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【ザ・特集】「梅特集」リード2026

<梅特集>紀州産 中国産が値上げへ 紀州梅は3年連続凶作

天日干しされる紀州南高梅
 紀州梅は今年も凶作に見舞われ、過去に経験がない危機的な状況に直面している。
 3年連続の値上げは待ったなしの状況となっているが、供給不安を抱える紀州梅の売場をカバーしていた中国梅も凶作による原料価格の上昇や円安の影響で値上げが実施される。物価高が続く中、嗜好性が強く高価格帯の梅干しが消費者の支持をどこまで得られるか、梅干し市場は大きな局面を迎えている。
 紀州梅の凶作の要因は様々なことが挙げられている。暖冬で一部産地で開花が早かった、昨年の猛暑や残暑の影響で梅の木がダメージを受けている、雨不足、雹害、南高梅の受粉を手助けするミツバチの数が少なかったことなど、気象に関係することが多数を占めている。
 それらの影響もあってめしべがない、または発達していない不完全花が多かったという報告も多数あったが、はっきりとしたことは分かっていない。この3年の作柄はいずれも異なる要因で凶作となっており、これといった解決策を見出せない状況が続いていて、来年以降の作柄も懸念されている。
 梅の漬け込みに使用される塩の出荷量は5030tで平年(1万600t)の約半分。出荷された塩が全て使用されるわけではないため、漬け込み量は良くても平年の半分か半分以下と見られる。
 塩の出荷量は史上最低の作柄となった一昨年の4680tに匹敵する少なさで、ここ30年で2番目に低い量となる。計算上ではこの3年で漬け込まれた梅は1・5年分に留まっており、原料不足は極めて深刻な状況だ。
 梅干しの原料となる生梅の価格も高騰している。収穫は5月下旬から始まり、5月25日から出荷がスタートした田辺中央青果株式会社(和歌山県田辺市)の中値平均価格は、昨年の589円を27%上回る806円。200円以下だった2022年や2023年と比較すると実に4倍に跳ね上がっている。
 当然、原料価格も上昇する。産地では漬け込みが終了し、梅の原料価格は7月下旬から8月上旬に出てくる見通しだが、価格は昨年の価格の各等級のいずれも2000円アップと見込まれており、量販店で主力商品の原料となるC級は1万円(10㎏、税別)を超えることが確実視されている。主につぶれ梅や梅肉などに使用される低級の原料も9000円(10㎏、税別)と1万円に近い金額となると見られる。
 持ち越し在庫がなく、2026年産だけで来年の新物まで原料をつなげなければならない紀州梅は3年連続の値上げを実施せざるを得ない状況だ。梅は原価率が高いことに加え、深刻な原料不足と原料価格の高騰に対応する必要があり、値上げは不可避な状況となっている。
 ただ、物価高が続く中、3年連続の値上げで消費者の梅干し離れが加速することも懸念されており、値上げ幅は各社によってばらつきが出てくる模様だ。大手メーカーは10月からの値上げを目指し、8月上旬から急ピッチで商談を行っていく見通しだ。
 中国産製品も値上げが実施される。中国梅の作柄も6割作と凶作となった他、中国でも製造コストが上がっていることに加えて円安の影響も大きく、原料価格が大幅に上がっている。昨年の在庫があるため量の確保は可能だが、価格は上昇傾向にある。
 中国産を扱うメーカーはここ2年、紀州産の原料状況が厳しかったことから中国産製品の値上げは最小限に抑えられていたが、企業努力だけで吸収することが極めて困難な状況となり製品価格への転嫁を余儀なくされている。
 現在、一般のスーパーでも国産と中国産製品の割合は半々から中国産が6割とやや多くなっているが、ディスカウント店では中国産が9割以上を占めるなど、梅干し売場は国産と中国産の立場が逆転している。国産は100g598円、中国産は165g398円が平均的な売価となっているが、国産は高級品の価格帯となっており、数量は前年比で10~20%減少している。
 これまでは梅の消費減少が懸念され、紀州産と中国産の価格が同時に上がることはなかったが、この秋は過去になかったことが起きようとしている。
 秋までは現在の価格と規格で販売されるため、需要は増加することが予想される。今夏の気温はスーパーエルニーニョ現象で昨年に続き平年より高くなる見込みとなっている。塩分やクエン酸を補給できる梅干しは熱中症対策のアイテムとして広く認知されており、この夏の売場は熱くなることが予想される。
 強風の影響で梅が落下して収穫量が平年の半分程度となった神奈川と和歌山を除く国内の主な梅産地は概ね平年作となり、商品の安定供給に支障がない状況だ。
 だが、混沌とするイラン情勢の影響で包装資材が高騰し、物流費や人件費も上昇しているため、高値安定が続く梅製品の値上げは避けられない。
 売れ過ぎても困る、売れなくても困る―。過去に経験したことがない不測の事態が次々と発生し、苦境に立たされている梅業界。今できることは限られた原料を大事に販売していくことだ。
【2026(令和8)年7月21日第5235号1面】

<梅特集>作柄に多くの不安要素も ドローン活用で作業効率化

梅林で肥料を散布するドローン
 紀州南高梅は昨年の作柄が一昨年に続いて2年連続の凶作となり、原料不足が大きな問題となっている。
 今年は平年作以上の作柄が期待されているが、一部地域で開花が早まったことや、温暖化等の影響でめしべが成長していない花が広範囲で見られるなど、多くの不安要素が指摘されている。
 JAわかやまが1月22日に実施した着蕾調査によると、南高梅の着蕾数は平年比82%、7割作となった昨年比81%と約2割減となっている。また、毎年4月には雹が降っており、昨年は1カ月で4回の降雹があったため、甚大な被害が発生した。
 一昨年の作柄が4割作で昨年は7割作だったため、2年分を足しても1年分の原料しかない計算になり、原料はタイトな状況が続いている。
 昨秋には多くのメーカーが2年連続となる値上げを実施した。小売店で販売されている国産の梅干し製品の売価は2年前の30~50%上昇しており、物価高が続く中で消費者の支持を得られなくなってきている。
 出荷にブレーキがかかったことで新物が入ってくる秋まで原料がつながる見通しがついたことは不幸中の幸いと考えられるが、売場の縮小や需要の減少はマーケットのシュリンクにつながる可能性もあり、マイナス面も大きい。
 大手メーカーは代替えとして中国産原料を使用した商品で売場をカバー。中国産は国産よりも価格の優位性があり、企業によっては中国産の売上が国産を上回るケースも出てきている。
 毎年5月下旬から青梅の出荷がスタートし、自社で漬け込むメーカーの購入意欲は強いと予想される。供給に対して需要が多ければ価格は当然、上昇する。仮に平年作程度の作柄だったとしても、2年連続の凶作で原料がタイトになっていることを考えると、スタートから価格が高値で推移する可能性がある。
 メーカーとしても原料が高くなれば製品価格に転嫁せざるを得ないのだが、価格が今より上がれば消費者離れにつながる可能性もある。梅業界は厳しい局面を迎えている。
 原料の安定確保については、他の農産物と同様に農家の高齢化や減少も課題となっている。梅の生産量が減れば市場規模を維持できなくなるため、最重要課題と位置付けられる。
 紀州梅の会の青年部組織である若梅会では、その解決策の一つとして、2月27日にドローンの活用をテーマにした研修会を実施した。今回テストを行ったドローンの最大積載量は70kgで、スクリュー型のオーガ式で正確な散布が可能。田辺市の梅畑でドローンを使用した肥料のテスト散布を行った。
 山間部など斜面での生産は、平地と比べると重労働で水や肥料、農薬の散布も困難だったが、ドローンによる散布では、人の手で1時間かかっていた作業を2分で行い、単純計算で作業効率が30倍上がったことを実証。この日は若梅会メンバーの他、近隣の農家も見学に訪れ、ドローン活用時の効果や課題を共有した。
 昨年12月まで若梅会の会長を務めた濱田朝康氏(濱田社長)は、「斜面にはスプリンクラーを設置しにくく作業も重労働なのだが、ドローンを使用すれば斜面での生産も復活する。後継者が農園を継がない理由の中に、作業の負担が大きいということがあるのであれば、それは解消できる。費用の問題もあるが、補助金制度もあるようだ。生産量を維持するためには機械化を進めるしかないので、産地としても真剣に検討する必要がある」と前向きな見解を示した。
 世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」は、認定から10年目を迎えた。持続可能な梅産業の構築に向けて、一歩ずつでも着実に踏み出していく必要がある。
【2026(令和8)年3月21日第5224号1面】

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