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<塩事業センター>公開講演会を開催 調理における塩の通説ひも解く

斎藤理事長
正岡所長
セミナー会場
 公益財団法人塩事業センター(斎藤恭一理事長)は2月13日、海水総合研究所(正岡功士所長)の「Salt&Seewater Science Seminar2025」を神奈川県小田原市の「小田原三の丸ホール」で開催した。
 テーマは「科学でひも解く 調理における塩の通説」と題し、古くから言い伝えられてきた調理における塩の通説を科学的に検証。その根拠を解説するとともに、毎日の食事づくりに役立つ知見を提供した。
 講演に先立ち斎藤理事長が挨拶し、同センター・研究所の概要説明と、これまでのセミナー開催の経緯を紹介。「今回のセミナーでは、調理における塩の通説について学んでいただきたい。海水総合研究所のある小田原は干物や梅干し、蒲鉾など名産品が数多くあるので、この機会にぜひ召し上がってほしい」と語った。
 続いて、講演の概要を海水総合研究所の野田寧次長が説明し、講演に移った。
テーマと講師、講演要旨は次の通り。
中山氏
①「塩が左右する食感と下処理~うどん・スパゲッティ・貝を科学する~」
 ▼講師 塩事業センター 海水総合研究所 主任研究員 中山由佳氏
 うどんは全国のご当地麺ごとに塩分が異なるが、ゆでた後の水洗い実験で塩分含有量を計ったところ、ほとんどの塩分が溶出。スパゲティはゆで湯の塩分により、麺の吸水が抑えられるため硬さが増し、変形しにくくなることで“コシ”を感じることが分かった。貝の砂出しに適した塩分は、アサリが1・5%、シジミは0~0・5%。マグネシウムやカルシウムを含む塩を使うと、より砂出し量が増えることが分かった。
玉木氏
 ②「ホウレンソウは本当に鮮やかになるのか? ~ホウレンソウと卵料理の科学~」
 ▼講師 大妻女子大学 家政学部 食物学科 准教授 玉木有子氏
 ホウレンソウをゆでる時のポイントは食塩を加え、ゆで上がり後に急冷することで、クロロフィルの退色を防ぎ緑色が活きる。ゆで時間、水さらし、絞り方で栄養の結果に差異が生まれる。卵料理には0・2%の塩を加えることで崩れにくくなる。色調は塩度の高い方が濃く見え、また塩の種類によってなめらかさや味わいに変化が生まれることが分かった。
石川氏
 ③「塩が引き出す美味しさと見た目の科学~ハンバーグと果物の事例から~」
 ▼講師 秋田県立大学 教授 石川匡子氏
 ハンバーグを調理する際の塩の役割は味付けでなく、塩によって塩可溶性の筋原線維タンパク質ミオシンが溶け出し、粘りが出てまとまりのある肉種ができる。また、タンパク質が網目構造になり、水分や脂肪分を保持できジューシーなハンバーグになる。また、りんごに水のみと食塩水に浸漬したもので実験すると、食塩水では60分後でも褐変が抑えられることが分かった。さらに塩水につけたリンゴの方が、味の対比効果で甘みが強く感じられることも判明した。
小竹氏
 ④「塩の使い方を見直す~調味の順番と下処理の科学的根拠~」
 ▼講師 日本獣医生命科学大学・食品工学教室 教授 小竹佐知子氏
 料理の味付け順序として知られる「さしすせそ」の科学的根拠を解説。砂糖・食塩・酢・醤油(せうゆ)・味噌(そ)の順に入れる理由として、砂糖は分子量が大きく、式量の小さい塩や分子量の小さい酢より吸収が遅くなり、ゆっくりと染み込むため。醤油や味噌は料理の重要なファクターである香りの揮発性や色の染着性現象から、後に入れることが望ましいと説明した。

 閉会にあたって昨年より海水総合研究所の所長に就任した正岡所長が挨拶し、「普段当たり前と思っていることのメカニズムが、よく分かったと思う。今日学んだことが、今後皆様が料理する時に役立てば幸いだ」と語った後、今回の開催に当たって協力を得た団体、行政などに対して謝辞を述べ、終了した。
【2026(令和8)年3月11日第5223号5面】

塩事業センター
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