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塩 企業・団体紹介2025

<塩事業センター> 海水総合研究所でセミナー マグネシウム回収と利用

斎藤理事長
セミナーの会場
 公益財団法人塩事業センター(斎藤恭一理事長)は昨年12月6日、「Salt&Seewater Science Seminar2024」を海水総合研究所(吉川直人所長、神奈川県小田原市)で開催した。テーマは「海水から未来を創る~製塩工程溶液からのマグネシウム回収と利用~」。
 講演に先立ち斎藤理事長が挨拶し、同センターの説明とこれまでのセミナー開催の経緯を説明。「今回のテーマはマグネシウム。以前“プリントゴッコ”で、ピカッと光る電球に使用されていたのが思い浮かぶ。この他にも多様な用途のあるマグネシウムについて学んでいただきたい」と語った。
小原氏
邑上氏
峯尾氏
竹中氏
 続いての講演テーマと講師、要旨は次の通り。
 ①「マグネシウム産業の現状と展望」
 ▼講師 一般社団法人日本マグネシウム協会 顧問 小原久氏
 マグネシウムは実用金属の中で最も軽量で、密度あたりの強度や剛性が高いという特徴がある。軽量化を目的に自動車のハンドル、スピーカ、航空機など様々な分野で利用されており、エネルギー問題を背景にその需要は年々増加している。一方、マグネシウムは海水や塩湖に大量に含まれることから世界中に豊富に存在するにもかかわらず、生産コストの観点から生産国が中国を筆頭に偏在している。また、日本で使用されているマグネシウムは、世界で4番目の使用国でありながらほぼ全量を輸入に依存。中国リスクを回避するため、現在プロジェクトを計画中である。
 ②「カーナライト晶析を利用した高純度塩化マグネシウム回収技術」
 ▼講師 海水総合研究所 研究員 邑上泰平氏
 イオン交換膜法製塩では、ろ過海水をイオン交換膜電気透析装置により濃縮して得られたかん水をさらに蒸発濃縮し、塩を析出させて製造している。析出後に残る苦汁には高濃度のカリウム、マグネシウム、カルシウムイオンなどが含まれる。製塩工場ではこの苦汁を冷却し、塩化カリウムを析出させて回収。一方、苦汁中のマグネシウムイオン濃度をさらに増加させて冷却すると、カーナライトと呼ばれる塩化カリウムと塩化マグネシウムの複塩が析出する。このカーナライト晶析を利用し、高純度の塩化マグネシウムを回収する技術について紹介した。
 ③「製塩苦汁から得られる水酸化マグネシウムの高純度化に関する検討」
 ▼講師 海水総合研究所 主任研究員 峯尾隼人氏
 イオン交換膜法製塩で、塩の析出後に残る苦汁には高濃度のマグネシウムイオンが含まれ、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムなどのアルカリ源を添加することで水酸化マグネシウムとして回収できる。一方、苦汁にはマグネシウムイオン以外にもカルシウムなどの海水由来の成分が含まれており、これらの混入で水酸化マグネシウムの純度が低下するという問題がある。製塩苦汁から高純度の水酸化マグネシウムを回収する技術について、主にホウ素とカルシウムを低減させる方法について説明した。
 ④「製塩工程溶液等を原料とするマグネシウム金属製造技術に関する基礎研究」
 ▼講師 関西大学化学生命工学部 教授 竹中俊英氏
 マグネシウム金属の製造方法には主に熱還元法、化学還元法及び電解還元法があり、工業的にはドロマイトと呼ばれる炭酸マグネシウムを含有する鉱石を原料とした熱還元法が主流。しかし、ドロマイトを原料とした熱還元法では必要なエネルギー量が多く、二酸化炭素の排出量も多いため、省エネで二酸化炭素の排出量が少ない製造方法が望まれている。また、日本はマグネシウムのほぼ全量を輸入に依存していることから、国産資源を原料とする製造方法への期待も高まっている。製塩工程溶液等からのマグネシウム金属製造技術に関する研究について紹介し、製塩事業者等を加えてスケールアップを目指した今後のプロジェクト立ち上げを検討している。
 閉会にあたって吉川所長が挨拶し、「今回のセミナーには約70名の方が出席していただき、大変感謝している。今回学んだマグネシウムについては用途を探っており、ぜひ皆様に知恵をお借りしたい」と述べ、協力を求めた。
【2025(令和7)年1月11日第5184号20面】

塩事業センター
https://www.shiojigyo.com/

<天塩> 味噌開き教室を開催 熟成後の出来上がり確認

天塩の味噌開き教室
熟成後の手作り味噌を確認
前原氏
 株式会社天塩(鈴木恵社長、東京都新宿区)は昨年12月5日、杉並区立松ノ木小学校(笠原秀浩校長)で味噌開き教室を開催した。
 これは同校の小学3年生児童を対象に、6月に行った味噌作り教室で仕込んだ味噌の出来上がりを確認するもの。営業本部天塩スタジオの前原淑子氏が講師を務め、味噌の試食や美味しく食べるためのポイントなどを説明した。
 味噌開き教室は3年生児童を2クラスに分け、3時限目・4時限目の2回行った。初めに当日試食する食品の説明から、クイズ形式で味噌を作った大豆が枝豆から成熟することなどを紹介。児童はクイズに回答しながら、興味深く説明を聞いた。
 次に、容器に入れて約6カ月間保存した味噌を確認。ふたを開け、ラップをかぶせた味噌の表面についたカビをスプーンできれいに取り除いた。
 前原氏は、「保存状態が良かったのか、カビの付いた味噌が少なかった」と感想を述べた。
 続いて、味噌・みりん・砂糖で作ったみそドレッシングで生麩・五平餅・野菜を試食。前原氏は「味噌は発酵食品で、腸に良い効果が出る。味噌を食べると栄養が吸収されやすくなり、元気に暮らせる」と味噌の効果を説明した。また、味噌を美味しく食べる大切なポイントとしては、「このまま常温で保存しても腐らないが、味噌は生きていてどんどん熟成し、色が濃くなって香りも変わってくる。冷蔵庫で保管すると熟成はゆっくり進む。冷凍庫では熟成は進まず、カチコチには凍りません」と説明した。
 子どもたちは出来上がった味噌を手に「家に持って帰って、食べるのが楽しみ」と目を輝かせていた。
【2025(令和7)年1月11日第5184号20面】

天塩
https://www.amashio.co.jp/

赤穂あらなみ塩 おもてなしセレクション金賞

ARANAMI SAMURAI SALTシリーズ
SAMURAISALTシリーズ
 赤穂あらなみ塩株式会社(大橋伸夫社長、兵庫県赤穂市)の「ARANAMI SAMURAI SALTシリーズ」が、「OMOTENASHI Selection(おもてなしセレクション)2024第2期」の金賞を受賞したことが昨年12月3日に発表された。
 同セレクションは、日本の優れた商品・サービスを世界に広めることを目的とした民間企業20社以上で構成されるプロジェクトで、半期に1度、アワードを開催している。
 今回、金賞を受賞した「ARANAMI SAMURAI SALT」シリーズは、日本の旨味を世界に伝えることを目指し開発された高品質な塩製品で、現在第2弾まで発売されている。第1弾は、おにぎりや和食全般を引き立てる粒の小さい粗塩だ。
 第2弾の「OYSTER SALT」は、焼塩と牡蠣を融合させた繊細な味わいが特徴的。和食だけでなく、洋食やアジア料理にも最適で、多様な料理で活躍する。2品とも、海外の人にも親しみやすいパッケージデザインや多言語対応のレシピQRコードを採用し、日本食文化の普及への貢献を目指している。
 本受賞について大橋社長は「大変光栄で、日本の塩文化や〝おもてなしの心〟が世界に通ずる価値として認められた証であり、当社にとって大きな励みとなる」とコメントした。
 さらに、大橋社長は今後の抱負について「赤穂の地で培われた伝統的な製塩方法を守りつつ、革新的な商品を通して、塩の持つ魅力や、さらなる変革の可能性を国内外へ訴えていきたいと考えている。受賞製品が今後、より一層多くの方々に愛され、食卓の彩りに加われるよう精進していく」と語った。
【2025(令和7)年1月1日第5183号14面】

赤穂あらなみ塩

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