学習指導要領に「漬物」明文化を
自由民主党漬物振興議員連盟(森山裕会長=ひろしは示す編に点なしの裕)は3日、自由民主党本部(東京都千代田区)にて第8回総会を開催した。
同議連所属議員を始め、文部科学省、農林水産省、財務省、法務省の担当者、全日本漬物協同組合連合会より、中園雅治会長、菅野行雄副会長、関口悟副会長、秋本薫副会長、望月啓行副会長、林野雅史副会長、大久保次郎副会長、遠藤栄一常務理事、真野康彦専務理事、鎌田洋行事務局長、東京都漬物事業協同組合より籠島正雄常務理事、京都府漬物協同組合より平井誠一副理事長が出席した。総会では中園会長から森山会長へ漬物業界の7つの課題を記した要請書が手渡され、学習指導要領への「漬物」の明文化や石油に由来する資材等の安定的な確保といった各課題について各関係省庁が進展状況を報告、議連所属議員がそれに対して意見を述べた。
総会は、藤木眞也事務局長の司会で進行、開会の挨拶に立った森山会長は出席した所属議員や省庁担当者、全漬連役員らに謝辞を述べた後、「今回で8回目となる総会であり、業界が抱える課題について各省庁としっかり意見交換を行い、引き続き何をすることが漬物の振興に繋がるのか示唆が得られれば有難い。漬物は農産物の有効活用や発酵技術による長期保存ができるようになる日本の食文化の一角を支えているもの。外国の方々が日本で漬物を食べて日本の食文化を理解してもらうことも大切であると考えている」と話した。
中園会長より、森山会長に「漬物の振興に関する要請書」が手渡された後、要請書の内容説明が行われた。
中園会長はまず、同議連のこれまでの活動支援に感謝の意を示した後、漬物業界を取り巻く現況について「天候不順、農家減少などによる原料不足、人件費高騰、中東情勢や円安によるコスト増など厳しい経営環境に置かれている」と説明。その上で7つの要請事項を説明した。
その後、中園会長より提出された要請書の7つの課題について、各省庁担当者が取組内容や対応状況を報告した。
改題解決で漬物振興へ
消費税減税や和食文化承継もテーマに
【1.学習指導要領の改訂に合わせ、その解説版への「漬物」の明文化について】(文部科学省)
現行の学習指導要領においても、例えば中学校家庭科では「地域の食文化についての理解」「地域の食材を用いた和食の調理」「地域の食文化の継承」といった記載がある。現在、10年に1度の大きな改定のための議論のまっただ中であり、小学校においては「伝統的な日常食の調理」、中学校や高等学校においては「生活文化の継承の観点をより重視する」といったテーマで検討しており、漬物の扱いについても引き続き検討していく。
【2.石油に由来する資材等の安定的な確保について】(農林水産省)
原油調達は7月について、前年平月比で約10割の調達への回復の目途が立ったところで、来年3月末までの石油の安定供給が可能となっている。ナフサ由来の化学製品についても年度を超えて供給継続が可能となる見込みだが、個々に見ると足りない資材もあるという状況が報告されており、資材の流通構造の実態把握を行うとともに、燃料油や石油製品等の供給に関する相談窓口を設置している。また中東情勢の変化等により、資材価格、物流費等のコストが上昇している状況を踏まえ、小売・流通業者に対し、生産現場のコスト上昇分を適切に価格転嫁できるよう協議の申出があった場合は誠実かつ速やかに協議に応じるよう要請している。もし価格協議に応じてもらえない、一方的に安い価格を押し付けられた等の事案があれば窓口に相談してほしい。
【3.食料品に係る消費税減税措置に対する対応について】(財務省)
食料品の消費税率引き下げについては、水産加工業などへのヒアリングにおいて、還付を受けるまでの資金繰りの悪化や還付申告の手続きに伴う人手不足などが課題として挙がっている。社会保障国民会議「中間取りまとめ(案)」(令和8年6月26日時点)の中に、「外食産業を含めて、影響を見極めた上で、過去の様々な支援策を参考としながら、資金繰り支援等のための予算措置を検討する」旨を盛り込んでおり、関係省庁が連携し、事業者の実情を確認しつつ、支援内容を具体化していく。
【4.和食文化の保護・継承について】(農林水産省)
和食文化継承のための取組として2つのコンテンツを展開。全国の郷土料理のいわれやレシピなどをデータベース化した「うちの郷土料理」は閲覧数が年間2000万PVを超える人気コンテンツであり、各地の漬物も50品目を紹介している。また伝統的な加工食品をデータベース化した「にっぽん伝統食図鑑」には計46品目の漬物を登録してPRを強化している。研修を受けた幼稚園や小学校の栄養教諭等を「和食文化継承リーダー」として認定し、次世代の子供たちに和食文化を教えてもらうという活動も行っており、現在1672名を認定している。
【5.米の消費と農産物の消費の振興について】(農林水産省)
米の一人当たりの消費量は、食生活の変化等もあり減少傾向が続き、令和6年度は53・4kg。米の消費拡大の施策として、米飯学校給食の推進・定着、多面的な情報発信、新たな需要の取り込み、食の外部化への対応、米と健康に着目した情報発信等を実施している。具体的にはSNSを活用した「おにぎりプロジェクト」や、米飯学校給食の普及のための授業用テキスト作成などを実施している。米やパックご飯などの輸出も増加しており、輸出も推進しながら国内外で米全体の消費を拡大させていきたい。
【6.地産地消の観点から地域特産品に対する振興について】(農林水産省)
「強い農業づくり総合支援交付金」「国産野菜周年安定供給強化事業」などにより、野菜の集出荷、貯蔵、加工施設などの支援や、漬物原料野菜の生産者が実需者との契約取引により作付拡大に取り組む場合は加工適正の高い品質の導入や大型コンテナの導入などを支援している。また相場の安定化対策として要請があった「野菜価格安定対策事業」に関しては、大根・白菜・かぶ等の漬物原料野菜を対象に価格低下時には生産者へ交付金を交付している。対象拡大については出荷実態の把握が可能なものから検討していく。
【7.外国人の新制度「育成就労」について】(出入国在留管理庁)
国際貢献を目的とする制度であった技能実習制度に代わり「育成就労制度」が創設され、来年4月1日から運用が開始される。育成就労制度は、特定技能制度の分野のうち就労を通じた人材育成となる分野において、外国人材を受け入れるための分野であり、人材育成や人材確保を目的としている。「農産物漬物製造業」も「飲食料品製造業分野」として対象に組み込まれた。育成就労制度の就労期間は3年間であり、特定技能1号にステップアップすればさらに5年、より高い水準の技能を有する特定技能2号の在留資格に変更した場合は制限がなくなる。
活発な質疑応答も
各省庁からの説明後に行われた質疑応答では所属議員より、様々な質問や意見が投げかけられた。「学習指導要領の改訂」「漬物が発酵食品として健康に寄与しているエビデンスの必要性」「漬物の洋食への応用やアプローチ」「韓国のキムチをヒントにした海外へのブランディング」などをテーマに意見交換が行われた。
最後に森山会長が「先生方から貴重なご意見をいただくとともに、各省庁が漬物の振興に対してしっかりとした取組をしてくれていることが分かり大変心強い。漬物は輸出の戦略物資になるのではないかとも思った。漬物とお米は兄弟のようなもので、主食である米をどう作り続けていけるかが課題であり、そうした取組もしっかりと行っていきたい」と話した。
なお当日は、朝食用弁当の付け合わせとして、学校給食用に適した西利(京都府京都市)の個食カップの漬物が提供され、出席者が弁当とともにその味わいを楽しんだ。
【第8回総会出席議員(敬称略、順不同)】
森山裕、藤木眞也、若林健太、長坂康正、関芳弘、宮路拓馬、細田健一、武井俊輔、根本幸典、坂本哲志、小林茂樹、野村哲郎、吉井章、東野秀樹、鈴木宗男、船橋利実、藤田ひかる、勝目康、藤澤忠盛、石橋林太郎
【2026(令和8)年7月11日第5234号1・2面】
農林水産省「うちの郷土料理」HP
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/index.html
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/index.html




























