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編集後記2025

<編集後記>2月11日号 スーパーがインフラに

2024年SMTS開会式
 SMTS(スーパーマーケット・トレードショー)が今回で59回目を迎える。第1回開催の1964年には、スーパーの存在感は今ほどではなかった。都市を除けば、全国的に地域の個人商店で、夕飯の買い出しをするのが主流であった。  
 歴史を振り返ると、それから90年代まで、スーパーは長らく大量生産、大量消費の象徴であった。だが2000年代以降、今でいうサステナビリティの取組が進み、食品ロス削減、環境に優しい包材使用の推進などに力を入れていく。
 そして、商品販売に留まらず、生活講座イベント開催等、情報発信の場にもなっていく。スーパーの役割は多様化し、人々の生活のインフラになっていった理由として、現場の創意工夫は間違いないが、そのきっかけ作りとして、SMTSが最新情報を常に提供してきた貢献は大きい。(高澤尚揮)
【2025(令和7)年2月11日第5186号16面】

<編集後記>1月11日号 おせち百景

正月のおせち
 今年の正月、十数年ぶりに母の手作りおせちを食べた。おせちといっても、栗きんとん、黒豆、筑前煮、なますといった簡易的なものだが、その味付はやはり身体に馴染むものがあった。なますにマグロの切り身が入っていたり、その由来は分からないが、代々受け継がれてきた伝統の味がある。 父の故郷である富山のかぶら寿司がおせちと共に食卓に並ぶのも正月の恒例で、久しぶりに、その味わいに舌鼓を打った。汁物では、里芋の茎を干した“ずいき”の粕汁が懐かしかった。こちらも調べると富山の郷土料理のようだ。
 一方、妻の実家では、病気療養中の義母に代わり、妻と義姉がその味を受け継ぎ振る舞った。栗きんとん、黒豆、田作り、なます、たたきごぼう、煮しめの他、白と黄色のコントラストが美しい市松錦卵が目を引いた。おせちと共に、ビーフシチューが登場するのも妻の実家の正月の恒例だ。  正月の食卓の風景は、その家により様々だ。独自に受け継がれてきたレシピやメニューもあるだろう。だからこそ、面白く奥深い。その味わいをどのように次世代へつないでいくか。つながらず消えてしまう故郷の味があるのは寂しい限りだ。
 意外にも、ずいきの粕汁は子どもたちから大好評で、家に持ち帰り、次の日も、その次の日も子どもたちは喜んで食べた。郷土料理伝承の第一歩は、まず食卓に上げ、食べてもらうことだと身をもって実感する正月となった。(藤井大碁)
【2025(令和7)年1月11日第5184号15面】
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