二階氏が最高顧問へ、鶴保氏は幹事長
梅産業の振興を目的とした梅振興議員連盟(森山ひろし会長)は11日、東京都千代田区の参議院議員会館1階特別会議室にて第29回総会を開催。役員改選で前幹事長の二階俊博氏が最高顧問、前事務局長の鶴保庸介氏が幹事長、前事務局次長の清水真人氏が事務局長に就任した。昨年度の決議文への対応状況について農水省が報告し、全国6地区の各産地がそれぞれの取組を発表。梅干し等漬物の流通販売の現況について、全日本漬物協同組合連合会の中田吉昭常務理事が報告した。また、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)果樹茶業研究部門の草塲新之助所長が「気候変動が果樹に及ぼす影響について」の演題で講演した。
若林洋平参議院議員の司会進行で、まず冒頭で森山会長が挨拶し、昨年改正された食料・農業・農村基本法について触れ「農業の大きな転換点であり、構造改革を集中的に推進しなければならない。梅産地においても、生産現場の取組を後押ししていきたいと考えている。本日ご出席の皆様と共に梅の生産も消費も更に伸ばし、産地の活性化を担っていくという使命を持って尽力していく」と述べ、引き続きの協力を要請した。
続いて、二階最高顧問が挨拶。長く同連幹事長を務めたことを振り返り「今回からは梅の振興を願う一人として、森山会長はじめ出席議員の皆様と共に努力していきたい。農業の中でも優等生の梅が、生産現場から更に盛り上がることを期待する」と語った。
鶴保幹事長は「梅という一つの作物のみを振興する議員連盟はニッチだが、我々が目指しているものは大きい。梅干しや梅酒をどう世界に広げるかなど、多くの課題はあるが、それを解決するだけの能力もあると自負している」と、新幹事長としての抱負を語った。
議事では農林水産省から昨年度決議内容の項目について対応状況の説明が行われた。また、直近の「うめをめぐる情勢」についても報告、4月に和歌山県みなべ・田辺地方で発生した降雹被害について、被害額は48億円と発表した。(詳細は食料新聞電子版に掲載)
続いて、全国各産地別の現状報告と取組の発表が行われた。
【和歌山県】みなべ町では、天候変動に強い品種改良や害虫対策、肌の保湿成分や抗ウイルス性の研究を進行。農家で梅収穫を手伝うワーケーションや、滞在型体験「つなぐプロジェクト」の実施など。
【埼玉県】越生(おごせ)町では、越生梅林での梅フェア等で独自ブランド「越生べに梅」をPR。食育活動も実施している。
【群馬県】高崎市のJAはぐくみでは、名産の白加賀梅の魅力を梅干しだけでなく、果実エキスを配合したシャンプー&リンス「tezmi(テヅミ)」を開発した。
【東京都】青梅市では、PPV(ウイルス)感染防止マニュアルを公開。その一環として、5年で早期成園化が図れるジョイント栽培の導入を図っている。
【神奈川県】小田原の梅振興について、「十郎梅」に加えて極早生の「十郎小町」や、新品種「翠豊」などを県農業技術センターで育成。梅干しレシピ冊子を作成し、給食にも提供している。
【福井県】若狭町では農家を支援する補助金制度や新規就業者の公募で、現在2名が研修中。北陸新幹線開通で、観光客と独自ブランド紅映(べにさし)梅のマッチングなどでPRを実施している。
梅産業の振興を目的とした梅振興議員連盟(森山ひろし会長)は11日、東京都千代田区の参議院議員会館1階特別会議室にて第29回総会を開催。役員改選で前幹事長の二階俊博氏が最高顧問、前事務局長の鶴保庸介氏が幹事長、前事務局次長の清水真人氏が事務局長に就任した。昨年度の決議文への対応状況について農水省が報告し、全国6地区の各産地がそれぞれの取組を発表。梅干し等漬物の流通販売の現況について、全日本漬物協同組合連合会の中田吉昭常務理事が報告した。また、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)果樹茶業研究部門の草塲新之助所長が「気候変動が果樹に及ぼす影響について」の演題で講演した。
若林洋平参議院議員の司会進行で、まず冒頭で森山会長が挨拶し、昨年改正された食料・農業・農村基本法について触れ「農業の大きな転換点であり、構造改革を集中的に推進しなければならない。梅産地においても、生産現場の取組を後押ししていきたいと考えている。本日ご出席の皆様と共に梅の生産も消費も更に伸ばし、産地の活性化を担っていくという使命を持って尽力していく」と述べ、引き続きの協力を要請した。
続いて、二階最高顧問が挨拶。長く同連幹事長を務めたことを振り返り「今回からは梅の振興を願う一人として、森山会長はじめ出席議員の皆様と共に努力していきたい。農業の中でも優等生の梅が、生産現場から更に盛り上がることを期待する」と語った。
鶴保幹事長は「梅という一つの作物のみを振興する議員連盟はニッチだが、我々が目指しているものは大きい。梅干しや梅酒をどう世界に広げるかなど、多くの課題はあるが、それを解決するだけの能力もあると自負している」と、新幹事長としての抱負を語った。
議事では農林水産省から昨年度決議内容の項目について対応状況の説明が行われた。また、直近の「うめをめぐる情勢」についても報告、4月に和歌山県みなべ・田辺地方で発生した降雹被害について、被害額は48億円と発表した。(詳細は食料新聞電子版に掲載)
続いて、全国各産地別の現状報告と取組の発表が行われた。
【和歌山県】みなべ町では、天候変動に強い品種改良や害虫対策、肌の保湿成分や抗ウイルス性の研究を進行。農家で梅収穫を手伝うワーケーションや、滞在型体験「つなぐプロジェクト」の実施など。
【埼玉県】越生(おごせ)町では、越生梅林での梅フェア等で独自ブランド「越生べに梅」をPR。食育活動も実施している。
【群馬県】高崎市のJAはぐくみでは、名産の白加賀梅の魅力を梅干しだけでなく、果実エキスを配合したシャンプー&リンス「tezmi(テヅミ)」を開発した。
【東京都】青梅市では、PPV(ウイルス)感染防止マニュアルを公開。その一環として、5年で早期成園化が図れるジョイント栽培の導入を図っている。
【神奈川県】小田原の梅振興について、「十郎梅」に加えて極早生の「十郎小町」や、新品種「翠豊」などを県農業技術センターで育成。梅干しレシピ冊子を作成し、給食にも提供している。
【福井県】若狭町では農家を支援する補助金制度や新規就業者の公募で、現在2名が研修中。北陸新幹線開通で、観光客と独自ブランド紅映(べにさし)梅のマッチングなどでPRを実施している。
会議室内には、各地区の梅干し、飲料等の製品や梅酒造りセットなど展示された。漬物業界からは中田氏、紀州田辺梅干協同組合の前田雅雄理事長、全漬連真野康彦専務理事らが出席し、業界関係者を代表して中田氏が発表。「昨年は史上最悪の凶作で平年の3割ほどしかなく、ブレーキをかけながらの販売となった」と報告。しかし、総務省の家計調査やPOSデータの実績は堅調である点を強調し、「今年は雹被害があったが、多少の傷はあっても美味しさは変わらない点をアピールしていく。また、大阪万博では未来に繋ぐ『万博漬け』を実施しており、梅干しの良さを発信していく」と述べた。
続いて草塲所長が「気候変動が果樹に及ぼす影響について」の演題で講演。1990年から続く温暖化は、2023、24年と2年連続で記録的な高温となり、ほとんどすべての樹種で高温障害が発生している。対策としては、短期的には温度を下げるための栽培技術(遮光、潅水)や体質改善、中期的には温暖化対応品種の開発、長期的には樹種転換や園地移動などが考えられる。温暖化の梅への影響については結実不良の発生原因と、花芽の充実や受粉機会の最大化などで安定化を目指す対策法などについて解説した。
続いて、今年度4項目の決議案(別掲)が読み上げられ、全会一致で採択された。会議終了後は二階最高顧問、鶴保幹事長らによる恒例の梅酒漬けのデモンストレーションも行われた。
【2025(令和7)年6月21日第5199号1面】
続いて草塲所長が「気候変動が果樹に及ぼす影響について」の演題で講演。1990年から続く温暖化は、2023、24年と2年連続で記録的な高温となり、ほとんどすべての樹種で高温障害が発生している。対策としては、短期的には温度を下げるための栽培技術(遮光、潅水)や体質改善、中期的には温暖化対応品種の開発、長期的には樹種転換や園地移動などが考えられる。温暖化の梅への影響については結実不良の発生原因と、花芽の充実や受粉機会の最大化などで安定化を目指す対策法などについて解説した。
続いて、今年度4項目の決議案(別掲)が読み上げられ、全会一致で採択された。会議終了後は二階最高顧問、鶴保幹事長らによる恒例の梅酒漬けのデモンストレーションも行われた。
【2025(令和7)年6月21日第5199号1面】
【梅振興議員連盟 令和7年度決議文】
一.高品質な梅の安定かつ、持続的な生産体系を実現するため、気候変動に対応した技術や環境に配慮した技術、また梅等の果樹栽培に合ったスマート農業技術の開発・改良等の対策を講じること。
一.特定外来種クビアカツヤカミキリの被害を抑制する予防研究を加速化させ、その対策技術を共有するとともに、産地がそれらの問題を克服するための適切な支援措置を講じること。
一.梅の効能を継続的に探求し、その成果を多くの人々と共有すると共に、災害時の非常食や学校給食への利用促進を図り、健康や機能性をキーワードにした梅の消費拡大に努めること。
一.「UME」を世界共通語として広め、世界農業遺産の認知度向上に努めるとともに、梅やその加工品の輸出促進に取り組むこと。
令和七年六月十一日
梅振興議員連盟






























