<梅特集>作柄に多くの不安要素も ドローン活用で作業効率化
紀州南高梅は昨年の作柄が一昨年に続いて2年連続の凶作となり、原料不足が大きな問題となっている。
今年は平年作以上の作柄が期待されているが、一部地域で開花が早まったことや、温暖化等の影響でめしべが成長していない花が広範囲で見られるなど、多くの不安要素が指摘されている。
JAわかやまが1月22日に実施した着蕾調査によると、南高梅の着蕾数は平年比82%、7割作となった昨年比81%と約2割減となっている。また、毎年4月には雹が降っており、昨年は1カ月で4回の降雹があったため、甚大な被害が発生した。
一昨年の作柄が4割作で昨年は7割作だったため、2年分を足しても1年分の原料しかない計算になり、原料はタイトな状況が続いている。
昨秋には多くのメーカーが2年連続となる値上げを実施した。小売店で販売されている国産の梅干し製品の売価は2年前の30~50%上昇しており、物価高が続く中で消費者の支持を得られなくなってきている。
出荷にブレーキがかかったことで新物が入ってくる秋まで原料がつながる見通しがついたことは不幸中の幸いと考えられるが、売場の縮小や需要の減少はマーケットのシュリンクにつながる可能性もあり、マイナス面も大きい。
大手メーカーは代替えとして中国産原料を使用した商品で売場をカバー。中国産は国産よりも価格の優位性があり、企業によっては中国産の売上が国産を上回るケースも出てきている。
毎年5月下旬から青梅の出荷がスタートし、自社で漬け込むメーカーの購入意欲は強いと予想される。供給に対して需要が多ければ価格は当然、上昇する。仮に平年作程度の作柄だったとしても、2年連続の凶作で原料がタイトになっていることを考えると、スタートから価格が高値で推移する可能性がある。
メーカーとしても原料が高くなれば製品価格に転嫁せざるを得ないのだが、価格が今より上がれば消費者離れにつながる可能性もある。梅業界は厳しい局面を迎えている。
原料の安定確保については、他の農産物と同様に農家の高齢化や減少も課題となっている。梅の生産量が減れば市場規模を維持できなくなるため、最重要課題と位置付けられる。
紀州梅の会の青年部組織である若梅会では、その解決策の一つとして、2月27日にドローンの活用をテーマにした研修会を実施した。今回テストを行ったドローンの最大積載量は70kgで、スクリュー型のオーガ式で正確な散布が可能。田辺市の梅畑でドローンを使用した肥料のテスト散布を行った。
山間部など斜面での生産は、平地と比べると重労働で水や肥料、農薬の散布も困難だったが、ドローンによる散布では、人の手で1時間かかっていた作業を2分で行い、単純計算で作業効率が30倍上がったことを実証。この日は若梅会メンバーの他、近隣の農家も見学に訪れ、ドローン活用時の効果や課題を共有した。
昨年12月まで若梅会の会長を務めた濱田朝康氏(濱田社長)は、「斜面にはスプリンクラーを設置しにくく作業も重労働なのだが、ドローンを使用すれば斜面での生産も復活する。後継者が農園を継がない理由の中に、作業の負担が大きいということがあるのであれば、それは解消できる。費用の問題もあるが、補助金制度もあるようだ。生産量を維持するためには機械化を進めるしかないので、産地としても真剣に検討する必要がある」と前向きな見解を示した。
世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」は、認定から10年目を迎えた。持続可能な梅産業の構築に向けて、一歩ずつでも着実に踏み出していく必要がある。
【2026(令和8)年3月21日第5224号1面】
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