和食業界で活躍する方々へのインタビュー

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インタビュー 2018

 

インタビュー 2018(平成30)年2月

インタビュー 2018(平成30)年2月
 
南信州菓子工房株式会社 代表取締役社長 木下裕亮氏
この人に聞く
ドライフルーツ革命
素材味わう商品揃えていく
 
南信州の自然あふれる阿智村でドライフルーツ革命を起こしているのが南信州菓子工房だ。同社の商品は低温でじっくり蜜漬した半生製法が特長でフレッシュな味わいを残したドライフルーツの製造に成功した。その味わいは果物の味わいや香りをとじ込め、しかもしっとり柔らかく既存のドライフルーツとは一線を画している。ここ下伊那の地域は、半生菓子の製造が全国40%のシェアを誇り、その伝統と新技術の知見が活かされ同社のドライフルーツは完成した。代表取締役社長の木下裕亮氏にヒット商品を生み出すに至った道のりを振り返っていただいた。(中村裕貴)
◇ ◇

‐ずば抜けた商品力を持つ秘訣や製造法について。
「香料など余分な添加物は使用せず果物の風味を生かすことを創業当時から大切にしている。風味を無くさないためにはどうしたら良いかを考える中で出来るだけ加熱しない製造方法に辿り着いた。下伊那は半生菓子が有名で私の父も製造に携わっている。日持ちさせしつこい甘さは残さないという技術があり、それを果物に転化させたのが弊社だ。低温のまま砂糖で煮るというのがポイントで真空状態にして短時間で果物の深部まで砂糖を浸み込ませている。真空減圧釜により大量生産も可能にした」
 
‐商品開発から販路開拓にまでに至る苦労は。
「2012年の創業当時、真空フライの野菜チップスが流行っていたが油ではなく砂糖水で揚げてみたらどうなるのだろう?と思ったことがスタートだった。市田柿は渋さを抜くために干すが、渋抜きした柿を40度以上で加熱すると渋みが戻ってしまうこともドライフルーツ加工におけるヒントになった。熱変成の温度は果物ごとに違うため、釜の温度を間違えると旨味や栄養分は無くなってしまう。商品完成後は展示会の反応も良く市場性はあると考えていた。しかし商業ベースにいかに乗せていくのかを考える必要があった。どんなにおいしくても高ければ売れないのでコストをかけずに生産力を上げることが肝であった」
 
‐昨年4月に第2工場を建設し、今や年商10億を超えている。
「とんとん拍子に進んだというわけではなく、扱う果物の種類を増やし商品ラインナップを揃えたことで売場展開が出来て売上げを伸ばしていった。当初はドライフルーツだけで商売になるのかとメインバンクからも言われた。農産加工というのは原料を一括で仕入れて一年かけて販売していくため資金が必要だ。創業時はその苦労があった。今は秋冬シーズンが弱いと感じており、お芋、栗、カボチャの商品も手懸けたいと思っている。製造法も変わってくるため3月に新工場を完成させ9月から本格稼働する予定。果物から野菜まで素材そのものを味わうお菓子を弊社で全て揃えていくのが夢である」
 
‐良質で安心安全な原料を使用しているというのも御社のPRポイントだ。
「販売シーンで感じたことは西日本でとれる果物は東日本で売れ、西日本では東日本の産品が売れるということ。たとえば、レモンは東日本で売れるが産地である広島や愛媛だとあまり売れない。産地ではその果物自体が容易に手に入るせいもあると思うが無い物を欲するというのが世の常。それを広げて考えると日本には無い海外原料をドライフルーツにすることも良いのではないか。安心安全に関して特に柑橘系はTBZ、OPP、イマザリルを含む防カビ剤を弊社では一切使用しない。一般的に果物はまだまだ防カビ剤を使用して輸入するケースは多い。輸入果物にしても防カビ剤を使用した物は一切扱うつもりはなく、差別化要因にもなるだろう」
 
‐工場には若い世代の従業員が多いのも印象的だ。
「飯田・下伊那の地域は若い世代が首都圏に働きに出たまま戻ってこないというのが課題。そのため、地元行政は補助金制度を設けて企業に高校卒業後の若いスタッフの採用を促している。私も何よりも大切なのは若い人の雇用だと考えている。助成金が目当てということではないし、特産品を造るというのがゴールでもない。売上げを増やし法人税を払うということが一番でもない。最大の地域貢献というのは若い人たちが地元に残って結婚し、家を建てるというきっかけを作ることだと思う。工場で働く環境も果物にやさしいと同時に人間にもやさしくあるべき。FSSC22000認証を今年9月に受けるためキックオフした。環境省策定のエコアクション21も今年3月に取得することを目指している」
 
‐最近は地元テレビ局から化粧箱入りタイプの取材も受けた。
「知り合いから贈答用のパッケージもほしいという要望があったことで実現した。まずはギフト用のカタログに載せ、お求めは通販という形から始めている。自社通販はお客様対応で窓口的に用意したもの過ぎないのだが、問い合わせは1日あたり20件近くある時もあり、口コミの広がりを感じている。春にはレモンや清見オレンジ、はっさくなど柑橘系に力を入れていく。梅も人気で夏になれば南高梅だけでなく古城梅や白加賀梅の3種を揃えていく。将来的には星空ツアーで有名な阿智村の昼神温泉に直営店を出すという構想もあり、たとえばドライフルーツにパンやチョコを使用したお菓子なども提案していきたい」
【2018(平成30)年2月12日第4922号16面】
 
南信州菓子工房株式会社 https://www.373shinshu.com/
 

インタビュー 2018(平成30)年1月

インタビュー 2018(平成30)年1月
 
株式会社合食 水産事業部水産第四部 部長代理 筒井 大作氏
この人に聞く
人気博すちりめん原料
黒潮大蛇行で全国的不漁
 
土産品から自宅用まで関西を中心に幅広い人気を博す、ちりめんの原料が高騰している。神戸市中央卸売市場で30年以上にわたってちりめんに携わってきた、株式会社合食水産事業部水産第四部の筒井大作部長代理に、現状と今後の見通しを聞いた。(門馬悠介)
 
―昨年の状況は。
「秋漁の入荷がピークとなる11月、神戸市中央卸売市場の卸売価格が一時1kg5000円を超える高値をつけた。これは30年以上この仕事をしていて経験が無い、例年の倍程の水準だ。当市場では地元兵庫県産の扱いが多いが、播磨灘が不漁となり11月単月の兵庫県産入荷量は23tと、直近2年と比べ明らかに少なかった。年間入荷量も563tで、28年の605t、27年の593tと比べて少なく、平成29年の平均単価(1762円)は、28年(1587円)、27年(1682円)と比較して高かった。また兵庫県に次ぐ産地の愛知・静岡の両県では、ほとんどシラスが獲れなかった(6~9月のシラス水揚げ量は静岡県で平年の3割未満、愛知県では1割未満)」
 
―原料となるシラス(マイワシ・カタクチイワシの稚魚)漁について。
「春と秋、年2回の漁期がある。春漁は5月の連休明けから8月までマイワシの稚魚(平子ちりめん)を、秋漁は9月中旬頃から12月初旬までカタクチイワシの稚魚を漁獲する。ちりめんは水分が多い順に釜揚げちりめん・半乾ちりめん・上乾ちりめんの3種類があり、ボイル後の乾燥度合いで区別される。関西では水分の少ない上乾ちりめんが好まれ、当市場でも入荷のほとんどを占める」
 
―不漁の要因。
「はっきりとは言えないが、黒潮の流れが大きく変化したこと(=黒潮大蛇行)が理由だと言われている。通常稚魚を乗せた黒潮は陸の近くへやって来るが、昨年は陸から離れた沖合を通っていた。そのため漁場の湾内に稚魚が入って来ず、獲れるべきところで獲れなかった。他にもエサ不足など多岐に渡る要因が絡み合っていると考えられる。このような状況が全国各地で発生し、需給バランスが崩れたことが価格高騰を引き起こしたと見ている。ちりめんは幅広い世代が好む商材力のある商品だけに、不漁が価格高騰に直結した」
 
―漁業者の現状は。
「農林水産省の漁業センサスによれば、シラス漁を行う船曳網の経営体数は、調査を行った直近の5年間(2008年から2013年)で4143から3348に減っている。自動釜や乾燥など製造現場の機械化は進んでいるが、なり手がおらず漁師数は減少しているのが現状だ」
 
―今後の見通しは。
「兵庫県水産技術センターが5日に発表したイカナゴ親魚調査結果では、今年は昨年同様の不漁傾向だ。すると、あくまでも予想だが、兵庫県内のちりめんは同じように不漁となる可能性がある。全国的な水産物の不漁を見ると、他の地域でも決して豊漁にはならないのではないか。価格の面はメーカー在庫が非常に少ないことを考えると、春漁スタート後、再び高騰することが考えられる。ちりめんは代えのきかない人気商材で、我々としても売っていきたい商品。昨年から続く不漁には歯がゆい気持ちでいっぱいだが、今後少しでも多く獲れることを祈るばかりだ」
【2018(平成30)年1月29日第4921号5面】
 
株式会社合食 http://www.goshoku.co.jp/
 
 
株式会社伊勢惣 会長 足立 開作氏
この人に聞く
体内での発酵現象が重要
ひと手間加えて良い仕上がりに
 
株式会社伊勢惣(足立功社長、東京都板橋区)の足立開作会長にインタビュー。麹やぬか床の機能性、同社の製品の魅力などについて話を聞いた。
(千葉友寛)
 
◇ ◇
 
――発酵食品が体に良いことが浸透している。
「発酵食品が体に良い、と言われているが、発酵食品の何が良いのか、なぜ良いのか、ということはあまり浸透していない。私見では、発酵食品が良いというよりも、発酵食品を摂取して体内で発酵現象を発生させることが体に良い、ということだと理解している。一般的に、加工食品は菌を増殖させないため、発酵を止めたり、加熱殺菌を行う。乳酸菌は死菌でも免疫力を高める効果がある他、栄養成分もあるので、加工食品でも健康に寄与できる要素はある。しかし、自分の手で麹から甘酒や味噌を作れば、殺菌の工程がないので菌は生きたまま。つまり、それを摂取すれば体内で菌が活動し、発酵現象を促す。麹をそのまま飲むと無臭のガスが出るようになる。それこそが腸で麹が発酵している、という証拠で、発酵現象によって腸内フローラが整い、腸の活動が活発となって便通も良くなる。腸は第二の心臓とも呼ばれ、腸内の環境を常に良くしておけば体全体の機能も良くなり、免疫力の上昇にもつながる。このメカニズムを浸透させることが重要だと思う」
 
――『みやここうじ』の出荷状況について。
「弊社も甘酒を製造しているが、自分の手で麹から作った甘酒の方が美味しいし、植物性乳酸菌の数も多く、何よりも菌が生きている。弊社の『みやここうじ』は、一昨年12月にテレビで甘酒が紹介された影響で、昨年12月まで出荷調整を余儀なくされた。麹は短時間で作ることができないので、取引先の方には迷惑をかけてしまったが、麹の需要は伸び続けている。一度でも麹から甘酒や味噌を作った方はそれを摂取することにより、体調が良くなったことを実感していると思う。多くの方がそれを続けているので需要が下がる気配はない。最近では麹をそのまま飲む人が増えている。そのまま飲んでも味はほぼないが、手っ取り早くて効率良く飲むことができる方法なので、私も続けている」
 
――御社のぬか床製品の特徴は。
「他社製品よりも固く仕込んでいる。1㎏タイプであれば、使う前に200~300㏄の水を入れて馴染ませる作業を行っていただく。半製品とまではいかないが、ひと手間加えていただき、お客様のお手元でぬか床がちょうど良い状態に仕上がるようにしている。購入後に水を足していただく分、塩分を多くしている。そのため、製品の段階では発酵によるガスの発生を抑制できる。1・2~1・3㎏の販売しているのと同じことになるので、お客様はお買い得感を感じられると思うし、製品の管理にも配慮した商品。美味しいぬか漬を作りたい方は一度試していただきたい」
【2018(平成30)年1月29日第4921号4面】
 
株式会社伊勢惣 http://www.isesou.co.jp/
 
 
 
神尾食品工業株式会社 代表取締役社長 神尾 賢次氏
トップに聞く
需要拡大も生産量は減少
桜花漬の希少価値を訴求
 
神尾食品工業株式会社(神奈川県小田原市飯泉)は、春の商材に欠かせない桜花漬製品の最大手として知られている。同社の神尾賢次社長に桜花漬の製品動向、原料動向などについて話を聞いた。(千葉友寛)
 
◇ ◇
 
=昨年産の桜花漬原料について。
「昨年の作柄は良かったのだが、生産者の減少や高齢化の影響で収穫量は予定の9割程度に留まった。桜の花の収穫は7日~10日の期間しかないので、天候に大きく左右されてしまう。昨年は安定して収穫を行うことができたが、生産者の減少分はカバーできなかった。ここ数年は作柄があまり良くなかったので、持越し在庫はほぼない状況だ」
 
=産地の課題は。
「生産者にできるだけ長く続けていただく、ということ。上手く世代交代ができたところもあるが、自分たちの代で生産を止める方もいる。そこで減った部分は補うことができないので、全体として減少傾向にある。桜の花の収穫作業は経験が必要なので、人手の確保も難しい。また、高いところでの作業となるため、高齢者の方にとっては危険も伴うので無理にお願いすることはできない」
 
=原料確保の取組みは。
「弊社としては生産者が満足していただける価格を提示し、原料の安定供給に務めている。それでも維持していくことは困難な状況だ」
 
=桜花漬の需要は。
「需要と用途は年々拡大している。最近でも大手飲料メーカーからの打診もあるなど、これまでと違うルートからの引き合いが増えている。2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップや20年東京オリンピックなど、日本が世界に注目されるイベントが間近に迫っていることもあり、日本をイメージさせる『桜』を使った商品開発を考えている企業が増えている。しかし、桜の花の生産量は限られた量しかなく、扱い量を増やすことも難しいため、供給することができない。数年前に中国産が日本に入ってきた時もあるが、全ての加工食品に原料原産地表示が義務付けされたことで、国産の需要はより高まっていることが考えられる。だが、需要と供給には大きな開きがある状態だ」
 
=需要と供給のバランスについて。
「桜花漬は原料があればあるだけ売れる商材だが、生産量が限られているため供給量を増やすことは難しい。ここ6、7年、原料価格は上昇の一途を辿っている。桜花漬の希少価値は高まっており、我々もその価値を訴求していきたい」
 
【2018(平成30)年1月22日第4920号5面】
 
神尾食品工業株式会社 http://www.kamio.co.jp/
 
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