<SMTS特別インタビュー>
秋本食品株式会社 代表取締役社長 秋本 善明氏
『発酵』を付加価値に
3温度帯対応で販路拡大へ
3温度帯対応で販路拡大へ
秋本食品株式会社(神奈川県綾瀬市)の秋本善明代表取締役社長にインタビュー。今期ここまでの業績やキムチ、浅漬の売れ行きなどについて話を聞いた。商品の付加価値を高める取り組みについては、『発酵』をコンセプトにした新ブランドを立ち上げ、商品を展開する。今後の戦略については、2年前から進めていた生産計画が一旦終了し、商品を絞り込んで生産性を高め、収益性を向上させていく方針を示した。(千葉友寛)
ー今期の業績は。
「売上は減っている。一つは工場の統合に伴いアイテムを整理したことで自社の売上が減少している。もう一つは協力会社一社との取引が終了したことでカット野菜事業を止めざるを得なくなったことなどが影響している。仕入れ商品の方はほぼ横ばいだが、自社がマイナスの分、若干のマイナスで推移している」
ーキムチの売れ行きは。
「市場を見ると昨年12月、1月と良い動きとなっている。当社もまずまずの動きだが、市場の伸びまでは届いていない。当社商品では『オモニの極旨キムチ』が好調だ。販促も行っているが、市場のトレンドに合っているということだろう。そういった意味では、高付加価値商品の『王道キムチ』は価格的に市場のトレンドから少し外れてしまっているといえる。まだまだ商品価値を伝えきれてない面もあると思う。市場単価は下がっていないが、それほど上がってはいない。各社値上げを実施しているが、目立つような単価の上昇にはつながっていない。賃金アップが物価の上昇に追い付いていない状況が続いており、節約志向は以前にも増して強まっている」
ー浅漬の動きについて。
「市場全体と同様に当社もマイナスで推移している。冬の白菜は安定していたが、大根や胡瓜は年々確保することが難しくなってきている。我々にとっては国産の野菜が旬の季節に入らないと商売ができなくなる。リスクヘッジという意味では海外産原料に頼らざるを得ない状況で、当社も試験的に海外産原料でキムチを作っている」
ー値上げの動きは。
「昨年の秋に約10%の値上げをしたところ、明らかに数字が落ちた。原料価格はもちろんだが、製造コストが下がることはない。コストが上がった分は製品価格に転嫁せざるを得ないわけだが、特に浅漬は昨年あたりから単純な値上げでは売れ行きに影響が出始めている。売場のプライスラインや競合の動きを見て慎重に対応していくしかない。キムチについては工場の統合が終わって自動化を図っている。神奈川県も最低賃金が1200円を超え、5年以内に1500円になる。それらのことに対応するために生産性を高める努力はこれからも続けていくが、これまで工場統合で抱えていた制約がなくなったので、来年度は作って売ることに注力できる」
ー新ブランド商品。
「乳酸発酵は漬物の最後の砦だと思っている。健康のために腸活が大事だということも認知されている。元来、漬物が持っている優位性を活かして広げていきたいと思っている。当社では『発酵の旨味』ブランドを立ち上げ、現在までに白菜、大根、ぬか床を販売している。賞味期限も長めで食べたら美味しい、という評価もいただいている。秋本会会員企業にも協力していただき、『発酵の旨味』ブランドの商品として3月から3品が新発売となる。単価はややアッパー気味になるが、価値を認めていただいて面で広げていきたいと考えている」
ー流通の再編が進んでいる。
「勝ち組を見極めなければならない。いまはディスカウントに勢いがあるが、過去を見てもディスカウントだけで永続できたところはない。これからどういった動きになるか分からないが、当面は厳しくとも食らいついていくしかないだろう。価格については物価高や賃金アップの他、消費税廃止の可能性など、様々な要因があるため流動的な動きになる。我々としては時代の流れにしっかりついていくことと、売場を広げていくことを考える必要がある。当社の商品については関東圏の売場には入っているので、段ボール出荷で問屋流通にのせて広域流通に対応できるように進めている。すでに主力商品は取組を始めている」
ー外食向けの動きは。
「BtoBはカスタマイズを要求されるので決まるまでに時間がかかるのだが、常温で流通できるキムチを中心に広げていきたいと考えている。チルドの販路も種を蒔いているところだ。また、冷凍も試験的に開発しており、3温度帯で対応することで、外食に限らず新しい販路を広げていきたいと考えている」
【2026(令和8)年2月11日第5221号2面】
秋本食品 電子版 バイヤー必見!イチ押しページ
https://www.syokuryou-shinbun.com/pages/896
ー今期の業績は。
「売上は減っている。一つは工場の統合に伴いアイテムを整理したことで自社の売上が減少している。もう一つは協力会社一社との取引が終了したことでカット野菜事業を止めざるを得なくなったことなどが影響している。仕入れ商品の方はほぼ横ばいだが、自社がマイナスの分、若干のマイナスで推移している」
ーキムチの売れ行きは。
「市場を見ると昨年12月、1月と良い動きとなっている。当社もまずまずの動きだが、市場の伸びまでは届いていない。当社商品では『オモニの極旨キムチ』が好調だ。販促も行っているが、市場のトレンドに合っているということだろう。そういった意味では、高付加価値商品の『王道キムチ』は価格的に市場のトレンドから少し外れてしまっているといえる。まだまだ商品価値を伝えきれてない面もあると思う。市場単価は下がっていないが、それほど上がってはいない。各社値上げを実施しているが、目立つような単価の上昇にはつながっていない。賃金アップが物価の上昇に追い付いていない状況が続いており、節約志向は以前にも増して強まっている」
ー浅漬の動きについて。
「市場全体と同様に当社もマイナスで推移している。冬の白菜は安定していたが、大根や胡瓜は年々確保することが難しくなってきている。我々にとっては国産の野菜が旬の季節に入らないと商売ができなくなる。リスクヘッジという意味では海外産原料に頼らざるを得ない状況で、当社も試験的に海外産原料でキムチを作っている」
ー値上げの動きは。
「昨年の秋に約10%の値上げをしたところ、明らかに数字が落ちた。原料価格はもちろんだが、製造コストが下がることはない。コストが上がった分は製品価格に転嫁せざるを得ないわけだが、特に浅漬は昨年あたりから単純な値上げでは売れ行きに影響が出始めている。売場のプライスラインや競合の動きを見て慎重に対応していくしかない。キムチについては工場の統合が終わって自動化を図っている。神奈川県も最低賃金が1200円を超え、5年以内に1500円になる。それらのことに対応するために生産性を高める努力はこれからも続けていくが、これまで工場統合で抱えていた制約がなくなったので、来年度は作って売ることに注力できる」
ー新ブランド商品。
「乳酸発酵は漬物の最後の砦だと思っている。健康のために腸活が大事だということも認知されている。元来、漬物が持っている優位性を活かして広げていきたいと思っている。当社では『発酵の旨味』ブランドを立ち上げ、現在までに白菜、大根、ぬか床を販売している。賞味期限も長めで食べたら美味しい、という評価もいただいている。秋本会会員企業にも協力していただき、『発酵の旨味』ブランドの商品として3月から3品が新発売となる。単価はややアッパー気味になるが、価値を認めていただいて面で広げていきたいと考えている」
ー流通の再編が進んでいる。
「勝ち組を見極めなければならない。いまはディスカウントに勢いがあるが、過去を見てもディスカウントだけで永続できたところはない。これからどういった動きになるか分からないが、当面は厳しくとも食らいついていくしかないだろう。価格については物価高や賃金アップの他、消費税廃止の可能性など、様々な要因があるため流動的な動きになる。我々としては時代の流れにしっかりついていくことと、売場を広げていくことを考える必要がある。当社の商品については関東圏の売場には入っているので、段ボール出荷で問屋流通にのせて広域流通に対応できるように進めている。すでに主力商品は取組を始めている」
ー外食向けの動きは。
「BtoBはカスタマイズを要求されるので決まるまでに時間がかかるのだが、常温で流通できるキムチを中心に広げていきたいと考えている。チルドの販路も種を蒔いているところだ。また、冷凍も試験的に開発しており、3温度帯で対応することで、外食に限らず新しい販路を広げていきたいと考えている」
【2026(令和8)年2月11日第5221号2面】
秋本食品 電子版 バイヤー必見!イチ押しページ
https://www.syokuryou-shinbun.com/pages/896
関口漬物食品株式会社 取締役営業部長 関口 彰氏
農水省のプロジェクトに参画
漬物で野菜摂取を推進
漬物で野菜摂取を推進
関口漬物食品株式会社(関口悟代表取締役、東京都世田谷区)の関口彰取締役営業部長にインタビュー。同社が参画している農林水産省の『野菜を食べようプロジェクト』の取組や事例などについて話を聞いた。関口部長はプロジェクトに参画しているメリットについて、漬物を通じて野菜の生産振興や消費者の健康維持への貢献につながると強調。漬物は野菜を食べる手段の一つとして、業界を挙げて漬物の魅力を強く発信していく必要性を訴えた。(千葉友寛)
ー農水省の『野菜を食べようプロジェクト』について。
「浅漬はダウントレンドとなっており、新商品開発も思ったように進まない中、商品を提案するためには何かが必要だと思っていた。そんな時、農水省のプロジェクトを知り、漬物も野菜摂取の観点から提案できると考えてサポーターになった。漬物はもう少しクローズアップされても良いと思っている。当社はこのプロジェクトに参画し、商品にロゴマークを入れた商品を販売しているが、まだまだ認知度が低く、漬物を通して野菜を食べてもらうところまでには至っていない。漬物はPR不足で魅力が消費者に伝わりきれておらず、相変わらず塩分が高いといった負のイメージを持たれているが、1食分の塩分は他の食品と比べても高くない。このことは業界を挙げて強く発信していく必要がある。漬物は野菜を食べる手段の一つとして、日常的に食べてもらえるよう理解を深めていただく時期にきていると思っている」
ープロジェクトに参画するメリットは。
「先ほどプロジェクトの認知度は低いと言ったのだが、あるスーパーではプロジェクトのロゴが入った漬物を集めて売場を作っている。当社の商品も入っているが、行政と関わりのある商品として展開し、売場も少しずつではあるが目立つようになってきている。ロゴが入っていれば消費者の視認性を高めることができ、商談ではバイヤーに農水省のプロジェクトについて説明することで有利に働いた。現在、当社はプロジェクトの参画から1年半が経ち、ロゴが入った商品は10品まで増えてきているが、これから発売する商品の多くはロゴ入りでの展開となる。行政のプロジェクトに参画し、野菜摂取を推進することで野菜の生産振興や消費者の健康維持に貢献することができる。まさに理想的な取組だ」
ー浅漬の動きは。
「売上は市場全体的に数%落ちている。消費者が求める価格と販売価格に差があり、売場も縮小してきている。需要が減っているということは、浅漬本来の魅力が薄れていると危機感を覚える。その他、原料不足などの要因も考えられるが、一番大きいのは賞味期限が短いこと。近年は食品ロスの問題がクローズアップされ、ロス率が高い商品は発注数が減少傾向にあり、売場も縮小してきている。数年前から漬物売場の主役は浅漬からキムチに移っており、キムチに市場を取られている。当社商品の賞味期限は6日~8日。浅漬は鮮度感、風味、食感が重要で、品質を落とさず賞味期限を延長させることについては継続して研究を行っている」
ー値上げの動きは。
「今年の春夏も一部商品で値上げを実施するのだが、売場は理解してくれても消費者が支持するか分からないので、売場と慎重に相談しながら検討している状況だ。節約志向が高まる中、単純な値上げでは限界がある。値上げをする場合は何か一つ価値を付けて、適正価格だと言えるようにする必要がある。売場も新しいことや何かをやりたいと思っていて、新しい価値を追求してそれを具現化していくのが我々の役割だと思っている」
【2026(令和8)年2月11日第5221号18面】
ー農水省の『野菜を食べようプロジェクト』について。
「浅漬はダウントレンドとなっており、新商品開発も思ったように進まない中、商品を提案するためには何かが必要だと思っていた。そんな時、農水省のプロジェクトを知り、漬物も野菜摂取の観点から提案できると考えてサポーターになった。漬物はもう少しクローズアップされても良いと思っている。当社はこのプロジェクトに参画し、商品にロゴマークを入れた商品を販売しているが、まだまだ認知度が低く、漬物を通して野菜を食べてもらうところまでには至っていない。漬物はPR不足で魅力が消費者に伝わりきれておらず、相変わらず塩分が高いといった負のイメージを持たれているが、1食分の塩分は他の食品と比べても高くない。このことは業界を挙げて強く発信していく必要がある。漬物は野菜を食べる手段の一つとして、日常的に食べてもらえるよう理解を深めていただく時期にきていると思っている」
ープロジェクトに参画するメリットは。
「先ほどプロジェクトの認知度は低いと言ったのだが、あるスーパーではプロジェクトのロゴが入った漬物を集めて売場を作っている。当社の商品も入っているが、行政と関わりのある商品として展開し、売場も少しずつではあるが目立つようになってきている。ロゴが入っていれば消費者の視認性を高めることができ、商談ではバイヤーに農水省のプロジェクトについて説明することで有利に働いた。現在、当社はプロジェクトの参画から1年半が経ち、ロゴが入った商品は10品まで増えてきているが、これから発売する商品の多くはロゴ入りでの展開となる。行政のプロジェクトに参画し、野菜摂取を推進することで野菜の生産振興や消費者の健康維持に貢献することができる。まさに理想的な取組だ」
ー浅漬の動きは。
「売上は市場全体的に数%落ちている。消費者が求める価格と販売価格に差があり、売場も縮小してきている。需要が減っているということは、浅漬本来の魅力が薄れていると危機感を覚える。その他、原料不足などの要因も考えられるが、一番大きいのは賞味期限が短いこと。近年は食品ロスの問題がクローズアップされ、ロス率が高い商品は発注数が減少傾向にあり、売場も縮小してきている。数年前から漬物売場の主役は浅漬からキムチに移っており、キムチに市場を取られている。当社商品の賞味期限は6日~8日。浅漬は鮮度感、風味、食感が重要で、品質を落とさず賞味期限を延長させることについては継続して研究を行っている」
ー値上げの動きは。
「今年の春夏も一部商品で値上げを実施するのだが、売場は理解してくれても消費者が支持するか分からないので、売場と慎重に相談しながら検討している状況だ。節約志向が高まる中、単純な値上げでは限界がある。値上げをする場合は何か一つ価値を付けて、適正価格だと言えるようにする必要がある。売場も新しいことや何かをやりたいと思っていて、新しい価値を追求してそれを具現化していくのが我々の役割だと思っている」
【2026(令和8)年2月11日第5221号18面】
関口漬物食品
株式会社山重 代表取締役社長 杉山 博氏
時代の変化に流されない
様々な販売チャネルへ商品供給
様々な販売チャネルへ商品供給
株式会社山重(杉山博社長、東京都葛飾区)は、漬物をはじめ日配のプロとして全国に物流網を持つ一次荷受問屋。取引先は全国44都道府県、仕入れ件数は346社と地方の名産品も数多く取り扱っている。同社は単に商品を物流に乗せるだけではなく、メーカーとともに商品開発して企画・売場提案を行いながら量販店、外食、中食、ベンダーなど様々な販売チャネルに供給。物価高や米価格の高騰が続く中、漬物原料は不作のものが多く、商品の安定供給が課題となっている。時代の変化のスピードが速まる中、杉山社長は「常に消費者のニーズに、そして時代の変化に敏感になること」をテーマに設定し、様々な変化に迅速に対応することが重要だと強調した。(千葉友寛)
ー今期の業績は。
「今期の12月迄の売上・利益ともに微増となっている。上向きとなっている要因は、得意先が好調なことや今のニーズに合った商品を展開できているからだと考えている。現在、最も高いニーズは何と言っても価格。実質賃金のマイナスは約1年続いており、節約志向は高まるばかりで、選別消費の動向は以前にも増して強まっている。特に漬物や日配は米との関連性が強いので、米価格が高騰したことで反比例的に売れ行きは全般的に低調となっている。当社は売上の90%以上が漬物となっているが、けん引しているのはキムチであり、その中で売れている分類はPB商品で、NB商品よりも安くてお得感があるもの。以前は味に差があったが、現在はPB商品の品質も上がっており、消費者の支持を得ている。当社にとって利益率は低いが、量が出ているので売上に大きく貢献している」
ー理想の売場について。
「ただ商品を置くだけでは売れない時代。マネキンを置く店が少なくなっているので、試食提供や商品情報を発信することもできない。特にコロナ後は店頭での試食販売が極端に減少している。人手不足や衛生面の問題もあるが、マネキンを置けなければポップやチラシを作成するなど、お客様の目に入る工夫やアイデアが必要になる。優れた新商品を開発しても、味も含めてお客様に商品の情報や良さが伝わらなければ購入にはつながらない。セルフの日配売場では、手に取る以前に目に入っていないことが多々ある。ある店舗では責任者が漬物好きということで、漬物を地元の素材を使用したもの、定番商品、全国の名産品の3カテゴリーに分けて販売している。名産品などはポップやチラシで商品を紹介しており、売れ行きも好調だ。店や売場によってニーズは異なり、我々にはそれぞれに合った商品を提案することが求められている。また、これからの時代は店舗に来てから商品情報を得るのではなく、SNS等を通じて事前に商品情報を得てから購入するという消費者行動も見逃せず、店舗に行く前に消費者に情報を提供する一手も必要ではないかと考えている。これまでの経験や知識だけではなく、新しい視点も持ちながら売場提案を行っていきたいと思っている」
ー今後の方針は。
「時代の変化は想像以上に早く、1年があっという間に過ぎる。我々はその変化に迅速に対応しなければならない。当社では社員に対して、常に消費者のニーズに、そして時代の変化に敏感になるために、見て見ぬふりをせず時代の変化に流されないようにしよう、と言っている。『103万の壁』や『飲食料品の消費税ゼロ』は最近出てきたワードだが、早期に実現することになりそうだ。原点に戻って足元からしっかりすることも大事だが、『飲食料品の消費税ゼロ』については、こちらから手を打たなければ、必需品にのみ消費が動き、漬物に消費行動が及ぶか否か不透明であるが、このチャンスを成果として受け取るために、変化を恐れずに動き出せばこれまでと違った景色が見られると思っている」
ー業態で好不調の差が出てきている。
「同じ業態はもちろんだが、スーパー、ディスカウント店、ドラッグストア、コンビニエンスストアなど、業態を超えて競争が激しくなってきている。好調なのは節約志向のニーズに対応しているディスカウント店やドラッグストア。特にドラッグストアは方向性が明確で、業界1位と2位が統合して店舗数は5600店となり、国内店舗数で2割を占める巨大連合が誕生した。商品の仕入れや物流などを効率化し、より競争力を高めようとしている他、近年は食品にも力を入れている。ドラッグストアは今後も拡大路線が続くだろう。どのような業態や企業と手を組んで進んでいくのか、取引先の将来性や方向性を見極めていくことも重要だ」
ー価格競争が続いている。
「流通によっては物価高と逆行するように価格競争が激しくなっているところもある。価格や条件を受け入れないと売場に入れないケースもある。働き方改革も進む中、人件費、様々なコスト、物流費は下がる余地がなく、課題は山積みだ。当社としてはメーカーとともに商品開発して企画・売場提案を行いながら量販店、外食、中食、ベンダーなど様々な販売チャネルに供給していくことに注力する。また、メーカーにとって原材料の確保は重要なファクターであり、この確保が商品の安定的な供給につながるが、消費者側からすると、不安定な商品供給に対する不安が、代替商品への移行につながることは否めない。メーカーサイドから原材料の確保情報をいち早く入手し、消費者の不安を取り除くことも重要な役割と考えている。我々はメーカーに商品を供給していただかなければ事業を継続していくことができない。お客様に喜ばれる商品を提案し、双方がウィンウィンの関係を続けることが最大のテーマだと考えている」
ー今期の業績は。
「今期の12月迄の売上・利益ともに微増となっている。上向きとなっている要因は、得意先が好調なことや今のニーズに合った商品を展開できているからだと考えている。現在、最も高いニーズは何と言っても価格。実質賃金のマイナスは約1年続いており、節約志向は高まるばかりで、選別消費の動向は以前にも増して強まっている。特に漬物や日配は米との関連性が強いので、米価格が高騰したことで反比例的に売れ行きは全般的に低調となっている。当社は売上の90%以上が漬物となっているが、けん引しているのはキムチであり、その中で売れている分類はPB商品で、NB商品よりも安くてお得感があるもの。以前は味に差があったが、現在はPB商品の品質も上がっており、消費者の支持を得ている。当社にとって利益率は低いが、量が出ているので売上に大きく貢献している」
ー理想の売場について。
「ただ商品を置くだけでは売れない時代。マネキンを置く店が少なくなっているので、試食提供や商品情報を発信することもできない。特にコロナ後は店頭での試食販売が極端に減少している。人手不足や衛生面の問題もあるが、マネキンを置けなければポップやチラシを作成するなど、お客様の目に入る工夫やアイデアが必要になる。優れた新商品を開発しても、味も含めてお客様に商品の情報や良さが伝わらなければ購入にはつながらない。セルフの日配売場では、手に取る以前に目に入っていないことが多々ある。ある店舗では責任者が漬物好きということで、漬物を地元の素材を使用したもの、定番商品、全国の名産品の3カテゴリーに分けて販売している。名産品などはポップやチラシで商品を紹介しており、売れ行きも好調だ。店や売場によってニーズは異なり、我々にはそれぞれに合った商品を提案することが求められている。また、これからの時代は店舗に来てから商品情報を得るのではなく、SNS等を通じて事前に商品情報を得てから購入するという消費者行動も見逃せず、店舗に行く前に消費者に情報を提供する一手も必要ではないかと考えている。これまでの経験や知識だけではなく、新しい視点も持ちながら売場提案を行っていきたいと思っている」
ー今後の方針は。
「時代の変化は想像以上に早く、1年があっという間に過ぎる。我々はその変化に迅速に対応しなければならない。当社では社員に対して、常に消費者のニーズに、そして時代の変化に敏感になるために、見て見ぬふりをせず時代の変化に流されないようにしよう、と言っている。『103万の壁』や『飲食料品の消費税ゼロ』は最近出てきたワードだが、早期に実現することになりそうだ。原点に戻って足元からしっかりすることも大事だが、『飲食料品の消費税ゼロ』については、こちらから手を打たなければ、必需品にのみ消費が動き、漬物に消費行動が及ぶか否か不透明であるが、このチャンスを成果として受け取るために、変化を恐れずに動き出せばこれまでと違った景色が見られると思っている」
ー業態で好不調の差が出てきている。
「同じ業態はもちろんだが、スーパー、ディスカウント店、ドラッグストア、コンビニエンスストアなど、業態を超えて競争が激しくなってきている。好調なのは節約志向のニーズに対応しているディスカウント店やドラッグストア。特にドラッグストアは方向性が明確で、業界1位と2位が統合して店舗数は5600店となり、国内店舗数で2割を占める巨大連合が誕生した。商品の仕入れや物流などを効率化し、より競争力を高めようとしている他、近年は食品にも力を入れている。ドラッグストアは今後も拡大路線が続くだろう。どのような業態や企業と手を組んで進んでいくのか、取引先の将来性や方向性を見極めていくことも重要だ」
ー価格競争が続いている。
「流通によっては物価高と逆行するように価格競争が激しくなっているところもある。価格や条件を受け入れないと売場に入れないケースもある。働き方改革も進む中、人件費、様々なコスト、物流費は下がる余地がなく、課題は山積みだ。当社としてはメーカーとともに商品開発して企画・売場提案を行いながら量販店、外食、中食、ベンダーなど様々な販売チャネルに供給していくことに注力する。また、メーカーにとって原材料の確保は重要なファクターであり、この確保が商品の安定的な供給につながるが、消費者側からすると、不安定な商品供給に対する不安が、代替商品への移行につながることは否めない。メーカーサイドから原材料の確保情報をいち早く入手し、消費者の不安を取り除くことも重要な役割と考えている。我々はメーカーに商品を供給していただかなければ事業を継続していくことができない。お客様に喜ばれる商品を提案し、双方がウィンウィンの関係を続けることが最大のテーマだと考えている」
【2026(令和8)年2月11日第5221号19面】
電子版 地域セレクション特別会員 山重
<社長に聞く>株式会社大安 代表取締役社長 大角安史氏
まいにちUMAMI野菜
健康性訴求へ漬物を再定義
健康性訴求へ漬物を再定義
株式会社大安(大角安史社長、京都市左京区)は昨年末、「まいにちUMAMI野菜宣言」を発表した。漬物を「UMAMI野菜」と再定義し、健康、日常食、そしてグローバルな視点から、市場に根付く固定観念を塗り替えていく狙いだ。
ー漬物は健康食
まず着手するのが、漬物に対する「健康イメージ」の刷新だ。大角社長は「漬物は塩分が多く、健康に悪いという思い込みは根強い」と指摘する。しかし実際には、保存技術の向上とともに近年の漬物は低塩化が進んでいる。大角社長は「漬物は生野菜よりもカサが減るため、食物繊維などの栄養を丸ごと、かつ効率的に摂取できる。野菜に含まれるカリウムにはナトリウム(塩分)を排出する効果も期待できる」と、その機能性を強調する。
さらに、同社の漬物は塩漬けによる乳酸発酵を経ており、近年注目される「腸活」への貢献度も高い。健康食品としての側面を強く訴求していく構えだ。
ー「ハレの日」から日常の食卓へ
「京漬物=かしこまった食べ物」というイメージについても、変革の必要性を説く。「高級品としての認知はありがたいことだが、同時に食べるハードルを上げてしまっている側面もある」と分析する。
中元・歳暮などの贈答文化や、土産物の「お裾分け」習慣が希薄化する中、同社のビジネスモデルは転換期を迎えている。生き残りをかけるには、日常の食卓への浸透が不可欠となる。「旨みの詰まった野菜くらいの気軽な認識で、まずは試していただきたい」。
これまでの格式を取り払い、現代のライフスタイルに即した「野菜料理」としてのポジション確立を目指す。
ー世界共通語「UMAMI」を武器に
海外発信も見据える。大角社長はこれまでの取組を振り返り、「PicklesやTsukemonoとして販売しても、その魅力を伝えきることはできていない。『UMAMI』という、日本発で世界的に認知された言葉を活用し、ヘルシーで旨みのある野菜加工品としてブランディングを図る」と狙いを語る。世界中から観光客が集まる京都から、その価値を直接伝え、海外展開への足掛かりとする考えだ。
ー「ちいさなだいやす」が鍵
この「UMAMI野菜」浸透の鍵を握る戦略商品と位置付けるのが、カップ入りの「ちいさなだいやす」シリーズである。
個食化・即食化が進む現代のニーズに対応した同商品は、手軽に手に取れるエントリーモデルとして機能する。大角社長は「今後も新商品を拡充する。これまでの漬物の枠組みを超えた商品開発も視野に入れている。国内外へ『UMAMI野菜』の魅力を広げていきたい」と意欲を見せた。
(構成 小林悟空)
ー漬物は健康食
まず着手するのが、漬物に対する「健康イメージ」の刷新だ。大角社長は「漬物は塩分が多く、健康に悪いという思い込みは根強い」と指摘する。しかし実際には、保存技術の向上とともに近年の漬物は低塩化が進んでいる。大角社長は「漬物は生野菜よりもカサが減るため、食物繊維などの栄養を丸ごと、かつ効率的に摂取できる。野菜に含まれるカリウムにはナトリウム(塩分)を排出する効果も期待できる」と、その機能性を強調する。
さらに、同社の漬物は塩漬けによる乳酸発酵を経ており、近年注目される「腸活」への貢献度も高い。健康食品としての側面を強く訴求していく構えだ。
ー「ハレの日」から日常の食卓へ
「京漬物=かしこまった食べ物」というイメージについても、変革の必要性を説く。「高級品としての認知はありがたいことだが、同時に食べるハードルを上げてしまっている側面もある」と分析する。
中元・歳暮などの贈答文化や、土産物の「お裾分け」習慣が希薄化する中、同社のビジネスモデルは転換期を迎えている。生き残りをかけるには、日常の食卓への浸透が不可欠となる。「旨みの詰まった野菜くらいの気軽な認識で、まずは試していただきたい」。
これまでの格式を取り払い、現代のライフスタイルに即した「野菜料理」としてのポジション確立を目指す。
ー世界共通語「UMAMI」を武器に
海外発信も見据える。大角社長はこれまでの取組を振り返り、「PicklesやTsukemonoとして販売しても、その魅力を伝えきることはできていない。『UMAMI』という、日本発で世界的に認知された言葉を活用し、ヘルシーで旨みのある野菜加工品としてブランディングを図る」と狙いを語る。世界中から観光客が集まる京都から、その価値を直接伝え、海外展開への足掛かりとする考えだ。
ー「ちいさなだいやす」が鍵
この「UMAMI野菜」浸透の鍵を握る戦略商品と位置付けるのが、カップ入りの「ちいさなだいやす」シリーズである。
個食化・即食化が進む現代のニーズに対応した同商品は、手軽に手に取れるエントリーモデルとして機能する。大角社長は「今後も新商品を拡充する。これまでの漬物の枠組みを超えた商品開発も視野に入れている。国内外へ『UMAMI野菜』の魅力を広げていきたい」と意欲を見せた。
(構成 小林悟空)
【2026(令和8)年2月1日第5220号3面】
大安 まいにちUMAMI野菜宣言




























