一般社団法人全国漬物検査協会(西村信作会長)は2015(平成27)年11月19日、東京都江東区の古石場文化センターにて「第6回営業マン、若手技術者のための講演会」を開催した。
同講演会は漬物業界を担う人材育成を目的に漬物の知識や魅力を知り、今後の営業担当者のセールス、若手技術者の製造などに役立ち、求められるような知見を学ぶために実施されている。
開会の挨拶に立った西村会長は昨今の経済状況に触れた上で、「私ども全漬検は漬物業界の体力強化のために、漬物に携わる個人の職務能力の向上に役立つような基本的な知識を学ぶ機会を設けたいとの提案があり、この講演会を実施することとなり今回で6回目となります」と説明した。
食に関わる問題として有名ホテル・レストランのメニューや肥料成分の偽装表示、北海道における浅漬の食中毒事件を挙げ、「行政当局も衛生管理の指導強化に取り組んでいるところですが、一層自らも衛生管理に力を入れるようにして頂きたく存じます。漬物には原料原産地表示が特別に課されており、他の食品表示との不公平感は否定できませんが、嘘や誇大表示を行わないこと、安全な漬物を作ることが今までよりも大事になってきております」とし、「お忙しい中、来て下さった皆様にとってこの講演会が役立つことがあれば幸いでございます。会社に持ち帰るとともに、日々の業務に生かしていただきたいと思います」と有効活用を呼びかけた。
続いて大羽恭史副会長(技術委員会委員長)は原料価格の高騰について「何とか野菜の価格を商品の販売価格に結び付けたいところですが、なかなか難しく、各社大変苦しんでおります。ただ10月になってやっと価格が安定してきたということで、これからしっかりと利益を出していって頂きたい」と好転したと指摘。また、米の値上げについて「今年は豊作ということですが、飼料米という動物の餌にする米を2年前から政府が奨励しておりまして、それでも農家の方が作ってくれないので、また大幅に補助金を増やしたことが要因のようです。家畜が人間よりも高い米を食べるというおかしな状況になっております。しかし、幸いなことに飼料米を作ることは誇りにかけてもやりたくないという農家の方もいらっしゃいます。世の中、TPPもあり変わっていきますが、我々も心ある農家と志をもって商売に励みたいと思います」とした。
講演会は東京家政大学教授の宮尾茂雄氏、公益財団法人塩事業センター元海水総合研究所所長・元東海大学非常勤講師の橋本壽夫氏、一般社団法人新日本スーパーマーケット協会プランニングマネージャーの籾山朋輝氏の3氏が講演。参加者一同、知見を広げた。