3月21日号 梅干・梅漬関連商材ラインナップ
中田食品株式会社 代表取締役社長 中田吉昭氏
『梅ぼし田舎漬』発売が転機に 中国産で売場をカバー
中田食品株式会社(和歌山県田辺市)の中田吉昭社長にインタビュー。今年1月29日に食品産業優良企業等表彰において食品産業部門(農商工連携推進タイプ)で農林水産大臣賞を受賞したことや梅干しの売れ行きなどについて話を聞いた。59年前に発売した調味梅干し『梅ぼし田舎漬』が紀南地域の梅産業にとって大きな転機となったことを明かし、同社を支えてくれた農家をはじめ多くの関連企業、得意先、取引先に改めて感謝の意を表した。
(千葉友寛)
◇ ◇
‐今年1月に発表された第47回食品産業優良企業等表彰において農林水産大臣賞を受賞した。
「当社は紀州の名産品である梅を使って梅干しを作ってきた。長年にわたって梅干し作りを行うことができたのは、農家の方の努力や多くの関連企業、得意先、取引先の皆様の支えがあったから。我々は梅がなければ事業をすることができないし、このような栄誉ある賞を受賞することもできなかった。支えていただいた皆様には心から感謝している」
‐調味梅干しの市場を開拓した。
「59年前に先代が減塩した調味梅干し『梅ぼし田舎漬』を作ったことが大きな転機となった。各社でも調味梅干しを作り始めていたのだが、『梅ぼし田舎漬』が通販で早い段階でヒットし、量販店で販売されるようになった。ここから量販店向けの商品が続々と登場し、通販やギフト以外の販売チャネルを開拓することができた」
‐「梅ぼし田舎漬」を商品化した経緯。
「『梅ぼし田舎漬』は当初、台湾産の原料で北海道の一般向け商品として発売した。その当時、私の母が病気から回復し、快気祝いで紀州産の梅で作った『梅ぼし田舎漬』をお返しで贈ったところ、それが評判になり通販で販売するようになった。それが予想以上に売れて原料が足りなくなってしまった。そこから各社が積極的に紀州梅で調味梅干しを作るようになり、農家も梅が良い価格で売れる、ということで栽培が広がった。来年、発売60周年を迎える『梅ぼし田舎漬』は、紀州における梅の生産量が増えるきっかけとなった商品で、産地の発展に寄与することができたと思っている」
‐今年の梅の開花状況について。
「JAの発表によると、蕾の数は平年の7、8割で昨年よりも少ない。一部地域では開花が早かったため、めしべがない花もあったと聞いている。だが、花が咲き始めたあとから寒波がきたことで開花が遅れ、2月上旬から中旬が満開期となった。この期間は平年と同じタイミングで、今年は開花期間が長く天候も良かった。不安材料もあるが紀州梅は2年不作が続いているので、平年並みの作柄を期待している」
‐梅干しの売れ行きは。
「売上はほぼ前年並みで推移している。紀州梅は2年連続の不作のため、値上げをして出荷にブレーキをかけざるを得ない状況だ。当社は中国梅があるので売場をカバーし、何とか売上を作ることができている。しかし中国梅相場も強含みで更に極端な円安が続き、高コストで厳しい状況から、昨年の秋は価格改定や内容量調整など、様々な形で国産と中国産の値上げを実施した。中国産の原料在庫は問題ないが、紀州産はすでに休売している商品もあるなど、夏の需要期に向けて不安もある」
‐販売面の課題は。
「昨年は7割作と作柄も悪かったのだが、4月に雹が4回も降ったため傷が入ったり、えぐれてしまっているような梅が多かった。量がないので質が落ちても価格は上がる、ということを得意先に説明して理解していただけるよう努力しているのだが、消費者は今までに見たことがないような傷や黒くなっている実を受け入れることができず、クレームになってしまった。現在販売されている紀州産商品はいずれもアッパー気味の価格帯となっており、消費マインドが低下するなか中国産を代替え商品として販売し、良い売れ行きを見せている。ただ、和歌山では中国産を扱っていないメーカーも多く、これから夏の商戦に向けて原料が足りなくなる、といったケースが出てくる可能性もある。新物が出てくれば一息つくことができるし、平年作であれば1年間販売できる量を確保することができる。厳しい状況が続く見通しだが、中国梅を活用しながら何とか乗り切っていきたいと考えている」
【2026(令和8)年3月21日第5224号2面】
(千葉友寛)
◇ ◇
‐今年1月に発表された第47回食品産業優良企業等表彰において農林水産大臣賞を受賞した。
「当社は紀州の名産品である梅を使って梅干しを作ってきた。長年にわたって梅干し作りを行うことができたのは、農家の方の努力や多くの関連企業、得意先、取引先の皆様の支えがあったから。我々は梅がなければ事業をすることができないし、このような栄誉ある賞を受賞することもできなかった。支えていただいた皆様には心から感謝している」
‐調味梅干しの市場を開拓した。
「59年前に先代が減塩した調味梅干し『梅ぼし田舎漬』を作ったことが大きな転機となった。各社でも調味梅干しを作り始めていたのだが、『梅ぼし田舎漬』が通販で早い段階でヒットし、量販店で販売されるようになった。ここから量販店向けの商品が続々と登場し、通販やギフト以外の販売チャネルを開拓することができた」
‐「梅ぼし田舎漬」を商品化した経緯。
「『梅ぼし田舎漬』は当初、台湾産の原料で北海道の一般向け商品として発売した。その当時、私の母が病気から回復し、快気祝いで紀州産の梅で作った『梅ぼし田舎漬』をお返しで贈ったところ、それが評判になり通販で販売するようになった。それが予想以上に売れて原料が足りなくなってしまった。そこから各社が積極的に紀州梅で調味梅干しを作るようになり、農家も梅が良い価格で売れる、ということで栽培が広がった。来年、発売60周年を迎える『梅ぼし田舎漬』は、紀州における梅の生産量が増えるきっかけとなった商品で、産地の発展に寄与することができたと思っている」
‐今年の梅の開花状況について。
「JAの発表によると、蕾の数は平年の7、8割で昨年よりも少ない。一部地域では開花が早かったため、めしべがない花もあったと聞いている。だが、花が咲き始めたあとから寒波がきたことで開花が遅れ、2月上旬から中旬が満開期となった。この期間は平年と同じタイミングで、今年は開花期間が長く天候も良かった。不安材料もあるが紀州梅は2年不作が続いているので、平年並みの作柄を期待している」
‐梅干しの売れ行きは。
「売上はほぼ前年並みで推移している。紀州梅は2年連続の不作のため、値上げをして出荷にブレーキをかけざるを得ない状況だ。当社は中国梅があるので売場をカバーし、何とか売上を作ることができている。しかし中国梅相場も強含みで更に極端な円安が続き、高コストで厳しい状況から、昨年の秋は価格改定や内容量調整など、様々な形で国産と中国産の値上げを実施した。中国産の原料在庫は問題ないが、紀州産はすでに休売している商品もあるなど、夏の需要期に向けて不安もある」
‐販売面の課題は。
「昨年は7割作と作柄も悪かったのだが、4月に雹が4回も降ったため傷が入ったり、えぐれてしまっているような梅が多かった。量がないので質が落ちても価格は上がる、ということを得意先に説明して理解していただけるよう努力しているのだが、消費者は今までに見たことがないような傷や黒くなっている実を受け入れることができず、クレームになってしまった。現在販売されている紀州産商品はいずれもアッパー気味の価格帯となっており、消費マインドが低下するなか中国産を代替え商品として販売し、良い売れ行きを見せている。ただ、和歌山では中国産を扱っていないメーカーも多く、これから夏の商戦に向けて原料が足りなくなる、といったケースが出てくる可能性もある。新物が出てくれば一息つくことができるし、平年作であれば1年間販売できる量を確保することができる。厳しい状況が続く見通しだが、中国梅を活用しながら何とか乗り切っていきたいと考えている」
【2026(令和8)年3月21日第5224号2面】
中田食品
紀州みなべ梅干協同組合 理事長 殿畑雅敏氏
原料不足は大きな不安要素 反収増で生産量維持へ
紀州みなべ梅干協同組合理事長の殿畑雅敏氏(株式会社トノハタ社長)にインタビュー。紀州産梅の原料状況と製品の売れ行きなどについて話を聞いた。産地の課題として生産者の高齢化などが挙げられるが、殿畑理事長は次の世代に産地を継承していくため「生産性の向上は必要不可欠」と指摘。行政に生産性の高い圃場の拡大を要望し、反収を上げる取組を実施することが生産量の維持につながることを強調した。
(千葉友寛)
◇ ◇
‐紀州産の原料状況と製品の売れ行きは。
「非常に厳しい状況となっている。2連続の不作によって2年続けて値上げが実施されているので、製品の売れ行きは良くない。昨年のエンゲル係数は28・6%で44年ぶりの高水準となっており、消費者の財布の紐は一昨年より硬くなっている。紀州産は2年連続の不作で原料がなく、出荷を抑えての販売を余儀なくされている。当社も含めて中国産を販売しているところは代替え商品として売場を確保することができるが、紀州産しか扱っていない企業は原料がなければ商品を供給することができず、売上も減少することになる。夏場の売れ行きは分からないが、今年の6月に収穫される梅が使えるようになるのは10月以降。原料がないと動くことができず、売上も増やすことができない。春から夏にかけて原料の問題は大きな不安要素となっている」
‐中国産の売れ行きが好調となっている。
「活発に動いているところとそうではないところで差がある。中国の現地パックで価格訴求型の商品が多く出回っている。価格に対する消費者のニーズは高まるばかりで、梅も手頃な価格で購入したいという人が増えている。紀州産は2年連続の値上げで割高感が出てしまっている」
‐製造コストも上昇している。
「毎年値上げされている段ボールは4年前の約1・5倍になっている他、調味料や容器も上がっている。また昨今のイラン問題による原油高騰は、近々の容器や物流コスト上昇となることは避けて通れない。一方26年産の作柄については現時点で3年連続の凶作の見込みで、原料価格について不透明な状況。梅はおととしの秋から値上げが実施されており、数量が減っている。しかし、値上げした分がプラスとなり、金額ベースでは前年を上回っていた。だが、昨年10月に2年連続の値上げを実施したところ、数量がさらに減って売上もマイナスで推移するようになっている」
‐組合での対応策について。
「紀州みなべ梅干協同組合では紀州田辺梅干協同組合と合同で、昨年の紀州梅の作柄は災害であるとの認識の下、県に対して雇用調整助成金の企業負担分の負担のお願い、低金利で新規融資を受け入れられるような環境を整えていただきたい、という旨を国と県に陳情した。しかし、結果としては難しいということで、中小企業庁のセーフティネット保証5号など、現行制度の範囲内で各社にて取り組んでいただくしかない状況となっている」
‐生産者の高齢化が進む産地の課題は。
「行政に生産性の高い圃場の拡大を要望している。次の若い世代に梅の産地や文化を継承していくためには生産性の向上は必要不可欠。紀州も生産者の高齢化が進み、数も減少している。生産量を維持するためには反収を上げる必要がある。平坦地での生産は最も効果的な手段で、傾斜地の同じ面積で比較すると3、4倍の反収になる。つまり、現在の3分の1の営農で同じ生産量になる、ということ。民間でパイロット事業を行うことは難しいので、国や県にリーダーになっていただき、産地保全の観点からも取り組んでいただきたいと思っている。1社の声では大きな力にはならないので、このようなことについて声を上げることは組合の役割でもあると考えている」
【2026(令和8)年3月21日第5224号3面】
紀州みなべ梅干協同組合理事長の殿畑雅敏氏(株式会社トノハタ社長)にインタビュー。紀州産梅の原料状況と製品の売れ行きなどについて話を聞いた。産地の課題として生産者の高齢化などが挙げられるが、殿畑理事長は次の世代に産地を継承していくため「生産性の向上は必要不可欠」と指摘。行政に生産性の高い圃場の拡大を要望し、反収を上げる取組を実施することが生産量の維持につながることを強調した。
(千葉友寛)
◇ ◇
‐紀州産の原料状況と製品の売れ行きは。
「非常に厳しい状況となっている。2連続の不作によって2年続けて値上げが実施されているので、製品の売れ行きは良くない。昨年のエンゲル係数は28・6%で44年ぶりの高水準となっており、消費者の財布の紐は一昨年より硬くなっている。紀州産は2年連続の不作で原料がなく、出荷を抑えての販売を余儀なくされている。当社も含めて中国産を販売しているところは代替え商品として売場を確保することができるが、紀州産しか扱っていない企業は原料がなければ商品を供給することができず、売上も減少することになる。夏場の売れ行きは分からないが、今年の6月に収穫される梅が使えるようになるのは10月以降。原料がないと動くことができず、売上も増やすことができない。春から夏にかけて原料の問題は大きな不安要素となっている」
‐中国産の売れ行きが好調となっている。
「活発に動いているところとそうではないところで差がある。中国の現地パックで価格訴求型の商品が多く出回っている。価格に対する消費者のニーズは高まるばかりで、梅も手頃な価格で購入したいという人が増えている。紀州産は2年連続の値上げで割高感が出てしまっている」
‐製造コストも上昇している。
「毎年値上げされている段ボールは4年前の約1・5倍になっている他、調味料や容器も上がっている。また昨今のイラン問題による原油高騰は、近々の容器や物流コスト上昇となることは避けて通れない。一方26年産の作柄については現時点で3年連続の凶作の見込みで、原料価格について不透明な状況。梅はおととしの秋から値上げが実施されており、数量が減っている。しかし、値上げした分がプラスとなり、金額ベースでは前年を上回っていた。だが、昨年10月に2年連続の値上げを実施したところ、数量がさらに減って売上もマイナスで推移するようになっている」
‐組合での対応策について。
「紀州みなべ梅干協同組合では紀州田辺梅干協同組合と合同で、昨年の紀州梅の作柄は災害であるとの認識の下、県に対して雇用調整助成金の企業負担分の負担のお願い、低金利で新規融資を受け入れられるような環境を整えていただきたい、という旨を国と県に陳情した。しかし、結果としては難しいということで、中小企業庁のセーフティネット保証5号など、現行制度の範囲内で各社にて取り組んでいただくしかない状況となっている」
‐生産者の高齢化が進む産地の課題は。
「行政に生産性の高い圃場の拡大を要望している。次の若い世代に梅の産地や文化を継承していくためには生産性の向上は必要不可欠。紀州も生産者の高齢化が進み、数も減少している。生産量を維持するためには反収を上げる必要がある。平坦地での生産は最も効果的な手段で、傾斜地の同じ面積で比較すると3、4倍の反収になる。つまり、現在の3分の1の営農で同じ生産量になる、ということ。民間でパイロット事業を行うことは難しいので、国や県にリーダーになっていただき、産地保全の観点からも取り組んでいただきたいと思っている。1社の声では大きな力にはならないので、このようなことについて声を上げることは組合の役割でもあると考えている」
【2026(令和8)年3月21日第5224号3面】
トノハタ
紀州田辺梅干協同組合 理事長 前田雅雄氏
値上げで売れ行き低調 地域連携プロジェクトに参画
紀州田辺梅干協同組合理事長の前田雅雄氏(有限会社紀州うめまさ社長)にインタビュー。今年の花芽や梅干しの販売状況などについて話を聞いた。組合活動ではないが、同社をはじめとする有志の企業で田辺市にある神島高校の地域連携プロジェクト『神島屋』の活動に参画。『神島屋』は地元の特産品である紀州南高梅を活用した実践型の学習プログラムで、若い人が梅に関心を持ってくれるきっかけになることを期待している。(千葉友寛)
◇ ◇
‐今年の花芽は。
「今年の開花期は平年と同じくらいだった。懸念されるのは一部地域で開花が早かったところがあり、そこではめしべが成長していない花もあったようだ。ハチの巣箱も少なかったので、受粉が進んだのか分からない。現時点で今年の作柄を予想するのは難しいが、これまで出ている話としては、今年は豊作までの作柄にはならない、現在の産地在庫は少ない、外級の価格が高すぎる、など。値上げによって売れ行きが悪くなっている分、不安視されていた夏の需要期まで原料がつながる見通しとなっているところが増えているようだ」
‐原料状況は。
「2年連続の凶作なので今年の作柄が平年作だったとしても、各社スタートから購入意欲が強いことが予想され、価格が下がることは予想しにくい。やはり産地在庫としては、2年分は必要だということ。在庫があれば何か手を打つことができるが、在庫がなければ調整を行うこともできない。今年の青梅の価格が高ければ、農家は塩漬しないで生の出荷が多くなる。その方が手間もないので、そちらの割合の方が増えると見ている。今年もメーカーは原料を安定的に確保するということが簡単ではない、ということだ」
‐梅干しの販売について。
「外級の価格が高過ぎて、低級品の製品としては厳しい価格となっている。昨年産の原料は雹害で黒くなったり、しこりみたいなものがあるなど、クレームが多く発生したようだ。当初は『ワケあり商品』として販売されたが、品質が下がって価格が上昇したこともあり、消費者からの支持は得られなかった。そのため、原料が少ないC級原料で対応せざるを得ない状況となり、新物が入ってくるまでタイト感は続くだろう。紀州南高梅のブランドは長年をかけて築いてきたものだが、特に昨年はA級原料が極端に少なく、低級原料を販売せざるを得ない状況となっている。原料不足という問題を抱えながらブランドを守るということは非常に難しいことだ」
‐組合活動について。
「和歌山県漬物組合連合会では毎年『梅干しで元気‼キャンペーン』を実施しており、梅干しを身近なものとして食する習慣を養うとともに、自分の食について関心を持ってもらう契機とするため、行政、教育、漬物業界の連携によって実施している。また、組合活動ではないのだが、有志の企業で田辺市にある神島高校の地域連携プロジェクト『神島屋』の活動に参画している。『神島屋』は地元の特産品である紀州南高梅を活かし、イベント企画に取り組む実践型の学習プログラムで話題になっている。1月24日には大阪・梅田で梅と地域をPRする『梅田で梅フェス』を開催し、『梅やきとり』などを販売した。梅を題材にしてPRしてくれているので非常にありがたく思っているし、若い人が梅に関心を持つきっかけになる可能性もあるので期待している」
【2026(令和8)年3月21日第5224号5面】
紀州田辺梅干協同組合理事長の前田雅雄氏(有限会社紀州うめまさ社長)にインタビュー。今年の花芽や梅干しの販売状況などについて話を聞いた。組合活動ではないが、同社をはじめとする有志の企業で田辺市にある神島高校の地域連携プロジェクト『神島屋』の活動に参画。『神島屋』は地元の特産品である紀州南高梅を活用した実践型の学習プログラムで、若い人が梅に関心を持ってくれるきっかけになることを期待している。(千葉友寛)
◇ ◇
‐今年の花芽は。
「今年の開花期は平年と同じくらいだった。懸念されるのは一部地域で開花が早かったところがあり、そこではめしべが成長していない花もあったようだ。ハチの巣箱も少なかったので、受粉が進んだのか分からない。現時点で今年の作柄を予想するのは難しいが、これまで出ている話としては、今年は豊作までの作柄にはならない、現在の産地在庫は少ない、外級の価格が高すぎる、など。値上げによって売れ行きが悪くなっている分、不安視されていた夏の需要期まで原料がつながる見通しとなっているところが増えているようだ」
‐原料状況は。
「2年連続の凶作なので今年の作柄が平年作だったとしても、各社スタートから購入意欲が強いことが予想され、価格が下がることは予想しにくい。やはり産地在庫としては、2年分は必要だということ。在庫があれば何か手を打つことができるが、在庫がなければ調整を行うこともできない。今年の青梅の価格が高ければ、農家は塩漬しないで生の出荷が多くなる。その方が手間もないので、そちらの割合の方が増えると見ている。今年もメーカーは原料を安定的に確保するということが簡単ではない、ということだ」
‐梅干しの販売について。
「外級の価格が高過ぎて、低級品の製品としては厳しい価格となっている。昨年産の原料は雹害で黒くなったり、しこりみたいなものがあるなど、クレームが多く発生したようだ。当初は『ワケあり商品』として販売されたが、品質が下がって価格が上昇したこともあり、消費者からの支持は得られなかった。そのため、原料が少ないC級原料で対応せざるを得ない状況となり、新物が入ってくるまでタイト感は続くだろう。紀州南高梅のブランドは長年をかけて築いてきたものだが、特に昨年はA級原料が極端に少なく、低級原料を販売せざるを得ない状況となっている。原料不足という問題を抱えながらブランドを守るということは非常に難しいことだ」
‐組合活動について。
「和歌山県漬物組合連合会では毎年『梅干しで元気‼キャンペーン』を実施しており、梅干しを身近なものとして食する習慣を養うとともに、自分の食について関心を持ってもらう契機とするため、行政、教育、漬物業界の連携によって実施している。また、組合活動ではないのだが、有志の企業で田辺市にある神島高校の地域連携プロジェクト『神島屋』の活動に参画している。『神島屋』は地元の特産品である紀州南高梅を活かし、イベント企画に取り組む実践型の学習プログラムで話題になっている。1月24日には大阪・梅田で梅と地域をPRする『梅田で梅フェス』を開催し、『梅やきとり』などを販売した。梅を題材にしてPRしてくれているので非常にありがたく思っているし、若い人が梅に関心を持つきっかけになる可能性もあるので期待している」
【2026(令和8)年3月21日第5224号5面】
紀州田辺梅干協同組合 https://kishu-tanabe-umeboshikumiai.com/
紀州うめまさ http://www.umemasa.co.jp/



























