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漬物グランプリ2025 受賞作品

グランプリ・農林水産大臣賞

新進(東京都) 「Long Shelf Life 福神漬」

Long Shelf Life 福神漬
グランプリ授賞式で籠島社長㊧と同社社員
新進のプレゼン
 株式会社新進(籠島正雄社長、東京都千代田区)では、4月19日に東京ビッグサイトで開催された〝漬物グランプリ2025〟決勝大会の法人の部において「Long Shelf Life 福神漬」がグランプリに輝き、農林水産大臣賞を獲得した。
 「Long Shelf Life 福神漬」の特徴である賞味期間の長さや食品添加物の使用を極力抑えていること、また動物性原材料を使っていないヴィーガン認証を受けていることなどが高く評価されての快挙となった。同社では「漬物グランプリ」において最高賞となるグランプリの受賞は初となる。
 「Long Shelf Life 福神漬」は、添加物を極力抑え動物性原材料を使用しない製法で、賞味期間425日という長期保管を実現した同社の長年の漬物製造と衛生管理技術を活かした商品。通常の漬物商品に比べ賞味期間を長く保つことで、近年頻発している自然災害や新型病原菌の流行等の非常時に対応する家庭内備蓄と消費行動「ローリングストック」に最適で、さらに、賞味期限切れによる廃棄(フードロス)の削減にもつながる商品となっている。
 また、製造にあたり、添加物の使用を抑え、野菜や砂糖、しょうゆ、醸造酢などの食品素材を基本に仕上げ、動物性の原材料(肉、魚介類、卵、乳製品)やはちみつ、五葷を使用していない。ベジタリアン(菜食主義者)やヴィーガンの人にもオススメの商品となっている。
 なお、同社でシリーズ商品として「Long Shelf Life メンマ」「Long Shelf Life 葉唐きゅうり」「Long Shelf Life 細切りたくあん」も発売しており、こちらも「Long Shelf Life 福神漬」と同様に賞味期間425日を実現、国内外で人気を集めている。
 【「Long Shelf Life 福神漬」商品概要】内容量:150g、賞味期間:425日(未開封)、保存方法:直射日光、高温多湿を避けて保存、参考売価:200円(税別)
【2025(令和7)年5月1日第5194号12面】

新進「Long Shelf Life 」シリーズ 

準グランプリ(農林水産省大臣官房長賞)

秋本食品(神奈川県) 「発酵の旨味乳酸発酵白菜漬」

秋本食品のプレゼン
準グランプリに輝いた秋本食品
発酵の旨味乳酸発酵白菜漬
台湾風酸菜鍋
発酵白菜と豚肉の中華炒め
 秋本食品株式会社(秋本善明社長、神奈川県綾瀬市)の「発酵の旨味乳酸発酵白菜漬」が漬物グランプリ2025法人の部(キムチ浅漬部門)で準グランプリを受賞した。
 同社では、「つけ物」は野菜を発酵させて「うま味」や「香」を楽しむことができる日本の伝統食と位置付け、「発酵」の魅力を多くの方に広げたいという思いを具現化するべく、「発酵の旨味」ブランドを立ち上げた。その第一弾商品として昨年11月に「乳酸発酵白菜漬」を発売した。
 同商品のポイントは3つ。
 ①「生きた乳酸菌が働いている。乳酸発酵の旨味と酸味が楽しめる白菜漬」。乳酸発酵によって乳酸やコハク酸など様々な成分が作られ、それにより深みの増した味わいが楽しめる。
 ②「家庭では再現できない、美味しさでお客様からの高評価!」。同社が運営する鎌倉あきもと本店(福嶋知由店長、神奈川県鎌倉市)で試食アンケートを実施し、「家庭では作れないおいしさ」、「酸っぱいけどおいしい」、「ご飯にもお酒にも合いそう」、「普通の浅漬とは違うおいしさ」などの感想が聞かれ、現在の浅漬売場では見かけなくなった程良い酸味と旨味が特徴の白菜漬として幅広い層から支持された。
 ③「発酵の旨味と酸味を活かした、料理にも使えます」。乳酸発酵ならではの旨味と酸味で焼いた豚肉に塩コショウのみのシンプルな味付けでも驚きの美味しさが楽しめる。オススメのレシピは、発酵白菜と豚肉の中華炒め、春巻き、酸菜白肉鍋風発酵白菜鍋、タンミョン炒め。内容量は200gで賞味期限は15日間。販売期間は通年。
 4月19日に開催された決勝大会でプレゼンテーションを行った営業本部マーケティング部マーケティング室の杉村希美氏は、「この商品は生きた乳酸菌が入っており、酸味と旨味の変化が楽しめる白菜漬。作り立てから日が経つにつれて味が変わっていく。味が変わる理由は乳酸発酵により、乳酸菌が酸味や旨味の成分を作り出す。そのため、味が変化していく。お気に入りの食べ頃のタイミングを見つけていただきたい」と商品特徴を説明した。
 味付けについては、「この商品は自宅では再現できないこだわりの調味となっている。開発者がこだわり抜いて、発酵に合う味をコンセプトに何度も試作を行って妥協せず作り上げた。普通の白菜漬とは一味違う唯一無二の美味しさを楽しんでほしい」と自信をうかがわせた。
 また、そのまま食べる以外の食べ方について、「こだわりの味と発酵の旨味を料理にも活用することができる。白菜の味がしっかりしているため、シンプルな味付けのみで絶品料理を作ることができる。この商品と春雨、豚バラ肉が冷蔵庫にあれば簡単に絶品中華炒めを作ることができる。作り方はインスタや商品パッケージに掲載しているので是非、確認していただきたい」と料理素材として幅広く利用できることをPRした。
【2025(令和7)年5月1日第5194号12面】 

秋本食品

山豊(広島県)「むすとも カラフル野菜と広島菜旨塩味」

むすとも カラフル野菜と広島菜旨塩味
彩りよいおむすびを簡単に
グランプリ授賞式で受賞を喜ぶ同社社員
 株式会社山豊(山本千曲社長、広島市安佐南区)の、ご飯に混ぜるだけのおむすびの具「むすとも」シリーズから『カラフル野菜と広島菜旨塩味』が、漬物グランプリ2025の準グランプリを獲得した。
 「むすとも」シリーズは2023年に発売して以来、広島の土産店はもちろん、雑貨店など県外での採用も増えている。「ひろしまグッドデザイン賞」を受賞したように、明確なコンセプトに基づいた商品設計が評価され、若い世代も「かわいい」と次々と手に取る商品となった。
 営業部開発課の松宮由美氏は「おむすびブームに狙いを付け、おむすび専用商品を開発しようとしたのがきっかけ。そこから、おむすびってどんな存在だろう、と深掘りしていった」と話す。周囲へ聞き取りをしていくと、多くの人がおむすびに対して、温かく優しい思い出を持っていることが分かった。この気持ちをデザインへ込めようと、ロゴマークはおむすびとそれを握る手をやわらかな曲線で表現。パッケージ全体が三角形状になっていて、遠目からでもおむすびに関連した商品であると連想できる。カラフルなストライプは、色々な味と彩り豊かな食シーンを表現している。
 今回準グランプリに輝いた『カラフル野菜と広島菜旨塩味』は広島菜、たまねぎ、にんじん、赤ピーマン、とうもろこし、の5種類の具材を、まろやかな旨塩味に漬け込んでいる。元々業務用で作っていた商品なのだが、むすとものコンセプトに合致し、シリーズ1番人気の商品となった。
 シリーズラインナップは本品のほか、『辛子めんたいこ広島菜マヨ風味』、『ゆず広島菜』、『ぱりぱりしそひじき』、『おかかしょうが』に、今年4月より発売開始した『ザーサイと広島菜旨辛醤』が加わった。春には期間限定で『筍と広島菜さくら風味』を販売するなど、展開を広げている。
 「むすとも」は特設ホームページも公開している(https://www.musutomo.com/)。「むすとも」を使ったアレンジレシピを紹介している他、消費者がおむすびにまつわる思い出を投稿できるフォームも設置。思い出を共有できる場として、多くのコメントが寄せられている。
 「ネーミングやパッケージ次第で売れ方は変わる、と改めて実感した。広島菜漬やお漬物にはまだまだポテンシャルが秘められているという希望にもなった」と松宮氏は語る。さらなる商品開発に、一層熱が籠もる。
【2025(令和7)年5月1日第5194号12面】



地域特産品特別賞

マルツ食品(埼玉県) 「さいたま梨のピクルス」

さいたま梨のピクルス
埼玉産の梨の風味や食感を生かした
地域特産品特別賞を受賞したマルツ食品の鶴田専務
 マルツ食品株式会社(鶴田健次社長、埼玉県深谷市)は、「さいたま梨のピクルス」が漬物グランプリ2025にて地域特産品特別賞を受賞した。
 同商品は埼玉県上里町と神川町産の梨を使用したピクルス。調味液には埼玉県熊谷市の株式会社武州養蜂園の蜂蜜や秩父市の兎田ワイナリーの赤ワイン「秩父ルージュ」を使用。梨の風味や食感を生かした味わいとともに様々な地域食材をうまく活用している点が高く評価されての受賞となった。 
 調味液にはその他にも厳選した黒酢や沖縄産の塩などこだわりの食材を使用、爽やかな梨の風味とシャキシャキとした食感が楽しめる商品となっている。
 「さいたま梨のピクルス」はもともと、テレビ局の企画により、千葉県船橋市のゆるキャラ「ふなっしー」のオリジナル商品として2023年に開発されたPB商品であったが、売行きが好調なため、マルツ食品のNB商品としても昨年より発売をスタートし好評を博している。
 原料となる梨は、気候変動の影響で黒ずみや傷などが発生し出荷できなくなった規格外品を使用。廃棄される予定だった梨を同社が言い値で買い取ることで、生産者を支援するほか、食品ロス削減にもつながるSDGs対応型の商品でもある。梨自体の味わいとともにこだわりの食材を使用した漬け液の味わいも美味。そのままスイーツとして楽しめるのはもちろん、ヨーグルトに液ごと入れてもおいしい。
 冷水や炭酸水に漬け液を加え、黒酢ドリンクにするのもオススメだ。
 鶴田専務は「まさに晴天の霹靂と言える受賞。埼玉県産の様々な食材を使ったこの商品にぴったりな賞を受賞できたことに心より感謝を申し上げたい。これからも漬物の可能性を信じて努力を続けていく」と話した。
【2025(令和7)年5月1日第5194号8面】

マルツ食品HP

一般審査員特別賞

菅野漬物食品(福島県) 「相馬産あおさ海苔のごま油香る濃厚キムチ」

相馬産あおさ海苔のごま油香る濃厚キムチ
一般審査員特別賞受賞を喜ぶ菅野社長(左)と菅野専務
あおさ海苔キムチのチュモッパ
クリームチーズの海苔キムチ和え
一般審査員特別賞受賞
 株式会社菅野漬物食品(菅野行雄社長、福島県南相馬市鹿島区)は、昭和15年創業の老舗総合漬物メーカー。「タマゴヤ」と「香の蔵」のブランドで全国に名を馳せる。その商品は県内及び仙台駅に構える直売店や全国各地の量販店にて厚い支持を誇る。
 同社では4月17日から発売した「相馬産あおさ海苔のごま油香る濃厚キムチ」が一般審査員特別賞を受賞した。
 福島県相馬市は「あおさ」の名産地で、鮮やかな緑色で磯の香りが高く、食感の良さと旨みが特徴。栄養価にも優れている。その相馬産あおさ海苔を唐辛子、にんにく、生姜、ねぎなどを加えてブレンドし、「香の蔵」オリジナルの濃厚でコクのあるキムチだれに漬け込んだ。
 あおさ海苔はきめが細かく、滑らかな素材なのでアレンジも自由自在。熱々のご飯に乗せて佃煮風に食べられる他、小さくカットしたクリームチーズと合わせるなど、和えたり、混ぜ込んだりすることができ、幅広いメニューに活用できる。
 あおさ海苔の風味、ごま油の香り、濃厚なキムチの味が融合し、新しい味わいを楽しむことができる。漬物グランプリでは4月17日と18日の2日間、来場者が審査を行う一般試食投票が計8回(各回100人)実施され、圧倒的な人気を集めた。内容量は80gで賞味期限は60日。
 4月19日に開催された決勝大会でプレゼンテーションを行った菅野嘉彬専務取締役は、「この商品を開発した背景は、福島の海の恵みで相馬市の特産品でもあるあおさ海苔の美味しさを漬物を通して全国、世界に届けたい、という強い思いがあって開発した」と経緯を説明した。
 主原料であるあおさ海苔については、「相馬市松川浦の名産であるあおさは、『ヒトエグサ』という海藻で風味豊かな磯の香りと食感、旨味が魅力で通称青のり、あおさと呼ばれている。冬から春にかけて収穫の最盛期を迎え、松川浦に鮮やかな海苔の絨毯が敷かれる光景が見られる。東日本大震災の影響で養殖は一度途絶えたが、今では生産者の努力によって生産規模が回復してきている」と産地の状況を説明した。
 商品や味の特徴については、「磯の香りと旨味がギュッと詰まった相馬産のあおさ海苔だけを贅沢に使用し、にんにく、ねぎ、生姜、唐辛子などを使ったキムチだれに丁寧に漬け込んだ。ごま油と味噌の旨味とコクでより奥深い味わいを醸し出している。食欲をそそる香りも特徴」とこだわりを強調した。
 続けて「オススメの食べ方は、熱々のご飯に乗せたらもうご飯は止まらない。お酒のおつまみにもピッタリ。アレンジレシピとしてはクリームチーズと和えたり、ご飯、沢庵、ねぎと混ぜて韓国風おにぎり、まぐろユッケなど、色々な食べ方が楽しめる」とそのままでもアレンジしても楽しめる商品の魅力を紹介した。
【2025(令和7)年5月1日第5194号12面】

菅野漬物食品

漬物グランプリ2025 金賞
本漬部門

上沖産業(宮崎県) 辛みを楽しむ「おかか生姜」

おかか生姜
生姜の香りや歯ざわりが楽しめる薄切り
 株式会社上沖産業(上沖和己社長、宮崎県三股町)は宮崎産原料にこだわりらっきょう漬や生姜漬、沢庵を製造している。
 このたび、宮崎県産生姜を使用した「おかか生姜」が漬物グランプリで金賞を受賞した。
 薄切りにした宮崎県産生姜を、枕崎産鰹節、利尻産昆布だしを利かせた丸大豆醤油で漬け込んでいる。一口噛めば、シャキっとした歯ざわりの中から生姜の辛味とダシの旨みが押し寄せてくる。
 甘みのある醤油漬なのでご飯のお供にも、また辛さを楽しむ酒のアテとしても愛されている。
 生姜をダイス状にした同社の人気商品「万能おかず生姜」が薬味風であるのに対して、「おかか生姜」は薄切りなので主役として活躍できる。
 刻んでいなり寿司やちらし寿司に混ぜるなどのアレンジレシピも提案できる。和食によく合う醤油味なので、添え物としても料理の邪魔をせず使いやすい。
 昨年新たに発売して以来、市販、業務筋双方から評価を得ている。営業課の上原隆治次長は「生姜は国産、海外産とも高騰している。寿司店のガリ無償提供が減ってくるほどの状況だが、だからこそ生姜の価値を最大化した本品を提案していきたい」と話している。
 昨年は国産生姜の最大産地である高知県が凶作だっため、一般的には生姜は不足、高騰している。
 しかし同社は地元宮崎での契約栽培により、十分な量を確保できている。上沖社長は「生姜やらっきょうは、海外産原料に主流が移ったことで生産農家が大きく減った。価格が乱高下する状況に嫌気がさすのは当然だと思う。当社は契約栽培の割合を高め、安定した仕入れと、生産農家の収入安定を両立させている」と語っている。
【2025(令和7)年5月1日第5194号8面】

紀和農園プロダクツ(和歌山県)  待つ楽しさ「紀州紀和の梅」が金賞

梅干が漬かる様子を楽しめる「紀州紀和の梅」
紫蘇の香りが爽やか
 株式会社紀和農園プロダクツ(阪本和繋社長、和歌山県和歌山市)は、五感で楽しめるこだわりの梅干作りを得意としており、ギフトや通販で高く評価されている。
 このたびの漬物グランプリ2025では「紀州紀和の梅 昔風味」が金賞を受賞した。梅干しが出来上がっていく様子を目で見て堪能し、漬けたての味と香りを楽しめる、完全受注生産の商品だ。
 注文を受けてから、塩だけで漬けたすっぱい白干しの紀州南高梅と、国産のもみしそを交互に4~5段重ねにして1㎏瓶(PET)の中で漬け込んで、出荷する。
 家庭に届いてから時間をかけて、もみしその成分が浸透していき、初めは薄いオレンジ色だった白干し梅が日を追うごとに赤く染まっていき、1カ月ほど経つと種まで漬かる。
 開封すればしその香りが鮮烈に立ち上がってくる。塩分約19%で、塩としそのみで漬けた梅干しの味わいは「昔風味」の名にふさわしいすっぱさと塩辛さ。ちびちびとかじりながら白いご飯に合わせてほしい。
 阪本社長は「家庭で梅仕事をする人が減ってきているので、まずは手軽に梅の魅力を感じてもらいたいと思い開発した。できたての香りはひと味違う。一カ月以上“おあずけ”されるのも楽しみのうち。市販品にはない、梅干しの原点とも言うべき美味しさを楽しんでほしい」と商品に込めた思いを語っている。
 現在の主な販路は郵便局のギフトなど。「届いてからも時間がかかる商品なので、正直なところ発売当初は売れなかった(笑)。しかしコロナ禍を経て、日常をちょっと豊かにしてくれるものを自分で買ったり、贈ったりという価値が再評価されてきたようだ。少しずつだが着実に伸びてきている」と阪本社長は分析している。
 なお同社の「紀州南高梅 夢葵 彩の舞」は2023年の漬物グランプリで、最高位である農林水産大臣賞を受賞している。こちらは美しい5種類の梅干しが並ぶ、贈答に最適な品として高く評価された。
【2025(令和7)年5月1日第5194号8面】

紀和農園プロダクツ http://www.kiwanouen.co.jp/

漬物グランプリ2025 金賞
浅漬・キムチ部門

丸越(愛知県) 「旦千花農園江戸菜の香味仕立て」

希少な江戸菜を素材に
旦千花農園江戸菜の香味仕立て
江戸菜の圃場
プレゼンを行う堀木氏
 株式会社丸越(野田明孝社長、愛知県名古屋市)では、漬物グランプリ2025法人の部「キムチ・浅漬部門」において、「旦千花(たちばな)農園江戸菜の香味仕立て」が金賞を受賞した。
 同商品の原料となる「江戸菜」は、千葉県の旦千花農園が独自に品種改良した希少価値の高い小松菜。1999年に「旦千花の江戸な」として商標登録した「江戸菜」は、専用の肥料と独自の栽培法によって育てられ、一般的な小松菜の約2倍となる40~50㎝ほどの大きさに成長する。
 青菜特有の苦みや渋みが少なく、シャキシャキとした繊細な食感が特徴。製造においては鮮度にこだわり、その日に使用する分だけを仕入れて漬け込んでいる。ほんのりとにんにくが効いた白醤油ベースの調味液に漬け込むことで上品な香りと奥深い旨みが感じられる味に仕上がっている。また、江戸菜の鮮やかな緑色は彩りとしても楽しめる。
 同商品は昨年4月に同社の対面販売店舗にて「今月の限定品」として発売。今年も4月限定で販売され、好評を博した。
 4月19日に開催された決勝大会でプレゼンテーションを行った開発者の株式会社香味小夜子開発管理課係長の堀木栄輔氏は、「江戸菜は千葉県の旦千花農園が長年の歳月をかけて独自に品種改良し、商標登録した特別な小松菜。一般の小松菜と比べて苦みや渋みが格段に少なく、筋も少ないので生で食べられることが最大の特徴」と素材を紹介した。
 続けて「江戸菜を引き立てる要となっているのが、同じく千葉県にあるキノエネ醤油の白醤油。淡い色合いからは想像できないほどの深い旨みがあり、江戸菜の繊細な味わいを引き立てる」と調味について説明した。
 商品のコンセプトやこだわりについては、「この商品は、中華料理の定番である『青菜炒め』をイメージし、それを浅漬で表現することに挑戦した。浅漬の製造工程を活用することで、素材の持つ鮮度感とシャキシャキとした豊かな食感を最大限に引き出している。この商品を通して漬物の可能性と素材の素晴らしさを伝えたい」と希少な素材と同社の技術を融合させた逸品をPRした。
【2025(令和7)年5月1日第5194号9面】

丸越

東海漬物(愛知県) 「漬物屋が本気で作ったナムル」

プレゼンを行う鈴木眞乃氏
漬物屋が本気で作ったナムル
 東海漬物株式会社(永井英朗社長、愛知県豊橋市)では、3月より発売した惣菜感覚の新しい浅漬「野菜そうざい」シリーズの「漬物屋が本気で作ったナムル」が金賞を受賞した。
 「野菜そうざい」シリーズは、野菜にしっかりとタレが絡んでいるので、面倒な液切が不要。また、便利な食べきりサイズで、手軽におかずの一品として利用できる。
 「漬物屋が本気で作ったナムル」は、食感の良い豆もやしを中心に、大根・人参・にら・ゼンマイの5種類の野菜と大豆ミートを使用した本格ナムル。鶏ガラ風味の塩味と旨み、コチュジャンの深みのある辛さが特徴のタレを絡めた。仕上げにごま油を混ぜ込み、ごま油の香りで食欲をそそる味わいが楽しめる。内容量は110gで賞味期間は16日。
 4月19日に行われた漬物グランプリ2025決勝大会でプレゼンテーションを行った同社漬物機能研究所商品開発課の鈴木眞乃氏は、「近年、浅漬市場がダウントレンドになる中、私たちは浅漬の箸休めからの脱却を掲げて惣菜風浅漬、野菜そうざいを開発するプロジェクトを立ち上げた。若手社員が試行錯誤を重ねて誕生した商品が『漬物屋が本気で作ったナムル』」と商品開発の経緯を説明した。
 素材や商品特徴、味付けについては、「漬物メーカーならではの漬ける技術を最大限に生かし、野菜のシャキシャキ食感と美味しさを味わえるように仕上げた。さらに16日という圧倒的な賞味期間を保ちながらも漬ける技術で美味しさを損なっていない。また、味付けも本気で、味わい深いコチュジャンと鶏ガラ風味のタレで、大豆ミートと5種類の野菜をしっかりコーティング。仕上げにごま油を使用することで、開封した瞬間から食欲をそそる味わいに仕上げている」と紹介した。
 新しいコンセプトで開発した野菜そうざいシリーズについては、「浅漬をもっと幅広い場面で食べていただきたい、という本気の思いがあり、商品名に本気の文字を入れている。ナムルはそのまま食べることはもちろん、ビビンバの具にするなどアレンジが簡単にできる。忙しい共働き世代の方にも手に取っていただきたい。この商品をきっかけに漬物の魅力を知っていただければ嬉しい」とPRした。
【2025(令和7)年5月1日第5194号8面】  

東海漬物

天政松下(大阪府) 金賞「瀬戸内産レモン大根」

瀬戸内産レモン大根
筍しぐれ
黒豆五目煮
 株式会社天政松下(松下雄哉社長、大阪市西淀川区)の「瀬戸内産レモン大根」が漬物グランプリ2025で金賞を受賞した。1~3月中旬に穫れる、酸味が穏やかで果汁が多いイエローレモンのみを使用するため2月~4月の期間限定で販売する。
 薄切りのレモンを贅沢に輪切りにして添えており、レモンの酸味やほんのりと渋みも感じられる。ベースとなるのはイチョウ切り大根の甘酢漬だが、本品は繊細なレモンの風味を感じてもらうために甘みを抑えた味に仕上げている。
 このため爽やかな味わいになっており、焼き肉や揚げ物などの脂っこい料理と合わせれば、料理の味を邪魔せずさっぱりと口の中をリセットしてくれる。蒸し鶏のようなあっさりした料理と一緒に盛り付けて具材代わりにするのもよく合う。
 アレンジレシピとして、細かく刻んでスクランブルエッグの具材にすれば食感と風味を同時にプラスできる。
 また「筍しぐれ」「黒豆五目煮」で銀賞を受賞した株式会社匠洛庵(松下正雄社長、京都府京都市伏見区)はグループ会社。京都の家庭料理のような、だしの利いたやさしい味付けが特徴だ。
【2025(令和7)年5月1日第5194号8面】


漬物グランプリ2025 銀賞
本漬部門

遠藤食品(栃木県) 「新がり カップ」

新がり カップ
寿司以外の付け合わせとしても利用できる
 業務用がりのトップシェアを誇り、『新がり』、『新がり完成品』の商標登録並びに全国鮨組合の指定商社として広く知られている遠藤食品株式会社(遠藤栄一社長、栃木県佐野市下彦間町)。業務用から市販用まで、「しょうがを食卓に…」のコンセプトでこだわりの生姜製品を提供している。
 同社では「新がり カップ」が銀賞を受賞した。物価高で節約志向が高まる中、もう一つ重要視されているニーズが簡便性。漬物でも切る手間やお皿に移し替える必要がない商品は消費者から支持されており、出荷数を伸ばしている。「新がり カップ」はまさにそのような簡便タイプ商品で、あるようでなかったアイテムとして販路を広げている。
 「新がり カップ」は、厳選したタイ産の生姜を使用。保存、開封に便利なカップ容器となっており、開封後は液を捨てれば別の皿に移し替えることなくそのまま利用できる。食卓はもちろん、夏や秋の行楽、アウトドアなど幅広いシーンで利用できる。
 「がり」は寿司の付け合わせとして定番となっているが、生姜の爽やかな辛味と甘酢の清涼感が口の中をさっぱりとさせるため、脂っこい料理や中華料理などのメニューにもピッタリ。普段の食事でも箸休めとして利用できる。
 横幅は約90㎜のため、限られた売場スペースでも販売することが可能。わずかなデットスペースはもちろん、漬物売場以外での関連販売にも適している。また、常温設定商品のため、場所を選ばず積み重ねて販売することもできる。
 がりは平袋での販売が主流で、規格は主に50g。本商品は固形70gなので、平袋と比べると大容量。グラム単価で比較すると、お得感のある商品として提案することもできる。規格は70g×12入×4で賞味期限は120日。
【2025(令和7)年5月1日第5194号9面】  

遠藤食品

北都(青森県) 「赤かぶと菊芋漬」

赤かぶと菊芋漬
赤かぶと菊芋の食感が絶妙
  株式会社北都(工藤信孝社長、青森県青森市)の「赤かぶと菊芋漬」が漬物グランプリ2025にて銀賞を受賞した。
 「赤かぶと菊芋漬」は、青森県内で自社栽培する赤かぶと菊芋を使用した甘酢漬。コリコリとした赤かぶとシャキシャキとした菊芋の食感が絶妙で箸が止まらなくなる。同商品はその味わいが高く評価され、漬物グランプリ2023においても地域特産品特別賞を受賞している。
 同社は建築、飲食、環境衛生、楽器といった様々な事業を展開する企業。飲食部門で運営する居酒屋メニューとして工藤社長の母・りち子さん秘伝の漬物を提供したところ大好評で、常連客から商品化を熱望する声が多かった。その声に応える形で、2023年に漬物事業をスタート。“箸がとまらないシリーズ”として「赤かぶと菊芋漬」と「大根のビール漬」の2品を製造している。
 「赤かぶと菊芋漬」は漬物グランプリ2023で地域特産品特別賞を受賞したことなどを機に人気が上昇している。主原料となる菊芋は“天然のインシュリン”とも言われ、主成分のイヌリンに血糖値の上昇を穏やかにする効果があるとされており、美味しさと健康性を兼ね備えた漬物製品として注目が高まっている。  同社では、昨年度まで赤かぶ原料として「つがる紅(つがるべに)」を使用していたが、色ムラが出やすいため、今年度から新たに青森市筒井地区の伝統野菜「筒井紅かぶ」を従来の「つがる紅」に混ぜて使用している。これにより、色ムラが少なく、さらに鮮やかな色合いに漬け上がるようになっている。
【2025(令和7)年5月1日第5194号8面】

北都HP

新六本店(茨城県) 「新六の茗荷奈良漬」

新六の茗荷奈良漬
 株式会社新六本店(田中秀社長、茨城県取手市)では、「新六の茗荷奈良漬」が漬物グランプリ2025にて銀賞を受賞した。
 「新六の茗荷奈良漬」は10月~12月の季節限定商品。茨城県産の旬のみょうがを5度の漬け替えを経て2カ月かけて漬け上げている。
 酒粕の芳醇な香りにみょうがのほのかな苦味が重なる。日本酒はもちろん、ワインとの相性も良く、一度食べればクセになる他にはない味わいに仕上がっている。
 同社では近年、みょうが以外にも牛蒡、人参、椎茸、パパイヤなど地元茨城県産の旬の野菜を使用した様々な奈良漬を発売。これまでにない味わいや食感が人気を集めている。
 また創業150周年を記念して2018年に発売した「きざみ奈良漬」と「すらいす奈良漬」も好評。「きざみ」はクリームチーズ、納豆、サラダ、カレー、お茶漬などにパラっとかけられる刻みタイプ。「すらいす」は食べたい時にすぐに食べられるスライス奈良漬になっており、どちらの商品も現代の簡便性ニーズを捉え、人気商品として定着している。
【2025(令和7)年5月1日第5194号9面】

新六本店HP

大ヤス澁谷食品(青森県) 「〆ニシン漬」「〆紅鮭漬」

〆ニシン漬
〆紅鮭漬
 大ヤス澁谷食品(澁谷修人代表、青森県北津軽郡鶴田町)では、漬物グランプリ2025にて「〆ニシン漬」と「〆紅鮭漬」の2品が銀賞を受賞した。
 「〆ニシン漬」は、大根、キャベツ、人参などの国産野菜と酢締ニシンを米麹で漬込んだ漬物。「〆紅鮭漬」は同じく大根、キャベツ、人参などの国産野菜と酢締紅鮭を米麹で漬込んだ漬物。それぞれ酢締めにした魚介の旨みとシャキシャキとした野菜の味わいが合わさり、米麹がまろやかさを加えている。
 同社では赤かぶ千枚漬や白菜漬などの浅漬類を中心に漬物製造を行っているが、秋冬シーズン限定で製造する「ニシン漬」が好評。春夏シーズンにも食べたいという顧客のリクエストが多く寄せられていたため、春夏シーズンに販売できる魚介漬物を研究していた。 その結果誕生したのが今回の受賞品である「〆ニシン漬」と「〆紅鮭漬」。春夏シーズンに製造する野菜漬物との兼ね合いからこれまで同期間に魚介漬物を製造することが難しかったが、地元の飯ずし店から酢締めニシンと酢締め紅鮭を仕入れることによりこの課題を解決。今年3月に新発売した。
 仕入れた魚は同社でさらにハーブなどに漬け込み臭みをとり、野菜と合わせ米麹に漬込むことで完成する。米麹は甘酒の状態になるまで発酵を進めることで、さらにまろやかな旨味がでる。
 風味が落ちないよう真空パック入りの冷凍流通を採用。賞味期間は冷凍90日となっている。
【2025(令和7)年5月1日第5194号10面】

大ヤス澁谷食品HP

やまう(東京都) 「国産DC こくぼし」

国産DC こくぼし
 やまう株式会社(梅澤綱祐社長、東京都目黒区)は「国産DC こくぼし」が漬物グランプリ2025にて銀賞を受賞した。
 「国産DC こくぼし」は、国産干大根の食感に、醤油のコクと、椎茸・昆布の一番出汁の旨味をきかせて風味よく味付けした大根漬。
 原料には南九州伝統の櫓で天日干しした国産白首大根を使用しており、大根の歯切れの良い食感が楽しめる。 
 また国産の原木乾燥椎茸と北海道産の昆布から一番出汁だけを丁寧にとることで、豊かな風味と旨味を追求している。
 こだわりの食材が生み出すコクや旨味により、特別感のある大根漬に仕上がっている。
 コク深い醤油味の大根漬は、ご飯のお供やお酒のおつまみとしても最高の一品。卵かけご飯やお茶漬け、おにぎりの具材としても美味しく食べられる。
【2025(令和7)年5月1日第5194号9面】

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