和食業界で活躍する方々へのインタビュー

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インタビュー 平成28年12月まで

   
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インタビュー 2016(平成28)年12月

インタビュー 2016(平成28)年12月
 
トップに聞く 立花容器株式会社 代表取締役社長 岡野 邦男氏

〝Cheerful Life〟
 感動与える商品作りを
 1915年、瀬戸内海を望む岡山県倉敷市玉島の地でスタートした木製桶・樽の製造販売にルーツを持つ立花容器株式会社。以来、木製品を皮切りにプラスチック製品、FRP製品、PET樹脂製品と次々に業容を拡大させることで、食品業界の発展を支え続けて来た。昨年創業100周年の節目を迎え、次の100年に向け新たな一歩を踏み出した同社の岡野邦男社長に話を聞いた。
◇    ◇
 ――昨年から取り組んでおられる、新たな試みについて教えてください。
 「〝Cheerful Life〟にテーマを定め、Cheerfulな(愉快な・楽しい)生活を演出できる容器を生み出すことを目指しています。パッケージという視点から食シーンを提案することで、お客様からいただいた要望にお応えすることのみに従事するのではなく、お客様に〝こんな容器が欲しかった〟と言っていただける、言わば半歩先を行くような提案をして行きたいと考えています」
 ――どのような経緯からそうした方針の策定に至ったのですか。
 「メーカーとして、人に感動を与えられるような商品を作り上げたいと考えたからです。昨今、モノが売れなくなった原因を所得水準の低下だとする見方がありますが、私は消費者が感動できる商品が少ないことが一番の原因だと考えています。私が小学校に入学した頃、車やカラーテレビ、電話はまだ珍しい存在でしたが、卒業までの6年間であっという間に普及しました。当時の所得から考えると決して安いものではありませんでしたが、皆感動を求めて購入したのだと思います。現代においても、人を感動させられる商品は必ず売上を伸ばすはずです。そうした観点から、単なる容器という枠を超えて、人々の生活を豊かにする、感動を与えられるような商品を生み出す必要があるという考えに至りました」
 ――実際にはどのような商品を開発しておられますか。
 「350ml缶と同じサイズに成形したPET樹脂容器があります。ホテル東横インに設置されているお酒の自動販売機内で、同時におつまみを販売するための容器として開発しました。このサイズにしたのは、ビジネスマンが出張先のホテルの部屋で軽くお酒を飲む食シーンを想定したからです。フタ付きでバリア性の高い仕様なので、残りは捨てずに持ち帰ることもできます。反応は順調で全国にて導入が進んでいますが、何よりも新幹線の車内で当社の容器に入ったおつまみの残りを食べていらっしゃる方を目にした時、我々の提案を受け入れていただいている強い手応えを感じました」
 ――商品のターゲットを明確にすることで、成功に繋がったのですね。
 「同じ中身の商品でも量販店で買う人・コンビニで買う人がいるように、食シーンが異なれば支持される価格帯や形態も異なります。容器の製造コストから、先ほどお話したおつまみは量販店やコンビニで販売する袋入りの商品より売価が高くなります。ですが、おつまみが欲しいけれどコンビニまで買いに行くのは面倒、と考える方々は納得して購入してくださいます。このように容器として本当の意味での付加価値を提案できれば、物量が少なくとも会社の利益に繋がる商品を販売することが出来ます。次の100年に向け会社を経営して行くという点からも望ましく、当社の新たな事業モデルとして機能すると考えます」
 ――今後の見通しについて。
 「容器という観点から出来ることは、まだ数多くあると感じています。それは必ずしも新技術を要するものではなく、既存の素材や技術を応用することでも達成可能です。例えば同じPET樹脂を用いても成形とシュリンクのデザインを変えるだけで、全く用途の異なるものが生まれます。そうして開発された容器は、一見従来品と似ていますが、全く異なる役割を果たします。我々は容器メーカーであり、一部の商品を除き自社商品が単体で売り上げを伸ばすことはありません。中身の食品を製造するメーカーの協力が必要不可欠であり、今後はそうした方々と共同でのモノづくりを促進して行きたいと考えています」
◇    ◇
 私たちは生活の様々な場面で食品を手に取り、同時に数多くの容器にも触れている。容器が商品選択、そして生活に与えている影響は、おそらく自覚するよりもずっと多い。100年を超える歴史に裏づけられた高い技術と新たな発想力に基づき、同社では今後も容器のさらなる可能性を追求していく。(門馬悠介)
【2016(平成28)年12月26日第4872号10面】

 

立花容器株式会社 http://www.spac.co.jp/

 

 
 
トップに聞く 株式会社桝俉 代表取締役社長 宇津 康之氏

京の台所錦市場で伝統を今に
 煎酒用いた「錦 若冲漬」も
 12月13日は、〝事始め〟として古くから正月を迎える準備を始める日にあたる。昨年開設400周年を迎え、長年「京の台所」として親しまれている錦市場には、この日も〝ほんまもん〟を求める大勢の人が詰め掛けた。弊紙関連商材では、まず奈良漬や白味噌といった日持ちするものを購入し、年末が近づくと千枚漬、すぐき漬などを購入、年越しに備えるのが通例だ。
 錦市場に3店舗を構え、ルーツを江戸時代中期にまで遡る株式会社桝俉(京都市中京区)では、今年も多忙な年末を迎えている。純白の聖護院かぶらを利尻昆布で漬け込んだ千枚漬、創業以来良質な酒粕を用いて瓜・西瓜・胡瓜・守口大根を漬け込む奈良漬など定番商品群に加え、年末からは「菜の花」、「樽出しすぐき」、菊の花に見立てた細工漬物「菊かぶら」や「絹巻かぶら」も店頭を飾る。
 また同社の代表取締役会長、宇津克美氏は京都商店連盟会長、京都錦市場商店街振興組合の理事長を務めており、本年旭日双光章を受章するなど、その功績が広く認められている。京都の年末を鮮やかに彩る錦市場、素材本来の持ち味を大切にする同社の取り組みなど、代表取締役社長の宇津康之氏に話をうかがった。
◇     ◇
 錦市場には、毎年事始めになると料亭や料理旅館のスタッフをはじめ特に多くのお客様が全国からいらっしゃいます。冬の千枚漬やすぐきが当社の売上全体に占める割合は非常に大きく、26日からは限定商品の販売も行います。生鮮食品の買出しがピークを迎える29日以降はまた一段と活気に溢れ、錦市場で購入した品物でお正月を迎えたいとする方々で賑わいます。
 京都錦市場商店街振興組合では、このようにお客様から支持をいただく錦市場の伝統を継承するため、様々な取り組みを行っています。代表的なものが、平成17年に京都市の姉妹都市イタリアのフィレンツェにあるサンロレンツォ市場から関係者を招いて行った活動です。これら多くの活動を受け父が祖父に続き今年勲章を受章したことは、大変名誉なことだと思います。
 また錦市場で商いを営む私たちが敬意を表して止まないのが、今年生誕300年を迎えた錦市場中興の祖、伊藤若冲です。錦市場の青果問屋「桝屋」に生まれた若冲が帯屋町の町年寄りであった当時、錦の青物問屋が営業停止を言い渡される事態に陥りました。すると若冲は、請願運動を起こすばかりか、江戸幕府への直訴も辞さない覚悟で交渉に臨み、まさに命がけで市場を再開に導きました。絵師としてだけでなく、こうした一面があったことも近年明らかになっています。このように錦市場を命がけで守って来られた先人たちの想い、残してくださった食文化を守り伝えていくのが、我々の使命だと考えています。
 その考えに基づき行うのが、平成15年から京都市の応援で行う「錦にぎわいプロジェクト」です。中でも、昨年NPO法人京都文化協会との提携で開始した「京町家 錦上ル」での事業では〝人通りが増えても買い物をしてもらわなければ賑わいにならない〟という視点から、錦市場公認のイートインとして購入した食品をプロの手で盛りつけるサービスや、伝統文化体験などを実施しています。事業開始2年目の今年、取引量が昨年の3倍に成長するなど、着実にファンを増やしています。
 「錦にぎわいプロジェクト」では他にも、「テナントミックス事業」として〝錦らしさ〟に共感する出店希望者への物件紹介、「京の台所錦」の商標登録などを展開しています。また最近では、体験型学習の一環として小学生が各店を訪れるケースも多く、漬物はもちろんのこと、錦市場を身近に感じてもらえるような活動を進めています。現在公開中の映画「古都」のロケ地に選ばれるなど改めて注目される錦市場ですが、今後とも〝錦らしさ〟を大切に、時代に流されないような町づくりをしていきたいと思います。
 当社では、こうした観点から、構想4年を掛け今年2月に「錦 若冲漬」を発売しました。開発にあたっては、伝統を踏まえつつ現代風のアレンジを加えることを重視しました。まず行ったのは、若冲の時代に食べられていた野菜・調味料を調べることです。その上で室町時代から続く伝統調味料「煎酒」(純米酒にしそ漬梅干・鰹節・昆布を加えて煮詰めたもの)を製造することに決めました。煮詰める作業だけで2時間以上かかるため量産は難しいものの、野菜本来の旨味を味わうことが出来る大変優れた調味料です。漬け込む野菜に関しては、若冲の作品にゆかりのあるものを選び、平安時代から食べられているしば漬、江戸時代から親しまれているすぐきなど全7種類を販売しています。
 販売は直売店限定ですが、大変好評で、生産が追い付かないような状況です。若冲展を見に来られた方がお土産として購入していただくケースも多いと思います。アメリカ人の若冲コレクターであるジョー・プライス氏の家庭では、ソース代わりに野菜にかけて味わっていただくなど、お客様からの提案もいただいています。漬物の素晴らしさ・味を伝えるためにも、こうした食べ方の提案を大切にしたいと思います。
 京都の町は、家の間口が狭く奥に長いことから〝うなぎの寝床〟とも言われています。当社も同様で、長年店の奥で製造し前で販売するという形態をとって来ました。常にお客様の声に耳を傾け、今後も伝統を守りながら、時代に応じた漬物作りをして行きたいと考えています。
◇     ◇
 創作漬物「錦 若冲漬」のラインナップは、胡瓜、すぐき菜、赤しそ、ごぼう、菜の花(1月上旬より発売)、大根、壬生菜、かぶら(11月上旬より発売)の計7種類となる。伝統調味料「煎酒」は、江戸時代の食文化を支えた存在でもあり、自然な旨味やさっぱりとした酸味が特徴。そのコク深さが、すぐき菜の酸味、壬生菜の爽やかな辛味といった野菜の風味を存分に引き立てている。どこか懐かしさを覚えるような優しい味わいの「錦 若冲漬」。江戸時代中期、伊藤若冲の生きた時代に想いを馳せながらじっくりと楽しみたい商品だ。
(門馬悠介)
【2016(平成28)年12月26日第4872号11面】

 
株式会社桝俉 http://www.masugo.co.jp/
   
トップに聞く 大阪府漬物事業協同組合 特産品部会長 林野 雅史氏

大阪の特産野菜揃う
漬物として次世代の宝に
 ――2016(平成28)年10月21日に和歌山で開催された全漬連青年部全国大会漬物品評会で天満菜本漬が一位に輝きました。業界有志による復活への取り組みという活動が、大阪業界挙げての取り組みとなり、特産品部会として大きな成功を納められました。
 春夏の水なす、毛馬胡瓜、玉造黒門越瓜、秋冬の天王寺かぶら、田辺大根、そして、待望の菜漬である天満菜と根菜、菜っ葉、成り物と大阪独自の漬物野菜が揃い踏みとなりましたが。
 林野部会長(以下、敬称略) 大阪漬物業界の宝として守って行かなければならないことを痛感しています。
 ――これら野菜を振興させるためには農家対策が重要となりますが。
 林野 60~70歳を親に持つ農家の子弟は変わりつつあります。所謂、義理・人情だけでなく自分なりに経営観を確り持ち、唯、反収を上げることに汲々する事よりも社会参画や消費者、加工業者と繋がることに意義を感じています。
 ――そのような農家にどのように対応しますか。
 林野 中核となる30~40代の農家にはベースとなる収入と共に舞台を作って挙げることが大事です。原料を買い支える事と共にイベントへの参加を求めることも一案です。「水なすの日」の食育の場に招待するといった取り組みを通じ実現したいと思います。自分たちが丹精込めて作った野菜の先には、漬物屋がいる実感を農家に持って貰えるように対外的にアピールすることで原料の供給態勢も維持できます。
 ――全国各地で水なす漬に力の入る時代です。大阪泉州特産水なす漬をどのように発展させますか。
 林野 大阪泉州産のブランドを更に強化しなければなりません。本物のブランディングで品質を高める等の手順づくりをしなければなりません。そして、付加価値を高める事です。幸い、泉州特産水なす漬は在来種です。他府県のものは、F1(一代交配)品種だけに大阪の在来種と比較すれば、中身は、変質しています。ご承知のようにF1は多収であることや作り易さを優先したものです。在来種は、この面では多少、趣を異にし、その土地の特性、所謂、気候、風土、地質、水の恵みを受け育まれたものが、永年の年月をかけ、その地に土着し、特産野菜として収斂したものが代々受け継がれているのです。泉州特産水なすも古くは江戸時代にある藩の殿様が種子を分けてあげたが、泉州以外の地では同じものは育たなかったとされています。このような逸話が残っているのも気候、風土の違うところでは、泉州特産水なすの特性は、発揮されないことを意味しています。我々は、この恵まれた気候、風土を大切にしなければなりません。その他にも例えば発酵や地域特産のかぶらをテーマとしたサミットの開催を図り、お互いに意識を高め合い、前進することも必要でしょう。
 ――このところ微生物やウイルスなどによる食中毒が色々な食品で問題となり、事故も発生しています。漬物においても身近な問題となって来ました。もし、何か起きれば、業界の根幹を揺るがしかねない状況が指摘される時代です。対処法は。
 林野 2020年の東京五輪、パラリンピック等、海外から多くのお客様をお迎えするインバウンドが現状の倍程度が予想されます。これに向け、HACCPの義務化も見込まれます。漬物業界もこの流れに積極的に呼応してHACCP取得を目指すことが必要と思います。そして、業界の組織を強化して行かなければなりません。全漬連が進めている漬物製造管理士制度は業界の基盤強化のチャンスになると思います。
 ――最大の課題である需要の喚起への取り組みは。
 林野 漬物は塩との関係が深く、この塩のことがネックとなり、需要拡大のブレーキとなるケースも多い現状です。それだけに〝塩を味方〟につけることが必要です。スーパー等量販店のバイヤーにも、この辺りを論理的に説明できるよう業界で取り組むことが必要です。
 ――ありがとうございました。

【2016(平成28)年12月5日第4870号6面】

 
大阪府漬物事業協同組合のHPは→こちら
 
 
 

インタビュー 2016(平成28)年8月

インタビュー 2016(平成28)年8月
 
新社長に聞く 株式会社谷野 代表取締役社長 谷野 一朗氏

「面」営業で伸ばす
 水なす漬、他産地と区別を
 この度、新社長就任となった関西漬物流通の大手である株式会社谷野(大阪市東住吉区)の谷野一朗新社長にお話しを伺った。(藤澤泰隆)
◇     ◇
 ――新社長ご就任おめでとうございます。商都・大阪の流通を担う大阪市東部卸売市場に拠点を構えると共に、水なす漬の専門店「旬茄」を擁し、漬物流通で独自の歩みを続けておられますが、今後の方向を。
 谷野新社長(以下、敬称略で谷野) 日本は急激な人口減社会に入っており、マーケット自体のシュリンクも、避けがたい状況です。この流れは、食品の製造、流通にも大きな影響を与えています。中央卸売市場の食品の集散機能においても、必要性が問われる時代になっています。当社としては、漬物の流通を担う中で、如何に独自性を出し必要とされるか、また、十分な品揃えを行い「点」では無く「面」で攻めるという機能を高めることが出来るかどうかが、今後の鍵となると思っています。
 ――面で攻める内容は。
 谷野 簡単に言うと単品だけを運ぶという物流では成り立たないので、例えば、漬物・味噌・関連商材は、当社が棚の管理を一元的に行うということです。食品スーパーでの漬物・味噌・関連商材の売上の比率は、全体の約3~5%(業態、規模、立地で変化)といわれています。この数字の全てに当社が責任を持って、メーカー、問屋、売場、そして最終消費者様が、笑顔になれる流通を実現したいのです。
 ――そのためには、何が必要ですか。
 谷野 地域密着とキメ細かいフォロー営業です。現状を維持しながら更に強化していきます。運送業者の様ないわゆる「置き配」ではなく、信頼を得て売場を任せてもらうだけの提案力と情報力、配送力が欠かせません。それには、当然一定のボリュームも重要になってきます。
 ――漬物問屋業と共に力を入れる分野は。
 谷野 大阪泉州特産、水なす漬の市場の深掘りです。全国から注目され、引き合いの多い水なす漬ですが、関東周辺、北陸方面などで、その土地の原料を使った「水なす」に似た茄子が相当な勢いで出回っているなと感じています。今後、大阪の原料を使った水なす漬以外のものは、大阪産のものと明確に区別することを業界で申し合わせるなど地道な努力も必要かもしれません。漬物業界には、先人が色々な苦難を乗り越えて、特産化した商品も少なくありません。それを維持し、守っていくことも次世代の重要な責務になってくると思います。勿論、我々、大阪の水なす漬メーカーも全国に供給することを通じて、消費者に本場物の良さを味わって頂く真摯な努力は、欠かせないと思います。
 ――深掘りすればまだ、市場は、拡大しそうですね。
 谷野 需要は間違いなくシュリンクしていくので、食育、和食の世界文化遺産登録などの追い風に乗れるように市場の拡大策を次々と打ち出して行かなければならない大切な時期だと思います。
 ――貴重なお話を有難うございました。
【2016(平成28)年8月29日第4858号2面】

 
株式会社谷野「旬茄」 http://syunka.com/index.php

 
 

インタビュー 2016(平成28)年7月

インタビュー 2016(平成28)年7月
 
トップに聞く 東海漬物株式会社 代表取締役社長 永井 英朗氏
健康性や機能性を切り口に
本漬、キムチ、浅漬の3本柱で
 2015(平成27)年11月に社長に就任した東海漬物株式会社(永井英朗社長、本社=愛知県豊橋市)の永井氏にインタビュー。キムチと浅漬の動向や今後の展望、中・長期的な戦略などについて話を聞いた。(千葉友寛)
◇    ◇
 ――キムチの動向は。
 「大勢がはっきりしてきたと言いますか、地域性のある商品もありますが、4強、5強の時代になってきたと思います。キムチ市場も下げ止まった感がありますが、その中で生き残りをかけた戦いをしていかなければなりません。キムチは漬物の中でも特に嗜好性が強いと言われておりますが、いまの売場にある商品の味は違いがはっきりしています。味で言えば甘めのキムチの方が多くなっていると思いますが、こくと旨味が特徴の『こくうまキムチ』を発売した当初、甘いと言われていました。しかし、今では辛い、と言われます。味の嗜好が変化してきているということでもあると思います」
 ――キムチが支持される理由は。
 「そのまま食べることはもちろん、調味料や料理素材として使用できるため、裾野が広いことが特徴だと思います。炒めたり煮たりしても良いですし、本当に何にでも合う多様性がある商品です。『いつも冷蔵庫にあります』と言っていただけるお客様もいらっしゃり、特売の時に2、3個と購入していただくケースもあります。ある商品が売れると似た味の商品が出てきますが、『こくうまキムチ』は真似ができないように素材や味にこだわって製造しています」
 ――生き残るための手段や方法として考えていることは。
 「健康性や機能性を兼ね備えた商品の開発を考えています。現在、漬物で機能性をPRして成功した商品の事例はあまりなく、今は漬物でそういった商品は求められていないのかもしれません。しかし、新しい切り口で提案し、それがお客様に付加価値として認めていただけるようになれば可能性はあると思っています。機能性表示については既存品と新商品のどちらで打ち出していくのか、どういうブランド戦略でPRしていくのかなど難しい部分もあります。ベースはあくまでも『こくうまキムチ』です。新商品で市場のシェアを確保できるとは思っておりませんが、誰もが体にいい食品を摂取して健康になりたいと思っています。そこにどうアプローチしていくのか、ということを考えて挑戦していきたいと思います」
 ――5月に稼働した守谷工場について。
 「2016(平成28)年5月から稼働し、6月から『おいしいぬか漬だいこん』の製造をスタートして7月からカップの浅漬製品を供給しています。守谷工場は『こくうまキムチ』の生産キャパがいっぱいだったこともあり、関東の製造拠点として竣工しました。7月と8月は準備期間として、『こくうまキムチ』は日産1万パックを基本に製造する予定です。あとは浅漬を首都圏と仙台くらいまでカバーしていきたいと思いますが、ここ数カ月の動きを見ると簡単にはいかない、というのが正直なところです」
 ――浅漬製造の現状は。
 「弊社はこれまで浅漬を製造していませんでしたが、2014年にリニューアルした彦根工場では、2年半の取組みでようやく軌道に乗ってきました。今後も彦根工場をしっかり整備して、守谷工場が順調に稼働すれば、浅漬けによる全国展開をしていきたいと思いますが、まだそこまではいってない状況です。将来的には拡大していきたいと思っていますが、拡大するに当たっての課題として原料があります。どうやって季節感を打ち出していくかということが重要で、通年で同じ商品を製造することは考えていません」
 ――浅漬をはじめとする漬物の展望は。
 「漬物の需要については日本の構造的な問題からも伸びることは考えにくいと思います。人口の減少と比較すると、漬物の需要が減る方が落ち幅は大きくなることが予想されますが、そこで重要なのが生き残れる会社になれるか、どうかということです。伸びている市場を見ると上位企業に集中していて、漬物業界もそのような流れになっていくのかと思います。浅漬に近い存在としてはサラダがありますが、浅漬をサラダに近づけてもサラダには勝てません。浅漬をサラダのように食べられる商品や工夫を提案していく必要があると思います」
 ――今期の業績と中・長期的な戦略について。
 「弊社は8月末決算ですが、今のところは順調で、年間計画並びに前年実績をクリアできると思います。要因の一つは『きゅうりのキューちゃん』で、昨年1月に『マツコの知らない世界』で商品が登場したのですが、その影響が1年くらい続きました。今年の1月、2月は前年割れしてしまいましたが、3月は前年をクリアし、4月以降もトントンの状態が続いていて好調に推移しています。中・長期的な戦略についてですが、会社の基盤は、きゅうりのキューちゃん、沢庵、福神漬などで構成される本漬で、その他にキムチと浅漬、ぬか床、ぬか関連製品があります。今後は惣菜といったおかずの方向にいくのか、サラダの方にいくのか、今後の方向性を見定めているところで、少しずつ手を打っていきたいと思っています。浅漬については売上の柱にしたいと思っており、本漬を基盤にキムチと浅漬の3本柱で展開していきたいと思っています」
【2016(平成28)年7月11日第4853号1面】
 
東海漬物株式会社 http://www.kyuchan.co.jp/

 
 
 

インタビュー 2016(平成28)年1月

インタビュー 2016(平成28)年1月
 
トップに聞く 株式会社野村佃煮 代表取締役社長 野村 啓介氏

「嵐山ちりん」が好調
新たなちりめんの魅力発信
 株式会社野村佃煮(京都府宇治市)が展開するちりめん専門店「嵐山ちりん」が人気だ。平成26年4月にオープン、二年目となった今期はここまで初年度の1・5倍の売上で推移している。同社の野村啓介社長に出店に至った経緯やコンセプトなどについて聞いた。(藤井大碁)
 ――出店の経緯は
 〝老舗が新しいことにチャレンジする”というテーマで出店のお話を頂いたのがきっかけです。それならば、京みやげとしても知名度が高く、弊社の売上でも大きな割合を占める”ちりめん山椒〟に特化した専門店をつくろう、ということで出店に至りました。
 ――コンセプトは
 メインターゲットは20~30代の女性で、佃煮を若い人にも食べてもらいたいという思いから、味付けやパッケージに工夫を凝らしました。味付けは多数の候補の中から美味しさや品質の観点で絞り込み、シンプルなちりめん山椒からハバネロ風味まで、現在は16種類を展開しています。パッケージも佃煮の枠を超え、ポップで明るいデザインにしています。
 ――「ちりん」のネーミングについて
 【ちりめん大好き=ちりめんに目がない】ということで、〝ちりめん”から”め〟を抜き「ちりん」としたのが主な理由です。そうした遊び心や感性を大切にすることが、若い人からの支持にもつながっていくと思います。
 ――今後について
 京都に来たら、八ツ橋と漬物、それに加えてちりめん山椒も買って帰ろうと思ってもらえるよう努力していきます。「ちりん」では、新たな味付けも随時開発しながら新しいちりめんの魅力を発信していきます。
◆    ◆
トマトバジルも人気
 「嵐山ちりん」の工藤令子店長によると、売れ筋ベスト5は、1位「ちりめん山椒」、2位「はんなりちりめん」、3位「ちりんちりめん」、4位「トマトバジル」、5位「黒胡椒」となっている。
 2位の「はんなりちりめん」は甘さを抑えた山椒の風味が際立つちりめん、3位の「ちりんちりめん」は店舗内で炊き上げた浅炊きのちりめん山椒。4位「トマトバジル」はドライトマト、ガーリック、バジルが効いたイタリアンテイストのちりめん。パスタやトースト、サラダにもピッタリな味わいに仕上がっている。5位「黒胡椒」もピリッと黒胡椒が効いたパンチのある味わいが料理のアクセントにもなると人気だ。
【2016(平成28)年1月25日第4833号5面】

 

株式会社野村佃煮 http://www.nomuratsukudani.com/

   
新社長に聞く ヤマモト食品株式会社 代表取締役社長 山本 浩平氏
『ねぶた漬』『ダイヤ漬』が人気
青森の味を全国に
 ヤマモト食品株式会社(本社=青森県青森市)は青森県の特産品である『ねぶた漬(R)』・『ダイヤ漬』をはじめ、『ねぶた松前漬』や『たらこ醤油漬』などバラエティー豊かな商品を取り揃え、同県の伝統食を全国へ発信する老舗企業。創業80周年を迎え、平成26年11月に社長に就任した山本浩平氏にご自身の経歴、人気商品、今後の展望を伺った。
◇     ◇
 ――ご経歴は
 筑波大学大学院のシステム情報工学研究科に所属していました。卒業後は都内の人事系のコンサルティング会社に入社しました。26年2月に青森へ帰郷、11月より当社社長に就任し、現在に至ります。
 ――会社について
 昭和10年に曾祖父が魚屋を始めたのがきっかけです。戦時下には一時廃業しましたが、戦後再開し昆布巻きなどを製造していました。その後、祖父の代に粒子状の数の子と大根、きゅうり、スルメ、昆布を合わせた醤油漬『味よし』を作ったところから漬物製造がスタートしました。その後、現在の看板商品である「ねぶた漬」が発売され現在に至ります。厳しい時代もありましたが、それらを乗り越えて会社が引き継がれていることに感謝しています。
 ――人気商品は
 『ねぶた漬』が人気です。秘伝の醤油味で漬け込んだ海の幸(数の子・スルメ・昆布)と山の幸(大根・キュウリ)を同時に味わえる贅沢な逸品で、青森の味として県内の皆様を中心に親しんでいただいております。このほか厳選した数の子に、粘りのある昆布とスルメをまぶした『ダイヤ漬』も人気です。青森市内では年の瀬の食卓に加えて頂いております。
 ――今後の展望は
 『ねぶた漬』はじめ、弊社商品は250g入の箱物が売れていましたが、最近は個食化の影響もあってか食べきりサイズのパック包装の方に売れ筋がシフトしています。課題としましては、お客様へのおいしい食べ方の提案が挙げられます。そのため、当社商品を使ったレシピを研究・収集し、ホームページなどで公開しています。販売面では時代に則した販促ツールの導入など、トータルソリューションを行い、当社自慢の青森の味を全国の方々に食して頂けるよう努めてまいります。
【2016(平成28)年1月1日第4830号11面掲載】
 
ヤマモト食品株式会社 http://www.yamamoto-foods.co.jp/
 

※注:(R)は登録商標マークです。Ⓡ(Rの丸囲み文字)は、スマホ等では表示されない場合もありますので、当HPでは(R)で表記しています。

 

 

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