<編集後記>5月11日号 甘露煮へ込められた想い
佃煮の代表的な加工品である甘露煮は、素材を素焼きしてから醤油や砂糖で味付けし、照りよく仕上げたもの。なじみ深い名称でありながら、「甘露」という言葉の由来はあまり知られていない。
「甘露」は、古代中国の伝説や経典に登場する語で、「天から降る甘い露」「生命を潤す霊妙な滴」を意味する。そこから、非常に美味であること、また貴重でありがたいものを指す表現として、広く使われてきた。
日本でも、『万葉集』などに記述が見られるという。甘露煮は、その上品な甘味と深い旨味が、「甘露のように美味」と評されたことから名付けられたとされる。
この「甘露」という語は、社名にも採用されている。飴菓子メーカーのカンロ株式会社は、「甘露のように人々に喜ばれる菓子を」という願いを込めて社名を定めた歴史がある。甘味への憧れと敬意が伝わってくるエピソードといえる。
このように、日本の食文化で甘味の希少価値がいかに高く、長く愛されてきたかがうかがえる。
これからも甘露煮は、人の心を癒す存在として親しまれ続けてほしい。
(高澤尚揮)
【2026(令和8)年5月11日第5229号6面】
「甘露」は、古代中国の伝説や経典に登場する語で、「天から降る甘い露」「生命を潤す霊妙な滴」を意味する。そこから、非常に美味であること、また貴重でありがたいものを指す表現として、広く使われてきた。
日本でも、『万葉集』などに記述が見られるという。甘露煮は、その上品な甘味と深い旨味が、「甘露のように美味」と評されたことから名付けられたとされる。
この「甘露」という語は、社名にも採用されている。飴菓子メーカーのカンロ株式会社は、「甘露のように人々に喜ばれる菓子を」という願いを込めて社名を定めた歴史がある。甘味への憧れと敬意が伝わってくるエピソードといえる。
このように、日本の食文化で甘味の希少価値がいかに高く、長く愛されてきたかがうかがえる。
これからも甘露煮は、人の心を癒す存在として親しまれ続けてほしい。
(高澤尚揮)
【2026(令和8)年5月11日第5229号6面】
<編集後記>4月21日号 日本人が愛する味
外国人が日本に降り立った際、まず肌で感じるのは「醤油と出汁の匂い」だという。インドはカレースパイス、韓国はキムチ、イタリアはエスプレッソ…。世界各国に漂うその国独自の匂いは、その地の食文化と密接に結びついている。
海外に長期滞在すると、無性に恋しくなるのもまた醤油の味だ。小欄もかつて、どうしても海外滞在中に海苔の佃煮が食べたくなり、現地の日本食材店へ駆け込んだ記憶がある。醤油と砂糖でじっくりと炊き上げられた佃煮の味わい。それは、日本人が古来より遺伝子レベルで愛し続けてきた“故郷の記憶”そのものなのだ。
「炊き立てのご飯に佃煮が乗り、湯気が立っている。そこに箸を入れる瞬間は、日本人ならではの最高の贅沢だと思う」。今回取材した「こだわり商店」の安井社長は、ご飯に佃煮を乗せた至福の光景を思い浮かべながら、そう語ってくれた。
時代が移り変わり、食の選択肢がどれほど多様化しようとも、日本の風土と日本人の身体には醤油の文化が深く染み付いている。そして、その真価は実際に口にしてこそ初めて理解されるものだ。
(藤井大碁)
【2026(令和8)年4月21日第5227号9面】
<編集後記>4月1日号 農業の救世主
日本の農家人口の減少と高齢化は深刻な状況となっている。農林水産省によると、2025年の自営農業を主な仕事とする「基幹的農業従事者」は102万1000人で、2020年と比べ25・1%、34万2000人減少し、5年で過去最大の25%減となった。
2023年の基幹的農業従事者は、65歳以上が約82万人で全体の約7割を占め、平均年齢は68・7歳となっている。人手が確保できない中、生産効率を高めるには機械化を進めるしか有効な方法はない。
今年2月27日、和歌山県の梅産地でドローンを活用した研修会が実施され、肥料のテスト散布が行われた。同県では収穫可能な栽培面積を示す「結果樹面積」が8年連続で減少。梅畑は傾斜地も多く、労力のかかる急斜面での栽培をやめ、耕作放棄地が増加しているとみられている。
ドローンの活用によって作業の負担を軽減することができれば「結果樹面積」の減少を食い止められる可能性もある。省力化やコスト削減に加え条件不利地にも新たな可能性をもたらすことができるドローン。梅に限らず、日本の農業にとって救世主となるか、これからの動向に注目したい。
(千葉友寛)
【2026(令和8)年4月1日第5225号5面】
2023年の基幹的農業従事者は、65歳以上が約82万人で全体の約7割を占め、平均年齢は68・7歳となっている。人手が確保できない中、生産効率を高めるには機械化を進めるしか有効な方法はない。
今年2月27日、和歌山県の梅産地でドローンを活用した研修会が実施され、肥料のテスト散布が行われた。同県では収穫可能な栽培面積を示す「結果樹面積」が8年連続で減少。梅畑は傾斜地も多く、労力のかかる急斜面での栽培をやめ、耕作放棄地が増加しているとみられている。
ドローンの活用によって作業の負担を軽減することができれば「結果樹面積」の減少を食い止められる可能性もある。省力化やコスト削減に加え条件不利地にも新たな可能性をもたらすことができるドローン。梅に限らず、日本の農業にとって救世主となるか、これからの動向に注目したい。
(千葉友寛)
【2026(令和8)年4月1日第5225号5面】
<編集後記>3月21日号 福神漬の新しい食べ方
カレーに付け合わせる漬物の代表と言えば「福神漬」だ。しかし食品需給研究センターの生産量統計や本紙の出荷金額推計によれば、2025年は前年より減少している(3月21日号1面に本紙推計グラフを掲載)。
農家の高齢化や気候変動で、原料野菜確保が難しくなっている上、米価高騰による需要減が最大の理由だろう。
ただし、筆者はナンやパンでカレーを食べるのが好きで、その時にも福神漬は欠かせない。「意外にも」と言うと失礼だが、ナンやパンにも良くあうからだ。
そこで、カレー用をコンセプトにした福神漬はスーパーでも定番商品となっているので、「ナンやパンにあう福神漬」というコンセプトで商品開発できないだろうか。トースト等のレシピを包装やSNSで提案する他、大手レシピサイトとコラボすればカレー好きに受けるかもしれない。
漬物は全般的に、先述した米価高騰の影響だけでなく、近年の食生活の変化で「ご飯のお供」としての存在感が薄れつつある。メーカー各社は、惣菜風商品の開発や料理素材としての提案を積極的に行っているところだ。福神漬の新しい食べ方提案もぜひ、期待してみたい。
(菰田隆行)
【2026(令和8)年3月21日第5224号11面】
<編集後記>3月11日号 水は本当に無味か
全国調理食品工業協同組合(岩田功理事長)が2月19日、第9回若手後継者育成研修会を神奈川県横浜市の水産資源研究所で開催し、取材で訪問した。
日本の海洋環境や水産資源の変化の状況について聴講し、設備を見学する機会に恵まれた。
中でも印象に残っているのが、見学に際し用意されていた「味覚の官能評価テスト」である。ごくわずかな酸味、旨味、にがみ成分を水に溶かしたものを飲み、味を当てるというもの。味の感じ方には個人差があり、その日の体調により味覚が左右されることを改めて認識した。
無味の天然水が用意され飲んでみると、いつも通りおいしかった。だが、ふと「水は無味。しかしなぜ無味をおいしく感じるのか」と気になった。AIに聞いてみると、水にはカルシウムやナトリウムなどが含まれ、完全に味がないわけではないとのこと。
さらに水をおいしいと感じる時、温度感や喉越しも判断の材料になっていることが分かった。「おいしさ」の心理についても学べた。
(高澤尚揮)
【2026(令和8)年3月11日第5223号6面】
<編集後記>2月11日号 人生を彩る売場
SMTSには出展者・商品検索システム(https://product.smts-online.jp/)がある。未登録の企業も散見されるが、2月9日現在で登録数は6149点に達している。
画面をスクロールし、並んだ商品をざっと眺める。知っている味、食べたことのある商品はほんの一握り。圧倒的多数は「未知の味」だ。ふと計算してみた。人生80年、一日3食で計算すると一生の食事回数は8万7600回にしかならない。この膨大な商品群を前に、自分はあとどれだけの「新しい食」に出会えるのだろうかと、妙な焦燥感に駆られる。
バイヤーが選りすぐり店頭に並べる商品。売場に多様性が生まれるということは、消費者の人生に彩りを添えることに他ならない。SMTSを通じて、隠れた名品・逸品が売場に並ぶことを願う。
(小林悟空)
【2026(令和8)年2月11日第5221号12面】
画面をスクロールし、並んだ商品をざっと眺める。知っている味、食べたことのある商品はほんの一握り。圧倒的多数は「未知の味」だ。ふと計算してみた。人生80年、一日3食で計算すると一生の食事回数は8万7600回にしかならない。この膨大な商品群を前に、自分はあとどれだけの「新しい食」に出会えるのだろうかと、妙な焦燥感に駆られる。
バイヤーが選りすぐり店頭に並べる商品。売場に多様性が生まれるということは、消費者の人生に彩りを添えることに他ならない。SMTSを通じて、隠れた名品・逸品が売場に並ぶことを願う。
(小林悟空)
【2026(令和8)年2月11日第5221号12面】





























