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大阪漬物・キムチ 電子版 企業特集

天政松下 業界活性化へ技術提供

松下社長
本格濃厚白菜キムチ(とうがらしのやまだ)
「とうがらしのやまだ」順調
 関西トップクラスの規模を誇る漬物メーカーベンダーの株式会社天政松下(松下雄哉社長、大阪市西淀川区)が、IT分野に進出し多角化経営に乗り出したことで注目を集めている。
 ホームページ制作・SNS運用代行を手掛ける株式会社ゼロベー(松下雄哉社長)と、POS分析やRPAツールの開発を行う株式会社Tate(陣野浩司社長)を相次いで設立した。
 こうした取り組みの根底にあるのは、同社が掲げる「満足循環主義」の思想だ。「従業員が満足して働くことで、より良い商品が生まれ、結果としてお客様の満足につながる。お客様からの喜びの声が、再び社員の誇りややりがいとなって返ってくる。この循環を大切にしてきた」と松下社長は語る。
 IT事業への展開も、この思想の延長線上にある。これまで社内で培ってきたデータ分析や自動化のノウハウを外部企業に提供することで、業界全体の生産性向上や人手不足解消に貢献する狙いだ。
 「自社だけが儲かるのではなく、共に働く人々が幸せになり、業界全体が成長する。そんな〝循環〟を作りたい」と松下社長は力を込める。
 販路拡大が続く関連会社の株式会社とうがらしのやまだ(山田良太社長)も、その理念を共有している。唐辛子にこだわった本格キムチを通じ、作り手の情熱と消費者の満足がつながる商品づくりを推進。味の深化と生産効率化の両立に挑み、機械化にも前向きに取り組むなど、持続可能な成長を目指している。
 一方で、昨今の物価高騰に対しても同社の姿勢は明確だ。原料や副資材の値上げをそのまま価格に転嫁するのではなく、「サプライチェーン全体が豊かになる価格とは何か」を自らの手で見極める。
 その実現の鍵を握るのは、〝人の想い〟だと松下社長は強調する。「商品を作る人、売る人、買う人、すべてが納得し、笑顔になれるような仕組みを作りたい。そのために、バイヤーの方々を産地に招き、生産現場のリアルを共有している。そこから生まれる共感が、売り場の力を変えるはずだ」。
 伝統食品である漬物を、共感と満足の循環によって次のステージへ。天政松下の挑戦は、〝人を中心にした経営〟で業界の未来を照らし出している。
【2025(令和7)年10月11日第5209号6面】

旭漬物味噌 ニーズ捉える対応力を

長谷川社長
意識改革で「高望み」実現
 漬物・味噌・佃煮など和商材卸の有力企業、旭漬物味噌株式会社(長谷川豊社長、大阪市北区)は、今年6月に長谷川豊氏が新社長に就任。新たな体制下で高い目標を掲げ、飛躍を目指す。
 同社のメーカー部門は、大阪の特産品である「水なす」の漬物を明確な強みとしている。酒のアテとして提案に取り組んできた結果、今では関東の売上が関西を上回るほどに定着してきた。
 しかし、今年は天候不順の影響で水なすの収穫が想定より早く終了し、売上を最大限に伸ばすことができなかった。同社では、来年以降も同様の事態が続く可能性を視野に入れ、提案に柔軟性を持たせるとともに、水なすに次ぐ新たな柱となる商品の開発を急ぐ。
 一方で、仕入れ商品は好調に推移して、メーカー部門の伸び悩みをカバーし、売上は前年比増を維持している。主な得意先は外食チェーンに加え、病院・介護施設や産業給食などへと拡大してきた。
 無限の選択肢がある仕入れ商品だからこそ、顧客の細やかなニーズを的確に汲み取り、最適な提案ができるかどうかが競合との勝負を分ける。このため長谷川新社長は、人材の意識改革を最重要課題の一つに掲げる。
 具体的な取組の一つが、目標設定の見直しだ。前年実績をベースにした設定から脱却し、あえて「高望み」をして、その実現に向けたプロセスを重視する。社員一人ひとりが能動的に課題解決に取り組む風土を醸成し、組織力の底上げを図る狙いだ。
 社長就任から4カ月が経ち、長谷川社長は「さっそく目標を上げた成果が出てきて安堵している。自分よりも経験の長い社員も、社長として接してくれることに、会社という組織の重みを実感している。全員で同じ方向を向いて努力をし、全員で成長できる会社を作っていきたい」と力強く語った。
【2025(令和7)年10月11日第5209号6面】

堺共同漬物 「みずなす漬」値上げしても伸長

みずなすのしば漬
「柿薫る秋の浅漬」
林野社長
「柿薫る秋の浅漬」新発売
 「泉州みずなす漬」を全国区のブランドに育て上げた立役者である堺共同漬物株式会社(林野雅史社長、大阪府堺市)が、高付加価値商材への選択と集中を加速させている。
 今年の泉州みずなす漬は、シーズン前半の5~7月半ばまでは潤沢な原料入荷に恵まれたが、7月後半からは様相が一変した。前半の豊作の反動に加え、記録的な猛暑や青枯病の発生が追い打ちをかけ、調達が失速。数量を伸ばしきれず、歯がゆい結果に終わった。
 しかし、手応えもあった。今年で3年連続となる価格改定に踏み切ったが、販売数量の落ち込みは軽微にとどまり、結果として売上増に貢献した。特に職員向け講習会を実施した生協では、カタログの内容が充実して商品の価値が伝わるようになり販売数が大きく伸びるという成果を挙げた。努力次第で、みずなす漬の市場はまだ拡大の余地があることを証明した格好だ。
 来年以降は、原料課題が発生することを前提とした生産計画を構築していく。同時に、数年前から取り組むフードロス削減に向けた生産システムも、年々改善を加え、持続可能なものづくりを追求する。「みずなすのしば漬」など浅漬以外の商品開発もその一つである。
 今後の商品戦略の核となるのが、泉州みずなす漬の成功事例の再現だ。味が良ければ、多少価格は高くとも消費者の支持は得られるという事実に基づき、次なるヒット商品の育成に取り組む。
 具体的には、「なにわ伝統野菜」を用いた商品や、季節感を前面に打ち出した商品だ。林野社長は「百貨店ブランドにも引けを取らないような品質と価値を目指す」と意気込む。
 この秋に向けて発売した「四季を味わう柿薫る秋の浅漬」もその一つ。秋を感じさせるイチョウ型の大根と、紅葉のような彩りの人参に、柿ピューレを加えて甘酢漬に仕立てた。おおさかパルコープと共同開発した本品はさっそく大きな反響を呼んでおり、「冬の浅漬」開発も決まった。
 一方で大手メーカーと競合しやすい商品製造からは撤退する方針だ。一時的な売上減少を受け入れてでも、収益体質を目指していく構えだ。
【2025(令和7)年10月11日第5209号6面】

高麗食品 「黄さんの手造りキムチ」定着

多種多様なキムチが並ぶ店頭催事
150以上のアイテム揃う
 国内有数のコリアンタウン、大阪・鶴橋で創業した有限会社高麗食品(黄鍾守社長、大阪市生野区)。本場韓国の手作りの製法を守りながら、日本の食卓に合う味を追求した「黄さんの手造りキムチ」ブランドが全国で人気を急拡大し、前年度(8月決算)には売上高40億円を突破した。
 その快進撃を支えるのは、150種アイテムを超える商品展開と、それを可能にする生産体制にある。
 キムチメーカーの多くが白菜キムチを主力とする中で、同社はらっきょう、ごぼう、セロリといった野菜から、チャンジャなどの珍味系まで、多岐にわたる商品を展開する。
人気が高まるらっきょうキムチ
 これを可能にしているのが、製造小売としてスタートし、直営店舗や催事で多種多様なキムチを作り続けてきたことだ。手造りでの柔軟な生産体制は得意分野であり、顧客の細かなニーズに応え続けてきた歴史が、現在の強固な基盤となっている。
 結果として、多くの量販店でキムチコーナーの棚を設けられるようになり、売上拡大の大きな原動力となった。多様なラインナップは選ぶ楽しさを提供するだけでなく、付加価値の高い商品として単価向上にも大きく貢献している。
 営業を統括する黄任守専務は「多様性があるのがキムチのあるべき姿。キムチという文化そのものを提案している感覚」と話す。
 例えば、甘酢らっきょうを用いたらっきょうキムチは10年ほど前から発売しているが、近年になって人気が高まり、同社の人気ランキング上位に食い込むようになってきた。同社の取り組みによって日本におけるキムチの定着具合が深まり、ご飯のお供以外の役割を持つようになった結果と言えるだろう。
 これら商品の開発を担うのが黄成守工場長だ。黄工場長は「先入観をもたずに、どんな食材でもキムチにしてみる」という姿勢を貫く。この尽きることのない探求心とチャレンジ精神が、次々と新たなヒット商品を生み出し、消費者を飽きさせない魅力となっている。
【2025(令和7)年10月11日第5209号6面】

中村いせや本店 阿倍野の地で50年

店頭で漬物を販売する中村専務
自慢の「泉州特産水なす漬」などが並ぶ
求められる漬物を日々届ける
 株式会社中村いせや本店(中村茂人社長、大阪市都島区)は、伊勢たくあんの卸売を祖業に、現在は水なす漬や浅漬等の製造、各種漬物の卸売や販売を行う。
 同社では、近鉄百貨店阿倍野店から数えて約50年に渡り出店し、阿倍野の地で漬物を届けている。現在、あべのハルカス近鉄本店(近鉄百貨店)に店を構える。
 店舗での夏の売れ筋は、大阪らしく、また心を込めて漬け込まれた「泉州特産水なす漬」で、立ち寄る人の多くは、そのぬか漬や浅漬の購入がお目当て。爽やかであっさりとした水なす漬の味わいのおかげで、食欲がわきづらい夏でも、ご飯が進むこと間違いなし。
 水なす漬を購入した男性は、「この夏は百貨店へ訪れるたびに、ここで必ず水なす漬を買って帰った」と話す。冬場は、千枚漬やかぶら漬、みぶな漬がよく売れ、通年ではコロナ禍に商品開発・販売を開始した「昆布とかつおのだしピクルス」が伸長している。
 専務取締役で、店舗を運営する中村武史氏は、「百貨店は高級志向の商品を主に扱う傾向にあるが、阿倍野は交通の便が良く、近隣の方々も気軽に立ち寄ってくださる。そのため毎日食べたくなるような、手軽に買える漬物が求められる。求められる漬物を作り、日々届けてきたことで、50年近く店舗を続けられたと思う」と振り返る。
 続けて中村専務は、「お客様から求められる味や見た目は時代に応じて、少しずつ変わっていくもの。伝統的な漬物の魅力を大切にしながらも、新商品開発など常に新しいことにチャレンジしたい」と今後の抱負を語った。
 なお、中村氏は社業の他、大阪府漬物事業協同組合青年部において、今年6月の総会をもって、部長に就任した。来年に開催される全漬連青年部会全国大会大阪大会の盛況を目指し、青年部のリーダーとして、奮闘する。
【2025(令和7)年10月11日第5209号6面】

フジワラフーズ 原料確保・製造力充実

藤原社長
食べきりサイズでシェア拡大
 漬物メーカーベンダーのフジワラフーズ株式会社(藤原年宏社長、大阪府岸和田市)が、近年は特にメーカー業務を強化し地元関西で着実にシェアを拡大し、足場を固めている。
 昨今、不安定な原料事情や大手メーカーとの競合を背景に、地方の浅漬メーカーはアイテム数を絞るケースが少なくない。しかし同社は、そうした状況にこそ勝機があると判断した。
 市場が縮小しているからこそ、きめ細かな対応で消費者のニーズに応えられると考え、食べきりサイズの商品群を拡充するなど、府内屈指の規模となる2千坪の工場で、積極的な商品開発と製造に取り組んできた。
 原料の安定確保にも強みを持つ。同社は2005年、本社を大阪市内から岸和田工場へと移転。これにより、泉州水なすの産地に隣接する地の利を得た。生産者との関係を密にすることで、猛暑で原料不足が深刻化した今年も、質の高い水なすを安定的に仕入れることに成功。
 このような基本を徹底した取組が、得意先から評価を得ている。
 この一連の変革は、藤原年宏社長が自ら牽引してきたものだ。2014年に先代社長の急逝を受け、29歳で事業を継承。以来、営業力の強化、原料の安定確保、そして働きがいを高めるための人事制度改革など、多方面から改革に着手。困難な船出から始まった経営だったが、その堅実な努力が今、着実に実を結んでいる。
【2025(令和7)年10月11日第5209号6面】

伊勢屋商店 本物届ける〝目利きの力〟

黒門市場の伊勢屋本店
万博で漬物の魅力世界に
 株式会社伊勢屋商店(山本善康社長、大阪市中央区)は、「なにわの台所」と呼ばれる黒門市場に店を構える。職人手作りの漬物や、全国から厳選した味を、明治30年の創業以来届け続けている。
 黒門市場には、国内外から多くの観光客が訪れ、大阪・関西万博の開催中もさらにインバウンド需要が高まり多くの外国人を集めた。同店では樽入りのぬか漬など、昔ながらの売り方を大切に守り、道行く人々が興味を持ち試食、そのまま購入するケースが多く、外国人にも漬物を販売できている。
 ラグジュアリーホテル、外食チェーンや老舗料亭にもその目利きの力を信頼され、多数の得意先を持つ。
 半年間の万博を振り返り、山本社長は「飲食店やホテル等で当社の漬物を提供し、世界中の人々へ、漬物の美味しさや魅力を伝えることができたと思う。さらに、大手寿司チェーンにおいてお客様とスタッフ様からのリクエストがあり、5月末から当社わさびなすの販売が復活し、全国各地で高い評価をいただきうれしかった」と語っている。
【2025(令和7)年10月11日第5209号6面】

木内商店 ネット販売を強化中

オリジナルパッケージの紀州南高梅
 株式会社木内商店(木内一貫社長、大阪市福島区)は漬物や味噌等を扱う卸売業で、業務用卸に加え、コロナ禍を機に、ネット販売にも力を入れている。
 ネット販売商品は、紀州南高梅の梅干し、徳島産瓜の奈良漬、九州産の高菜漬や梅酢たくあんなどの漬物が中心。紀州南高梅の梅干しの一部商品には、「KIUCHI SYOUTEN」と印字するこだわり。
 梅干しはシンプルなパッケージで、種類によって、創業年「since1949」や、設立年「EST1958」を表記し、取引先から80年近く信頼され、社業を営んできた同社が選び抜いた梅干しであることを伝える。
 木内祥登氏は「ECサイトでは、漬物の販売を主軸としつつも、自分が好きな秋田県の杜仲茶も取り扱う。今後も自らが美味しい、食べてほしいと思う食品をデザイン・企画して商品を増やし、卸売業にもリンクして幅を広げていけたら」と語る。
【2025(令和7)年10月11日第5209号6面】

鳴門屋 新店舗で旬を届ける

キララ九条商店街の店舗
「本場の味」求め外国人多数
 株式会社鳴門屋(犬伏成仁社長、大阪市西区)は今年2月、本社工場並びに直営店舗を、キララ九条商店街に移転した。
 店頭には樽出しのぬか漬をはじめ、浅漬、梅干し、たくあんなどが並ぶ。夏には、店舗奥の工場で漬け込む大阪名産の泉州水なす漬が並び、冬には量り売りの味噌を充実させる、というように季節感を大切にしている。
 下町風情あふれる商店街の立地とあって、日々の食事用に購入する地元住民の利用が多い。昼前には、近所の建設現場から買い出しに来る客の姿も見られる。
 また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや大阪・関西万博会場に近い立地で宿泊施設が多いため、外国人客の来店も多々ある。
 犬伏社長は「アジア、欧米問わず色んな方が、意外なほど来てくれる。海外の和食店や百貨店で漬物を食べて美味しかったから本場の味を試したい、という方が多い。漬物の海外展開は夢物語ではないと思う」と話した。
【2025(令和7)年10月11日第5209号6面】

辻漬物 そうめんかぼちゃの奈良漬

そうめんかぼちゃの奈良漬
いぶし奈良漬
 辻漬物株式会社(辻博文社長、大阪府貝塚市)は、昭和14年から続く味醂奈良漬、生姜商品メーカーである。
 同社は、業界でも珍しい「そうめんかぼちゃの奈良漬」の製造・販売でも知られる。奈良漬用に20㎝以上に育てられたそうめんかぼちゃを自社で皮むきしてから漬け込んでいる。
 そうめんかぼちゃは、金糸瓜とも呼ばれ、加工すると麺のようにパラパラほぐれるため、何度も漬け替えをする奈良漬の加工の際には、細心の注意を払う。できた奈良漬は、シャキシャキとした食感を楽しめ、根強いファンを獲得している。
 その他、オリジナリティのある奈良漬では、「いぶし奈良漬」がある。同社の奈良漬を桜チップで燻製したもので、奈良漬が有する芳醇な香りと甘み、そして燻されたスモーキーな香りのバランスが絶妙。日本酒に加え、ウイスキー、ワインとも合わせることができ、お酒との贅沢なひと時を演出できる逸品として評価されている。
 辻社長は「商品開発では、伝統とチャレンジが一体となった商品作りを意識している。そうめんかぼちゃ奈良漬やいぶし奈良漬をきっかけに、定番の瓜やきゅうりの奈良漬もぜひ食べてもらいたい」と話す。
【2025(令和7)年10月11日第5209号7面】
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