本文へ移動

「梅」データ・資料2025

<紀州南高梅> 青梅価格が昨年以上の高値に 原料不足解消されず供給不安

 紀州南高梅の青梅価格が高騰している。
 田辺中央青果株式会社(那須厚司社長、和歌山県田辺市)で南高梅の出荷が5月26日からスタート。26日から31日までの平均価格(主に加工用となる中値)は、平年比3割作で過去最低の凶作となった昨年の同時期(スタートから5日間の平均価格=503・6円)と比べて52円高い1kg555・6円。加工業者は原料の確保が困難になっており、昨年に続いて厳しい状況に直面している。
 今年は天候等の影響で受粉期が短かったため着果数が少なく、4月に雹が4回降るなど作柄及び秀品率の低下が懸念されている。
 JAわかやまが5月22日に発表した梅産地情報によると、南高の着果数は平年比82%。5月20日発表の梅部会まとめの生産予想量は1万2675t(前年比123%、平年比62%)と平年の4割減。
 日高果実技術者協議会が5月23日に発表した日高地方での着果数調査では、平年比(過去10年平均)75%に留まった。歴史的な凶作となった昨年よりは多くなる見込みだが、今年も厳しい作柄になることが予想されている。
 収穫は6月5日~10日がピークの見込みで、6月末まで行われるが、現時点での全体の予想収穫量は平年の7割程度と見られている。昨年からの原料不足は解消されず、商品の安定供給が懸念されている。
 また、JAわかやまでは、降雹被害で傷が入った梅について「味に変わりはない」などの情報発信し、消費者に理解を求めている。
【2025(令和7)年6月1日第5197号1面】

日本園芸農業協同組合連合会 「うめ」作柄調査結果 主要17県の栽培面積7358ha

【2025(令和7)年5月1日第5194号1、11面】
勝僖梅(和歌山県)
福梅(福井県)

<紀州梅産地> 昨年に続き今年も凶作 降雹被害が広域で発生

 紀州梅が昨年に続いて今年も凶作の見通しとなっていることが分かった。
 昨年は、暖冬で開花が例年以上に早く、めしべが育っていない不完全花が増加したことで受粉が進まず、平年の3割作という史上最低の作柄となった。
 そのため、今年の作柄への期待は高まっていたのだが、今年は昨年とは打って変わって例年以上の遅咲きとなり、平年より16日遅い3月2日が満開期となった。だが、3月3日から気温が低下。雨や風の影響もあってミツバチが活動できず、受粉が進まなかった。
 JAわかやまが今月18日に発表した情報によると、南高の定点調査の着果数は平年比81%で、11日の梅部会まとめの南高の生産予想量は、前年比124%、平年比62%の1万2738tだった。
 降雹による被害も発生している。今月6~15日の計4日間で雹による被害が確認され、小さい梅の実が落ちたり、傷が入るなど、産地の広域で被害が発生した。
 和歌山県は18日、4月に降った雹による梅の被害額が約47億1241万円に上ったと発表。被害面積は約4231ヘクタールで、被害額は昨年の約21億円の2倍以上となり、過去10年間では最大となっている。一部では「全体的に見ても平年の半作以下は確実。場所によっては昨年よりも悪い」という声も聞こえ始めた。
 歴史的な2年連続の凶作で、紀州南高梅の売場を維持できなくなる可能性がある。昨年は史上最低の作柄となったが、一昨年前までは3年連続で良い作柄が続いたこともあり、産地在庫が存在した。各メーカーでは、昨年の秋冬に大幅な値上げを実施。原料価格高騰への対応に加え、商品の出荷にブレーキをかける意図もあった。今年の需要期は希少な在庫を駆使して何とか新物までつなぐことに注力しているところだった。
 しかし、今年は産地在庫がない状態での凶作のため、昨年以上に原料状況が厳しくなると見られる。例年、夏の需要期は前年の原料を使用するのだが、多くの企業はこの春の時点で原料不足に陥っており、商品供給に不安を抱えている。今年の需要期を何とか切り抜けたとしても、来年はもっと厳しい状況になることが予想される。
 紀州産をはじめ、国産梅干しは品薄となると見られ、秋冬には再び値上げの動きが出てくる見込み。生産者は2年連続の凶作で収入が減少し、生産を止めることが危惧され、今後の原料確保の見通しも不透明。紀州梅産地はかつて経験したことがない危機に直面している。
【2025(令和7)年4月21日第5193号1面】

紀州梅産地 例年並みかやや遅い開花 平年作以上の作柄に期待

田辺市の梅林(2024年1月撮影)
 紀南農業協同組合(山本治夫代表理事組合長)は1月24日、紀南の梅産地情報を発表。梅の開花及び現時点の花蕾の状況から判断すると、園地によってバラつきがあるものの、全体的にやや遅く、主力の南高の開花初めも例年並みかやや遅い2月中旬頃からと予想されている。
 昨年は暖冬の影響で南高の開花初めが例年より2週間から3週間早い1月20日となり、満開期も1月30日頃と2週間以上早まった。そのため、めしべが発達していない不完全花が増加。開花期は長かったが、着果率が低く施肥量も少なかったため、花数が減少した。
 その後、3月20日に梅産地の広範囲に降雹があり、実の落下や傷が入るなど大きな被害が発生。収穫量の大幅な減少に加え、秀品率も大きく低下した。その他、カメムシの被害もあり、収穫量は平年の3~4割作と史上最低の作柄となった。
 原料不足は深刻な状況で、原料価格も約2倍に高騰。そのため、各社では昨秋以降、大幅な値上げを実施している。
 今年の作柄は、開花から収穫期までの気象変化等により大きく左右されるため、現時点で具体的な予測をすることは難しいが、産地では例年並みの開花状況が見込まれていることから、産地では平年作以上の作柄が期待されている。
【2025(令和7)年2月11日第5186号1面】


株式会社食料新聞社
〒111-0053
東京都台東区浅草橋5-9-4 MSビル2F

TEL.03-5835-4919(ショクイク)
FAX.03-5835-4921
・食料新聞の発行
・広報、宣伝サービス
・書籍の出版
TOPへ戻る