々の安全志向も高まりをみせており、ここ2、3年前からかなりのニーズの高まりを感じています。広島菜漬を主体として国産のお漬物を全国に広めていければと考えております。
 ――売場について
 量販店様では地域性プラス価値ある商品を価値ある適正価格で売っていくということに目を向けられている印象です。地域に密着した形でやっていかないと地元のお客様に受け入れられない。地域性をより重視して棚を作っていきたいということは言われています。広島なら広島菜、大阪なら水なす、九州なら高菜というように各県の特産品、上質品をある程度アッパーな値段で置きこんで、なおかつニーズのある手ごろな値段の商品を置くという形が理想でしょうか。個人的にも、地域に重きを置いた地場ならではの商品をもっと棚に並べていただけるように営業に励みたいと思っています。西日本は西日本で独自のお漬物が文化として定着していますので。また、お漬物が売れていないお店は全体的に売れてない傾向があるというお話をお聞きします。お店にとって日配品であるお漬物は重要な商材の一つです。
 ――トレンドは
 健康志向が高まりを見せているので塩分控えめの商品や、お子様から食べられるようなちょっと甘口タイプのお漬物がトレンドと感じています。乳酸菌が注目されているので乳酸発酵させたお漬物も人気が高まっています。乳酸菌については機能性表示も始まったので、各メーカー様も意識されていると思います。また、消費者の方々を飽きさせないためにも常に新しいものを見せねばなりません。その為にも商品開発を活発化させる必要がありますが、最終的にはオーソドックスな商品が売れているというのも事実です。
 ――今後、提案したい商品は
 個人的にはこのところの乳酸菌ブームもありますので、漬物に限らず、乳酸菌の入った機能性をうたった商品を作れないかなと構想中です。高まる健康志向を意識しつつ、高付加価値の商品を提案していければと考えています。
【2015(平成27)年11月30日第4826号8面】
 
株式会社楠清 http://kusukiyo.co.jp/

 
 
新社長に聞く 株式会社猫島商店 代表取締役社長 猫島 栄伸氏
伝統守りつつ革新を
広島菜漬のPR強化進める
 広島菜漬のトップメーカー・猫島商店では2015(平成27)年9月に猫島栄伸氏が代表取締役社長に就任。猫島新社長に同社や広島菜漬について伺った。
◇    ◇
 ――社長に就任されて3カ月が経過しましたが
 ギフトシーズンを前に業務の方も忙しくなっておりまして、慌しく日々が過ぎております。ギフトの主力はもちろん広島菜漬で、昔からの樽ものが根強い人気を示しています。顧客と致しましては広島の特産として県内の方が県外に向けて贈られることが多いです。
 ――伝統ある老舗メーカーを受け継がれて
 昭和3年に創業致しまして80年を超える歴史をもっています。私自身は2000年の春に入社致しましたので15年目となります。弊社の看板商品である広島菜漬は広島固有の食文化であり、風土に根付いたものなので、それを守っていかなければならないという使命は感じています。弊社は製造量だけで言いますと広島菜漬以外の方が多いですが、地場のメーカーとして広島菜漬は作り続けていかなければならない商材です。
 ――広島菜漬の現状は
 今年の原料の作柄は一時、若干遅れたかなと思うこともあったのですが問題なく、順調です。今年は台風もなく、一安心いたしました。流通に関しましては、量販店様向けの広島菜漬は県内が主で、県外での需要は少ないのが実状です。九州では高菜、長野では野沢菜、京都ではしば漬が飲食店やホテルの食事でご当地ものとして出てきます。対して、広島菜漬は昔に比べ、提供するところが少なくなった印象です。「ザ・広島ブランド」をはじめPR事業をいろいろとやっていますが、広島菜漬ももう少しうまくそれらを活用してアピールしていければと考えています。演出の仕方などもう一度見直す必要があると思います。
 ――商品の展開について
 広島菜漬におきましては弊社はどちらかといえば薄味で、原料の味を生かすことを心掛けています。またギフトを中心に広島菜漬と「ザ・広島ブランド」のセットものも堅調に推移しています。弊社ではメーカーでありながら問屋業もやっておりまして、メーカーの集まる商工センターという立地もあり、それらの強みを生かした商品となります。広島特産のレモンを使用した「レモン大根」や広島大学大学院と共同開発した「醗酵蔵ねこしま・広島菜漬」など今後も新たな商品開発を模索していきます。
 ――今後について
 業務全体を見直して、少し細かいところまで突っ込んで変えていく必要性を感じています。伝統を守りつつ新しいことにもチャレンジして、発展させていければと思います。
【2015(平成27)年11月30日第4826号9面】
 
株式会社猫島商店 http://www.nekoshima.jp/

 
 
この人に聞く ニチノウ食品株式会社代表取締役社長 有賀 哲哉氏
漬物の素も少量化 全国の産地直売所も支援
 ニチノウ食品株式会社(長野県上伊那郡箕輪町)は昭和38年に創業した「漬物の素」専門メーカーとして知られる。日本農産種苗株式会社(=ニチノウ)のグループ企業で「もっとおいしく、もっと楽しく」をモットーに各種「漬物の素」を研究開発。全国の産地直売所を紹介し、支援する「産直ごーごー」も運営している。有賀(あるが)哲哉社長に話を聞いた。
 ――御社について
 「漬物の素を専門に製造・販売しています。一般消費者向けで、主力商品は浅漬の素になります。漬物については食べたい、簡単に作りたいニーズはあります。ここ数年は野菜の価格の変動が激しい。夏過ぎの天候が不安定なので、野菜が高騰すると家庭では漬けません。野菜が余るくらいで漬ける。野菜が安くなると漬物の素も売れ、高くなると止まる、の繰り返しです」
 ――いりぬかについて
 「ぬかは原料の調達が難しくなった。我々は長野産の米ぬかを使って良い『ぬか漬の素』を作りたい、という思いで商品化してきましたが、調達範囲を拡げなければいけなくなりました。長野県はぬかを使用する、きのこ、飼料の業界が力強い。大きな市場を抱える業界が、海外産の原料の価格が高いため、国内のぬかを代替原料として使用する割合が増えてきました」
 ――ぬか漬ブームと言われるが?
 「確かに家庭でぬか漬を漬けたい人はいます。ぬか漬の発祥の地である九州地区では安定して売れているようです。ただ、商品的に単価は安く、原料、包材、送料が高くなり、コストが上昇してきましたので、低価格で対応するのには苦慮しています。弊社は北海道から九州まで対応していますが、お客様に喜んでいただき、利益を出せるように工夫が増々、必要です」
 ――今後の漬物の素は
 「高齢化社会になり消費者は漬物の塩分を気にしているので、漬物の素もそこがポイントになります。ただし、塩分が低すぎると漬からないことがある。ここまで下げてはいけない、という所があり、そこをどう対応し商品化していくか。塩味、甘味、酸味、旨味、辛味などのバランスをどう調整して味を作っていくか。漬物も胡瓜一本は食べないが、半分なら食べる。漬物の素も以前は野菜500g用、300g用があったが、200g用ぐらいの少量タイプに変わってきた。簡便性を求める流れにもなっています」
 ――長野は野沢菜がある
 「野沢菜に関しては漬物の素も5㎏用、10㎏用の市場はある。当初は30㎏用があったが、5㎏用を3、4袋、購入する家庭が増えた。分包にして、お客様が選べる種類を用意した。沢庵漬の素も30㎏用を出していたが、昨年ぐらいから、10㎏用が出荷を抜いた。季節性があるので生産調整は難しい。春夏の野菜を漬ける期間は長いが、秋冬は短い」
 ――漬物の将来性は
 「量販店は安定供給、低塩で安全な商品を求める。価格も含め、会社の規模がないとその要望に応えられなくなる。地元の野菜、特徴のある野菜を漬けることになる。それを直売所がやっている。いつもと違う味、違う食感のものは売れている。我々のような漬物の素メーカーも地域ごとに対応していくことになるでしょう」
 ――産地直売所サイト「産直ごーごー」も運営している
 「弊社の商品を扱ってくれている直売所から、集客に困っている、と聞き、インターネットを利用して宣伝をお手伝いすることにしました。弊社にとっても利用者の声を聞くことができる利点があります。現在、3500カ所の直売所を紹介しており、1万カ所を予定しています。今、月間30万ページビューぐらいのアクセスがあります」
 ――TPPについて
 「野菜の種類にもよるが、海外から持ってくるのは塩蔵になる。漬物にする野菜は夏なら胡瓜、茄子。採れたてが一番、おいしい。日本の直売所が人気を集めることになると思います。消費者は新鮮な野菜が欲しいから、TPPにも勝てる。低価格のお米や熟すまで時間を要する果物は海外産に負けてしまうかもしれない」
 ――直売所と関わって
 「新米が売れない、と聞きます。米が出ないとぬかも出ない。漬物も売れない。そういう危機感はもっており、時代の変化に合わせた様々な食シーンを考えています」
【2015(平成27)年11月16日第4824号7面】
 
ニチノウ食品株式会社 http://www.456-456.com/
 
 
 
この人に聞く 有限会社シャフル 代表取締役社長 浜本 学氏
スーパーフードを和食に
伝統食へ新風吹き込む
 アサイー、チアシード、ココナッツなど、最近良く耳にするようになったが、これらは「スーパーフード」と呼ばれるもので、世界のトップモデルが食べている事からブームに火が付き、美や健康に敏感な女性を中心に今、大ヒットしている。このスーパーフードの効能や摂り方を分かり易く説明し、メニュー開発などの提案を行う資格が一般社団法人日本スーパーフード協会が認定する「スーパーフードマイスター」だ。その最上位資格であるトップ・スーパーフードマイスターを男性として初めて取得した有限会社シャフル(兵庫県神戸市中央区琴ノ緒町3‐1‐382)の浜本学社長にインタビューした。
(藤井大碁)
 
――スーパーフードとは
 栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品、あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品を指します。ビタミンやミネラルなどの栄養素を多く含む植物由来の食品で、国や公的機関によるスーパーフードの定義がないため、日本における正しい知識の普及のために設立された機関が一般社団法人日本スーパーフード協会です。スピルリナ、アサイー、カカオなど10種を「プライマリースーパーフード」として紹介されています。
――市場の広がりについて
 健康美容志向が高まる中、特に美容に興味のある若い女性からの支持に引っ張られるかたちで、この一年で市場が急拡大しました。スーパーやコンビニの棚でも売られるようになり、健康に興味のあるシニア層や体調管理に敏感なアスリートまで幅広く裾野が広がりつつあります。現在は、食品メーカーや菓子メーカーがスーパーフードを取り入れた商品開発に着手しており、今後、さらに身近なものとして生活に浸透していくことが予想されます。
――資格をどう活かす
 スーパーフードというと若い女性に人気のイメージが強いのですが、セミナーを開催すると、お年寄りの参加者も多く見られます。「健康に良い食べ物」として興味ある方がたくさんいらっしゃるはずです。しかし、今のスーパーフードの摂り方の提案として一般的なのは、スムージーやヨーグルトなど、お年寄りにはあまり馴染みのないものが多くなっています。私はより身近な「和食」を中心にスーパーフードを取り入れる提案を積極的にしていきたいと思っています。
――佃煮や漬物など伝統食にも活用できる
 現在、様々なレシピを考案しています。伝統食の繊細な味わいを損なわず、スーパーフードを取り入れることで機能性も訴求できるよう、研究を重ねています。主要顧客であるシニア層にはもちろん、若年層にはスーパーフードをきっかけに、伝統食に目を向けてもらえるように、スーパーフードで様々な世代を繋ぐ橋渡し的存在になれたらいいですね。スーパーフードに関するセミナーやメニュー開発、コンサルタントなど、どんなご相談でもお待ちしています。
【浜本学(はまもとまなぶ)氏プロフィール】
 青山学院大学国際政治経済学部卒、一部上場食品会社国際部に勤務後、㈲シャフル代表取締役社長。男性で日本初、関西では唯一のトップ・スーパーフードマイスター。他に雑穀スーパーフードマイスター、スポーツ・スーパーフードマイスター、ビューティー・スーパーフードマイスター、協会認定講師の他に、かんぶつマエストロ上級など複数の資格を持つ。トライアスロン、SUPなどもこなす。
【2015(平成27)年11月16日第4824号3面】
 
有限会社シャフル http://shuffle.today/
一般社団法人日本スーパーフード協会 http://www.superfoods.or.jp/
 
 
この人に聞く キムラ漬物株式会社 代表取締役社長 木村 孝徳氏
少ない原料でどう作るか
売場を変える商品を
 愛知・渥美半島産をはじめ、山形、宮崎などの原料大根を使い各種の沢庵を製造するキムラ漬物株式会社(木村孝徳社長、愛知県田原市)は全国でも有数の沢庵メーカー。渥美一丁漬の復刻にも力を入れるなど伝統を継承するだけでなく、「化学調味料ゼロたくあん」など時代にマッチした商品を開発。漬物製造管理士1級にも合格するなど、業界のために尽力している。
◇   ◇
 ――現状を
 「厳しい状況の中、おかげさまで8月末決算の後、9月、10月は前年をクリアしています。野菜が高騰しているためなのか、引き合いは多いです」
 ――課題は
 「原料確保は沢庵に限らず、漬物メーカーはどこでも抱えている課題でしょう。大根は日照時間が大事なため、天候不良で発育が遅れていたが、その後は好天続きのため、ある程度のものにはなりそうです。ただし、将来的に農家の高齢化、後継者不足にどう対応してゆくのか、大きな壁があると思います。これからは、少ない原料でどう、製品を作っていくか。トン数よりパック数を重視することも大事になってくる」
 ――沢庵メーカーとして一番、気を付けていることは
 「製品の安定供給です。カップでの販売や商品の少量化、価格訴求なども無視はできないですが、それらに振り回されたくはありません」
 ――PRにも積極的だ
 「宮崎工場(キムラ漬物宮崎工業株式会社)では渥美一丁漬由来の『米ぬか発酵製法』の技術と機能性を挿絵入りでわかりやすく説明したパンフレットを作り、取引先、催事・直販などを通じてお客様に配布してきました」
 ――今後の取り組みは
 「原料の確保能力をさらに強化したい。生産農家には、その時その時に必要なことを協力している。例えば、大根を抜く時には掘り取り機を用意したりしている。量販店では漬物の売場以外に、同じ店舗の中でも名産品コーナーのような売場を変えることができる商品を作っていければ、と考えています」
【2015(平成27)年11月16日第4824号10面】

キムラ漬物株式会社のフェイスブック https://www.facebook.com/tsukemono.Kanshiro
キムラ漬物宮崎工業株式会社 http://kimura-tsukemono.com/
 
 
 
おせち特集3大インタ 全調食東海北陸ブロック会長 平松 賢介氏
TPPでチャンス拡大
世界の食卓に佃煮を
 今年4月に全調食東海北陸ブロックの会長に就任した平松賢介氏に今後の活動方針やおせちの状況、いち早く取り組んでいる海外展開などについて話を聞いた。
(藤井大碁)
――おせちの状況
 食生活の変化の中でおせちのオードブル化が進みました。おせちオードブルの定番となる栗きんとん・昆布巻・黒豆・田作りの4種は、おせちらしさを演出するアイテムとしてニーズは安定しています。単品売りは年々低下傾向にあり、おせち定番4種以外の商材を利用していただくためには歴史やいわれなど背景にあるストーリーを伝える努力が必要です。弊社では毎年三河湾産の本ハゼ甘露煮を伝統の商材として発信しています。数に限りはありますが、地元の食文化を守るという意味でも大切な取り組みで、地元のお客様からも毎年好評を得ています。
――全調食東海北陸ブロック会長に就任されて半年が経ちました
 東海北陸ブロックは50数社の会員が加入していますが、惣菜メーカーが多いのが特徴です。佃煮と惣菜では事業内容が異なるため、組合活動も双方にメリットがあるように心掛けていく必要があります。来年度は農産物生産者とのマッチング会など惣菜メーカーにも実りのある取り組みを予定しています。農業生産者とメーカーのニーズを照らし合わせ、地域に地産地消のベースを作っていきたいと考えています。
――10月の研修会では高山市の海外戦略部部長から、高山市のインバウンド戦略について学びました
 高山市では30年前から訪日観光客の誘致を開始しており、その取り組みが現在の成功につながっています。何事もそうですが、粘り強く継続することが何より大切だと感じました。講義の中で、〝自らの価値に気付きそれをより高める〟という言葉がありましたが、まさに佃煮業界にもいえることで、客観的に我々の価値をもう一度見つめ直し、それをどう伝えていくか考えていく必要があります。
――今後の取組み
 国が中部北陸地方で進めるインバウンド推進の取組み「昇龍道プロジェクト」と東海北陸ブロックの活動エリアは重なります。TPPが大筋合意に至り海外販路に注目が集まる中、ブロック会としてインバウンドに対してアクションを起こすチャンスです。各県にどういった佃煮があり、ここであれば工場見学が可能だという提案を行っていきたいと考えています。
――御社ではいち早く海外へ佃煮の輸出を開始しました
 今からちょうど10年前、愛知万博に出展したことがきっかけでした。佃煮を海外の方に美味しいといってもらえて、〝海外でも佃煮は通用する〟という漠然とした思いが確信に変わった瞬間でした。ちょうどHACCPがベースのISO22000の取得も完了するタイミングでしたので、それを機に海外の展示会などに出展を始めました。
――10年間の取組みの成果は
 台湾・香港・米国を中心にサンマ・イワシ・ニシンの甘露煮や佃煮ジュレなどを輸出しています。現時点では全体売上の2%にすぎませんが、売上が落ちることはなく順調に推移しています。直近ではシンガポールで回転寿司用にTERIYAKI‐FISHjellyが採用されるなど少しずつ広がりを見せています。TPPの大筋合意もあり、今後はオーストラリア、カナダに力を入れていきたいと思います。
――佃煮を輸出する上で
 いかに現地の食文化に入り込むかが鍵となります。食文化が異なり米飯の習慣が乏しい国で佃煮をそのまま食べてもらうのは簡単ではありません。料理の具材やソースとして、姿・形を変えてまずは佃煮の味に親しんでもらう。そこから次の展開が出てくるのではないでしょうか。姿・形を変えることで、〝何が佃煮なのか”の線引きが難しくなってきます。私は自分の中で、〝甘辛い〟ということを佃煮のテイストと捉え線引きするようにしています。個々の会社が佃煮の軸をもつことは必要です。
――最後に
 ローカルとグローバルな取り組みを両輪として活動することを心掛けていきます。地元では地産地消や食育活動を行い伝統食として佃煮文化を残す。海外では佃煮文化を粘り強く広めていく。ニューヨークで佃煮が流行れば日本でも話題になると思いますし、ローカルとグローバルは必ずリンクします。〝世界の食卓に佃煮を〟を合言葉に今後も努力を続けていきます。
【2015(平成27)年11月9日第4823号4面】
 
全国調理食品工業協同組合 http://www.zenchoshoku.or.jp/
 

 
 
おせち特集3大インタ 全国調理食品工業協同組合 副理事長 佐々 重雄氏
ニーズの多様化で裾野広がる
おせちはお重が増加傾向
 全国調理食品工業協同組合(岩田功理事長)の佐々重雄副理事長(株式会社佐々商店代表取締役社長)にインタビュー。小売や流通の変化、今年のおせち商戦などについて話を聞いた。
(千葉友寛)
◇    ◇
 ――小売、流通の変化について。
 「ネット通販等で日用品も購入できますし、サービスも充実しているので、直接売場に行く機会は減っていくと思います。量販店は生鮮3品と惣菜に特化して独自路線や差別化を図っていくことと思います。衣料品などは専門店もあるので常に価格と品質の競争になるのではないでしょうか。取引先様もお客様増加のために日々苦心されていると思います。生鮮3品と惣菜の売場が拡大していくことと想定でき、我々としてはそういった売場に入る商品を提案し、供給していかなければ生き残っていくことは難しいということになります」
 ――今年のおせち商戦の展望を。
 「今年も二極化の流れが続くと思いますが、ニーズが多様化し裾野が広がってきています。自分の目で見て信頼できる百貨店のおせちも底堅い需要がありますが、手軽に購入することができる量販店の需要が増えていて、全体的には予約のお重が増加すると思います。売れ筋は1万5000円前後と見ています。量販店でも限定おせちやこだわりおせちなど、単価が高いものも販売するようになってきており、洋風、中華など幅広い商品を展開しています。消費者のニーズが多様になってきているため、各社とも色々なアイデアを出して対応しています。単品も自分の好みで選択できることから栗きんとんや黒豆などの主力商品は販売数量が伸びています。その反面、佃煮、甘露煮、串ものは食べる習慣がなくなってきていることもあり、主力ではない商品として減少傾向にあります。必要なものと必要ではないものの線引きがはっきりしてきていることも確かです」
 ――円安の影響は。
 「おせちの原料も商品によっては海外から輸入するものも多いのですが、中国産の栗は収量が上がらず価格も上昇しています。韓国産の栗も現地価格は同じなのですが、昨年の為替と比較して円安が進行しているため、その分トータルのコストが上がっています。国産のさつまいもも主要産地の九州が大雨の影響で収穫量が大幅に減少し、歩留まりも悪くなっています。原料の安定供給については各社とも色々なアイデアを出して対応しておりますが、天候要因はどうにもなりません。原料価格が上がった分は製品価格に転嫁しなければならず、値上げの商談をさせていただいております。メーカーにとっては厳しい状況が続いています」
 ――おせちを販売する会社が限られてきています。
 「原料を1年分抱かえなければならなかったり、人手の確保の問題、価格転嫁がスムーズにいかないなどリスクが大きくなっており、おせちを製造、販売するメリットが薄れてきていることも確かです。弊社として採算の合わない商品は製造を中止して我々の意向を少しでも組んでいただけるお取引様と取引をさせていただきたいと思っています。日本経済はデフレから脱却したとは言い切れない状況で、中途半端な商品では支持を得ることはできません。我々も高品質の商品をさらにブラッシュアップし、消費者のニーズに合わせた商品を供給していく所存です」
【2015(平成27)年11月9日第4823号5面】
 
全国調理食品工業協同組合 http://www.zenchoshoku.or.jp/
 
 
 
おせち特集3大インタ 菊池食品工業株式会社 代表取締役社長 菊池 光晃氏
早期数量確定でコスト削減
クリスマス前後から味見需要
 煮豆、佃煮、惣菜の大手として知られ、2014(平成26)年3月に創業100周年を迎えた菊池食品工業株式会社(東京都板橋区大山)の代表取締役社長兼COOの菊池光晃氏にインタビュー。今年のおせち商戦の展望や今後の見通し、課題などについて話を聞いた。
(千葉友寛)
◇    ◇
 ――近年は人手の確保が大きな問題となっているようですが。
 「人手の確保はここ数年、特に大きな問題です。おせちは際物の商材なので、短い期間で集中的に人手が必要となります。しかし、募集しても人手が集まらなくなってきています。また、物流会社の方ではトラックの運転手がいない、という問題も出てきています。先方から11月末にはトラックが何台必要なのか確定の数字を出してほしい、と要望されているのですが、そのあたりでは数量を確定するのは困難となっています。そして、原材料の輸入コストの上昇も頭痛の種です。原料価格自体はそこまで上がっていないのですが、円安だけで昨年の2割程度上がっている計算になっています」
 ――難しい問題ばかりですが、解決策は。
 「唯一ある解決策としては小売店、流通の確定数量を早く出していただく、ということです。先ほども述べたように、物流会社から11月末にはトラックの台数を確定しなければなりません。それができないとプラスのコストになってしまいます。早い段階から製造数量が把握できていれば生産効率が上がり、生産や包装資材関係のロスも減るので結果的にコストを下げることができます。突発的な注文が入るとコストが余計にかかり、工場も混乱するためミスも出てロスが発生します。人員不足にしても問題が解決できなければ早期生産しか方法はありません。商材によっては早い段階から準備できるものもあるので、9月、10月から製造すれば人手が少なくても間に合う計算が立ちます」
 ――製造のリスクも増えているようですが。
 「商品動向やトレンドをギリギリまで見極めたい、という思惑もあると思いますが、注文は12月10日~15日で確定するところが大半となっていますが、人手やトラックの確保等の問題があり、コストも上昇しています。現在のオペレーションが続くとコストの問題以上に作れない、運べない、というリスクが伴ってきています。弊社では昨年に続き12月5日を注文の締め日に設定しております。昨年の動きとして良かったのは受注生産なので作り過ぎという問題がなく、突発的な注文もないため工場と物流が混乱しませんでした。お取引先様にはご迷惑をおかけいたしましたが、これまでかかっていたあらゆるコストを抑えることができました。おせちは商材によって1年間原料を保有しなければならないものもあり、資金力も必要になるため、近年ではおせちメーカーが倒産、廃業するケースが増えてきています。また、利益確保が厳しいことから製造を止める会社も出てきています。際物は決めた数量だけ販売するという流れになっていくと思います。確定数量を早めることでコストを下げることができるため、メーカー、小売店、お客様の全てにメリットがあると言えます」
 ――商品動向について。
 「新たな動きとしては『味見需要』が出てきました。昨年から本格的な動きになってきたのですが、クリスマス前後から少量タイプの栗きんとん、ハーフの伊達巻など本番に向けて味を確かめたい、というニーズが出てきています。昨年はトライ的な企画でしたが、今年は実施店舗が増える見込みです」
 ――御社の新提案は。
 「黒豆商品を対象に抽選で1万円が当たる新春プレゼントキャンペーンを実施します。おせちの商品でお年玉をイメージしたキャンペーンは業界でも初の試みだと思います。品質や味の差別化も重要ですが、今後もアイデアや工夫での差別化も図っていきたいと思っています」
【2015(平成27)年11月9日第4823号7面】
 
菊池食品工業株式会社 http://www.kikuchi-shokuhin.co.jp/

 
 

インタビュー 2015(平成27)年10月

インタビュー 2015(平成27)年10月
 
取材手帳から 道本食品(宮崎市) 道本英之社長
平成版の沢庵完成を目指す
 商品開発の要点は、ただ単に新しいものをつくるだけでなく、常に改良・改善の意識が必要だと思う。宮崎の霧島酒造は、クセのあった芋焼酎に改良を加え、万人に受ける「黒霧島」を完成させて全国区になった。沢庵についても、もう一度〝味づくり〟に取り組まなければならない時期に来ているのではないか。原料の出来不出来に左右されない漬け方や、味付けなどを見直して、『平成版』といえるものを完成させたい。(干し沢庵大手の道本食品・道本英之社長)
【2015(平成27)年10月26日第4822号5面】
 
道本食品株式会社 http://www.hinatazuke.co.jp/
 
 
 
 
 
 
この人に聞く 株式会社やまじょう 代表取締役 上西 宗市氏
近江漬物の価値向上へ努力
「武宗」ブランド戦略を推進

 地元近江に根ざした商材にこだわり、品質重視の製品づくりに定評のある株式会社やまじょうの上西宗市社長にシーズンを迎えた千枚漬の状況や地域密着、今後の展開について聞いた。(高杉直起)
◇    ◇
 ――今年の千枚漬の状況は
 原料のかぶらも例年通りの入荷となり、スタートしました。蒔き付け時の雨が心配されましたが、台風の影響もなく順調です。現在の長野県産から、11月には地元産へと切り替わる予定です。
 ――消費動向について
 大手量販店様と企画した高品質の千枚漬が非常に好評で、消費者の方々もより品質を重視していると実感しています。通常のものより昆布の旨みを利かせるなどグレードを上げた商品で、その分、値段の方も高くなりましたが、売場の方々のバックアップもあり、予想以上の売れ行きを見せました。
 ――地域密着について
 製造メーカーとしてこの地に育てていただき、8年前から直営店を始めました。現在では県内に3店舗となり、順調に売上げを伸ばし、地域の方々からもご愛好頂いております。近江の伝統野菜の商品化など漬物はもちろんのこと、彦根市の名産である味噌漬に着目し、近江牛や琵琶ます、伝統野菜などの味噌漬を取り揃えています。2月からは味噌漬を「武宗」というブランドに統一し、近江の特産として評価も高まっています。地元の伝統野菜として栽培から携わる下田なすにつきましては、去年は台風の影響で半作近い状態で、大変厳しいものとなりましたが、今年はほぼ平年作に戻り、皆様の要望に応えることができました。自社農園を広げたことと、自社ならではのしっかりとした管理が原料確保において大きな強みとなりました。
 ――「武宗」ブランドについて
 11月には彦根市に近江味噌漬の専門店となる「武宗本店」の開店を予定しております。商品の販売とともに、その場で味わえるスペースの設置も構想中です。彦根市や滋賀銀行様といった〝産官学金〟とともにブランド戦略を推し進め、地域の発展に貢献したいと考えています。やまじょうとは違う魅力をもったひとつのブランドとして、長い目で育てていきます。近江の名産品を使用し、漬物屋の技術をもって、新しい美味しさを提供していきたいです。
 ――今後の展開について
 直営店の比率を上げて、地域に密着した商売を進めていきます。ギフトの需要を伸ばし、近江の物産振興に寄与できれば。近江の漬物におきましても、商品に磨きをかけて、地域のブランドとして価値を上げていかないとなりません。発展途上ゆえの楽しみもあります。人口が減少する中、量より質といわれて久しいですが、今まで以上に考えて、日々精進して参ります。
【2015(平成27)年10月26日第4822号4面】
 
株式会社やまじょう http://www.yamajou.co.jp/
 
 
 
この人に聞く 中部農産株式会社 支配人 竹内 文康氏
過渡期に来た「沢庵」
 中部農産株式会社(大羽恭史社長、愛知県田原市谷熊町)は東海漬物株式会社(大羽恭史社長)のグループ会社で、全国有数の農業産地である渥美半島で「一丁漬」などの昔ながらの沢庵の生産にこだわってきた。沢庵は野菜高騰でその存在が見直される中、原料確保という大きな課題も抱えている。竹内文康支配人に現状を聞いた。
 ――中部農産について
 「東海漬物のグループ会社で、渥美沢庵の産地に密着した形で、昭和51年5月に設立されました。繁忙期の違う沢庵と生姜漬をメーンに、定番商品を生産しています。グループには九州農産、霧島農産(ともに宮崎)、太陽漬物(鹿児島)、関東農産(群馬と茨城)があります。弊社は現在、約30名が勤務しています」
 ――渥美半島の現状は
 「渥美と言えば、渥美沢庵が有名ですが、現在は弊社で使う原料は、ほぼゼロに近い。弊社だけでも全盛期で十数軒はあった大根農家も高齢化、後継者不足や生産性の問題で減っていきました。数年前まではまだ、渥美産原料をもっと、加工していました」
 ――原料確保は沢庵メーカーにとっても大きな課題だ
 「渥美で起きていることは、九州でも起きる、という不安がある。同じ東海地方では三重県が県を挙げて伊勢沢庵をバックアップしていますが、沢庵の産地では何かのアクションを起こさないと将来的に厳しくなっていくと思います」
 ――一丁漬をはじめ、渥美産の大根は人気がある
 「それは本当にありがたいことです。ただ、定番を大事にしていくか、新たな違う形態でやっていくか、そういう過渡期に来ています。違う形態というのは、関東農産(茨城)が沢庵スライスのトレーという付加価値のある商品で人気を集めているケースが挙げられます」
 ――漬物業界にはほかにも課題はある。業界全体のレベルアップへ漬物製造管理士が導入され来年、3回目の試験が実施される
 「回数を重ねると受験する人も限られてくるので、製造部門だけでなく、営業担当にも資格を取っていただこうということで、愛知では、独自に講座をやろうという計画がある。私はおかげさまで、1回目で1級を取得できた。公益法人愛知県漬物協会の会長でもある大羽社長の発案ですが、インターネットを使って、メールで受験生からの質問に答えたりするやりとりをしたい」
 ――漬物業界について
 「進んでいる漬物ソムリエの立ち上げにも参加させていただいている。TBSの『マツコの知らない世界』で漬物が取り上げられ話題になったように、漬物のイメージアップにつなげたい。野菜ソムリエというとお洒落なイメージがあるが、漬物ソムリエも女性にアピールできれば。効果的にPRできるようにいろいろと考えています」
【2015(平成27)年10月26日第4822号7面】
 
 
 
 
トップに聞く 有限会社土江本店 代表取締役社長 関谷 忠之氏
浜四季ブランド
漬物技術で珍味製造 1億2千万規模の売上へ
 ――松江名産の津田かぶ漬がシーズンを迎えましたが、今年の目標を。
 関谷 10月第2週から始まっている。前年比1・2倍の作付けを予定している。本格的なはぜ掛け作業は、11月中頃からだ。最盛期は11~12月を見込んでいる。若干値上げで対応している。特に今年は、ゆうパックの中国5県の重点商材に奉書干しと共に選定されているので、期待している。
 ――浅漬原料は年間を通じて高騰する回数が増え、メーカーの利益率を圧迫する場面が数多くなっていますが…。
 関谷 原料高騰の回数は増えている。末端価格に反映出来なければ、メーカーが疲弊するばかりか、野菜生産農家にも何れ、しわ寄せが行く。漬物業界は、年間安定しての大口需要者だけに、農家の育成面にも責任がある。それだけに末端価格が原料相場を適切に反映したものにならなければならない。一汁三菜、御飯に漬物という和食文化と日本の野菜生産を守るといった面からも適正な末端価格が形成されなければならない。末端価格は、今より100円(198円→298円、298円→398円)上げることが、望ましく価値を認めて貰う努力を怠ってはならない。
 ――漬物製造の技術である発酵、熟成を応用して周辺商材である魚を干し上げる画期的な技術である「奉書干し」製品が好調なようですが…。
 関谷 漬物造りの技術を生かし周辺商材を強化して行くことは、当社の成長戦略でもある。「奉書干し」は、独自の特許技術を用い製品化しているだけに単なる塩干魚とは、一線を画す製品だ。漬物の技術があるから実現したヒット商材だ。
 ――更にこの分野を拡大する予定は。
 関谷 浜田漁港工場に「発酵熟成急速冷凍庫」の設備を導入した。五カ年計画の一環で取り組んでいる。将来的には、この製品造りのラインが本格稼働すれば、「浜四季ブランド」の珍味として古代伝承の匠技を生かして製品を造る。これにより、3~5年後約1億2千万円の新規売り上げとなる見込みだ。
 ――浜四季ブランドのコンセプトは。
 関谷 奉書干し、あわびの本伝煮の第2弾に続く海産加工分野の主力ブランドに育成したい。「煮る、干す、焼く、スモーク」の加工の上に漬物の技術(発酵、浸透、熟成)を駆使して付加価値の高い差別化商材を創る。加工品は、魚介類が主となる。工場のある浜田には日本海から豊富に魚介類が水揚げされる有数の漁港だ。この魚介は人気が高くふるさと納税においても、これを目当てにする人も多く、大きな税源確保の一翼となり、全国的にも話題となっている程だ。
 ――漬物の技術をベースに新規分野を増やすという手堅い手法です。今までの永年の企業としての蓄積を最大限に生かせるだけに注目されるところですね。
 関谷 弊社では、「奉書干し」を造るに当たりご縁を頂いている1300年の歴史を誇る賣布神社では、漬物造りや食品製造に欠かせない「塩」を祈祷する神事が行われている。古くから続く行事であるが一時、途絶えていたものが数年前から復活している。毎月10日に塩の祈祷が行われる。広く塩を使う漬物、食品業界にご利益の裾分け(塩守り)といった意味で弊社にご連絡頂ければ、御祈祷済みの塩を実費(送料他込みで千円)で頒布したい。厳しい時代だけに色々なお力を頂くことで、価値を高めることも大事だと考えている。
 ――霊験新かなお塩を神の国でもある出雲から頂けるチャンスだけに、関心のある方には、是非とも問い合わせて頂きたいですね。最後に津田かぶ漬の機能性表示への対応を。
 関谷 県、行政当局、関係機関のご協力により、津田かぶ漬が作り出す有用乳酸菌やポリフェノールの研究が進展している。更に細かいデータの分析が続けられている。エビデンスが整えば実際の表示に進みたい。健康に有用な成分が数多くあることは、島根県人の寿命の長い事からも証明されている。その有用物質の最終的な特定段階に入っている。
 ――漬物への本格表示も間近となれば、漬物消費拡大に大きな材料となります。本日は、貴重なお話を有難う御座いました。
(藤澤泰隆・文中敬称略)
【2015(平成27)年10月26日第4822号9面】
 
有限会社土江本店 http://www.tsudakko.com/

 
 
新社長に聞く 山本食品工業株式会社 代表取締役社長 山本 賢司氏

体制強化し〝恒久の存続〟を
楽京の値上げは急務
 らっきょう・しょうが・にんにくを三本柱として成長を続ける山本食品工業株式会社(埼玉県行田市)の新社長に就任した山本賢司氏にインタビュー。現状や今後の抱負について聞いた。(藤井大碁)
――新社長にご就任されました
 前社長が就任10年を迎えたのを機に、前社長の意向もあり、そのバトンを受け継いで、さらに新体制下で成長を加速させていく。会長をピラミッドの頂点とした体制に変わりはなく、社員の育成や優秀な人材の獲得にさらに力を注ぎ、盤石な体制を築いていく。
――現在のご心境は
 これまで前会長、会長、前社長と3人がそれぞれ売上を伸ばしてきた。毎年、漬物業界がシュリンクしていく厳しい環境の中で、その流れを止めては行けないというプレッシャーはあるが、今後も売上を伸ばしていく使命がある。今まで積み重ねてきたことをしっかりと続けていくことで責任を果たしていきたい。
――目下、業績は好調です
 原料高騰や為替高など逆風が吹き荒れる中、この9月までの前期も売上高66億円で着地し目標の数字をクリアすることができた。一昨年の後半かららっきょうの動きが良くなり、昨年のテレビ放送を機に健康食品としての認知が改めて定着した。惣菜用の新生姜製品も伸びている。製品によっては多少値上げをしたものもあり、全体としてうまく売上をつくれた。
――らっきょう製品の値上げ状況
 国産製品については、8月頃から量販店に値上げの話をしているが簡単にはいかない。11月頃にはどうにか値上げができるのではないかと考えている。中国産に関しては他社の動きがなく、動きづらい状況ではあるが、原料が高騰して値上げせざるを得ない状況になっており躊躇することはできない。待ったなしで値上げに取り組んでいく。
――売上を伸ばし続ける御社の強みについて
 会長の求心力の下、170人の全社員が同じ方向を向きポジションごとにベストなパフォーマンスを発揮できている。自分の頭で考え自主的に一人一人がさらに上の結果を目指し努力している。その結果が業績に表れている。
――今後の方向性
 売上を伸ばす方法は、既存の商品で他社のシェアを奪うか、新しい売り場を開拓するか、新しい商品を作って売上にのせていくかの3つしかない。らっきょう・しょうが・にんにくの三本柱は変わらないが、新たな売り方や売り場の構築、柱以外の商品として新商品の開発も含めて考えていかなければならない。
――ベンダー業も伸びています
 納入メーカーとの協力の下、さらに消費者ニーズに沿った売場づくりを目指していく。その中で、商品内容や利益率をしっかりと把握し、消費者・小売店・納入メーカー全てにメリットがあるよう取り組んでいく。
――最終的な目標は
 経営理念にもある〝恒久の存続〟を成し遂げていく。今現在の体制をさらに強固なものにして次世代にバトンタッチすることが自分の役割だ。そのためには人材の育成が重要な位置付けになる。この先、10年20年後を見据え、次世代の人材育成に力を入れていく。
 ◇山本賢司(やまもと・けんじ) 日本大学卒業後、金久に3年間勤務。昭和63年に同社入社。製造、営業に携わり平成17年副社長、平成27年10月より社長就任。53歳。

【2015(平成27)年10月19日第4821号1面】

山本食品工業株式会社 http://www.kanetamaru.co.jp/
 

 
 
理事長に聞く 埼玉県漬物協同組合 理事長 染谷 庄一郎氏
経営理念で価値観共有
各社が強み生かし挑戦を
 埼玉県漬物協同組合の染谷庄一郎理事長に業界の現状や今後の方向性などについて聞いた。
(藤井大碁)
――業界の現状について
 原料価格が暴騰しており浅漬は特に厳しい状況が続いています。生鮮野菜より漬物の方が安く手に入るのは異常で、本来は野菜が100円であれば、それを加工する漬物は200円というのが相場ではないでしょうか。衛生管理や新食品表示法へ対応するための経費も増えていく環境下で、こういった構造では産業として成り立たなくなってしまいます。
――農家の軒数も年々減少しています
 原料となる野菜が手に入らなければ、漬物は作れません。当たり前のことですが、農家のことを真に考えた取り組みが今こそ必要です。そのためには、良い原料を農家からできる限り高く買って、漬物屋が付加価値を付けて高く売ること。また、その商品をお客様に満足して購入していただくことが求められます。作り手良し、売り手良し、買い手良しという一連のサイクルが完成して初めて今後の漬物産業が成り立つのではないでしょうか。
――理想の売場
 漬物メーカーの寡占化が進めば、売り場の個性がなくなってしまいます。地域特産漬物が多く並ぶ売場の方が理想だと考えています。今、良いモデルだと思うのは秋田県の〝いぶりがっこ〟です。作る技術や手間が必要ですが、付加価値を付け価格が保てているという意味では理想のモデルといえるのではないでしょうか。価格が保てればそれだけ農家から原料を高く買い取ることもできます。
――経営理念の大切さ
 こういった厳しい時代だからこそ、会社の柱である〝経営理念”が大切になってくると思います。弊社では〝社業を通じて、お客様と同志に喜びと満足を贈る。そのため、常に新しい創造にチャレンジし、感動を得る〟という経営理念があります。この理念に従って、全社員が各ポジションで何をすべきかを考え、新たな価値を生み出せるよう挑戦を続けています。常に経営理念が頭の片隅にあり、判断基準になります。お客様の感動を得るには一体どうしたらいいか。時代に合わせて刻々と変化する消費者ニーズに対応するためには、新たなことにチャレンジしていかなければなりません。この経営理念の下、〝何もしないことが一番のリスク〟という考え方が全社員共通の価値観となっており、同じ方向を向いて努力していくことができます。
――厳しい環境下で生き残るには
 価値観が多様化してきており、今までとは違い何が正解なのか分かりづらい時代です。しかし、じっとしていても誰も助けてはくれません。繰り返しになりますが、何もしないでいることが一番のリスクではないでしょうか。各企業が各々の強みを生かして新たなチャレンジを行っていく。お客様に感動を与えるような高価格帯商品の開発や飲食に出ていくことも考えられるでしょう。弊社でもいろいろな取り組みを通じて時代ニーズに合ったチャネルを模索している状況です。
【2015(平成27)年10月19日第4821号3面】
 
埼玉県漬物協同組合 http://www.saitama-tukemono.or.jp/
 
 
 
この人に聞く 株式会社伊勢惣 会長 足立 開作氏
善玉菌で腸内環境を改善
生きたまま腸に届く乾燥麹
 乾燥こうじや甘酒の製造大手である株式会社伊勢惣(足立功社長、東京都板橋区)の足立開作会長が腸内環境のカギを握る『善玉菌』と乾燥こうじの関係性について解説。約1年に及ぶ自らの実体験などをもとに軟便で困っている方に乾燥こうじの飲用をオススメしている。今回はその思いを寄稿していただき、特別版インタビューとして紹介する。(担当・千葉友寛)
◇    ◇
◆日和見菌を味方に
 「こうじは古来より漢方で神麹(シンギク)と云われ、腸管内を活発に掃除し、活力をたすけてくれる腸能力(超能力)のある善玉菌だったのです。腸管内は一般社会とよく似た感じで、善玉菌が居れば、悪玉菌も居る、どっちつかずの日和見菌が一番多いのだそうです。体が健康で元気な時は、善玉菌として有名なビフィズス菌や乳酸菌、納豆菌もそうですが、緑黄野菜や、食物繊維等の摂取も充分ならば、当然腸管内の悪玉菌を抑え、日和見菌も協力的ですから、食物は、スムーズに移動し、いわゆる快食、快便、トイレも汚さないし、ガスが出ても極端な臭いにはならないはず…! 順調と言うことですね。ところが、お年寄りになるとそうはいかない。便秘や軟便、便失禁等で、人知れず悩んで居られる方が、意外と多いと聞きます。若い人でも、慢性的に腸の弱い方など、いずれもこのバランスが、くずれている訳ですから、まずは、善玉菌の占有率を高めてやることが肝要です」
◆善玉菌に感謝を
 「そこで、その餌になる、食物繊維(ごぼうやかぼちゃ、きのこ等)を中心に、食生活を改善することが大事、と偉い先生方は、皆そう言っていますが、これを続けることが結構大変と言うか、面倒くさいんですよね~。つまり、お腹の中に善玉菌の餌を入れてやって、自分のことなのだから、自分で菌の飼育をしろと…早く言えばそういうことなのですが…。なんでこの年になって、善玉菌の世話をしなけりゃいけないなんて言いたくなりませんか? それどころか、今迄長い間、健康でやって来れたのは、すべて可愛い善玉菌が、あなた方のお腹の中に居て、頼まれもしないのに、あなたが元気で活動出来るような環境を、作っていたのですよ!『ちっとも知らなかった』とは言わせませんよ! まあいいでしょう。これからは、善玉菌に感謝しながら、腸内フローラ(腸内に生息している細菌の生態系)の改善にも、気を使ってやって下さい」
◆もっけの幸い
 「ここで善玉菌そのものである乾燥こうじについて、お話いたしましょう。生の出麹は水分40%以上ですが、低温乾燥により、ゆっくりと8%以下に乾燥し、防湿性の袋で完全に包装します。したがって微生物ながら、復活可能な休眠状態で、長期保存が出来る訳ですが、これが、腸内フローラには、『もっけの幸い』なんです。何故って!? カリカリの乾燥こうじですから、溶けてやわらかくなるまでには、当然時間がかかります(最短でも1~2時間)。この間に、胃袋を通り越して、十二指腸から小腸へ、小腸の粘液と体温でやわらかくなりながら、善玉菌として目覚めて活性化した頃は、待っていましたと居場所は、小腸から大腸フローラです。孤立無援で弱り切っていた、既存の善玉菌に強力な助っ人が来た様なもの。4~5gと言っても、何百万単位の善玉菌があなたにとって凄い味方になるのですよ!」
◆麹は医食同源食品
 「御存知のように、健康な人の体温は36℃から37℃以下ですね。『みやここうじ』の一番好きな温度帯も、実は35℃位から40℃以下です。こうじ室(ムロ)と体内フローラの温度が、殆ど同じだったなんて、驚きです。太古の昔から、漢方で神麹と名付けられた意味が解るような気がしますね。こうじは健康食品だと言う方もいらっしゃいますが、あえて述べさせていただくなら、医食同源食品とでも申し上げましょうか。腸の活力が弱ったお年寄りなどにとっては、副作用のない安心・安全・安価な食品として、今後とも心して製造して参ります。ありがとうございました」
【2015(平成27)年10月12日第4820号5面】
 
株式会社伊勢惣 http://www.isesou.co.jp/

 
 
この人に聞く マルカ食品株式会社 製造部部長 弾正原 俊輔氏
地元産にこだわる
 来年は三豊ナスへ注力
 〝さんばい漬〟など各種かぶら漬で知られるマルカ食品株式会社(弾正原俊郎社長、坂出市林田町)は三豊ナスや希少糖など香川特産の食材を使用した商品開発でも注目を集める。製造部の弾正原俊輔部長に同社の商品展開や今後の展望、香川の食文化について聞いた。(高杉直起)
◇    ◇
 ――商品の展開について
 各種の切り千枚漬は年間供給していることもあり、まずまずの出荷となっています。最近はナスと白菜の浅漬に伸びが見られます。そして何より売るタイミングの見極めが大切です。かぶら漬の夏の需要も伸びています。巾着タイプとともに、カップタイプは開けてそのまま食べられ、冷蔵庫に入れられるとご好評頂いております。また、商品を絞り、品質強化と効率化にも取り組んでいます。
 ――消費動向について
 適正価格の見極めが重要です。お客様の反応を見ていると「良いものは良い」ということを実感しています。多少高くとも、品質の良いものは信頼があります。消費者の方々の産地への意識も高まっています。弊社としては地方のものを消費地に持っていくことに徹しなければならないと考えております。そのためにも香川や四国産のものにこだわっていきます。また、産地イメージを高めるため、デザインのリニューアルも推進しています。視覚的な要素も重要ですから。
 ――商品の開発について
 だいだい酢や瀬戸内産レモン、すだちの果汁入りなどのフレーバー系のものが人気で、今後も新たな商品開発へと繋げて行きます。希少糖については多少落ち着きましたが、県も力を入れておりますので、これからも期待しております。また、香川特産の三豊ナスについてはふわふわでアクが少なくて味に癖がなく、ナスが嫌いな人でも食べられるとご好評頂いております。三豊ナスに限らず、原料野菜が美味しいものは素材を生かした味付けを心掛けています。また、これからは原料確保が大事になってきます。今年のかぶら漬の原料見通しについては現状では良好ですので、拡販していきたいと考えています。
 ――香川の食文化について
 郷土料理の押し寿司の寿司飯が甘めのように、味としてはどちらかといえば濃い、甘味志向のある食文化であると思います。そのため香川の食や味付けは関東圏の方の味覚にも合うと思いますし、弊社としても強みにして、更に関東市場を意識していきたいです。オリーブ関連製品も瀬戸内全体として伸びをみせていますが、オリーブハマチやオリーブ牛などブランド品の開発も進んでいます。これらの他、フルーツやスイーツにも伸びを感じています。そういった面をもっと研究して製品に反映させていくことも大切です。
 ――今後の展開は
 製造サイドの目線を大事にしたポリシーのある商品を作っていかねばなりません。どういう人に買ってほしいかということを明確にして、商品化を進めていきます。来年は三豊ナスに力を入れようと考えています。高品質で売れる商品を作るべく、開発を進めていきます。
【2015(平成27)年10月5日第4819号8面】
 
マルカ食品株式会社  http://www.maruka-foods.co.jp/
 
 
 

インタビュー 2015(平成27)年9月

インタビュー 2015(平成27)年9月
 
この人に聞く 九州ゆず愛ランド 事務局長 太田 信彦氏
団体通じて連携強化
柚子の作柄 豊作傾向だが在庫薄
 九州ゆず愛ランドの発足時から同会の運営に尽力し、現在も事務局長を務める太田信彦氏(有限会社旬・常務取締役)に、今年の柚子原料の動向、今後の情勢などについて伺った。(聞き手=菰田隆行)
◇   ◇
 ――今年の柚子は豊作傾向だと聞きました。
 「はい、おっしゃる通りです。昨年は大変な不作でしたが今年はオモテ年にもあたり、現在のところ昨年より作柄は良いようです。
 ただし、繰り越し在庫が薄いのが気がかりです。先ほど述べたように昨年は不作でしたが、一昨年は多かったのでその分の在庫がありました。それがどの程度の量があったのか正確な数字は不明ですが、かなりあったことは事実ですので、今年豊作になっても逆に昨年の総量に比べるとどうなるか…。不透明な部分はあります。
 これは九州だけでなく、大産地である高知、徳島など四国も含めて、同じような状況だと思います」
 ――柚子の需要動向はどうでしょうか。
 「柚子は果汁も皮もすべて、需要がたいへん強くなっていますね。お菓子類、総菜類、漬物類など増えています。大手販売先に納めている、ある漬物メーカーの取扱い量など、大変な数字に上っています。また、国内需要だけではありません。高知は果汁を欧州にまで出荷しており、収穫量は九州全体の数倍に当たりますが、それでも足りない状況です。海外も含めれば、供給よりも需要の方が圧倒的に強いと言えると思います」
 ――増産の見込みはあるのでしょうか。
 「たいへん難しいですね。通常ですと、柚子は種を植えてから実が成るまで18年前後かかります。しかし、今はほとんどが接ぎ木をしますので4~5年で実が成ります。それでも、農家の高齢化や担い手不足などの問題もあり、なかなか増えないのが現状であると思います」
 ――単体の企業や農家ではできない、横の連携が「九州ゆず愛ランド」にはあります。
 「そうですね。現在は、食品だけでなく、皮から取れるオイル成分を化粧品に利用している企業もあります。その取引が始まったのも、製油会社の方を〝ゆず愛ランド〟の講師に招いたことがきっかけでした。これは、普通なら産業廃棄物になる部分も使えるので、環境的にも良い傾向だと思います。
 ただ、用途が広がるのはおおいに歓迎すべきことですが、先ほども申し上げたように需給のバランスをどう取っていくかが、大きな課題です。豊作・不作は年ごとに変わります。これが、豊作で過剰在庫になったりすると、価格が一人歩きし始めることがあります。一昨年から昨年への繰り越し在庫のように、慌てる必要はないのです。ひとつだけハッキリと言えるのは、安売りはするべきではない、ということ。それが柚子の業界全体、ひいては取り扱っている加工業者全体の安定と利益につながると思います」
 ――貴重なお話をありがとうございました。
【2015(平成27)年9月28日第4818号7面】
 
 
 
新理事長に聞く 福島県漬物協同組合 理事長 菊池 利幸氏
ようやく入口に立つ
地域特産品委がきっかけに
 福島県漬物協同組合は5月の総会で、菊池利幸氏(菊甲食品株式会社代表取締役社長)が新理事長に就任した。2011年の東日本大震災から4年半が経過し、新たな局面を迎えている福島の現状、組合の事業展開などを聞いた。
 ――5月に就任されて4カ月、経った
 「昨年のこの時期は全日本漬物協同組合連合会(=全漬連)の地域特産品委員会を福島で開催したり、行事が多かったが、今年度はあまりない。その代わりに、組合員でもう一回、原点に返って話し合っていきたい、と考えてきた。16日に理事会で集まった。その席でいろいろな話が出て、時間が足りないくらいだった」
 ――現状の課題は
 「原発の問題は収束していない。東日本大震災から4年半が経ち、環境も変わってきたのは事実。原料の課題、販売の課題に関してはかぶさってくる。福島県内ではここまで改善できました、と報道されるのに、全国的な報道になると、(原発の施設が)雨漏りしたとか、になる。悪いことだけを見聞きするから、それからクローズアップされてしまう。原料も水質も検査しているのに」
 ――風評被害は
 「風評被害がどこまで広がって影響しているのか、はわからない。補償の問題では東京電力では福島県で採れた野菜を加工していることにウエートを置いているが、我々は福島県で加工・製造していることを問題にしている。東京電力の方に、組合に来ていただき、今後の説明をしていただくことも決まった。新しい表示法でもPB製造など課題は多い」
 ――原料の確保も問題になっている
 「今年ほど不安と苦労が重なっている年はない。低温、日照不足のため、きゅうりは現状で例年の20~30%減と言われている。他の産地に行くのも難しい。関東の遅いものがかぶってくるかと期待したが、関東も大雨で被害が出た。上の値段の変動の割合に比べ、下の値段が大幅に上がった。我々、加工メーカーには原料として回ってこなかった」
 ――組合事業は
 「グルソーを中心にした共同購入をしている。また、昨年の地域特産品委員会で講演していただいた小泉武夫先生(東京農大名誉教授、全漬連顧問)が福島出身ということもあり、今後もいろいろと教わりながら、組合が活性化していけるような取り組みをしていきたい。福島には公設試験研究機関のハイテクプラザもあるので、小泉先生のご指導をいただきそれを元にして植物性乳酸菌をうまく使って、漬物を作れないか、という話も出ている。組合員全員でうまく活用できれば、と考えている」
 ――即売会は
 「これまでも何回かは実施したが、あらためて、組合のPR事業としてやっていきたい。組合運営の費用の捻出と各社のPRのために、組合のブースとして各社の商品を集めて売れれば、と思う。一気にはできないが、将来的には山形や栃木のように、福島県の漬物祭りみたいにできれば、という流れにしたい。福島の特色は出していきたい」
 ――他県や他業界の組合との交流は
 「地域特産品委員会が今後の方向性を考えるきっかけになった。研修事業として交流していきたい。青年部も後継者不足で、活動も苦しくなっている。後継者のつながりの場ではあったが、それだけでは将来性がない。即売会で各社ひとりずつ、協力してもらえれば、青年部とはまた違った交流の場になる。組合のホームページも眠っているのでもっと、利用していきたい」
 ――最後に
 「東日本震災後、我々はようやく入口に立ったところ。組合員全員で絆をさらに深めて、様々なことに積極的に取り組んでいきたい」
【2015(平成27)年9月28日第4818号8面】
 
福島県漬物協同組合 http://www.tsukemono-japan.org/fukushima/kumiai/
 
 
 
この人に聞く 株式会社宝来屋本店 常務取締役 柳沼 真行氏
日本酒と同等の原料を使用
海外販路開拓も視野に
 明治39年創業の株式会社宝来屋本店(柳沼正人社長、福島県郡山市田村町)は、伝統のこうじ製法を100年以上に渡って受け継ぎ、素材を生かした米こうじの甘酒を製造、販売。通年商材として定着した甘酒製品を供給する同社の柳沼真行常務取締役にこだわりや今後の目標などについて話を聞いた。(千葉友寛)
◇     ◇
 ――今夏の甘酒の売れ行きはいかがでしたか。
 「今年の夏の前半は暑い日が続いたこともあり、熱中症対策の栄養補給のアイテムとして関心が高まりました。想定を上回る数が出て、工場作業は午前4時30分から5時にスタートし、土曜、日曜日もフル稼働となりました。おかげさまで夏の売り場にも定着し、『ストレート甘酒350mlPET』の昨年9月から今年8月までの製造本数は前年の106%となっています。出荷数は毎年のように過去最高を更新し続けています」
 ――甘酒が売れるきっかけや要因は。
 「きっかけは2011年の塩糀ブームです。塩糀の動きはやや下火となってしまっておりますが、甘酒は塩糀と同じ米麹から作る発酵食品なので体に良いということが広く浸透しました。そして、毎年のように夏の時期にテレビで小泉武夫先生をはじめとする研究者の方が登場してビタミン、アミノ酸、ブドウ糖、ミネラルが豊富に含まれ、夏バテ防止に効果がある、と機能性等について解説してくれます。そして、江戸時代は秋冬ではなく夏の栄養補給ドリンクとして飲まれていた、ということで夏の需要増につながっていきました」
 ――数ある商品の中でも御社の甘酒は高付加価値商品として認知されています。
 「甘酒の品質は年々、上がっています。弊社では『冷やしあま酒ストレート・ボトル入』が世界基準の品質が評価されるモンドセレクション2015の金賞を2012年に続いて受賞しました。モンドセレクションは1回受賞するのが難しいのではなく、品質を落とさずに維持、向上させることが評価の対象となるため、簡単な審査ではありません。今後もそういった評価を多方面からいただけるように努力を続けたいと思います」
 ――御社のこだわりは。
 「一言で言えばいいものを作りたい、ということです。美味しいと言っていただける商品を作るには、原料においても製造工程においても妥協することはできません。発酵食品はごまかしたらごまかした分の味にしかなりません。弊社が甘酒に使用している米は75%精米したものしか使っていません。25%を削っているので歩留まりは悪くなりますが、それだけ高品質のものができます。日本酒に使用される米は55~75%精米したものなので、日本酒と同等の原料を使用していることになります。日本酒は精米が数%違うだけで味が大きく変わると言われています。歩留まりは悪いし、作るのも面倒なのですが、いいものをつくるためには必要な部分です。希望小売価格は350mlで370円ですから決して安いものではありません。しかし、常温保存で賞味期限8カ月のペットボトルタイプの商品は他にはないと思います。そういった価値をお客様に認めていただき、購入していただいております。我々、中小企業は高くても支持される商品を作っていかなければ生き残っていくことが難しいと思います」
 ――今後の目標や抱負を。
 「日本のマーケットも重要ですが、今後は海外にも目を向けていきたいと思っていて、アメリカを中心に海外進出を考えています。そこで導入を検討しているが『COSHER(コーシャ)』認定です。コーシャ認定とは、ユダヤ教の資格を持ったラバイ(ユダヤ教の指導者)が製造工程をその目で確かめてユダヤ教の教義に従った安全な食品であるという認定を行い、認定書を発行、その認定を受けることによりその食品の包装紙にコーシャ認定のマークやロゴを表示できる制度です。アメリカではコーシャ認定を受けた食品が最も安全な食品で、人間が食べても何も心配することがないものであるという最高権威の認証制度です。弊社の甘酒はノンアルコールなので、妊婦の方やお子様でもお召し上がりいただけます。和食がユネスコの無形文化遺産に登録され、日本酒を筆頭とする発酵食品も注目されています。新しい和食の文化として甘酒を世界の人に知っていただきたいと思っています」
【2015(平成27)年9月28日第4818号9面】
 
株式会社宝来屋本店 http://www.e-horaiya.com/
 
 
 
新会長に聞く 一般社団法人日本食品添加物協会 会長 國本 裕氏
情報共有の時代意識
食添GMPをグローバル化
 一般社団法人日本食品添加物協会(日添協)は2015(平成27)年5月26日の定時総会で、佐々木晨二前会長に代わり、國本裕氏(味の素株式会社・常任顧問)を新会長に選出した。國本新会長が共同インタビューに応じ、添加物業界の今後などについて語った。
 ――これまでの経歴における食品添加物との関わり、職務の中で食品添加物についてどのように感じていたか
 「味の素株式会社では主に、アミノ酸の生産、R&Dを担当した。また、タイに2回、ブラジル1回、合わせて14年とかなりの期間を海外赴任で過ごした。海外法人では調味料や加工食品も担当した。アミノ酸は食品添加物だけではなく、医薬品である輸液にも使用されるので、国内外の医薬GMPなど品質関連業務の経験をしてきた。うま味調味料、アミノ酸、甘味料の海外規制にも関わってきた。タイなどでうま味調味料の安全性について疑問視する動きが多数あったが、〝おいしさ〟の訴求、そして〝肥満解消にうま味の活用有効〟であることなどの認知活動を精力的に行った。今では、タイ人の90%が〝うま味〟という言葉を知っている。現在、食品添加物全般について勉強させて頂いている最中です」
 ――無添加表示が横行する中、安全性を生活者に理解普及していく等、食品添加物の社会的な地位をさらに高めていくための新たな取り組みに関わる考えはあるか。無添加表示について、会員企業への徹底も必要ではないか
 「様々なステークホルダーとのコミュニケーションを深める活動を継続して行っていく。①啓発パンフレット配布や講演会等による有用性と安全性についてのコミュニケーションを引き続き行っていく。パンフレット配布数は徐々に増えている。講演会の要請も増加している、②有識者、学識者のネットワークを拡げていき、異なる考えの有識者間におけるコミュニケーションを働きかけていく、③誤認につながる無添加・不使用商法に対しては、規制を行政に要望していく、④食育(食品加工の実際や食品のリスクについての正しい知識の教育)の動きには積極的に協力していく。会員企業に対しても無添加表示の弊害について話し合う場を作っていきたい。ただし〝使用していない〟という意味での不使用表示を完全に払拭するには困難を伴うと思う」
 ――円安が続き、食品、食品添加物の輸出が活発化してきた。食品添加物のグローバルな展開を進める上での業界として、また、協会としての取り組みの状況と、今後の展開については
 「①海外の法規制状況を的確に把握し、輸出品を扱う会員企業の法適合を促す、②添加物規制の国際協調を進める行政の動きを行政への情報提供などの形で支援する、③CODEXへの参画を引き続いて行い、業界の要望を反映させていく。輸出や企業進出が活発化している東アジア、アセアンは重要な地域であると考えられる。TPPが進められているが、各地域、国ごとに食の歴史が異なるので、すべてを共通にすることはできないのではないか、と思っている」
 ――食品添加物新規指定については以前と比べるとかなり迅速な行政対応が見られるようになってきた。協会としてはどういったサポートを考えているか
 「無添加の新規指定が迅速、的確に行われることは業界としても歓迎する。行政に対する業界情報の提供については従来と同様に継続していく。企業に対するアドバイス等を行う新規指定等相談センターに対して、必要に応じてサポートを行っていきたい」
 ――任意である「食添GMP」の社会的格付けを向上するために、何が必要と考えるか
 「『食添GMP』は食品衛生法等の規制を遵守するために有効な制度と考えているので、引き続き会員企業に取り入れてもらう努力を行いたい。行政による、企業でのHACCP手法導入義務化が進められているので、この機に『食添GMP+HACCP』の流れを作りたい。GMP、HACCP、フードディフェンス、ISOなどのシステムには共通する部分が多いので、今後もグローバルに通用するよう制度の改善を図りたい。従来から行政のバックアップをお願いしている。今後とも行政へのアピールを続けていく」
 ――食品表示が今年から新しくなったが、添加物企業はこの新たな表示にどのように対応し、業界の発展と消費者の豊かな食生活につなげていくべきと考えるか
 「まず、今回の食品表示基準に対しての適合を確実にする。コンプライアンス遵守が消費者からの信頼獲得のベースとなる。本年度は全国各地で新基準の周知を図った。今後、書籍改訂をスピーディーに行いたい。一方で、今後、現在の食品添加物表示制度の見直しの検討が行われる予定である。合理性に欠いた改正にならないよう、消費者の生活の向上という視点で参画するつもりである」
 ――食添協の会長に就任して3カ月を経て、感じること、また、今後の抱負などは
 「①消費者の意識が変化し、情報開示や情報提供の時代から〝情報共有〟の時代になっていることを意識していきたい、②協会が従来、行ってきた、有用性や安全性についての地道な啓発活動を継続していく、③協会活動の国際化を推進し、会員の期待に応えていきたい、④会員と協力して消費者、社会、地域に、従来にも増して貢献できる協会にしていきたい」
【2015(平成27)年9月28日第4818号10面】
 
一般社団法人日本食品添加物協会 http://www.jafaa.or.jp/
 
 
 
トップに聞く 株式会社みやまえ 代表取締役社長 宮前 有一郎氏
契約栽培の真価を発揮
“ガリ酎ハイ”人気で明るい声も
 ――原料相場が新局面入りの年になりましたが…。
 宮前社長(以下、敬称略で宮前)おおよそ予想通りに下がりましたね。タイで(対象=高塩ガリミックス、以下同じ)72~74ドル、中国・福建省で70~72ドルだが、関税を見ると福建省が高い状態だ。タイの品質は、干ばつの影響で良く見極める必要がある。福建省は、非常に良い品質だ。山東省は、相場がかなり不安定だ。一部、凄く安いものが出回っているが、それは、ハウスもので本来、上海や南の方が生鮮生姜で使うものだ。見た目は白くてきれいなものだが、辛い。凄く繊維も強いものだ。フレッシュ生姜になって行くものと同じもの。南方面の生姜が豊作のため山東省まで買いに入らなかったことから、塩蔵にできるある程度の量が売れ残った。プラス当時、ネギが非常に高騰していて、ハウス生姜の農家が只でも良いから生姜を放り出して、ネギを植えるために、投げ売り状態になり、相場が下がった。色々なメーカーさんから安いよ、安いよ!とオファーを貰っていて、サンプルを見ましたが、当社が買えるようなクオリティーではありませんでした。辛みが強く、お客様からクレームが来る位のものでした。その後、露地が出てきて相場が形成されるのかな、と思いましたが、ハウス生姜に引っ張られて、比較的安くなっているとの話です。山東省は既に、2回ほど現地に入っておりますが、もう1回、行って見極めが必要と思っております。値段がバラバラですので、クオリティーの伴ったものを十分に吟味する必要があると思います。単に安いものを買い付けても意味は、有りませんから。慎重に対応したいと思っております。
 ――ヒネものの国内在庫の状況はどのように見ていますか。
 宮前 (前年の相場もあり)在庫は少ない。年内一杯だろう。
 ――自然相手の農産物だけに相場の乱高下は避けられませんが…。
 宮前 このような年こそ契約栽培での信頼関係構築の絶好の年としなければならない。上振れ幅が大きい程、契約の場合、生産者は市場価格より安く買われたとの思いが残る。逆に下振れの時は、高く買ってもらったと喜びが増す。今年がその下振れとなっただけに、契約栽培の真価が発揮される年と言える。
 ――生産者にとって、相場より高く買ってくれるのかといった疑心暗鬼が無くなり、真の信頼関係が構築できるという事か。
 宮前 そうだ。生姜業界に入って7~8年目だが、この間に相場は、3回高騰した。その度に何が起こったかというと、当社が得意とするガリ市場の縮小に繋がっている。原料高騰→値上げ要請→市場の減という構図だ。この悪循環を断ち切り、根本から解決する策が契約による栽培だ。相場高騰のリスクを無くし、長期安定価格で高品質な製品を提供して行くためには必要だ。同時に市場のシュリンクも防ぐことが出来る。
 ――一般的にいわれる契約栽培のリスクへの対応は。
 宮前 農家のモチベーションに応える方法は色々ある。シームレスに生産者の手取りをフラットにすることができれば双方にメリットがある。特にユーザー業界の理解が必要だ。弊社の取り組みや考え方、そして実践を見て頂ければ、納得頂ける。顔の見える生産者の原料は、トレース面でも万全を期することができる。
 ――手法の一部をお願いします。
 宮前 例えば、10月位に畑を選定し、地代、種代、肥培管理費を決定し、ユーザーと共に産地に入り契約する形態が大まかな形だ。ユーザーへのセールスの一環としても有効と見ている。
 ――原料問題以外での動向は。
 宮前 甘味料のステビアが高いなど、副原料の高騰もあり、前の価格は変更できない。それよりも繰り返しになるが長期安定価格の維持に努め、同時にクオリティーを少しでも高めるために引き続いて投資をして行きたい。それと、居酒屋などで〝ガリ酎ハイ〟の人気がうなぎ上りだ。新しいアルコール飲料の分野に成長する可能性が出て来た。営業サイドの声も明るい。
【2015(平成27)年9月28日第4818号11面】
 
株式会社みやまえ http://www.miyamae-ginger.jp/
 
 
 
理事長に聞く 茨城県漬物工業協同組合 理事長 田中 秀氏
北海道研修旅行を実施
食品表示の勉強会も

 2015(平成27)年5月の総会で茨城県漬物工業協同組合の新理事長に就任した田中秀氏(株式会社新六本店社長)にインタビュー。茨城県の現状や今後の方向性などについて聞いた。(藤井大碁)
◇    ◇
 ――理事長に就任されて約4ヶ月が経過しました
 組合事業として原料の共同購入や外国人研修生の受け入れを実施していますが、他県の組合と同様に、組合員の減少が大きな問題となっています。そういった状況の中、組合員一人一人の力の結集が大きなテーマになっており、勉強会と親睦会をかねて8月25日~27日の日程で北海道研修旅行を実施しました。二泊三日の短期研修でしたが、食品表示法についての勉強会を開催するなど、今年の総会で行った食品表示法の講演会の内容をもう一度復習する良い機会になったと考えています。10社14名の組合員の皆様にご参加いただき、親睦を深めると共に情報交換も行い、大変有意義な研修旅行になったと思います。
 ――茨城の魅力を発信するために
 茨城県はご存知の通り豊富な農産物に恵まれた県です。その農産物をいかに加工して販売していくか、それが茨城県の長年のテーマになっています。近年は県も県産品のPRに力を入れ、メーカーの加工技術も上がり新商品の開発も活発化しています。首都圏から近距離の優位性も生かして、茨城の漬物の魅力を今後さらに発信できるよう努めていきたいと考えています。
 ――カンボジア研修生受入れ事業について
 今年は10月18日~21日までの日程で日本漬物輸入事業協同組合様と共に組合員5名がプノンペンを訪れ、19日に面接を実施する予定になっています。昨年は8名を研修生として受け入れ、語学研修や農業の技術指導を組合の3社で行っています。深刻な人手不足や生産者の高齢化などもあり、今後ますます重要性が増す取り組みになっていくと思います。
 ――他の取組みは
 漬物製造管理士技能評価試験の資格取得者を茨城県として一人でも多く輩出できるよう働きかけていきたいと考えております。資格取得者を増やすことで、県全体で品質や衛生レベルの底上げにつなげていきたいです。
 ――漬物の今後について
 自社の取り組みとなりますが、ワインショップ内にオープンしたワインバーで奈良漬とクリームチーズのクラッカーを提供しています。奈良漬とクリームチーズの組み合わせを初めて試される方がほとんどですが、美味しくてワインやスパークリングワインとの相性も良いと非常に評判になっています。若い方や女性のお客様にも楽しんで頂いており、漬物の新たな楽しみ方として少しずつ認知が進んでいけばと思っています。新たな価値を伝えていくことは簡単なことではありませんが、地道に取り組んでいきたいと考えています。
【2015(平成27)年9月14日第4817号4面】
 
茨城県漬物工業協同組合 http://www.ibaraki-tsukemono.jp/
 
 
 
キーマン登場 前田食品工業有限会社 取締役統括本部長 前田 龍哉氏
高菜栽培、見直し必要
青年部で長野研修旅行へ
 高菜漬専門の前田食品工業有限会社(前田節明社長、佐賀県有田町)は、幻の高菜と呼ばれた「相知(おうち)高菜」の復活と、同品の〝本場の本物〟登録などに尽力。社長子息で取締役統括本部長の前田龍哉氏は、産地の育成指導などに手腕を発揮している。また、龍哉氏は佐賀県漬物工業協同組合青年部の部長としても、業界のとりまとめ役を務める。龍哉氏に高菜漬業界の現状と課題や、青年部の活動などについて話を聞いた。(聞き手=菰田隆行)
◇    ◇
 ――業界の現況は。
 「人手不足が一番の悩みですね。年々、従業員さんも年齢が高くなっていきますので、補充しておかないといけないのですが、今は募集しても面接にすらほとんど応募がない状態です。生産者も高齢化していますし、地方はどんどん人口が減っています。原料生産農家は減る、製造の従業員はいない―では、物が作れなくなってしまいます」
 ――今年は、高菜原料も不作気味でした。
 「そうです。だいたい7年ぐらい前がピークでしょうかね。それ以後はずっと不作傾向が続いています。それを境にして、生産農家も減ってきています。生産者を増やす手立てが必要ですが、なかなか難しいものがあります」
 「栽培指導も根本から見直す必要があるでしょう。地球温暖化で年々、春が早くなってきています。一気に暖かくなってしまうので、まだ高菜が太りきらないうちにトウ立ちしてしまい、収量が悪くなっているのです。4月に入っては、もうトウ立ちのスピードが加速してしまうので、3月20日ごろから3月末頃までに収穫のピークをもってくるような栽培指導が必要でしょう。ただ、それだけ漬込み期間が短くなり、ここでも人手確保の問題が立ちはだかります。また、時間をかけて漬け込んでいけばタンクにも余裕が出てきますが、一気に漬けるとそれも厳しくなる。簡単にはいかないですね」
 ――品種改良も視野に?
 「3月前半に短期間で太らせて、またトウ立ちを遅らせるような改良ができれば、収穫期間が長くなり、だいぶ楽になりますよね。ただ、品種改良などは一朝一夕に、いち企業ができる作業ではありませんから、難しい部分はあります。このままで行けば、産地をもっと北に移す必要が出てくるかもしれません。しかし、高菜は『九州特産』ですから、よそには持っていきたくないですね。もっと山手の気温が低いところとか、選定できれば良いのですが…」
 ――漬物組合青年部の活動について。
 「来月の初め、10月3日~4日の予定で、何年かぶりに長野県への研修旅行を計画しました。長野県は白菜・キャベツの一大産地で、もちろん野沢菜もあります。ちょうど、佐賀県中小企業団体中央会の補助金が受けられることになったので、いちど見に行こうと話がまとまりました。ほ場や選果場を見学して、有名な〝おやき〟も食べて、日本有数の野菜産地を体感してきたいと思います。いま6名ほどの参加が確定していますが、本当に久しぶりの旅行ですから、おおいに親睦も深めたいと思います」
【2015(平成27)年9月14日第4817号7面】
 
佐賀県漬物工業協同組合 http://www.maeda-shokuhin.jp/tsukemono-saga/
前田食品工業有限会社 http://www.maeda-shokuhin.jp/
 
 
 
この人に聞く 一般社団法人日本回転寿司協会 理事 田尻 力氏
漬物はネタから〝つまみ〟へ
ギバサなど地域食にチャンス

 一般社団法人日本回転寿司協会理事の田尻力氏に回転寿司の動向や寿司ネタのトレンドなどについて聞いた。
(藤井大碁)
 ――この一年間のトレンド
 グルメ回転寿司の売上は前年比横ばいです。この一年の変化としては、メニューの幅が広がりました。グルメ回転寿司では、お酒に合うおつまみを充実させる店舗が増えてきました。以前は、酒類はビールのみ提供する店舗が多かったのですが、これまでのように客数の伸びが期待できないため、客単価を上げるためにも日本酒や焼酎を楽しんでもらい、それに合うつまみを提供するようになってきています。一方で、100円回転寿司は、カレーやラーメンなどに力を入れ始めています。ここにきて、メニューの幅の広がり方に明確な差が出てきました。
 ――インバウンド需要は
 福岡にある商業施設の店舗では、客の8~9割が台湾・中国・韓国人というところもあります。全国的に外国人客の割合は増加しており、東京や大阪の他、外国人観光客に人気のある観光地の近くでは、その傾向が顕著です。平均客単価は日本人客よりも高く、最も好まれるネタはサーモンです。
 ――寿司ネタに変化はありますか
 一通りのネタは出尽くした感があり、新たなネタのヒットは少ないです。しかし、各エリアには、まだ他の地域で食べられていないモノもあり、そういったものの中で本当に美味しいものに関しては、今後、他のエリアに広がっていく可能性があるのではないでしょうか。例えば先日の秋田研修の際に見つけた〝ギバサ〟などは、健康性も高く軍艦などで提供したら面白いと思います。
 ――ガリについて
 ガリは値上がりする中で、品質をワンランク下げるなど、品質と価格のバランスの見極めが求められています。以前は、有料ガリを提供している店もありましたが、なかなか根付かず最近は見られなくなってきています。
 ――回転寿司における漬物
 寿司ネタとして提供するより、酒のつまみとして美味しい漬物を提供するというトレンドに変わってきています。地域性やシーズン性がある漬物は今後もチャンスがあるのではないでしょうか。
【2015(平成27)年9月7日第4816号7面】
 
一般社団法人日本回転寿司協会 http://www.kaiten-sushi.or.jp/
 
 
 
この人に聞く 株式会社楠清 代表取締役社長 楠原 幹生氏
広島菜、古漬に可能性
新しい切り口「野菜を焼く」
 株式会社楠清(楠原幹生社長、広島市西区)は広島菜漬をはじめとした漬物、広島産のかきを使った商品と多彩な商品を製造。地域性の強い商品とともに、アイデア溢れる商品開発に定評がある。同社の楠原社長に今後の商品展開や広島菜漬の動きについて伺った。(高杉直起)
◇     ◇
 ――御社の業務展開について
 「漬物をはじめとした商品を製造し、全国の生協や高質スーパー、地元の土産物屋やサービスエリアに商品を提供するとともに、県内に直営店を5店舗展開しています。広島菜漬の業務用での引き合いも多く、県内で駅弁などとコラボをしています。また、グループ会社として土産物の問屋や菓子製造販売も営んでいます」
 ――新商品「昆布仕込み本漬白菜」を発売されましたが
 「昨年のT‐1GPで準グランプリを頂いた『ひろしま菜昆布漬』をきっかけに開発しました。こだわりは古漬を使用したことです。ねばねば系の商品は人気がありますが、その多くは浅漬を使用しています。その中で、古漬で、やるなら葉物が良いとのことで白菜に決めました。反響は、まだ流通して一カ月ですが、食べたら納得の美味しさと好評です。また、古漬を使用したことで賞味期限も長くなり、扱いやすい商材となりました。山のものや海のものに関わらず、和の食材ならば基本的に漬物と相性が良いというスタンスで商品開発をしています」
 ――今後の商品展開について
 「今、注目しているのは『焼く』という加工法です。今年のT‐1GPにも焼き野菜の浅漬を出品しました。野菜をあぶることで素材そのままの味を封じ込めることができ、様々な野菜をミックス漬にしてもそれぞれの味が生きていると審査員の方々からも評価を頂きました。今回は焼く際に焦がし醤油を使用し、もろみの香りを付け、風味を増しました。殺菌効果も上がり、日持ちもしますし、新しい切り口になるのではと考えています。手間がかかりますが、『焼く』や『干す』など製造方法をもっと掘り下げていけば、漬物の可能性もまだまだ広がっていくと感じています」
 ――広島菜の動きについて
 「ここ数年は売上げも落ち込み傾向にありますが、回復すると読んでいます。実際に今年は現時点で去年の総量分が売れています。古漬の姿ものが伸びており、浅漬だけでなく、古漬に大いに可能性を感じています。地元はもちろん東日本でも消費量が増えており、自社の広島菜漬は青臭くなく、嫌味のない酸味とご好評頂いております。今年はカキが不作傾向にあるので、広島菜に注力しようと考えています」
【2015(平成27)年9月7日第4816号3面】
 
株式会社楠清 http://kusukiyo.co.jp/
 
 
 

インタビュー 2015(平成27)年8月

インタビュー 2015(平成27)年8月
 
日本アクセス和日配担当に聞く
(右から)藪上氏、沢村部長代行、西山氏
ダントツのチルド
ニーズが付加価値に
 株式会社日本アクセス(田中茂治社長、東京都品川区)は大手食品卸として知られるだけでなく「卸」に軸足を置きながら単なる「物販企業」から、「サービス企業」として新たな変革を目指している。和・洋日配に強さを見せる同社のチルド食品MD部長代行兼和日配課長兼催事課長の沢村良二氏、チルド食品MD部和日配課の藪上憲一氏、西山しおり氏に話を聞いた。
◇    ◇
 ――和日配の担当は何人
 沢村良二氏(以下沢村)「本社はこの3人で担当している。各支店で、エリアごとに新しい商品や、中小メーカー様を探したりする。日配はエリアの特性が強い。物流の問題、賞味期限の問題も含めて、地場だけで作られている商品も多い。取扱いアイテム数は万の単位になる」
 ――食品卸各社の中でも和日配に力を入れている印象が強い
 沢村「他社に比べ、和日配を取扱い始めたのが早かった、という歴史がある。和日配で言えばほとんどの量販店様とお取引をさせて頂いている。洋日配も含めたチルドに関しては、そのカテゴリーでは競合他社に優位性を持っている、という位置づけでやっている。和日配は洋日配に比べ、漬物をはじめ、カテゴリーが細かく、品数が多い。それをいかに扱えるか、お客様に案内できるか、運べるか。田中社長は『ダントツのチルド』と言っている。当社は乾物にも力を入れているように伝統食品は守っていかなければいけない、と考えている」
 ――漬物の取扱い額は
 藪上憲一氏(以下藪上)「昨年比で漬物は102・6%。市場全体の推移と比べれば健闘している。昨年実績で浅漬が137%と伸びた。浅漬が惣菜扱いで、納品されていることもある。当社では輸入キムチの取扱いが大きくなかったこともあり、キムチは100・6%。梅干は102%。古漬は中国産、東南アジアの原料高騰の影響もあり、苦戦している」
 ――物流システムについて
 沢村「そこは一番の課題。メーカー様も含め、物流費も上がっている。そのために、当社の東西幹線便や、物流網を使ってメーカー様の工場や倉庫に直接、商品を引き取りに行き、出荷時点での取引へ変更していくEx‐Factoryの構築を目指している」
 ――東日本大震災の影響は
 沢村「東北で言えば、仙台に東北日配物流センターを構えている。震災後は、車はあってもドライバーがいない、倉庫の作業をする人員が確保できない、ということは顕著に出ている。東北は人材が復興事業に取られている部分もある」
 ――取扱い商品を決めるポイントは
 沢村「いい商品があれば物流も含めて我々が取扱えるのか、製造キャパの問題も含め、お話しをする。おいしくて、売れそうな商品があれば、特別な条件、厳しい基準はない。そういう条件を持っていると幅が狭まってしまう」
 ――東北支社の展示会での「みちのく漬物処」のコーナーはユニークな企画だった
 藪上「東北は野菜の生産が多いこと、冬場に野菜を保存するための塩蔵文化があり漬物文化が発達していることから、復興の意味も含め、旧東北支社商品部で企画した。今後は、東西の大きな展示会の中で、東北の物産コーナーを設けているので、そこに展示していく形になるかもしれない」
 ――最近の漬物について
 藪上「惣菜として浅漬などが取り扱われる傾向がある。冷惣菜の中に、キムチやナムルなども増えている。季節で切り替わるのでSKU(最少管理単位)が増え続けている」
 沢村「我々の意識には個食化のイメージがある。カップの煮豆などのように、ふたを開けて食べ切ることができる商品は今後増えるのではないか。菓子のように1個タイプの、手に取りやすく値段が手頃なものが人気となるだろう。個食化は現在では重要なファクターだと思う」
 ――漬物のプレミアム化は
 沢村「本格的な味の良いキムチはありだと思う」
 藪上「浅漬に比べれば、奈良漬などのようにお客様のニーズが固定化している漬物なら、ありかもしれない。新しいお客様を取り込むためには販促が必要だが、固定化したお客様がいらっしゃるのであれば、客単価を上げるという意味でも高単価商品は必要だと思う」
 ――付加価値について
 藪上「付加価値の定義はない。お客様のニーズが付加価値になるので、ユニット単価が安いことや個食形態も付加価値になる。利便性の部分でも例えば大根漬では一本物が主流だったのが、今はカットされた商品も増えている。産地はお客様の認知がどれだけあるか。国内産であれば安心して買うと思う」
 ――今、日配で売れているものは
 沢村「麺類や、練り物、畜肉加工品、牛肉加工品などが数字を押し上げている。重点カテゴリーとして位置付けている、豆腐やピザ、中華惣菜、卵加工品なども数字的にはいい。今、特に包装惣菜に力を入れており、和風の包装惣菜は量販店様の売場も固まってきつつある。それに対し、洋風の包装惣菜も商品が増えてきてはいるが売場が定まっていない状況だ。洋風の包装惣菜を含めて、定着した包装惣菜売場を確立するために、惣菜と組み合わせた売場提案を7月の展示会で実施した」
 
メニュー提案例
 ――展示会でのメニュー提案も目を引いた
 西山しおり氏(以下西山)「和日配はアレンジの仕方が難しかったり、味が一本化しやすい、ということで私どもの部署ではメニューの提案も行っている。漬物で言えば、東海漬物様のきゅうりのキューちゃんを使ったタルタルソースや、岩下食品様の新生姜をパンと組み合わせて洋食にした提案も行い、美味しいと好評をいただいた。今は時間短縮、簡単に作ることが注目されている。今後は量販店様や消費者を巻き込んだ、コンテストのようなものを考えて盛り上げていきたい」
 沢村「メニューを惣菜のコーナーに一緒に並べていけば、クロスMDで売れていく。そういうことも提案していかなければいけない」
 ――漬物の今後は
 沢村「購買層が下がってこないと厳しい。健康的な漬物などがあれば意外とウケるかもしれない。漬物で機能性表示と言われても厳しいかもしれないが、塩分控えめとか、健康を意識づけられる商品があればいいと思う。和日配のカテゴリーの購買層は年齢が高い。漬物売場だけでは、ダウントレンド。それをいかに脱却するか。惣菜的な漬物を売っていけるか。例えば、サラダのようにバリバリ食べる浅漬みたいなものがあれば、惣菜売場にも置ける。生きる道はまだある」
 西山「まだまだ、地方に眠る商品を発掘しきれずにいると思う。積極的に、外部の展示商談会等に出向き、発掘の機会を増やしている。逆にメーカー様からこの量販店様に売り込みたい、などのお声掛けがあればお待ちしています」
【2015(平成27)年8月31日第4815号1面】
 
株式会社日本アクセス http://www.nippon-access.co.jp/
 
 
 
この人に聞く 北海道新進アグリフーズ株式会社 代表取締役社長 野邊 秀文氏
北海道の地の利生かす
業務用チルドポテト1位
 北海道新進アグリフーズ株式会社(野秀文社長、北海道函館市)は北海道産のジャガイモを使った業務用のチルドポテトで全国1位を占めている。株式会社新進(島忠作社長、東京都千代田区)の子会社で野菜加工メーカーへ変革する新進グループの象徴ともいえる存在だ。「じゃがバター」「ニョッキ」が函館山のフードコートに採用されるなど一般消費者むけ商品も増えてきた同社の野秀文社長に話を聞いた。
売上約160%
 ――業績は
 「千歳にあった北海道アグリ・フーズを2006年に新進が譲り受けた。生産量の増加などにともない、現在の函館に2009年1月に移転した。移転当時に比べれば、売上は約160%になった。生産量は昨年比で10%以上、伸びている。我々は製造部門を担当し、新進グループが営業している」
 ――好調な理由は
 「品質と味を支持していただいている。生食に比べて、あった割高感が払拭されたこともある。人件費や光熱費のコスト削減、作業時間の短縮の部分での利便性が広がっている」
 ――業務用が主だが
 「北海道産ジャガイモの内、主に男爵、トヨシロ、キタアカリ、ホッカイコガネの4種類をホール、乱切り、ダイス、スライス等用途に合わせてカットして加熱調理する。ジャガイモの季節ごとの美味しさを残しつつ賞味期限を90日まで延ばす技術を開発した」
 ――市販用の商品は
 「お土産用に『じゃがバター』を昨年、作った。これまでの製品はバターを入れて袋詰めして殺菌するので、バターの味が抜けてしまう。当社では北海道産のバターを別添にして加熱して食べる。今年3月からは、函館山のフードコートでニョッキとともに『ニョッキーナ』のブランドでイートインに採用された」
 ――課題は
 「原料の品質に左右されてしまうことだ。昨年の原料が悪く、小ぶり傾向だった。トリミングも1kgの袋に20個だったものが2個増えれば、手間も1割かかる。新しい品種も試している。人手不足でチルドポテトのニーズは高まったが、我々もまた、人が集められていない。トリミングの作業は手作業だったが、機械化も考えている」
 
じゃがバターとニョッキ
 ――ニョッキの知名度も上げた
 「ニョッキはジャガイモと小麦粉をベースにした食材でイタリア料理のひとつ。個食化が進む中で、冷凍なので茹でてパスタとしてもいいし、凍ったまま揚げて、の提供もできる。2011年に東日本大震災で前年比割れをしてから年々、売上を上げて今、前年比約150%になった」
 ――人気の理由は
 「大皿で注文してシェアしやすい。揚げるとスナックになるし、応用範囲が広い。音がしないので、導入している映画館もある。様々なイベントに出ている。通販でも売れるようにしたい。スープやソースも作ることは設備的にも可能。ニョッキを売る流れの中で、ゴルゴンゾーラやボロネーゼなどを展開している」
 ――今後は
 「ジャガイモを使ったこの事業自体はまだまだ、伸びる。北海道にある地の利を生かして、北海道に特化したものをやっていければ、と思う」
【2015年(平成27年)8月31日第4815号5面】
 
北海道新進アグリフーズ株式会社
 
 
 
トップに聞く 李グループ日本法人 株式会社日本東泉 代表取締役 李 忠儒氏
山東省ガリ生姜 作柄は平年並みに
相場は循環の入り口へ
 台湾華僑の李氏集団(韓国忠清北道に本拠地を置く東寶グリーン食品を中核とした食品の有力企業集団)の在中国、独資一〇〇%の龍口東寶食品有限公司(李忠儒董事長、山東省龍口市新嘉街道北曲煙 路北)では、今年も100%山東省産ホワイト・ガリ生姜の漬け込みを8月から開始している。そこで、同公司の日本法人、株式会社日本東泉(営業所=大阪市住之江区中加賀屋2‐10‐15、TEL06‐6682‐2627代)の社長も兼任する李氏に今シーズンの状況と見通しをお聞きした。同公司は、全漬け込みタンク容量=3万4000㌧、自社管理農場118万坪を誇る等、世界的規模で生姜を取り扱う一大グループだ。日本市場でも「東寶(ドンパオ)ホワイトガリ」は高い認知度を誇るようになって来た。そのナチュラルな白さを引き出すために、早掘り、極若の最高の状態で漬け込みが行われる。同時に、その白さを引き出すために品種改良を続け、厳密な栽培管理や日本式の完熟堆肥の投入による土作り等を行っている。このような土作りからのトレース、グローバルGAP、ISO9001の取得、緑色食品の標準認定、HACCP導入の最新設備の工場で処理された生姜は日本、東南アジア、ハワイ、米国本土、欧州を始め世界に輸出されている。特に逸早くワールドスタンダードを達成している安心安全の原料として世界が注目している。インタビューの詳細は次の通り。
(藤澤泰隆)
◇     ◇
 ――御社に取って22回目の漬け込みが始まりますね。感慨を。
 李社長(以下、敬称略で李) 内外の多くの皆様方のお蔭を持ちまして、中国・山東省の生姜原料を日本をはじめとしたお得意先に安全安心の原料として供給しご評価を頂いております。
 ――昨年には、中国・山東省での李氏集団独資100%の龍口東寶食品が創立20周年という大きな節目を迎えました。グループの方々の喜びも一入でした。今年4月には、東久邇宮記念賞の栄誉を賜り、7月には母校の近畿大学校友会食品支部が龍口東寶食品の視察を実現される等、御社の開発されている「ホワイトガリ生姜」と「世界標準」をいち早く達成している工場への評価を確かなものとしています。視察に参加された有力食品企業からも、生姜の栽培から加工まで高度な技術での一貫製造体制の構築に感嘆の声が上がっております。特に漬け込み能力3万4000㌧といえば、使い方によれば150万ケースの生産も可能という膨大な物量です。とても、日本の市場だけでは消化できるものではなく世界市場が相手ということを物語っていますが…。
 李 キャパとしてのお話では、その通りですが、当社は、生姜を主力にしていますが、にんにく他の農産物の塩漬、加工も行っていることと、膨大な量をこなすためには、一定の量を短時間で処理するオペレーションが必要なだけに、現実面では、越えなければならない壁は多いのです。世界一厳しい日本のユーザーのニーズに応えるためISO、HACCP、有機認定、GAPまで、農産物を栽培、加工、輸出するための最高レベルを追求してきました。それは、当社の品質追求の歴史でもあります。今年の山東省の原料は、史上最高値の続いた高値を脱し、相場循環の入り口に入りました。特に山東省では、中国南からのフレッシュ生姜の買いが今年は入らず農民が力を入れて栽培に取り組んだハウス生姜が行き場を失い塩蔵に回るという新局面が出現しました。この原料は、日本でいうところの黄金週間前後から出回り、スーパー等に並ぶ新生姜と同等のようなものです。これがガリ向け好適品として紹介されているようですが、業界が一般的に取扱って来たガリとは、異質なものです。この生姜が7月取りであることなどから新生姜と名乗っているようですが、日本の皆様におかれましては、十分内容をご理解の上、慎重に御取り扱い頂きますよう希望します。
 ――色々なものには、適期というものがあります。旬を外すと厄介ということですが、特に農産物の場合、適期を過ぎると評価も半減します。中国南からの当てにしていた生姜の買いが入らなければ農民も焦ったでしょう。収穫適期を過ぎたものが相手にされないように。
 李 だから農民が、適期に収穫したものが、塩蔵に回ったのです。価値を維持するためにです。この塩蔵原料の相場が、今年の山東省生姜の出発点になろうとしています。2年続きの〝高原相場〟から循環相場入りの引き金を引いた形です。
 ――本題の今年の作柄をお願いします。
 李 作付けは、前年に比べ2~3割は、増えている。作柄に関しては、平年作位の年と見ている。山東省は元々、雨の少ない地域だが、豪雨が2~3回あり、雨が足りないという程ではなかったが、多くもなかった。井戸水による優先灌水を続けた。病虫害の被害もないので、まあ、まあな年と見ている。
 ――漬け込みの状況は。
 李 一部、8月10日位から始まっているが量的にどうのこうのという程ではない。8月20日位から本格化と見ていたが、雨が少ない関係から若干ずれている。月末から9月10日位がピークの見込みだ。その後、9月中下旬からはハーフものに移行する。
 ――相場展開の見通しは。 李 2011~2012年と二年続きで、安く、13~14年と大暴騰した。それと先ほどもお話したように、中国南から、3~4年前から山東省に入っていたハウス栽培の新生姜の注文が入らなくなった。この行き場を失った新生姜が漬け込まれ、相場がハウス物だけに早く形成されてしまった。これをガリと称するならば、今年は、この相場に引きずられる形で推移するだろう。
 ――ご多忙の中、貴重なお話を有難う御座います。
 【2015年(平成27年)8月31日第4815号6面】
 
株式会社日本東泉 http://jp.lisgroup.cn/huishegaiyao/
 
 
 
新理事長に聞く 京都府漬物協同組合 理事長 平井 達雄氏
事業運営 組合として京漬物PR
この役割果たすことが課題
 ――京都の漬物組合の方向性が漬物の今後に影響を与えるといった意味からも、貴組合の活動が全国的に注目される中での理事長就任となりましたが、現状認識を。
 平井理事長(以下、敬称略で平井)ご承知のように、京都は多くが製造小売りの業態の方々で構成された組合ですので、業界全体という意味では、また、違った面もあると思いますので、今回は業界という認識よりも、組合事業とその運営、その中での事業の中心である京漬物のPRの方向性を中心に述べさせて頂きます。PRには個々のお店、企業で取り組みのものと組合でしか出来ないものの二つに分かれます。しかしながら、京漬物を振興・発展させるためには、組合でしか出来ないPRがあるのです。そう思いませんか。
 ――一企業、個々の場合、やはり、私的イメージが伴い、我田引水と見られるケースもあります。内容如何よりも、そのように判断されがちです。貴組合では学校給食への漬物採用を働き掛け、組合と公益財団法人京都市給食協会との契約に基づく納入を実現されました。正に画期的なことです。
 平井 歴代の理事長の粘り強い取り組みと尽力により、特に熱心に取り組まれた川勝康行直前理事長の時に決定しました。今年の10月から伝統の京漬物である「すぐき」「しば漬」が給食に登場します。実現に奔走されました歴代理事長に敬意を表したいと思います。伝統の京漬物を食べて知ってもらうこと、児童期の食育の大切さからいっても、給食への漬物導入は、日本の食文化を守る意味でも意義あることです。それと、以前より組合の青年部が、ぬか漬教室の出前授業を小学校で続けています。また「京都府伝統と文化のものづくり産業振興条例」により、京もの伝統食品として、すぐき、しば漬、千枚漬が認定されております。食産協がやっている京ブランド認証、更に話題となっております農水の地理的表示への取り組みなども、組合でしか出来ないPR事業の一例です。
 ――今回の給食への導入は販売ですから、他県でも大いに参考にしなければなりません。
 平井 日本人にとっての漬物はどういうものなのか。長い歴史の中で証明されています。米国のマクガバンレポート(1977年)が食と健康に関する人類への警告として発信されました。その内容は1970年代の日本の食生活に近いものでした。米国のマクガバンレポートに書かれているものを見れば、目指すものはこれだった、と30年も40年も前からいわれています。このところをもっとPRしなければなりません。
 ――お米の消費が昭和30年代前半の半分程度まで落ちている現在にあっては尚更です。
 平井 日本人は弥生時代から米文化を継承し、日本の風土、生活文化の中から和食文化を作り上げてきたのです。ご存知のように2013年12月に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。オール京都で和食文化を推進するために昨年「京都和食文化推進会議」が設立され、当組合も設立総会から参加いたしました。本来あるべき食事は何かを訴えて行かなければなりません。それだからこそ、京もの伝統食品としても指定を受けているのです。この指定は数ある京都の伝統食品の中でも漬物3品だけです。他の伝統食品にも門戸は開かれているのですが。
 ――如何に漬物が凄いかを表していますね。
 平井 京都の漬物業界の先人たちが守るべき伝統をしっかりと守ってこられ、さらに変革に挑戦されてきたおかげであります。それと、漬物の機能性ですが、これに関してはかれこれ弊社は30年来、「西利の乳酸菌ラブレ」として取り組んできました。今でこそ乳酸菌への着目は当たり前になって来ましたが…。例えば、シンバイオティクスをご存じでしょうか。
 ――生命工学の一分野ですか。
 平井 プロバイオティクス、プレバイオティクス、バイオジェニックスなど色々な言葉がありますが、プロバイオティクスは体にとって良い働きをする微生物またはそれを含む食品、プレバイオティクスは腸内の有用菌を増殖させる働きのある食品成分のことです。シンバイオティクスとはその二つを併用すること、またあわせもっている食品のことです。日本の伝統食品である漬物がまさにこの「シンバイオティクス食品」なのです。日本では漬物の良さを、色々な方が研究し発表もされています。京都府漬物協同組合として漬物の良さのPRを、どのような形で実施して行けば良いのかが、一番の課題だと思っております。
 ――PR活動の強化こそが事業運営の要となりますね。
 平井 京都の組合として京漬物のPR活動を多岐にわたって色々な場面で、内容も豊富にやって行く事が組合の役割だと感じています。
 
来シーズンからKマーク付きで発売される山科なす(上がぬか漬と液漬、下は、青果品)
 ――山科なすが来シーズンからKマーク食品として本格発売が始まるのを受け、その研修会を7月に開催されましたが…。
 平井 Kマークとは、公益社団法人京のふるさと産品協会が認証する制度です。Kマークは以前、生鮮食品が対象でしたが、数年前から認定産品の加工食品にも認定範囲がひろがりました。今回、漬物の山科なすの京漬物にて認定を受け、組合事業として取り組むことでPR効果が期待できると思っています。
 ――その他のPR事業の予定は。
 平井 年内の予定は、12月13~14日開催の京料理組合主催の第110回京料理展示会に、漬物組合として展示PR出展します。2日間開催され、入場料が必要ではありますが、地元をはじめ全国から食、料理に関心の深い多くの方が来られています。京都の名だたるお店の料理や関係する食材などを一堂に観覧できる価値ある内容のものです。この場での京漬物PRは意義あることと思います。PR展示企画はこれから組合員全員で組み立てる予定です。特に若手の理事の皆様に大活躍してもらうつもりです。研修事業、ブランド強化事業、PR事業を通じて、さまざまな形で京漬物の良さを組合全体で創造し、一人でも多くの方に伝えてゆきたく思っています。
 ――貴重なお話を有難う御座います。(藤澤泰隆)
▽▽  ▽▽  ▽▽
 [取材メモ] 平井理事長は現在、株式会社西利(平井誠一社長、本社=京都市下京区)の代表取締役副会長を務める傍ら、母校の京都大学農学部等で、非常勤講師も務める。大手上場企業の話を聞く機会の多い学生に京都に多くある〝家業としての伝統食品業〟から見た実践的な経営学や京漬物の神髄を語ることも多いという。これも、PRの一環とも位置づけている。また、京漬物の飛躍に関して、観光土産品への適切な対応と白菜、胡瓜、茄子というブランド化が難しいとされてきたオーソドックスな製品を百貨店の進物売り場に当たり前に並ぶようにまで価値追求を図ったことが大きい、と語る。同理事長は、このブランド化を図った立役者でもある。京都大学農学部食品工学科卒、大学院修士課程終了後、西利に入社、会長(実兄)の平井義久氏と二人三脚で伝統を頑なに守りながら、「旬・おいしく、やさしく。」「3つの心(おもいやる心、きめこまかな心、わかちあう心)」「塩かげん」を求め続け2013年社長から現職に。現社長平井誠一氏(現会長長男)は次世代西利創造に邁進している。
【2015(平成27)年8月24日第4814号1面】
 
京都府漬物協同組合 http://www.kyo-tsukemono.com/
 
 
 
全日本漬物協同組合連合会 会長・山形県漬物協同組合 理事長 近 清剛氏
外国人研修制度導入に本腰
蘇りのレシピで需要開拓
 漬物産業の振興、発展に尽力している全日本漬物協同組合連合会会長で、山形県漬物協同組合理事長でもある近清剛氏にインタビュー。新しい消費者を対象とした資格制度や山形県漬物組合の活動、開催が不透明となっているT‐1グランプリなどについて話を聞いた。
(千葉友寛)
◇     ◇
 ――今年度の重要な事業と課題は。
 「5月総会で決定したことですが、今年度の最重要課題は漬物製造管理士技能評価制度を農林水産省に承認していただくことです。日本は人口減少、少子高齢化が進み、労働力の確保が困難になっていきます。近い将来、日本は海外の労働力が必要になり、よりクローズアップされていくと思います。労働環境が変化する中、漬物産業は外国人研修生を受け入れられる産業でありたいと考えています。数年前から準備を進めておりますが、いよいよ本腰を入れて取り組んでいきたいと思います」
 ――消費者を対象とした資格制度について。
 「漬物が好きな一般の方を対象にした資格制度、漬物ソムリエ(仮称)を立ち上げます。この制度は漬物のファンを作るためのもので、漬物の魅力を知っていただき、それを多くの方に語っていただくことでファンを広げていくというものです。この制度には組合力を高めるという大きな目的もありますが、同制度が普及していくことによって組合の予算が増えて付加金を下げる、という狙いもあります。来年度中に第1回試験を実施できるよう検討を重ねています。また、全漬連顧問に就任していただいた小泉武夫先生には、発酵食品の価値を消費者に伝えていただきたいと思っています。一般消費者を対象とした公開講座等を開催して漬物の文化が深まるような取組みを行っていきたいと考えています」
 ――山形県漬物組合の活動について。
 「山形に伝わる伝統野菜の数は全国1位です。山形は方言や食べ物などの文化の違いが地域ごとに特色があり、置賜、村山、最上、庄内の4つの地域に分けられます。それぞれの地域の気候や風土に合った野菜が何百年も前から生産され、保存食として漬物が食されてきました。それが文化となり、いまに伝わっています。しかし、最近では伝統野菜や地域の漬物が忘れ去られてきています。そういったものを掘り起こすため、組合事業として山形県から補助金をいただき、『蘇りのレシピ』を作っていきます。若い人にとっては新しいものになるため、新しい需要を開拓できる可能性もあります。現在は試作品の検討を行っており、山形県の伝統野菜を利用した漬物の商品化を目指しています」
 ――T‐1グランプリ開催の見通しは。
 「現段階では難しいと思います。書類審査、ブロック大会を開催するのであればすでに枠組みを作り、スタートしていなければならないのですが、準備は行われていません。漬物のPRという意味では大変意義のあるイベントなのですが、予算や運営等の問題もあり、今年度大会開催の見通しは立っていません。5月に開催された東北漬物協会の総会では東北漬物フェスティバル(仮称)を開催しよう、という案が出ました。各県で品評会(県大会)を行い、上位に選出された作品が東北大会に進出するというものです。大会の名称や概要は未確定ですが、東北大会を行うことで全国に波及させ、全国大会の形に持っていければいいと思っています。来年には東北で第1回目の大会を開催したいと思っています。同大会には法人の部だけではなく、一般の部も設けて漬物の価値作りとファン作りの両輪でやっていければいいと考えています」
【2015(平成27)年8月10日第4813号12面】
 
全日本漬物協同組合連合会 http://www.tsukemono-japan.org/
山形県漬物協同組合 http://www.tsukemono-japan.org/yamagata/kumiai/index.htm

 
 
新社長 株式会社本長 代表取締役社長 本間 光太郎氏
伝統野菜で差別化を
日本酒『くどき上手』に学ぶ
 今年5月に社長に就任した明治41年創業の株式会社本長(山形県鶴岡市)の本間光太郎氏にインタビュー。専務時代からの心境の変化や漬物の需要拡大のための考えなどについて話を聞いた。
(千葉友寛)
◇    ◇
 ――社長就任を意識し始めたのはいつ頃からですか。
 「小さい時から会社を継ぐ、という話をされていました。決められた道を歩むのが嫌だというわけではなく、自分の道が歩めないというのが嫌でした。大学は宇都宮大学の宇田先生の研究室で勉強させていただき、会社のことはその辺りから真剣に考えるようになりました」
 ――社長就任からまだ3カ月ですが、心境の変化は。
 「まだ日は浅いのですが、自分を見る周りの目が全然違います。専務の時はまだ逃げ道があったのですが、社長になると自分で判断して決断しなければなりません。そして、その決断に対して全ての責任を負わなければなりません。社長の仕事で一番大事なことは決断することです。会社経営はやるかやらないか、選択の連続です。社長に就任した時、自分にプレッシャーをかける意味でも社員の前で『会社に仕事を持ってくるのが自分の仕事』と宣言しました。仕事を持ってこれないと恥ずかしいので、以前にも増して営業に行きました。その結果、特に卸売部門が好調となり、面目を保つことができました。会長はISO認証取得など、会社の基盤を強化してくれたので、私は外に出ていって会社を活性化させていきたいと思います」
 ――御社のこだわりは。
 「一部手に入らない野菜は他県から入荷しているものもありますが、基本的には山形産の原料野菜を使用しています。山形は在来野菜が多く、庄内にも多くの伝統野菜が受け継がれています。代表的なもので言えばあつみかぶ、藤沢かぶ、民田なすなどです。そういった野菜を美味しく食べられるよう旬の時期に合わせて浅漬、甘酢漬、粕漬、からし漬などに加工しています。元々は粕漬がメーンでこだわって製造しているのですが、差別化が難しく、土用丑の日は売れますが、その他の日は中々売れません。しかし、伝統野菜の漬物は差別化を図ることができます。弊社の人気商品は赤かぶの甘酢漬ですが、原料の赤かぶは焼き畑農法で栽培されたものだけを使用しています。保存料や着色料は使用せず、自然の味と風味が楽しめます」
 ――漬物の需要拡大のために必要なことは。
 「中身は従来のままでも提供の仕方などを変え、漬物を食べる機会があまりない若い人に関心を持っていただく提案が必要だと思います。見た目で関心を集めるという意味ではデザインやパッケージも重要で、日本酒の中にも参考になるお酒があります。山形県鶴岡市にある亀の井酒造の『くどき上手』はユーモラスなネーミングと女性の絵が描かれたラベルが注目され、人気となっています。また、秋田県の新政酒造では東大出身の若い杜氏が『新政No.6』という日本酒を作り出し、入手困難なお酒となっています。名前の由来は現存最古とされる『6号酵母』を使用しているからとのことです。若い人たちの発想やアイデアも取り入れていく必要があると思います。そういった意味では昨年10月に全日本漬物協同組合連合会の青年部全国大会を山形で開催させていただきましたが、若い人たちが集い、アイデアや意見を出し合っていくことは重要だと思います。今後も知恵を出し合い、切磋琢磨していくことで企業力が高まり、業界の発展につながっていくと思います」
【2015(平成27)年8月10日第4813号13面「山形特集」】
 
株式会社本長 http://k-honcho.co.jp/
 
 
 
新社長 内藤醸造株式会社 代表取締役社長 内藤 德和氏
高く買って高く売る
梵天丸茄子を守ることが使命
 昨年10月に社長に就任した内藤醸造株式会社(山形県米沢市窪田町)の内藤德和氏にインタビュー。創業明治41年創業で、味噌・醤油醸造を味づくりの原点とする同社は茄子の里「窪田」で、素材本来の味わいを大切に漬物を作り続けている。伝統や技術のこだわりと今後の方向性などについて話を聞いた。
(千葉友寛)
◇    ◇
 ――入社前の経歴は。
 「入社前は東京で飲食業の仕事に約10年携わっていました。仕事が楽しかったこともあり、会社を継ぐ気はあまりなかったのですが、父(会長)と話をして戻ってくることにしました。入社から8年が経って社長に就任したわけですが、今は前の仕事を辞めたことに後悔はありません。辛い時もありますが、楽しいことも増えてきました」
 ――楽しいこととは。
 「自社の商品が美味しいと評価されて売場に並び、誰かに贈りたい、と言ってもらえるとすごく嬉しいです。また、従業員と一緒に一つの仕事を作り上げていく過程に楽しみとやりがいを感じています。登山に例えると登頂するまでには多くの人の協力が必要になります。有名な登山家が社長だとしても、社長だけ登頂しても意味がありません。パーティの全員が登らなければ成功とは言えないからです。パーティには道を案内する人、荷物を持つ人、体調を管理する人、それぞれ役割があります。会社もパーティと同じで自分の役割を全うすると同時に仲間にも役割をこなしてもらう必要があります。適性もありますが、それぞれに与える役割も重要です。パーティではリーダー、会社で言えば社長がその役割を担うわけですが、会社として登頂が成功するように段取りを決め、仕事を組み立てていく時間が楽しいですね」
 ――御社のこだわりについて。
 「やはり梵天丸茄子です。茄子の収穫は約2カ月行われますが、毎日作業しなければならず非常に手間がかかります。私たちが生まれる前から地域に根付いている窪田茄子と仙台茄子を交配させてできた品種が梵天丸茄子です。この地域だけでしか生産されておらず、年間の収穫量は約30tです。露地物しか生産がなく収穫時期は夏の2カ月間のみです。生産者は減っており、後継者不足も課題です。あの茄子を作ったら儲かる、とならないと生産量は増えません。生産者の方には『安心していい茄子を作ってください。我々は安売りすることなく梵天丸茄子を使用した商品を全国に販売していきます』と伝えています。我々にできることは高く買って高く売ることです。会社を守ることは地域を守り、生産者を守ることにつながります。勝手な使命感と言いますか、梵天丸茄子を守る私たちの責任は重いものがあると思っています」
 ――今後の抱負を。
 「会長がこだわって作ってきた漬物が支持されたことで、いまの会社があります。いい伝統を受け継ぎながら新しいニーズにも対応していきたいと思います」
【2015(平成27)年8月10日第4813号13面「山形特集」】
 
内藤醸造株式会社 http://marumago.jp/
 
 
 
理事長に聞く 静岡県漬物商工業協同組合 理事長 望月 啓行氏
わさび漬け順調に推移
値上げ浸透 原料が一服感
 静岡県漬物商工業協同組合の望月啓行理事長に静岡の漬物産業の現状やわさび漬けの動向について聞いた。
(藤井大碁)
 ――静岡の漬物産業について
 わさび漬けを中心に浅漬や沢庵、金山寺味噌などの製造メーカーが事業活動を行っています。観光物産に特化したメーカーも多く、ピクルス専門店をオープンするメーカーがでてくるなどここにきて新たな動きも出始めています。
 ――わさび漬けの動きはいかがですか
 量販店での売上は順調に推移しています。弊社では昨年10月にわさび漬けを5~10%値上げしました。値上げ後も動きは落ちず、値上げが浸透しています。また、原料が昨年に比べると落ち着いてきているのは業界にとって良い傾向です。
 ――その他のわさび商品について
 わさび漬け以外のわさび関連商品も好調で、わさび塩は昨年末にテレビで取り上げられ一時期は製造が間に合わないくらい売れました。お土産関連はバス規制の影響が未だに続いています。
 ――新たなわさび関連商品の開発が活発化しています
 カマンベールチーズとわさび漬を合わせた商品も開発しました。ワインにも合うわさび漬けをコンセプトに、わさびの可能性を広げるため開発した商品です。ここまで想定した売上を達成しています。売場の垣根を越え、洋日配や酒類売場で販売してもらえるかどうかが今後の課題です。この8月にはわさびとオリーブオイルを組合せた商品も発売します。時代ニーズにあったわさび漬け製品を今後も開発していきます。
 ――外国人観光客が増えています。
 わさびは高級食材として、世界的な認知度が高まっています。静岡にも大勢の外国人観光客が訪れており、そうしたインバウンド需要をどう取り込んでいくか考えていく必要があります。長野県の安曇野にはわさびの観光スポットとして大王わさび農場さんがありますが、静岡にはわさび田が山あいにしかありません。もっと多くの観光客の方に来てもらうためには、そういったわさび観光のシンボル的なスポットを作るべきとも思っています。
 ――組合について
 静岡の組合は会員数が減少傾向で、どうにかして会員を増やしていきたいと思っています。県内には組合に加入していない有力メーカーさんや新たな取り組みをスタートしているメーカーさんもありますので、加入を呼びかけていきたいと思っています。
 ――全国大会について
 今の時代にあった大会を開催し、静岡の魅力を発信していきたいと思います。組合としても改めて団結する良い機会で、将来に向けての新たな一歩にしていきたいと考えています。静岡の組合として、出来る限りのおもてなしをさせていただきますので、是非お越しいただければと思います。
【2015(平成27)年8月10日第4813号14面「静岡特集」】
 
静岡県漬物商工業協同組合 http://shizuoka-tsukemono.com/index.html
 
 
 
大会会長に聞く 全漬連青年部会「静岡大会」 大会会長 森下 昌冶氏
10月23日に全国大会迫る
家康の講演など静岡色満載
長寿につながる食文化にも注目
 10月23日に全日本漬物協同組合連合会青年部会全国大会「静岡大会」【テーマ=ふじのくに伝統食文化を未来へ…】を開催する静岡県漬物商工業協同組合青年会会長の森下昌治氏にインタビュー。大会の見どころや抱負などについて聞いた。(藤井大碁)
 ――大会テーマについて
 世界文化遺産「富士山」をキーワードに、天下泰平の江戸時代から続く静岡ならではのエピソード、伝統、食文化を全国の皆様に発信していきたいと考え、「ふじのくに伝統食文化を未来へ…」という大会テーマとしました。
 ――静岡大会の見所は
 一番の目玉は徳川家康公についての1時間半にわたる講演会です。講師に静岡大学名誉教授の小和田哲男氏を招き、「徳川家康の生き方に学ぶ」というテーマで講演していただきます。今年は折しも家康公没400年の記念年にあたり、関連するイベントが県内各地で開催されています。講演会では、歴史上の裏話などもたくさん聞けると思いますので歴史好きの方には特に楽しんで頂けると思います。また、家康公は食に関してもかなり気を使われていたようで、75歳と当時としては大変長生きをされました。静岡県は現在も健康寿命が全国トップクラスで、長寿につながる静岡の食文化にも注目していただきたいと思います。
 ――その他の注目点は
 今年も全国部会長会議の場で昨年の山形大会からスタートした「ミニ品評会」を行う予定です。各県の皆様には、県を代表するおすすめの漬物を是非とも出品頂きたいとと思います。交流会では、「富士宮やきそば」や「静岡おでん」など静岡のB級グルメの他、フルーティーな香りを生み出すと言われている静岡酵母を使った地酒を楽しめるコーナーも設ける予定です。また、サッカーJ1・清水エスパルスのオフィシャルチアリーディングチーム「オレンジウエーブ」によるチアリーディングや、毎年11月に「大道芸ワールドカップ」を開催し大道芸の町として知られる静岡市らしく、大道芸のパフォーマンスも行います。第一部の大会式典から第三部の交流会まで、静岡らしさを詰め込んだ内容を予定しておりますので、楽しんでいただけると思います。
 ――二日目について
 翌日は静岡の名所を回る半日バスツアーをご用意しています。富士山が望める日本平山頂、家康公が祀られる久能山東照宮を回り、昼食は清水港の商業施設「ドリームプラザ」でお寿司の食べ放題を味わっていただきます。その後、富士山と共に世界遺産に登録された三保の松原を見ていただく充実したプランとなっておりますので、是非ご参加頂ければと考えています。
 ――大会への抱負
 静岡の青年部員は人数が少なく、親会と兼務しているメンバーがほとんどです。今回は伊豆わさび組合からも10名程の方に助っ人として運営のお手伝いをしていただく予定です。当日は私ども静岡県のメンバーは揃いの緑色の半被を来て、精一杯のおもてなしをさせていただきます。全国大会をきっかけに組合が一つになり、新たな発展に向け歩んでいければと思います。
【2015(平成27)年8月10日第4813号15面「静岡特集」】
 
静岡県漬物商工業協同組合 http://shizuoka-tsukemono.com/index.html
 
 
 
新理事長に聞く 一般財団法人食品産業センター 理事長 村上 秀德氏
海外からの労働力確保を視野に
HACCP普及が課題
 食品産業の健全な発展を図るための唯一の中核的・横断的団体として設立され、食品産業会の調整役・推進役として事業を行っている一般財団法人食品産業センターの村上秀德理事長にインタビュー。6月15日付けで退任した西藤久三理事長の後任として新理事長に就任した村上氏に日本における食品産業の方向性などについて話を聞いた。
(千葉友寛)
 ――世界経済の見通しと日本の方向性について。
 「世界の経済はあまり元気がないですね。アメリカは大分回復してきておりますが、力強くはありません。寒波やストライキが影響している部分があると思います。ただ、原油価格が下がっているので、消費意欲は旺盛と言えるでしょう。自動車産業も堅調だと思います。ヨーロッパはギリシャの問題もあり、まとまりがなくなりつつあるという印象で、大きな不安要因となっています。しかし、最大のリスク要因は中国です。成長率は7%となっていますが、本来はもっと低い、と指摘する人もあります。株価の急落が経済を反映している、との声もあります。昔は『アメリカがくしゃみをすると日本は風邪を引く』と言われていましたが、今は『中国がくしゃみをすると日本は風邪を引く』と表現できるほど大きな影響力を持っています。マクロでは中国に勝てないので、日本の特徴や持ち味を生かしてそれを国際社会にアピールしていくことが必要です」
 ――日本経済の現状と方向性は。
 「日本はアベノミクスで株価が上がり、前向きな雰囲気が出てきていると思います。これから日本経済は回復していくと思いますが、少子高齢化、人口減少という構造的な問題も抱えており、以前のように成長していくことはないでしょう。今後の日本は知識集約型と言いますか、それぞれに価値が求められていく流れが強まっていくと思います。食品産業も新製品や価値の高いものを作り、新しい需要を作っていくことが重要です」
 ――雇用問題も深刻です。
 「ドイツでは毎年50万人の移民を受け入れています。それだけの人数が増えれば労働力が確保できる他、需要も増えます。言葉や文化の違いなどの課題もありますが、大きなアドバンテージと言っていいでしょう。日本は食品産業を含め全体として人手不足なので、外国人労働者の受け入れや日本で働きやすくする環境を作るなど、真剣に取り組む必要があると思います。日本は世界3位の経済大国ですが、自分たちの力だけでこれを維持していくことは困難です。安倍内閣が掲げている国家戦略特別区域は地域を絞って、そのエリア内に限り従来の規制を大幅に緩めて外国企業を誘致する計画で注目されています。こういった動きはこれからどんどん加速していくと思います」
 ――昨年4月からの消費税8%引き上げによる影響と消費動向の変化について。
 「食料品は生活必需品なので、ほかの分野ほどの影響はなかったと思います。消費税の価格転嫁も比較的スムーズに行われた模様で消費税引き上げの影響が一巡した現在では原料高による食品の値上げも不十分ながら少しずつ浸透しています。しかし、日本人はデフレマインドが定着していると言いますか、いまの世代の多くは物価が上がることを経験していないため、物価が上昇することにダイレクトに反応してしまい、消費の低迷につながりやすい状況になってしまっていると思います。消費税が2017年4月に10%に引き上げられますが、食品産業への影響が軽微で済むことを期待しています。ただ、そこでクローズアップされるのが国民のデフレ意識で、商品を見る目がより厳しくなるものと思われます。味はもちろん、品質、安全、安心の部分も含めてです。特に安全、安心の部分については注意、努力を怠ってはいけません」
 ――安全、安心の取り組みについて。
 「少し前に異物混入の問題がありましたが、その時の消費者の反応はものすごいものがありました。安全、安心に対する日本人の目は年々厳しくなっており、他の国のレベルを上回っていると言えます。しかし、日本の食品企業の衛生管理やHACCP認証の導入については近隣諸国より遅れていると言われています。厚生労働省でもHACCPの導入について、『将来的に義務化』と言葉が見られるようになってきました。グローバル化が進む中、日本も輸出の観点が必要となってきます。そういった時にHACCP認証は国際的な基準にもなるため、規模が大きくはない企業にどうやって普及させていくかということは大きな課題です。我々も農林水産省の補助事業としてHACCP導入研修会等を開催しておりますが、今後も全体のレベルアップに貢献していきたいと思っています」
【2015(平成27)年8月3日第4812号1面】
 
一般財団法人食品産業センター http://www.shokusan.or.jp/
 
 
 
この人に聞く 株式会社若菜 代表取締役社長 山田 謹一氏
「単品」を美味しく
今夏はトマト漬物が動く
 株式会社若菜(愛知県海部郡蟹江町)は江戸時代に開業した料亭「得月楼」をルーツに、奈良漬をはじめ、野菜を最大限に生かした各種の漬物を製造する。最近ではサラダ感覚の浅漬や旬の果物を使った漬物も販売。東京・銀座に直営店をもつほか、百貨店、駅ナカ、空港などの店舗で贈答品としての漬物を提供し続けている。山田謹一社長に、夏のギフト商戦、贈答品へのこだわりなどを聞いた。
違う業界と競争
 ――今夏のギフト商品は
 「中元は若干、売上は落ちたが、土産としての需要は上がっている印象だ。元々、中元については前年並みとはいかないもので、弊社でもウェートをそれほど高くしていない。アイテムではトマトを使った商品が動いた。トマトは、夏はいい原料を確保することが難しい。弊社も夏は商品化をやめていたがお客様の声もあり、通年商品とした」
 ――サラダ感覚の漬物は女性も注目している
 「これからは同業他社を見るのではなく、違うカテゴリーを含め、いろいろな業界と競争していかねばならない。サラダ業界もそのひとつ。ただし、我々としては、いい原料を集めるという原点は踏み外さないようにしなければいけない」
 ――たまごや豆腐など変りダネの漬物も人気だ
 「『名古屋たまご』も『寄せ豆腐の味噌漬』もコツコツとやってきた商品。とくに豆腐の商品はおかげさまで人気を集めている」
 ――贈答品として売るための重要なポイントは
 「単品ごとに美味しいものを作ること。一品一品で満足していただける商品を集めないといけない。詰め合わせでひとつでも満足できなければ、すべての評価が下がり、ほかの満足していただいた商品の価値がなくなってしまうと思う。彩りも重要視している」
 ――味へのこだわりは
 「妥協するのは簡単だし、誘惑はあるが、そこを我慢してきたからこそ、今の弊社があると思っている。今後も妥協することなく、味にもこだわっていきたい」
 ――対面販売では
 「場合によってはお客様のご都合を聞き、商品を説明して購入していただくこともある。5人から3人のように、家族構成も変わった。年齢層も高くなり、時間をかけて商品を召し上がるお客様も増えた。『魚介味噌粕漬』などは冷凍することもアドバイスする」
 ――冬のギフト商戦は?
 「原料手配の関係もあるので、夏前にはいろいろと決まっている。後は商品の写真どりくらい。おいしい野菜を一番、おいしい時期に。季節ごとに旬の野菜を使った漬物をご用意したいと思います」
【2015(平成27)年8月3日第4812号11面】
 
株式会社若菜 http://www.wakana.co.jp/
 
 
 
新理事長に聞く 全国調理食品工業協同組合 理事長 岩田 功氏
次世代の人材育成に力 時代のニーズを捉える
 組合活動を事業の糧に 経験がアイデアを生む
 今年5月に開催された総会で全国調理食品工業協同組合(=以下、全調食)の新理事長に就任した岩田功氏にインタビュー。現在の心境や今後の組合運営の方針などについて聞いた。(藤井大碁)
 ――全調食の理事長に就任されました
 私の父は様々な公職を務めていましたが、全調食の前身である当時の佃煮組合は、特別思い入れが強い組織でした。本人が裸一貫で佃煮屋を創業し、組合の中で出会った全国の佃煮屋さんからいろいろな刺激を受けていました。それが商売をやっていくうえで、父にとって大変重要な糧になっていたのだと私には感じました。その刺激がなければ、今現在の岩田食品にはなっていなかったと思います。そういう意味で、全調食は私にとっても特別な意味があります。同業者の中で刺激を受け、ビジネスの糧にしていく、それが私の中にあるこの組合の姿です。そういう気持ちが心の中にあり、今回、理事長という大役をお受けすることを決意しました。
 ――今後の運営方針
 組合組織についていうと、副理事長がいてその下にブロック長がいます。全国5ブロックの取組みに関しては各ブロックのやり方があるので基本的にはブロック長にお任せしたいと思っています。我々はもっと全体的な取り組みを行っていきます。その中で、最も力を入れる予定なのが若手の育成です。次世代に我々の業界を繋いでいくためには人を育てることが使命。それが全調食として今やるべき最も大切な役割だと考えています。
 ――具体的な育成プランは
 来年度から20~30代を対象に、国内や海外研修なども含めていろいろな勉強の場を提供していきたいと考えています。全調食には個性的で貴重な人材がたくさんいます。それぞれの経営者が独自ノウハウを生かした経営を行っています。そういう同業の経営者の話を聞くことは、どんな本を読んだり、コンサルティングの話を聞くよりも勉強になるのではないかと思います。また、国内外において最先端のフードビジネスを学ぶ研修会なども行い、視野を広げてほしいと考えています。
 ――若手に期待するものは
 何か変えていきたいという気持ちが多くの方の心の中にあると思います。私も30年前に惣菜業を始め、30年かかって少しずつ今のビジネスを築いてきました。それもやはり、海外も含めていろいろなモノや売場を見てきたからできたことだと思います。そうした経験がなければ惣菜業はやっていなかったと思います。人は経験したことからしかアイデアは生まれてきません。実際にいろいろなことを経験して今後の事業に生かしていただきたい。その場を全調食として提供していきたいと考えています。
 ――先日、大阪で開催された調理食品青年交流会にも出席されました
 20年以上前、何名かで青年交流会を立ち上げることを決めたときに思い描いた通りの大会に発展してきたと久しぶりに出席して嬉しく感じました。全国から業界の若手が集まり、交流し、お互いに刺激を受ける。今後は、交流会で築いた土台を生かして、それをビジネスに転換していく仕組みを全調食が提案していきます。
 ――業界の今後
 もっとアイデアを出して時代のニーズに適したものを作っていくことが求められていると感じます。世の中が変わっている割には商品自体があまり変わっていません。それが伝統を守るということにも繋がるのかもしれませんが。企業の全ては商品力です。商品の魅力を上げるために全従業員が力を合わせる。ワクワクするような、面白そうな商品を提供していく。そういうものを作り上げない限り、今後も発展していくことは難しいと思います。美味しさや品質ももちろん重要ですが、時代にあったものでなければ手にとってもらえません。組合や業界の発展は各企業の発展があって初めて成し遂げられるものです。各企業が時代ニーズを捉えた商品開発に積極的に取り組んでいけば、まだまだ業界は伸びるのではないでしょうか。
 【岩田功(いわたいさお)】63歳。愛知県一宮市生まれ、愛知学院大学卒業後、アメリカ留学を経て25歳で岩田食品入社。32歳で代表取締役社長に就任。
【2015(平成27)年8月3日第4812号12面】
 
全国調理食品工業協同組合 http://www.zenchoshoku.or.jp/
 
 
 
新理事長に聞く 鹿児島県漬物商工業協同組合理事長 中園 雅治氏
干しの確保が喫緊課題
漬物を若い世代へPR図る
 鹿児島県漬物商工業協同組合では今年5月の総会で、4期8年理事長を務めた水溜政典氏が勇退し、専務理事の中園雅治氏が理事長に就任した。2年連続で不作が続いた干し沢庵の原料対策や、消費動向の変化、人手不足への対応など、課題も多い同県漬物業界において、現況と対策などについて中園新理事長に話を伺った。(聞き手=福岡支局・菰田隆行)
◇   ◇
 ――漬物業界の現況と課題について、まず県内の動向から。
 「一昨年、昨年と台風の影響などもあり、2年連続で干し沢庵の原料が確保できませんでした。アイテムを絞る、規格変更、内容量調整などの対策と、やむを得ず製品値上げを行いました。お客様にご迷惑をかけているわけですから、なんとかして量を確保しなければなりません。これが喫緊で最も重要な課題です。対策としては、自前の産地を固めること。農家との信頼関係を築き、しっかりとした契約を結ぶことが大切です。来期原料の買い取り価格については、個人的にはやはり、農家の意欲を保つためにも多少の上乗せはしなければいけないのでは…、と思っています」
 ――原料確保のためにしなければならないことは。
 「農家の高齢化もあり、なかなか新しい産地開拓もできないうえ、干し大根はとにかく手間がかかります。ハザ掛けの干す作業はもとより、L・M・Sサイズの選別を夜中までやっています。大規模農家なら選別機の導入もありえるでしょうが、4~5反の家族農家ではとても無理。農家の負担軽減のために、例えばしっかりと良い大根を作ってくれる農家なら、無選別での納入を受け入れるのもひとつの方策でしょう。その代わりに、量を増やしてもらうわけです(実際に県内組合員で取り組んでいる会社もあります)」
 「大根自体を作ってくれる農家はあります。ただ、天候のリスクがあり、手間がかかるのは干す作業。自社の社員を使っての干そうも、考えなければならない時期に来ているのかもしれません。しかし、漬込み時期の人員もなかなか集まらない状況で、これ以上の人手の確保ができるのかどうか。課題も多いが、外国人実習生の期間3年は必須です」
 ――販売動向については。
 「先ほども申し上げたとおり、干し沢庵についてはお取引先に2年連続で値上げを受け入れていただきました。干しの原料をどこも持っていないことは理解していただけたので、抵抗なく進んだと思います。いずれにしろ、大量生産・大量販売の時代は終わりました。1本物からハーフ・ミニサイズへ、さらに簡便性のあるスライス物へとシフトし、付加価値をつけて大事に売っていく。また、添加物もなるべく外す方向で製造していくべきでしょう」
 ――業界全体ベースでの、現況と課題は。
 「和食の良さをもっともっとPRしていく必要があるでしょうね。それも特に、若いお母さんたちにです。ユネスコの文化遺産に和食が登録され、一時話題にはなりましたが、それが一般消費者のレベルで意識されたり、取りざたされているという感覚は薄い。テレビのグルメ番組をみても、洋食ばかりが目立っている気がして仕方がありません。和食の素晴らしさは、味噌・醤油・漬物など発酵食品を中心とした食であり、野菜を多く摂ることで食物繊維を体に摂り入れること。これは健康の原点です。洋食中心の食生活では、不健康になって医療費も増大します」
 「発酵学の権威である小泉武夫先生が、全漬連の顧問になってくださったのは大変心強い。『和食で体を元気に』というキャッチフレーズのもと、小泉先生を前面に押し立ててPRしていくべきでしょう。また、出前事業などで漬物の良さを子供たちにアピールする活動が各地で行われていますが、子供だけでなく、親も巻き込むために、父兄参観の日などに行うと良いのではないでしょうか。また、先ほど話した味噌・醤油や米などの業界ともタッグを組んで啓蒙を図ることを考えてみるのも良いと思います」
 ――最後にひとこと。
 「全漬連菜漬委員会の高菜部会で部会長を務めさせていただいていますが、皆さん大変積極的で、産地状況もきちんと報告が入りますし、年1回の部会にも多くの方が参加していただけます。歴代の部会長が基礎を作って下さったお陰と感謝しています。これからも微力ながら鹿児島の、また九州の漬物業界発展のため、努力していきたいと思います」
 ――貴重なお話をありがとうございました。
【2015(平成27)年8月3日第4812号15面】
 
鹿児島県漬物商工業協同組合 http://www.tsukemono-kagoshima.org/
 
 
 
この人に聞く 株式会社ふくや 代表取締役社長 川原 正孝氏
業界全体で表示を適正化
卸の新ブランド立ち上げ
 博多名物・辛子明太子の元祖である「味の明太子」で著名な株式会社ふくや代表取締役社長の川原正孝氏は、長年「全国辛子めんたいこ食品公正取引協議会」の副会長を務めるなど、公正競争規約の運用を通じて景品表示の適正化に貢献。このたびその功績が認められ、平成27年度「景品表示適正化功績者表彰」受賞の栄に浴した。
 川原氏に、協会を通じての景品表示適正化の取り組み、ならびに新しい段階に入った自社の成長戦略などについて話を伺った。(聞き手=福岡支局・菰田隆行)
◇   ◇
 ――景品表示適正化功績者表彰の受賞、おめでとうございます。
 「ありがとうございます。これは、ひとえに業界の皆様のお陰です。そもそもお客様が、過剰包装や内容の不備などで惑わされないよう、同業者が一体となって取り組むため、平成元年に当協議会が設立されました。そこから、協議会全体で適正化に取り組んできた訳ですから、今回の表彰も業界全体でいただいたようなものです。お陰様で、今ではそうした苦情やトラブルは、ほとんどありません」
 ――表示適正化の要点は。
 「それは簡単なことで、間違いのないようルールを守るということです。昔は辛子明太子に限らず、お菓子などでもいわゆる上げ底や、異常に大きな箱に中身が少し―といったものが多く見受けられましたね。しかし、それらも今はほとんど見かけなくなりましたし、つまり正しいことが当たり前になった。世の中の潮流がそうなってきたと言えます。ただ、どんなケースにも勘違い等による間違いは起きます。そのために発生するトラブルを未然に防ぐために、当協議会があるのです」
 「当協議会の設立当初には、規制することに一部の反発もありました。しかし、結果としては良かった。今後はもっと、当協議会の役割は大きくなると思います。なぜなら、情報の伝わり方が変わってきたからです。今ではパソコンや携帯電話で、トラブルの情報は即座に世間に広まります。一般消費者に誤解を与えると、当事者の企業だけでなく業界全体に影響が及びます。それを自主的に防衛するため、業界全体でリスク管理に取り組んでいるのです。辛子明太子は福岡・博多発祥で、協議会会員も大半が福岡県内ですが、北海道をはじめ全国にメーカーがあります。会員以外のメーカーにも理念が広がれば、業界全体の意識向上につながります」
 ――では次に、貴社の取り組みについて伺います。卸売りの新ブランド、『ふくのや』を立ち上げられました。
 「当社は直営店か通販のみでの販売でしたが、今後は百貨店や高質スーパーを中心に商品供給してまいります。今回、この『ふくのや』ブランドを立ち上げたきっかけは、今年3月に発売した『めんツナかんかん』でした。これは静岡県焼津の缶詰業者と組んで開発した、味の明太子の調味液を絡ませたピリ辛ツナ缶で、発売から30万缶を販売するヒット商品になりました。当初は自社のみで販売していましたが、先方の缶詰業者様からもあまりの美味しさに『売らせてほしい』という要望があり、卸売部門が必要になったのです」
 「また、辛子明太子は本来、ナマ物で日持ちがしません。販売先での冷凍・冷蔵の品質管理が万全でなければ、お客様にご迷惑をかけることになります。それは創業者で私の父、川原俊夫の意とするところではありませんでしたので、卸売りはしない―というのが当社の方針でした」
 「しかし、今ではどのような販売先でも、そうした品質管理体制は整っていますので、そのために卸売りをしないというのが理由にはならなくなりました。ただ、これまでに多くの百貨店からの『売らせてほしい』という要望をずっとお断りしてきましたので、あくまで『ふくや』のブランドでは卸売りをせず、ふくやと同じ作り方で同じ品質を保った商品を『ふくのや』という新ブランドで販売させていただくことになりました。『ふくのや』は、創業者・俊夫の半生を描いたドラマ『めんたいぴりり』の中での屋号でしたので、お客様にも親しんでいただけるのではないかと考えております」
 ――今後の成長戦略は。
 「売上の柱の一つであった中元・歳暮などのギフト需要は、若干減少気味です。かわって、『家飲み』などの自家需要や、ちょっとしたお土産に、という需要は増えています。百貨店やお土産品店で置いてもらうためには、辛子明太子のように消費期限の短いものは適していません。そこで当社では、日持ちがして、味のよいもの、そして明太子に関わるものを開発していく予定です。『めんツナかんかん』は、そのトップバッターとして大きく貢献してくれました。開発のアイデアは他にもいくつかありますが、最終的には品質と味です。若干高めの値段でも、『ふくやだから』と選んでもらえるような商品を創造していきたいと思います」
 ――ありがとうございました。
【2015(平成27)年8月3日第4812号15面】
 
株式会社ふくや http://www.fukuya.com/
 
 
 
新理事長に聞く 佐賀県漬物工業協同組合理事長 川原 啓秀氏
HACCPは必須の流れ
海外に漬物を広めたい
 佐賀県漬物工業協同組合では、本年5月の通常総会において、三木吾朗理事長が退任し、新たに川原啓秀氏(川原食品㈱社長)が理事長に就任した。川原氏は、4月まで九州珍味食品協同組合の理事長を3期6年務め、引き続き漬物組合理事長の要職を継承することとなった。川原新理事長に、漬物組合の現況、漬物組合とダブル加盟も多い珍味組合での活動の話題も交えながら、佐賀県漬物組合の今後について伺った。(聞き手=福岡支局・菰田隆行)
◇     ◇
 ――理事長ご就任おめでとうございます。漬物業界の現況について。
 「現在、漬物を含む食品業界の大きな流れとして、衛生管理面ではHACCPを取りましょう、という気運が高まっていますね。というより、もう取らなければいけない、という時期に来ていると思います。これまで6年間、珍味組合の理事長を務めさせていただきましたので、どうしても比較しがちになるのですが、珍味業界は衛生管理について比較的取り組みが進んでいました。当佐賀県漬物組合としましても、この流れに沿って皆さんに浸透させたいですね。消費者に安心して召し上がっていただける製品づくりを目指したいと思います」
 「もうひとつ、世の中の趨勢として、海外に販路を求める動きも活発化してきていますから、みんなで海外に出たいですね。それは、ただ展示会に出たり見聞を広めるといったことだけでなく、具体的な商売につなげたい。私の会社でも、オーストラリアやシンガポール、台湾と諸外国で展示会・商談会に参加し、ノウハウを蓄積してきました。漬物組合の皆さんにも、積極的に参加していただきたいと思います」
 ――海外での、漬物の可能性は。
 「絶対に通用するはずです。一汁三菜を基本とする和食の中では、漬物が大変重要な存在です。「スシ」文化は諸外国にも広がっていますが、海外産のネタが多く、中には日本人の我々から見ると首をかしげたくなるものも少なくありません。ぜひ、われわれが「本物」を持っていって、そのおいしさを諸外国の方々にも知っていただきたい。必ず本物のおいしさを分かっていただけると信じています」
 「そう思うのには理由があります。日本の食文化は、世界のトップレベルと言っても過言ではありません。素材の持ち味を生かし、鮮度を生かす…。その繊細な味わいをぜひ、世界に人々にも分かっていただきたいですね。素材の良さを引き出せば、負けるはずがありません。海外の食のレベルも、徐々に日本食に近づいてきています。だからこそ、そこにチャンスがあると思います」
 ――これからの漬物業界が向かう方向は。
 「漬物を含めた和食文化が世界に通用するかどうかは、それを諸外国の方々の口に合うよう、どうアプローチするかにかかっていると思います。県内では既に、酒粕や柚子こしょうをケーキの加工に利用するなど、様々な切り口で取り組んでいる企業があります。イタリアで開かれているミラノ万博では、前田元理事長が「相知高菜」を出品しておにぎりの実演をし、海外の方々にも大好評だったと伺っております。切り口は無限にあると思いますし、まだまだ伸びしろはあると信じています」
 ――最後に、組合活動のついて一言。
 「同業者企業の集まりである組合組織は様々な情報交換の場であり、協業のアイデアを出し合う場でもあります。佐賀県は農産物と海産物の業者が存在し、珍味組合とクロスする企業も多く、お互いに刺激しあう部分もあります。世界に目を向け、積極的に活動していきたいと思います」
 ――貴重なお話をありがとうございました。
【2015(平成27)年8月3日第4812号16面】
 
佐賀県漬物工業協同組合 http://www.maeda-shokuhin.jp/tsukemono-saga/
 
 
 
この人に聞く 関門食品株式会社 常務取締役営業本部長 半田 謙一氏
漬物の提供に工夫を
仮説を具現化、実行図る
 関門食品株式会社(福岡県北九州市小倉北区)では、今年6月に常務取締役の財木一臣氏が顧問に就任。代わって新しく常務取締役に就任した半田謙一氏に話を伺った。
 半田氏(昭和34年生まれ、56歳)は、福岡大学経済学部卒業後、同社のグループ会社である「サンリブ・マルショクグループ」に入社し、以来、衣料品のバイヤー、マネージャー・GMS店長・衣料商品部長など30数年間にわたってアパレル分野で活躍。異業種から見た別角度からの視点とその斬新な発想力で、漬物業界に新風を送り込む。
(聞き手=福岡支局・菰田隆行)
◇    ◇
 ――まず漬物について、どうお考えですか。
 「近年、食生活の変化によって、日本食には不可欠だった漬物を食べる機会が減っています。日本人の食生活は和食から洋食への構成比が高まり、和食の定番メニューであった、ご飯、漬物、味噌汁などの組み合わせメニューが減少し、パンやパスタ、ピザなどの洋食を食べる機会が増えています。今後は、私たちが製造販売している漬物をどのようにしたら洋食とも上手に組み合わせていけるかを考えなければならない時代だと思います」
 「例えばパン、パスタ、ピザなどに合わせた食べ方提案など、どうやれば食べてもらえるか。また、高齢者の方にとっては『漬物の塩分』は悪役のイメージが強いですが、塩分そのものが悪いわけではないと思います。誰でも同様ですが、歳を重ねると体力が弱り、過剰な塩分や老廃物を排出できなくなってきます。適度な運動やマッサージ、栄養バランスなどで血行が良くなれば、適度な塩分は必要だと思います。これからの日本人に必要なことは、バランスの良い食事を摂り、適度な運動によって、代謝が活発に行える体にしていくことが大切だと思います」
 「漬物も、塩分だけがクローズアップされがちですが、漬物の持つ良さをもっとアピールすることが大事です。夏場ですので梅干を例に挙げると、汗をかく夏場の塩分補給には最適です。また、梅干にはリンゴ酸やクエン酸など疲労回復や老廃物排出の効能もあると言われています。梅干をパック詰めだけでなく、個包装にして売場に置き、『疲労回復や塩分補給に一粒いかがですか?』とPOPを掲げれば、購入される人は増えると思います。私達が工夫して上手な提案が出来れば、まだまだ食べてもらえる可能性はあると思います」
 ――そのような発想はどこから出てくるのですか。
 「私には家族(妻と娘2人)が最良のモニターですね。最近では、梅干は昔ながらの酸っぱいものではなく甘めの味付けが多いですが、4~5%の塩分にハチミツで味付けしたようなものは、『従来の梅干ではなく、ある意味和菓子のようでお茶請けにも合うのでは?』というのも家族の意見でした。会議や集会で、お茶請けに個包装の梅干を配れば、おまんじゅうを出すよりよっぽどスマート。特に夏場は、ホテルでのウエルカムドリンクや会議などの際に提案しても面白いと思いませんか? 仮説は自由です。それを具体化し実行できるかどうかが、私達現場の仕事ではないでしょうか」
 ――アパレル業界と食品業界の違いをお感じですか。
 「食品業界は、商品動向の答えが早い事が一番の特徴ですね。アパレル業界はまずトレンドを把握し、販売計画を立て、商品の仕入れ、提案を行ない販売を実行します。食料品も同様に、販売計画を立てて提案を行い販売します。売場に陳列するまでの過程はほぼ一緒でも、食料品は売場に置けばすぐ結果が表れることが、長年、衣料品に携わってきた私にとっては羨ましいことでした」
 「一方で、答えがすぐ表れる分だけ提案が弱いかなと感じることもありました。また、漬物業界に異動してきて感じたのは、売場に季節感があまりないような気がします。陳列の仕方も大差がなく、どこの店を見ても同じように見えてしまいます。しかしそれは、商品の特性上、包材のデザインや売れ筋も決まっているからなのでしょう。仕方のない部分も多いかもしれませんが、時代は確実に変化していき、それに対応していくことも必要だと思われます。また日本には四季があります。季節ならではの旬の食材なども多くあります。是非四季の提案強化はしてみたいですね」
 ――漬物の売り方にも変化が必要ですか。
 「衣料品は、陳列の仕方にこだわります。各年の商品の見せ方や売り方の工夫が、売上に大きく影響します。漬物は、同じような見え方になるのであれば、お客様に選んでもらうためには何をどうすれば良いのか? しっかりとした提案ができれば、きっと売れるはずです。何をどうアピールするのか、私達の提案力を磨くことが必要だと思います」
 ――漬物業界の未来は。
 「私自身この業界は初めてですし、まだ、充分な知識も持っていません。今後、皆様に様々なことを教えていただきながら学んでまいりたいと思います。しかし、食料品でも衣料品でも販売の基本は変わらないと思います。これからますます食の形態も多様化してくるはずです。高齢者は、健康志向や栄養バランスの良い惣菜セットなど、身体に良い物を選択することが増えてくると思われます。また、今後、海外からの旅行者も増えてくるでしょうし、外国でも和食は人気になっています。一方で高齢者は増えてきますが、食べる量が多いのはやはり若い世代の方達です。その世代へは、パンやパスタ、ピザなどと合わせた食べ方の提案も必要です。今後、栄養士や消費者の方にモニターになって頂き、漬物をどうすれば美味しく食べていただけるのか、若い世代の方達への食べ方提案など…。いろいろな意見を聞いて仮設を立てていければ、アイデアも出てくるはずです。こうしたことに業界全体で取り組んでいければ、漬物も決して『衰退』という文字だけではなく、『新しい未来』という文字も、私には強く感じられます」
 ――貴重なお話をありがとうございました。
【2015(平成27)年8月3日第4812号16面】
 
関門食品株式会社 http://www.kanmon-s.co.jp/
 
 
 
第2回漬物製造管理士技能評価試験 合格者インタビュー
河野食品・河野大輔氏
 本年3月に実施された、平成26年度「第2回漬物製造管理士技能評価試験」において、九州からは1級3名、2級6名、3級6名の計15名が合格した。合格者に勉強方法、試験についての感想など話を伺った。
【質問内容】①生年月日、出身地②学歴・職歴、入社歴ほか③試験に向けての勉強時間④試験で大変だったところ⑤試験を通じて得たこと、活かしたいこと⑥どんな人に試験を受けてほしいか―など。
【2015(平成27)年8月3日第4812号】

【1級合格者】
 河野食品株式会社専務取締役・河野大輔氏
 ①昭和50年4月15日生まれ、40歳。②福岡大学工学部卒後、すぐ家業に入社。③テキストは3回以上読んでいる。帰宅後の寝る前とか、出張で移動中の交通機関など、時間があれば開いた。④学科は上手くいったと思う。自社は高菜漬だけだが、他の漬物は一括表示の内容が違うので戸惑った。ただ、スーパーに行けば袋をひっくり返して表示を見たり、自分の分野以外の商品も見るようにしていた。日々の積み重ねが功を奏したと思う。ただ、機能性成分の問題はちょっと勉強不足だったので、書けない問題もあった。実技は日常現場に入っており、包丁の扱いや衛生管理など、普段やっていることだったので、しっかりやれたと思う。⑤試験合格後に出展した展示会では、商品の陳列と一緒に認定証をディスプレイした。また、「1級管理士が作る、安全安心こだわりの高菜漬」と書いたPOPも作成し、順次取引先に提案している。⑥大人になってテストを受ける機会はそうそうないので、どんな人にも有益だと思う。ただ、受かる受からないの問題ではなく、勉強する機会ができることと、そのプロセスが大事。なにより意識付けが大切だと思う。
 
 
 
太陽漬物・上田純市氏
【2級合格者】
 株式会社太陽漬物技術製造部・上田純市氏
 ①昭和62年12月8日生まれ、熊本県松橋町出身、27歳。②鹿児島大学大学院卒、入社5年目、独身。接ぎ木などで果物を育てるのが趣味。③テキストを3回は読め、と言われていたが、2周目までで終わってしまった。休みの日などに集中して勉強した。④実技で持参した包丁が、少し錆びていたので減点されたのが残念。ただ、工場の管理を実務でやっていたので、その点はあわてずに済んだ。実技の課題は一度失敗したが、落ち着いてやり直して時間いっぱいにできたので良かった。⑤テキストでの勉強は、知識として頭に入ってきた。そのお陰で、実務でやっていた部分が、それまで点だったのが線になってつながった。また、会社で決められたルールの理由付けがしっかりできるようになり、目的が理解できるようになった。⑥製造にたずさわる人にはぜひ、受けてほしい。自分自身が、受けてみて大変ためになる部分が多かった。
 
株式会社太陽漬物 http://www.taiyo-t.jp/
 
 
旭食品工業・鶴貴志氏
 旭食品工業株式会社・鶴貴志氏 ①昭和54年2月16日、みやま市瀬高町生まれ、36歳。②第一経済大学経済学科卒、食品会社勤務を経て入社。女児1人、男児2人の父。③試験前の1カ月ぐらい、仕事が終わってからと休みの日に、集中して勉強した。④筆記試験の、塩分が何%になるかとか、もともとあまり数字に強い方ではないので戸惑った。漬物の歴史についても、普段あまり知らないことなので覚えるのが大変だった。実技も難しかったが、昨年3級を受けて2級にステップアップするため、情報を集めたり予習をしていたので、うまくできたと思う。⑤衛生管理の手法などは、普段が製造現場に入っているので応用できると思う。⑥漬物業者の社員はもちろん、一般の漬物好きの人にも開放されれば、野菜ソムリエのように裾野が広がり、業界の底上げになると思う。
 
旭食品工業株式会社 http://www.asahi-food.com/
 
 

インタビュー 2015(平成27)年7月

インタビュー 2015(平成27)年7月
 
新理事長に聞く 紀州みなべ梅干協同組合理事長 杉本 宗一氏
品種登録で50周年
製品開発、PR更に促進
 ――新理事長ご就任おめでとうございます。みなべの梅干組合では、前任の小山豊宏理事長時代に梅の需要拡大を図るため和歌山工業高等専門学校(御坊市名田町)と共に「感性工学」などの手法を使って開発した紀州南高梅を原料としたゼリー飲料の新製品「梅アクティーボ」を開発され、10万袋近い実績に近づいていると聞いていますが、状況を。(藤澤泰隆)
◇    ◇
 杉本宗一理事長(以下、敬称略で杉本)かねてより、梅需要の拡大を期し、県の助成を受けて「県特産品への感性価値付与検討研究会」が取り組み開発したものです。
 ――「梅アクティーボ」は、名称にも「元気が出る」という意味のスペイン語が使われるなど、随所に感性工学の斬新さが取り入れられていますが。
 杉本 製品開発は2年前から取り組み「喉ごし爽やか元気いっぱい」という基本コンセプトを決め、原料となる梅肉エキスや梅果汁、梅酢などの配合割合を変えた試作品を作り、感性工学の手法を使って分析しました。最もコンセプトに合うものを見つけ製品化につなげました。
 ――このような手法は非常に珍しく、生産が間に合わない位の状況と聞きますが。
 杉本 委託先の組合員を通じ適切に対応頂いておりますが、通販等で多くの組合員の採用が始まりましたから。
 ――今年は秋に和歌山国体もあり、スポーツイベントも盛んですから、手軽に摂れる梅ゼリーにはなお、一層人気が高まりそうですね。
 杉本 夏の熱中症予防にも効果的です。何しろ希少な梅エキス、紀州南高梅由来の梅酢、クエン酸1400㎎配合など、梅独特の酸味で疲れた体をリフレッシュできますので、是非とも多くの人に飲んで頂きたいですね。
 ――地元のみなべ町では、6月の「梅の日」に小谷芳正町長が国体リハーサル会場で「梅で健康のまち宣言」を行いました。また、おにぎりギネスへ挑戦し、レコードを獲得するなど、みなべ町の主要産業である梅を通じての活性化に行政、農業、産業一体での取り組みを強化されておりますが。
 杉本 小谷町長も梅の日の奉納で方針を語られましたが、梅は疲労の回復に繋がるクエン酸を含み、これが町の医療費を県下最低に押し下げていることや長期入院者の少ない事に繋がり、健康長寿を支えていることは確かです。このように梅のお陰で健康長寿が実現しています。この良さを多くの全国の方々にPRして行く事も組合の役割だと思っております。
 ――今年は、「南高梅品種登録50周年」の節目であり梅での世界農業遺産取得実現も年内に期待されています。これらを起爆剤に梅需要の拡大を図らなければなりませんね。
 杉本 今年も梅の漬け込みが終了しました。みなべと田辺の産地では、若干作柄に違いがありますが、不作傾向だけに、少しでも在庫が捌け、農家の実入りの良い相場形成のためにも、需要の拡大に繋がるPRに積極的に取り組んで参ります。
 ――貴重なお話を有難う御座います。
【2015(平成27)年7月27日第4811号2面】 
 
紀州みなべ梅干協同組合の加盟社一覧 http://wakayama.tsukemono-japan.org/list_minabe.html
 
 
新理事長に聞く 山梨県漬物協同組合 理事長 長谷川 正一郎氏
 甲州小梅を積極PR
 山梨で「梅干し展」開催へ
 山梨県の特産品のひとつに甲州小梅がある。山梨県漬物協同組合の新理事長に就任した長谷川正一郎氏(長谷川醸造株式会社代表取締役社長)に甲州小梅の現状と今後、組合活動について聞いた。
 ――就任の経緯は
 「昨年までは佐久間一壽前理事長の下で、副理事長をやらせていただいた。佐久間前理事長は3期6年、やっていただいた。私は組合員でも一番、若いので、また、若い人が組合に入ってくれるまで頑張っていきたい、と考えている。山梨県の組合は風通しもいいので、意見を出し合い、まとまっていきたい」
 ――就任して2カ月が経った
 「就任前に、理事長になったら、あれをやろう、これをやろうというのは特には思っていなかったが、責任感を感じるようになった。一番は甲州小梅のブランド力を上げる、ネームバリューを上げることを強く感じている。山梨県は小梅の生産量が日本一であることを世間の人は知らない。業界の中でもあまり、言わない。それを積極的に、PRしていきたい」
 ――小梅の出荷金額は落ちた
 「山梨はブドウの生産量も日本一でワインの生産も日本一。20年前にワインの出荷金額は100億円だった。当時、小梅の出荷金額も70億円あった。ワインに負けないように頑張ろうとしたはずなのに、20年経って、ワインは300億円になったが、甲州小梅は10億円まで落ちた。メーカーも確かに悪かったが、山梨県にも協力していただきたい。それを今までは、私が話すと個人的な話になっていたが、今は理事長として県に話せるので、いいポジションになったかなあ、とは思う」
 ――組合事業は
 「昨年、『梅太郎』という冊子を作った。今年、どう配布していくか、を検討している。まずは、山梨県の小学校の図書館に置いてもらう方向で進めている。もうひとつは、今年、大阪で開催された『にっぽんの梅干し展』を山梨県に招致したい、と考えている」
 ――「にっぽんの梅干し展」とは
 「数年前に、そういう展示会をやっているのを知り、私が関係者に連絡し、親交ができた。全漬連の梅部会でも関係者を紹介し、山梨県の組合でも話し合い、展示会をやりましょう、ということになった。梅干を楽しみ、味わい、体験する内容だが、山梨でやる時は小梅についてやってみたい」
 ――ブランド力を上げるのは難しい
 「やはり、小梅は山梨県が生産量一番であることをPRすることだ。梅と言えば、紀州和歌山とインプットされているが、小梅も和歌山と思っている人が多い。全面に出していきたい」
 ――原料面での課題は
 「生産量自体は4000㌧ぐらいあったものが、1000㌧ぐらいまで減っている。ただし、原料は足りなくて困っているわけではない」
 ――消費量も減った
 「これまでは、弁当に一粒、小梅は入っていた。ご飯を傷めない、という効果があったからだが、最近では弁当も梅を入れなくても傷まないようになっている。小梅が入る弁当も必要だ。さらに弁当が洋風化、丼(どんぶり)化している。食生活の変化で、大きな影響を受けている」
 ――小梅の今後は
 「2年前に和食が無形文化遺産に登録された、それは輝かしいことだが、実は和食が絶滅危惧種だから守ろう、大事にしましょう、ということ。日本では和食を食べる機会は減って、世界ではブームになっている。和食は身体にいい。その中でも梅も健康食品だ、ということは日本の人は知っているが世界の人は知らない。それが世界にアピールできれば、消費量も上がるのではないか。農水省の地理的表示保護制度も組合で活用したい」
【2015(平成27)年7月27日第4811号16面】 
 
山梨県漬物協同組合 http://www.h6.dion.ne.jp/~yamatuke/
 
 
組合長に聞く 霞ヶ浦北浦水産加工業協同組合 代表理事組合長 戸田 廣氏
 霞ヶ浦のブランド確立へ
  消費拡大で水揚げ増やす

 霞ヶ浦は全国の湖で2番目の水域と屈指の漁獲高を誇る。水域で獲れた魚介類を利用した佃煮、煮干などの加工食品は同地域における伝統的な食文化であり、最も重要な産業のひとつだ。そのまとめ役として活躍する霞ヶ浦北浦水産加工業協同組合の戸田廣代表理事組合長に組合の現状や取り組みについて話を伺った。
(高杉直起)
◇     ◇
 ――21日にワカサギ漁が解禁されます
 試験操業の結果では白魚、ワカサギは豊漁、魚体も良いとのことです。ワカサギは近年、霞ヶ浦に年間に300㌧から500㌧しか生息していなかったため、数量的に需要と供給のバランスが取れていました。それがこのところの豊漁で1000㌧から2000㌧となってきて、漁師の後継者を増やすためにも、我々が拡販して、水揚げ量を増やさねばならないと考えています。収入が多ければ、例えば脱サラして漁師になる人も増えるわけで、漁師の後継者の育成も我々にとって重要なポイントです。自社ではワカサギを霞ヶ浦産にシフトする方針を打ち出しました。一昨年から始まって、去年は20㌧作って市場に出しましたが、非常に評判が良いです。
 ――組合の現状について
 福島原発事故から4年が経過し、風評被害を払拭すべく、引き続き霞ヶ浦の魅力を発信する取り組みを行っています。各企業の構成も様々で、商品も複雑多様化している中、組合全体でどう調和をとって、未来を切り開いていくかが一番の課題です。霞ヶ浦のブランドを前面に出し、最大の特長である生の小魚を使用した『生炊き』を武器にしたいと考えています。
 ――具体的な取り組みについて
 東京にある県のアンテナショップ「茨城マルシェ」で月に一度、加工食品を紹介するイベントを一年半ほど続けております。25日にはワカサギ解禁に合わせてワカサギの煮干の試食販売をやります。組合と町と県が力を合わせた取り組みです。これらの活動を通して、今年は霞ヶ浦のブランド確立へ新たなスタートにしたいと思います。
【2015(平成27)年7月27日第4811号13面】
 
 
新理事長に聞く 大阪府漬物事業協同組合 理事長 松下 修氏
 漬物需要 安全安心期し拡大
  製造管理士は全員取得へ
 ――5月の総会で新理事長にご就任以来、2カ月余りを経過しましたが。
◇    ◇
 松下理事長(以下、敬称略で松下)皆様の推挙により、理事長に就任いたしました。甚だ力不足でありますが、任期満了まで精一杯努めたいと思っております。前任の谷野前理事長は2期4年ご苦労様でした。前任の二人の理事長に付いて頂き、ご苦労も多かったと思いますが、谷野氏は大阪特産漬物の水なす漬の育成、PRにご尽力を賜り大阪業界の基盤を築いて頂きました。また、新しい名産づくりのために天満菜の事業を推進し、部会を立ち上げ、水なすに続く特産品づくりに尽くして頂きました。組合活動では、青年部より副理事長を任命して頂いて、若返りを図って、その芽を育成したのも谷野氏の功績です。
 ――業界の直面する課題への対処を。
 松下 色々な業界が、少子高齢化社会の到来などで厳しい現況にあります。特に、漬物業界では、平成24年、北海道・札幌におけるO157事件により、白菜の切り漬で169名の患者と8名が亡くなりました。我々は、大いに反省しましたが、そこから漬物離れが起こったのではないか、と見ています。そこで、消費者は何を望んでいるのか、私の考えるところでは安全安心な商品である漬物を求めています。当たり前のことかも知れませんが、本当にそうだと思います。全漬物事業者が安全安心の漬物造りをすることが一番です。
 ――その思いを実行するために、昨年に引き続き関漬主催、大阪主管で6月に衛生講習会を開催しましたが。
 松下 大阪府並びに全漬連等から講師を招聘して行った。100名にも及ぶ出席者が近畿ばかりか中四国から来場し、大きな成果を挙げた。同時に、食品表示に関しても研修しました。このような機会を捉えて、安全安心の意識を一層高めなければならない。
 ――商流の変化が大きい時代ですが、認識を。
 松下 流通業に於いては大手量販店の寡占化、合同合併がある。流通の変動変革が著しいが、我々漬物業界においては、そこまで行っていないのが現状だ。大事なのは、何をやらなければならないか、だが、それから行くと、本当に消費者が望むようなものを一つでも創りあげて行く事が我々の仕事だ。当組合でも、新しいものとして天満菜で頑張っている。大阪府の協力の下、優良母本の選抜、天満宮への奉納、そして、事業としての貝塚地区組合員による漬け込み、そして、組合有志への配荷と今まで、ここまで出来なかったことが、皆様の力をお借りしながら新しい事業として実現した。このような事例を進めて行くことが大事だ。また、昨年からの事業である漬物製造管理士技能試験は、関漬主催で実施頂いているが、1~3級を組合員全部が取得している形になるように推進して行きたい。特に今回、副理事長に就任頂いた、俣野貴彦、長谷川豊光、山本善康の各氏の力をお借りして一歩でも二歩でも前へ事業が進むように、任期を精一杯努め、業界の発展を図って行きたいので、各位のご指導ご鞭撻を宜しくお願いしたい。
 ――貴重なお話有難う御座いました。(藤澤泰隆) 
【2015(平成27)年7月20日第4810号7面】
 
大阪府漬物事業協同組合のHPは→こちら
 
 
宮崎県は九州最多 第2回漬物製造管理士技能評価試験 合格者インタビュー
 本年3月に実施された、平成26年度「第2回漬物製造管理士技能評価試験」において、宮崎県からは九州全体の合格者全15名(1~3級)のうち、実に半数以上の8名が合格した(1級2名、2級2名、3級4名)。昨年も3名(2級2名、3級1名)が合格しており、これで同県からの合格者は11名。漬物王国としての面目躍如といったところだ。今回の合格者から休職中の1名をのぞいた7名と、昨年の合格者1名に、試験についての感想などを伺った。(順不同)
【質問内容】①生年月日、出身地②学歴・職歴、入社歴等③試験に向けての勉強時間④試験で大変だったところ⑤試験を通じて得たこと、活かしたいこと⑥どんな人に試験を受けてほしいか―など。
【2015(平成27)年7月20日第4810号6面】
  
【1級】有限会社都農農産加工工場・大久保光氏
 ①昭和55年12月29日生まれ、34歳。宮崎県延岡市。②建築関係の仕事を経て、入社3年目。③畑違いの仕事をしていたので、入社してからずっと漬物関係の本を借りて勉強していた。④法律関係の問題と、食品成分についてはカタカナが多くて頭に入っておらず、全く書けなかった。⑤努力の成果が形になったのが嬉しかった。ただ、本当に形として見えてくるのはこれからだと思う。⑥製造現場の人は、受けるだけで勉強になる。もちろん受かる方が良いが、受験することで勉強するきっかけになる。その知識が、現場では必ず生きてくると思う。(写真左から2人目)
 
有限会社都農農産加工工場 http://www.foodoc.jp/yasashii-shoku/tsunounousan/
 
 
 
【1級】佐藤漬物工業株式会社専務取締役・佐藤仁氏
 ①昭和50年7月生まれ、39歳。②経営系の専門学校卒業後「小僧寿し」に入社し、3年間在籍。家業へ戻って17年目。③本格的に勉強を始めたのは2月に入って、昼休みなどに時間があればテキストを開いた。④筆記はほとんどできず、受かったのが不思議。⑤従業員にきちんと説明できるようになった。元になる知識があると、指示の仕方も変わってくる。⑥パートの主婦でも、試験を受けて漬物の歴史などがわかると、取り組みが違ってくると思う。(一部既報)
 
佐藤漬物工業株式会社 http://www.satotukemono.com/
 
【2級】道本食品株式会社品質管理室・宮崎達雄氏
 ①昭和51年11月18日生まれ、39歳。宮崎県宮崎市。②宮崎大学農学部卒、入社9年目。③試験1カ月前から1日1時間、休みの日は4時間くらい勉強した。④○×問題の答えに確信が持てなかった。実技は、ともかく作業指示書に書いてあるとおり実行しようと思い、問題を何度も読み返した。どの作業にどの器具を使用していいか、どの器具を洗ってアルコール消毒すればいいのかに迷った。⑤漬物の歴史や干し沢庵以外の漬物について学ぶことができ、勉強になった。また、微生物制御や分析法、計算方法についても復習することができたので、これからの商品開発・品質管理に活かせると思う。⑥開発や品質管理の担当者はもちろん、製造や営業部門の方にも受けてもらいたいと思う⑦番外質問=全漬連総会でトップ合格者として表彰された時の感想は? →周りは偉い方ばかりでしたので場違いな場所に来てしまったと感じましたが、今まで表彰された経験がなかったので、大変嬉しかったです。
 
【2級】道本食品株式会社開発・品質管理室室長・濱田良一氏
 ①昭和35年7月21日生まれ、54歳。宮崎県延岡市。②大卒後、漬物会社入社。20年以上勤務して転職し、入社4年目。③3カ月ほど前から、休み時間や仕事を終えて勉強。④実技は経験あったが、計量器やカップなどの道具に制約があったのが大変だった。⑤長く業界でやってきたが、改めて正確な知識を得た。裏付け、ベースになる部分が身についた。後輩にも、きちんと伝えることができるようになったと思う。⑥営業の人が試験を受ければ、流通バイヤーの人に説明できるようになる。製造現場の人は、法律が変わった時の対応ができるようになる利点があると思う。
 
道本食品株式会社 http://www.hinatazuke.co.jp/
 
 
【3級】株式会社上沖産業製造部統括部長、品質管理室長、開発課・福園重久氏
 ①昭和36年2月11日生まれ、54歳。宮崎県小林市。②高卒後、漬物会社勤務を経て、入社13年目。5人の娘、5人の孫。③週2回、仕事が終わってから試験を受ける者が集まって勉強会を開いた。また、昼休みには実技試験対策として、材料の刻み方、まな板の洗い方など衛生面の管理手法を学ぶ勉強会も開いた。④覚えることが多く、なかなか頭にはいらなかった。実技は経験があったが、問題文を読んでイメージし、実際に行動に移るまでが大変だった。⑤漬かる原理などが勉強できたのは良かった。塩度の計算とか、社員に教えるベースになるものができた。⑥仕事で覚えるのと、試験を受けるために勉強するのとでは、明らかに差が出てくる。当社では今後も、計画的に社員に検定試験を受けさせる予定。(写真左から2人目)
 
【3級】株式会社上沖産業・有村寿洋氏
 ①平成3年1月26日生まれ、24歳。宮崎県高城町。②高卒後すぐ同社に入社、6年目。独身、彼女募集中。④筆記は前回合格したので、今回は実技だけ。前回は短冊切りの幅と長さを取り違えて不合格となったので、しっかりと予習して備えた。⑥若い人にも勉強して、チャレンジしてほしい。(写真右端)
 
【3級】株式会社上沖産業・髙道諒輔氏
 ①平成3年12月10日生まれ、23歳。宮崎県三股町。②高卒後すぐ同社に入社、5年目。独身、彼女募集中。④歴史と計算問題が大変だった。実技が前回失敗したので、切り方の種類などいくつも練習して、今回リベンジできた。⑤計算問題の予習で会社の人に教えてもらったのは、これからも役に立つ。浅漬らっきょうの担当で、塩度と殺菌については完璧にこなせるようになった。浅漬の味に関してクレームが来なくなったのが嬉しい。⑥今回、上司の福園部長と一緒に受けたが、ぜひ管理職の人にも受けてほしい。とにかく、勉強の大変さを実感してほしいと思う。(写真右から2人目)
 
【3級】株式会社上沖産業・岩﨑一也氏(第1回合格者)
 ①昭和47年6月6日生まれ、43歳。宮崎県都城市。②高卒後、漬物会社勤務を経て同社へ入社、5年目。娘2人。④テキストを読んで覚えるのが大変だった。普段の仕事と照らし合わせて再確認した。実技は緊張して、問題文の内容が全く頭に入ってこなかった。⑤他の会社の人と一緒に試験を受け、同じ目標に向かっているんだという刺激を受けた。業界全体がレベルアップしていけば良いと思う。⑥それぞれ得意な分野があると思うが、違う知識を得られれば仕事の幅が広がるので、あらゆる立場の人が受けられると良いと思う。(写真左端)
 
株式会社上沖産業 http://kamioki.shop-pro.jp/
 
 

インタビュー 2015(平成27)年7月20日号まで

インタビュー 2015(平成27)年7月20日号まで
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オギハラ食品株式会社 品質管理部・田畑真弓係長
2015-07-20
 本紙の人気企画「漬物ウーマン」にも登場した、同社品質管理部の田畑真弓係長は、本年3月に行われた「平成26年度漬物製造管理士技能評価試験」でみごと2級に合格。以下は、田畑係長との一問一答。(敬称略)
 ―勉強時間はどれくらい?
 田畑 週末、主人に子供を預けて実家に帰り、5~8時間ほど勉強しました。昔使っていた勉強机に向かって、学生気分を思い出しました。
 ―試験で難しかった点は。
 田畑 漬物の歴史は、どの範囲まで勉強して良いのか判断しにくかった。実技は、見られながらやるのは初めてだったので緊張し、周りの人が早く終えたので焦ってしまいました。
 ―試験で得たことは。
 田畑 知識を得たことの証明として、第三者から認められたことが大きいと思います。普段の仕事でも、例えば臭いがするのはこういう理由だからなど、説明がしやすくなった。他の社員にもいい刺激になっていると思う。
 ―どんな人に試験を受けてほしいか。
 田畑 どう漬かるかなどは製造現場の人、漬物の歴史等は営業の人など、必要な知識は違うと思いますが、それぞれの立場で役立つ内容だと思います。漬物に関わるすべての人々に受けてほしいと思います。
 
オギハラ食品株式会社 http://www.ogihara-foods.co.jp/
 
 
理事長に聞く 滋賀県漬物協同組合理事長 金井 長光氏
2015-07-06
「近江漬物」ブランド確立へ
 産官学で商品開発
 滋賀県漬物協同組合の金井長光理事長に組合の現状や取組み、「近江ブランド」推進の動きについて聞いた。(高杉直起)
◇  ◇  ◇
 ――組合の現状は
 近江の伝統野菜に目を向けながら、伝統的な技法による、あるいは今の世代に合った新たな技法を用いて、漬物業界を盛り上げるような取り組みを各組合員がやっていけたら。また、「京近江」というような形で世に出ることも多いが、地元の食材を地元で漬け込んでいく中で、「近江漬物」というひとつのブランドを確立させ、認知度を上げていきたい。
 ――「近江ブランド」推進の動きについて
 「近江ブランド」といえば近江牛や米、お茶などが確立されているが、滋賀県の三日月知事にも「そこにお漬物が入ってきてほしい」とはっぱをかけられている。県の方からも事業化に向け、予算化して頂いた。今年がその一年目として、「近江漬物」のPR活動を強化していきたい。
 ――外国人観光客の増加について
 東南アジアの国々でも高菜やすぐきのような乳酸発酵の漬物に近い食品があることもあり、漬物を認知して頂いている外国人の方は意外に多いと感じている。商品の販売に関しても、外国人の方が分かりやすいように少なくとも英語、韓国語、中国語の三カ国語ぐらいは商品紹介など作っていかねばならないのではと考えている。
 ――組合として新たな取組みについて
 今年から滋賀県に新設された龍谷大学農学部とのコラボを打診しており、勉強会を開催していくことが決まっている。組合はじめ大学生や農家など、産官学を巻き込んだ商品作りを考えている。伝統野菜になるのか、新品種として滋賀県の新しい食材を作るのかはこれからの話となるが、学生さんの発想を取り入れながら、12の漬物屋が知恵と汗をかきながら味付けや製法について話し合い、新しい近江の漬物を作りたい。皆が満足でき、同じレシピ・商品名で販売まで踏み切れたら。クリアせねばならない課題は多いが、大きな挑戦となる。
 
 
新会長に聞く 飯田漬物協会 会長 稲垣 勝俊氏
2015-07-06
地元での需要増やす
価値高めるのは熱意と汗
 飯田漬物協会は5月21日の定期総会で新会長に稲垣勝俊氏(丸昌稲垣株式会社社長)を選出した。営業出身で、アイデアマンとしても知られる稲垣新理事長に今後の協会の活動などについて聞いた。
◇   ◇   ◇
 ――組合事業について
 「県でやること、市でやること、企業でやることを棲み分けして、飯田漬物協会の予算の中の事業規模で、会員に還元できる事業をしていきたいといろいろと考えている。会員数も減っており、賦課金収入も減っている。これまで3年間、やってきた収益事業は続ける。秋に各会員企業の社長さんが店頭に立ち、即売会を実施する。これは地域の方々に、飯田にはこれだけの漬物屋さんがあって、これだけのものを作っている、ということを知っていただく、という効果も狙っている」
 ――春には経営者講習会で輸出について学んだ
 「今回は表示法について勉強したかったのだがタイミングが合わず、販路開拓についてクールジャパンの関係者から話を聞いた。結果的には中身のある内容になった。表示法は県の事業で講習会に参加したい。この地域の強みを生かした事業は今後もやっていきたい。他のエリアに比べれば、飯田の会員は競合している部分が少ないので、仲がいい、と思っている。先輩の時代から競合より、協力してきた関係が構築されている。小規模ながら効果的な事業はできていくと思う」
 ――課題は
 「野沢菜漬と小梅漬の消費量が減っているのは、大きな課題。まず、小梅については収量と単価ばかりに目がいって、販路についての議論がなされていない。受け身の状態だと思う。食べるシーンを考えないと。新規開拓、新しい需要を創造するしか、道はない。プロダクトアウト=作ったから売りましょう、になってマーケットイン=市場が欲しがっているから作りましょう、ではなかった。そのマーケットと言う言葉を消費者ではなく、スーパーマーケットのバイヤーさんにはき違えている部分もある」
 ――野沢菜漬は
 「全国の野沢菜漬の半分以上の出荷量を占めているとはいえ、地元の消費が増えていないから、説得力がない。飯田の中で野沢菜を食べる習慣を増やし、有名なメニューを作ることでブランドになる。他県に営業にいった時、飯田の野沢菜漬ということで価値が生まれてくる。原料も差別化できない、調味料もほぼ同じ、輸送費も変わらない状況で、商品単価の数円の差で争うより、飯田の野沢菜をブランディングして、高く売れる商材です、ということをアピールしていったほうが、みんなのためになる。お金をかけないで価値を高めるのは、我々の熱意と汗だと思う」
 ――他の組合に比べても積極的だが
 「飯田の協会の活動を見て、ほかの地域の組合もまとまってくれれば相乗効果も生まれる。ほかの組合の活動を批判するのではく、刺激を受けることで、農家の収入も上がってくる。お客様が買っていく基準を今はメーカーが打ち出せず、価格しかない。その基準を我々が作っていきたい。パック数を増やしたい。それは価格勝負では無理だろう」
 ――人手不足は
 「リニアの工事が始まり、人が取られている。人材確保は我々の業界には厳しい状況で、今後も続くだろう。ただし、入ってくる人は増えているので、外食や弁当も増え、そちらへの供給で利益につながっている面もある。この機会にご当地鍋を普及させる計画もある。飯田は焼肉の町なので、焼肉店でやってもらえないか、考えている。豚肉に、高野豆腐や野菜を入れて、上に野沢菜を乗せる。他県から仕事で訪れた人が飯田でその鍋を食べて、地元に帰って、また、広めてくれれば。B-1グランプリみたいな広がりもできるかもしれない」
 
 
浅漬キムチ3大インタ 東海漬物株式会社 常務取締役・原料部部長 杉田 彰治氏
2015-06-29
お客様と生産者の声を聞く
原料確保は永遠の課題
 東海漬物株式会社(大羽恭史社長、愛知県豊橋市)は7月上旬から「こくうまキムチ」の増量セールを実施する。漬物業界にとって原料確保が大きな課題になっている現在、原料への考え方などを、同社の常務取締役で原料部部長の杉田彰治氏に聞いた。
 ――白菜について
 「私どもは業界の皆様に比べればキムチの経験は浅い。私が原料の担当になった時はまだ、キムチは始まっていなかった。白菜は海外からも入ってきたが、漬物に原料原産地表示が導入され国内産に切り替える流れになった。私どもの『こくうまキムチ』は発売当初より国内産です。お客様のニーズに応えることが我々の仕事ですから」
 ――産地について
 「日本は南北に列島が長いから産地リレーになる。秋冬の白菜はどの県でもできる。春は関東圏、とくに茨城県をやる。そして、夏は標高差を利用して長野県の高原ものを使う。そして、秋冬の平地のものに戻る」
 ――どれくらいの量を使うのか
 「一般論から言うと、白菜の出荷量は年間70万トン強ぐらい。茨城県と長野県で年間の50%強を出荷する。夏は鍋用などが少なく、加工用のものなので、ほとんどが漬物にまわる」
 ――加工工場は
 「夏の白菜として北海道の原料に取り組んだこともあるが、工場まで遠距離ということでなかなか難しい。大消費地のそばの県ではJA全農のみなさん、農家のみなさんが創意工夫をなさって消費地に生鮮野菜を届けている」
 ――原料確保の課題は
 「大きな流れはふたつある。ひとつは天候要因。もうひとつは農家の高齢化と、海外からの技能実習生制度。後者は克服できていく、と考えている。農業は狩猟と違い、定住して同じ地域で効率化を求めて再生していく。その基本は暦だが、それが今、狂っている。そこは永遠の課題だと思う。キューちゃんの原料はラオスのものも使っているが5月下旬で雨季に入っているはずが気温は40度に上がり雨が降らなかった。世界的な問題です」
 ――キューちゃんの原料について
 「まだ中国の原料が多いが、6年ぐらい前からラオスでの産地開発を行っている。海外の原料は日本人向け、日本仕様のものができるまでに2、3年はかかる。現地にあるものを購入して加工するのではなく、栽培するところから取り組みます。製販はいろいろな角度で考えなければならないので、将来的には他の産地も探していかなければならない」
 ――原料を選ぶ時のこだわりについて。東海スタイルはあるのか
 「我々は生鮮野菜に関しては、経験は浅いので、農業法人の方にお任せしている部分が多い。JA全農さんのお力もお借りしてやっています」
 ――工程は
 「白菜は中間保管の段階で仕入れ倉庫に冷蔵保存していただいている。そこから保冷車で工場に入れ、工場の冷蔵庫で品温を低く抑えるが、せいぜい置いて1日半から2日しか保管しない。そのサイクルでないと、我々が望む品質の製品はできない。本漬の塩蔵原料の長期保管は可能だが」
 ――今回のキャンペーンについて
 「長野の高原白菜は日中と陽が沈んでからの気温差が出るのがおいしい理由のひとつ。今のところは順調で、増量キャンペーンも予定通り、実施させていただく。いろいろな調査で、長野県にはみなさん、いいイメージを持っている。今回、産地の写真を初めて使わせていただいた。地元の生産者のみなさまも、ここまでやってくれるのなら、と私どもを応援してくださる」
 ――今後の原料について
 「農業は国を挙げて大きな仕掛けをしていくものとして、原料については考えていかないといけません。私どもにはそんなに力はありませんが、ひとつの企業が旗を振っても限界がある。生産者の声を聞き、お客様の声を聞きどういう目標をもってどういう風にやっていくか、ということです」
 
東海漬物株式会社 http://www.kyuchan.co.jp/
 
 
浅漬キムチ3大インタ 三井食品工業株式会社 代表取締役社長 岩田 孝逸氏
2015-06-29
原料確保へ産地育成
素材と加工にこだわり
 今年90周年を迎えた三井食品工業(愛知県一宮市)は野菜の素材と加工にこだわった浅漬づくりで知られる。岩田孝逸社長は漬物業界の将来のためにも、農業の保護を訴える。
◇       ◇
 ――浅漬について
 「弊社では自社の味、素材のうま味、地域性を大切にして特徴ある製品づくりを心掛けている。我々が目指すのは安いものを大量に売ることではない。価格ではなく、品質、手間で勝負している。みなさまのおかげで記念すべき90周年の節目の年を迎えることができた」
 ――他社に比較して味が濃いと言われることには
 「素材の味を引き出し、美味しさを追求するにはある程度の味の濃さは必要。塩分にしても摂り過ぎは確かによくはないが、必要な適量を守ればいい。『適塩』でこれまで通り、野菜にこだわっていきたい」
 ――加工へのこだわりは
 「野菜は微妙な温度の変化で、風味が変わる。漬け込みから配送まで低温で管理している。徹底した温度管理が鮮やかな色、さわやかな風味、歯切れのよさを生む秘訣だ」
 ――漬物の今後は
 「高い付加価値の商品をどうやって作っていくかだが、高額の商品はそうは買ってはいただけない。消費は減るかもしれないが、そこは原料と相談しながらやっていかねば。産地も付加価値のひとつ。弊社は季節、野菜の種類、産地によって、契約栽培とそうでないものを使い分けている」
 ――原料確保は業界にとって、大きな課題だ
 「漬物メーカーは味のいい商品を作り続けること。そして、産地の育成が、大きな課題になっている。原料も含め、野菜全般を考えるとき、農業そのものを考えないといけない。日本で使う野菜は日本で作っていかねば。高齢化もある。人手不足もある。高い価格で原料を買ってあげなければ、作る意欲も出てこない」
 ――対策はあるのか
 「農業法人が計画的に野菜を作っていけば成り立つかもしれない。地産地消の農家は採算が合わない。昔は、農業は豊かだった。今後はTPPの問題もあるし、農家はますます、減るかもしれない。農家頼みだった漬物業界にとっては厳しい状況だ。よい土壌と水、農家の方々の丹念な作業によっておいしい野菜が生まれることを漬物メーカーもあらためて考えてほしい」
 
三井食品工業株式会社 http://www.mitsuishokuhin.co.jp/
 
 
浅漬キムチ3大インタ 株式会社ピックルスコーポレーション
2015-06-29
代表取締役会長 荻野 芳朗氏
代表取締役社長 宮本 雅弘氏
 
子供でも食べられる商品開発を
様々なジャンルにチャレンジ
 株式会社ピックルスコーポレーション(埼玉県所沢市)の代表取締役会長の荻野芳朗氏と代表取締役社長の宮本雅弘氏にインタビュー。平成27年2月期決算や原料安定供給の対策、今後の商品開発のポイント、具体的な展開などについて話を聞いた。(聞き手・千葉友寛)
◇   ◇
 ――前期決算と今期の見通しについて。
 荻野会長 「前期決算ですが、売上は本来もう少し伸ばしたかったというのが感想で、利益については前半が良く、後半は原料事情等もあり、また、減損損失を計上したこともあり、あまり良くありませんでした。今期は、売上、利益ともに前年を上回る計画で、現在までのところ、順調に売上は拡大しております。利益については原料事情もあり、やや苦戦しています」
 ――白菜など原料高が続いていますが、対策は。
 荻野会長 「契約栽培をもっと拡大していく必要があると考えております。例えば、白菜原料についてはほぼ100%契約です。しかし、原料がない時は契約栽培でも調達できず市場で購入するケースもあります。対応策としては契約産地を増やす必要があると思います。原料は種類によっても異なりますが、どうしても天候に左右されてしまいます」
 ――主力製品の売れ行きはいかがですか。
 荻野会長 「売上は3月以降、いい状態で推移しています。主力の国産キムチ、浅漬ともに好調に売れています。戦略としては中四国と販売エリアを拡大し、増えている分がプラスになっています。『ご飯がススムキムチ』は味のリニューアル、テレビCMなどで固定客を飽きさせない工夫もしています」
 ――『ご飯がススムキムチ』が消費者に支持される理由は。
 荻野会長 「『ご飯がススムキムチ』は甘口で女性や子供にも食べやすい味が特徴です。辛味や酸味が特徴の韓国輸入キムチを好んで食べていた人たちが『ご飯がススムキムチ』を食べているわけではなく、これまでキムチを食べていなかった女性や子供の需要が増えてきたということだと思います。これまでキムチを食べていた層とバッティングすることなく、新しい需要の層を開拓することにつながり、それが全体のプラスになると思っています」
 ――少子高齢化、漬物離れといった課題がある中、ニーズの変化についてどのように分析されていますか。また、今後の新商品開発のポイントは。
 荻野会長 「少子高齢化、漬物離れ、というのは漬物だけに限ったことではありません。例えばビールは様々な新商品が発売されていますが、それでも売上はピークだった20年前の50~60%くらいです。そのような時代の流れの中で、私には漬物離れを食い止めようという意識はありません。流れに逆らうのではなく、子供でも食べられる商品を開発するなど先を見通した取組みを行うことが重要です。その商品は漬物ではなくてもいいのです。現在はキムチ・浅漬・惣菜をメインに展開しておりますが、今後は時代の流れに応じて第4、第5の商品群を考えていく必要があります。そういった対応が企業として生き残っていくには必須だと思います」
 ――今後の具体的な展開は。
 宮本社長 「現在のところは野菜の加工がメインですが、これが変化する可能性もあると思います。様々なジャンルにチャレンジするというスタンスでいきたいと考えています。今後についてはどのポイントを意識して取り組んでいくかということが大切です。漬物離れを食い止めようという意識で商品開発を行っても上手くいかないと思います。30年前にキムチや浅漬がいまのように売場に並ぶことはありませんでした。次の時代の売場にどのような商品が並ぶのか、自分たちでも仕掛けながら取り組んでいく必要があります。それが漬物なのか、惣菜なのか、ということは消費者には関係ありません」
 
株式会社ピックルスコーポレーション http://www.pickles.co.jp/
 
 
新社長に聞く 株式会社増子 代表取締役社長 増子 潤一郎氏
2015-06-29
社是を共有し社会貢献
 全国でも有数の沢庵メーカーとして知られる株式会社増子(新潟県北蒲原郡聖籠町)は5月の株主総会で増子潤一郎新社長が就任した。業界でも若手リーダーのひとりとして期待される増子新社長に話を聞いた。
 ――社長就任の心境を
 「私は入社16年目になります。統括本部長、副社長を、やらせていただきましたが、今、実感しているのは全責任を負うのは想像していたものより重い、ということです。これまでは経験も知識もあり、ご苦労されて会社を維持、発展させてきた前会長(増子寿雄相談役)、前社長(増子邦夫顧問)がいらしたので、甘えていた部分もあったが、今は会社全体を考え、色々な可能性を検討してメリット・デメリットを測りながら自分で決断しなければならない」
 ――会社の状況は
 「おととし、新潟を含め全国の大根は不作で、弊社も予定収量に十数パーセント、足りなかった。そこで全国をくまなく、探してみたところ、弊社の規格にあう原料を栽培されている生産者の方がいらして、新しいお取引が始まった。昨年度は弊社にとっても厳しい年になりましたが、次に不作になった時、お客様にご迷惑をかけることがないような展開を今後、作っていきたい。そういう可能性を感じさせる年になりました」
 ――伝統のある会社でご自分のカラーを出すのは難しい
 「自分のカラーというより、前社長時代に策定した7つの社是をあたらめて、社員と共有したいと思っています」
 ――具体的には
 「例えば、弊社はこれまで大根の作柄に左右され、収穫できた原料をやりくりして売上を作ってきたためにプロダクトアウト志向になっていた。これはお客様の方を向いていないのではないか?という思いがあった。社是の中にはお客様第一、顧客満足に徹するというものがあります。お客様満足のために漬物を作れば、社会貢献につながり、増子はおいしい漬物を作る会社と認知していただいて、売上につながり、利益につながる。社是の言葉通りに活動できる会社にしていければ、と思います」
 ――商品開発も積極的だ
 「メーカーである以上は、持っている機械、設備に制約されますが、私としてはいいなと思うものを形にする、そういうことにチャレンジしていきたい。お客様からお話を伺って、それを社内で消化して、受けたボールはきちんと返すようにしたい」
 ――今後の業界について
 「悲観的な見方をする方もいらっしゃいますが、決して見通しは暗くはない。漬物の市場規模、消費重量は下がってきて底を打ったかな、とは思いますが、逆にきちんとした特徴のある商品を作っているメーカーさんが残っていらっしゃる。世界遺産に登録されたことで和食へ国内外の視線が送られている。世界中で見直されれば、漬物が発展する可能性がないとはいえない。やり方によるのではないでしょうか」
 
株式会社増子 http://masuko-aji.co.jp/
 
 
新部長に聞く 宮崎県漬物協同組合 青年部長 佐藤 仁氏
2015-06-29
大薗部長の流れ引継ぐ
九州大会から結束高まる
 【福岡支局】宮崎県漬物協同組合の青年部は、前部長の大薗和久氏が長きにわたり先頭に立って活動してきた。しかし昨年、大薗氏が親会の専務理事に就任したため、青年部長の後任には大薗氏の指名で、佐藤仁氏(佐藤漬物工業㈱専務取締役)の就任が決まった。佐藤新青年部長に抱負などを伺った。また、佐藤氏は3月に実施された漬物製造管理士技能評価試験で、見事1級に合格。それについても感想などを聞いた。(文中敬称略、聞き手=菰田隆行)
◇    ◇
 ――ご就任おめでとうございます。今のお気持ちは。
 佐藤 10数年、青年部長を務められた大薗さんから、直々にご指名をいただいたので身の引き締まる思いです。基本的には、大薗さんのやってこられた流れを引き受けて活動していきたいと思います。
 九州漬物協会・青年部大会を宮崎でやった時(※注=平成23年2月)から、青年部員の結束が高まりました。宮崎大会で披露した「漬物バンド」が評判になり、翌年福岡で開かれた全漬連青年部会の全国大会でも、余興をやることになりました。
 それ以来、とてもいい雰囲気で活動できています。年に数回集まって、楽しくやっていきたいと思います。現在、部員は10名ですが、部員は別に後継者でなければいけない訳じゃありませんし、大手系列の企業からも青年部担当の社員さんを出していただければ良いと思います。
 ――九州全体の青年部も、とても仲が良いです。
 佐藤 そうなんですね。福岡の皆さんが研修旅行で宮崎に来てくれたり、お互いに交流しています。こちらがどこかの県に行く時も、面倒を見てくださる人がいるとたいへん心強いですね。
 ――今後の具体的な活動については。
 佐藤 昨年は、「7月7日は高菜の日」「11月11日は沢庵の日」のPR販売イベントを親会と共同で行いましたが、今年も基本的にはこれらの活動がメーンになると思います。
 ――ところで、漬物製造管理士1級に合格されました。
 佐藤 いや、合格と聞いた時は、間違いじゃないかと思いました。12月は沢庵の漬け込みで忙しく、夜30分~1時間程度勉強しただけでしたので。本格的に勉強し始めたのは2月に入ってからで、昼休みに時間があればテキストを開いたり、ネットで関連事項を調べたりしていました。
 受けて良かったと思ったのは、従業員さんにもきちんと説明できるようになった点です。話す大本になるものがあるのとないのでは、指示の仕方もずいぶんと違ってきました。
 ――どんな人に受けてほしいですか。
 佐藤 従業員の主婦やパートの従業員でも、可能な限り受けてみると良いのではないでしょうか。試験では漬物の歴史なども学びますし、成り立ちが分かってくると取り組み方も違ってくると思います。試験を受けなくても、講習会を受けるだけでも違うと思います。
 
宮崎県漬物協同組合 http://www.miyatsuke.com/
佐藤漬物工業株式会社 http://www.satotukemono.com/
 
 
新理事長に聞く 九州珍味食品協同組合 理事長 海部 達也氏
2015-06-29
歴史を継承する事業を
沖縄から加入で交流深める
 【福岡支局】九州珍味食品協同組合では、先ごろ行われた第50期通常総会において、3期6年間理事長を務めた川原啓秀氏が退任し、副理事長の海部達也氏(株式会社水産堂社長、福岡県柳川市)が新しく理事長に就任した。半世紀にわたる活動の区切りとなる年に、新たなスタートを切った同組合の海部理事長にお話を伺った。(文中敬称略、聞き手=菰田隆行)
◇     ◇
 ――新理事長ご就任、おめでとうございます。いまの率直なお気持ちは。
 海部 諸先輩方が50年のあいだ築いてこられた組合の節目の年に理事長という大役を仰せつかり、大きな責任を感じております。諸先輩方の名に恥じないよう、事業を継承していきたいと思います。
 ――具体的な活動は。
 海部 大きなイベントとしましては、全国珍味商工業協同組合連合会が制定しております「珍味の日」(※注:11月23日=いいつまみの日)のPR活動があります。全国の他のブロックでは、お祭りに出店などしている地域もあるようですが、九州は範囲が広いのでなかなか集まるのも難しい部分があります。
 ただ昨年は、6月に福岡で開かれたバーテンダー協会主催の競技会イベントに協賛出店しました。今年は、6月19日に東京(白金台・八芳園)で開催された「第9回佐賀の酒」のイベントに出店して、九州の珍味をPRいたしました。試食をメインに、紹介とPRを行いました。
 ――今年、沖縄から新しい会員の入会がありました。
 海部 はい、那覇魚類株式会社さん(上原啓次郎社長、沖縄県糸満市)にご加入いただき、大変嬉しく思っております。那覇魚類さんが入会されたきっかけは、同社の上原社長が、お土産やホテル等に納める珍味製品を沖縄の食材で作れないかとのお考えがあり、情報交換をしたいということでした。
 上原社長はたいへん積極的で、九州のメーカーさんを回ってみたいとおっしゃっており、ツアーを組んでも面白いかなと思います。また、こちらからも沖縄に出向いて、この素材ならこんな商品が作れないだろうか、と検討するのもお互いのためになると思います。これをきっかけに、交流を深められたらと思っています。
 ――これからの目標は。
 海部 私の会社の地元・福岡県柳川市は、水郷川下りや立花藩の藩邸「御花」といった観光名所があり、うなぎのせいろ蒸しをはじめ、有明海の海産物を使った名物もたくさんあります。ここ数年は、中国・韓国・台湾などアジアからの外国人観光客もたいへん増えてきました。これからは、こうした外国人向けに好まれる物を作れたら…と考えています。
 九州には、明太子や蟹を塩漬けにした「真がに漬」など、アジアの人たちの口に合いそうな食品があります。外国の方々のニーズを拾い上げ、新しい商品を作れれば良いと思います。また、九州内の食品メーカーにもっと声をかけ、会員を増やせたら、と思っております。
 ――有難うございました。
 【海部達也(かいぶ・たつや)氏のプロフィール】
 昭和42年7月15日、地元・柳川市生まれ、47歳。
 西南大学卒業後、大洋漁業(現マルハニチロ)に入社。3年間を東京で過ごしたのち、家業に戻る。家族は、妻と長女・長男の二児。学生時代バスケットボールの経験があり、身長は180㎝超。趣味はマリンスポーツ、ゴルフなど。サッカーや野球の観戦にもよく出かけているが、現在はなかなか時間をとれないという。
 
全国珍味商工業協同組合連合会 http://www.chinmi.org/
株式会社水産堂 http://www.suisandou.co.jp/
 
 
 
トップに聞く 秋本食品株式会社 代表取締役社長 秋本 大典氏
2015-06-22
売上は前年並みを維持
食べるきっかけ作りが重要

  漬物製造・流通の最大手、秋本食品株式会社(本社=神奈川県綾瀬市)代表取締役社長の秋本大典氏にインタビュー。平成26年度の決算、価格が乱高下している原料状況、漬物需要の変化などについて話を聞いた。(聞き手・千葉友寛)
◇    ◇
 ――平成26年度の決算について。
 「売上は前年対比約97%ですが、不採算となった卸売市場や直売店舗を退店した売上をカバーしての実績なので既存の得意先売上は前年並みを維持しています。利益は野菜原料が高値続きで昨年度には届きませんでした。新年度に入って4月、5月の売上は約105%と好調に推移しているのですが、白菜は平年の2・5倍から3倍の高値となっており、野菜全般が5割~2倍くらいに上がっています。1年中悪いとは思っておりませんが、高騰している原料相場の影響が大きく、売上は維持できているものの原料高で利益を出しにくい環境となっています。胡瓜の販売はうまくいっておりますが、とにかく白菜が苦戦しています。原料相場が落ち着けば利益が出る体質を作っているので、結果も改善されると思っています」
 ――原料相場が不安定な状況が続いていますが、改善策は。
 「効果的な改善策はありませんが、契約栽培の比率を上げることだと思います。弊社の浅漬原料の契約率は全体で約70%です。使用率が高いものはもっと高いのですが、足りなくなるとどうしても市場買いしなければならず、利益を圧迫します。特に今年の白菜は異常で、こんなに不足して高値が続くことは過去に一度もありませんでした。過去にないことが発生すると対応もできません。今回のことで分かったことはここ数年不足気味だった胡瓜はすぐに回復するのですが、白菜は産地が変わるまで回復しないということです。今後の課題としては契約率の向上、そして色々なことを想定して起こったことにうまく対応するということです」
 ――売場では価格競争が続いています。
 「安く売ると同じ量を売っても売上が下がり、利益も落ちます。つまり、悪いスパイラルにはまってしまうということです。それがここ数年ずっと続いてきました。しかし、最近ではそのスパイラルから抜け出したような印象を受けています。弊社の商品の動きを見ても高付加価値商品が支持されるなど、そういったニーズは確実に増えてきました」
 ――漬物需要の変化は。
 「弊社では業務用キムチの卸売数量が年々増えています。食べ方としてはそのまま食べるのではなく、豚キムチやキムチチャーハンなど、料理素材として利用されることが多いようです。キムチの需要が増加したのは、料理素材としても使用できることが大きかったと思います。展示見本市のブースでもキムチのメニュー提案を行いましたが、途中で試食サンプルが足りなくなるほど人気となりました。継続的にメニュー提案、食べ方提案を行っていくことが重要だと思っています。キムチ以外の漬物にも同様のことが言え、漬物が食卓に上がる機会が減少する中にあって、そのままではなく、キムチは料理素材、浅漬は食べ方の提案を行っていくことが需要喚起につながると思います。特に若い人に漬物を食べていただくと美味しい、と言っていただけるのですが、安い弁当の付け合わせに使用されている漬物以外、本当に美味しい漬物を食べたことがないという方が多いことも事実です。食べるきっかけを作ることが最も重要なことだと思います」
 
秋本食品株式会社 http://www.akimoto.co.jp/
 
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