前年比104・4%に おせち予約や生鮮が好調
一般社団法人全国スーパーマーケット協会・一般社団法人日本スーパーマーケット協会・オール日本スーパーマーケット協会の流通3団体は12月22日、全国スーパーマーケット協会の会議室(東京・神田)とオンライン会議システム併用で、11月の販売統計調査(実績速報版)を発表した。
日本スーパーマーケット協会の江口法生専務理事、日本生活協同組合連合会(日生協)渉外広報本部の伊藤治郎本部長がそれぞれ統計結果を報告した。また、日本スーパーマーケット協会の川野幸夫会長が2020年を振り返り、総括を述べた。
まず、江口専務理事が11月の統計調査実績を発表。総売上高は9058億5782万円で、全店ベースの前年同月比は104・4%、既存店ベースでは103・3%であった。食品合計の売上高は8152億6611万円で、全店ベース104・7%、既存店ベース103・6%であった。
部門別に見ると、生鮮3部門(青果・水産・畜産)合計は3127億6712万円で105・4%。日配は1763億9445万円で104・0%。惣菜は906億795万円で101・6%。一般食品は2354億9658万円で105・7%だった。(注釈なしは全て全店ベース)
江口専務理事は「11カ月連続で前年を超えた。その原動力が生鮮と一般食品。惣菜は2月以降不振だったが10月、11月で前年を超えた。保有店舗数別に見ると店舗数の多い企業の伸び率が高くなる傾向が徐々に強まってきた。11月は気温が高かったが家食需要があり鍋商材は例年より動いた。おせち等予約商材が早々に予定数量を消化する所もあった」と説明した。
景気判断DIについては「現状、見通しとも前月水準で推移。来客数DIの低迷、客単価DIがプラスになる傾向は継続している」とした。
生協は前年比111・1%
次に日生協・伊藤本部長が11月度供給実績(速報値)を報告。全国65主要地域生協の総供給高は2460億5600万円で、前年比111・1%だった。内訳は店舗供給高が763億9300万で同105・0%、宅配供給高は1642億8700万円で同114・8%と、好調を維持している。
伊藤本部長は「10カ月連続での前年超過となった。内食需要は堅く冷凍食品や菓子が好調だった。おせち、ケーキなど予約商材は売れている。数に限りがあるので大きな伸びとはならないが食品ロスの削減にもなった。年末年始は帰省の自粛により都市部が例年を大幅に上回る予想があり、アイテムを絞るなどして備えている」と報告した。
続いて、川野会長が2020年を振り返った。世界中がコロナに襲われた中、スーパーは好調を維持できた数少ない業種であり、それはスーパーが食品の安定供給という社会的使命を担っているからと指摘。また牛乳や特産品・土産物といった販売が大幅に落ち込んだ商品の受け入れや、職を失った方の雇用、医療機関への物資支援などといった形で社会へ貢献できたとした。
店内では客や従業員の感染防止のため、ソーシャルディスタンスの確保や飛沫防止に取組むとともに、短時間・少人数での買い物を呼びかけるという、コロナ前とは逆の行動を推奨するようになったことを振り返った。
また今後について、コロナ不況や少子高齢化、人口減少といった問題が進行し価格競争の激化などスーパーの経営環境も厳しくなることに危機感を示し、準備を呼びかけた。
協会としては、業務効率向上のためのIT技術投資、キャッスレス決済の手数料軽減の申し立て、外国人労働者の受け入れ、SDGsの推進に取り組んでいき、ライフラインとしての社会的使命を全うする考えを示した。
【2021(令和3)年1月1日第5044号11面】