和歌山県果樹試験場うめ研究所(みなべ町)は、梅の新品種「星秀(せいしゅう)」を開発した。「星秀」は「南高(雌)」と「剣先(雄)」の交雑種。黒星病発病果率が低く、自家和合成を有し、低温などによる虫媒受粉がうまくいかない年でも安定した着果を示す上、「南高」と開花時期がほぼ同じであるため受粉樹としても有効である。
同研究所ではウメの主要病害に抵抗性を持つ品種の育成を進めてきた。県の主力品種である「南高」は病気に弱く、特に黒星病は現在のところ薬剤散布なしでは防除が困難な病害のひとつだった。今後気候変動が進行し、降雨日数が多くなると黒星病の発生増加が懸念されていた。
そこで、黒星病に強い抵抗性を有し、かつ果実品質に優れる個体を選抜し、「星秀」として品種登録出願を行った(2019年6月11日出願公表)。
無防除樹における黒星病発病果率は「南高」よりも低く、減農薬栽培における有望品種と言える。ただしかいよう病には「南高」と同程度に弱い。
「星秀」の果実はやや楕円形で、果実重は「南高」よりも小さいが「NK14」よりは大きい。またヤニ果はほとんど発生しない。樹勢に問題はなく、短果枝の着生が多いため、栽培しやすい品種と言える。
なお本品種は国の委託を受けて育成したため、苗木は県内だけでなく全国に流通する。ただし、苗木の販売は和歌山県果樹育苗組合に許諾予定(苗木生産は県内限定)。
【2020(令和2)年4月13日第5017号3面】