長谷川醸造株式会社(山梨県)「甲州産小梅」

山梨県産小梅の特徴
イチ押し商品
【お菓子・おつまみ売場】
山梨県産の小梅を使用した、お菓子・おつまみ売場にイチ押しの商品が「甲州産小梅」とその姉妹品「梅干しと昆布」だ。どちらもチャック付きの袋入で常温保存可能なため、CVSやSMでの導入が広がっている。
「甲州産小梅」は甘味料や糖などの甘みを加えず、さっぱりとした味付けながら、梅本来のすっぱさを楽しめるカリカリ小梅。スポーツやレジャー中の熱中症対策としても便利だ。無着色で、袋の小窓から見える緑色の梅の実が爽やかな味を思い起こさせ、食欲をそそる。
「梅干しと昆布」は、小梅と北海道産昆布を乾燥させて、パリパリ食感のスナック状にしたもの。油を使わずに乾燥させているため風味がそのまま残り、梅干しの酸っぱさをしっかりと感じさせてくれる。そして昆布は一噛みするとパリっと砕け、口の中で次第に粘り気とともにうま味が出てくるという、新感覚のスナック。
※本品の販売者は東京の老舗乾物メーカー・株式会社川越屋の名義。長谷川醸造は製造者として併記される。
漬物売場向けの主力商品の一つが「信玄小梅ぼし昆布漬」である。塩分は12%。カップの底に北海道産昆布を敷いて、昆布のうま味を足しつつ梅の酸味を和らげた。
もう一つの人気商品である「昔ながらの小梅ぼし」は、地元山梨や東京など多くのスーパーで定番商品となっている。〝昔ながら〟とうたうように、塩分は15%と高めだが、本物志向の高まりから、着実に売り上げを伸ばしている。しその風味を加えた「昔ながらの小梅ぼし(しそ漬)」も人気で、賞味期限はいずれも6カ月。
梅干市場は、はちみつ梅など低塩タイプの商品が主流となっているが、同社ではその昔ながらの梅干にこだわり、山梨県特産の甲州小梅で商品化を図っている。
お米と梅をセットにした「梅の炊き込みご飯」は、炊飯器で炊くだけで本格的な梅ご飯を作ることができる。刻んだカリカリ梅を入れ、さっぱりと仕上げた。程よい酸味と梅の香りが食欲をそそる。種類は「梅と椎茸炊き込みご飯」と「梅とくらかけ豆の炊き込みご飯」。
「梅の早炊き味ご飯」は、特殊加工した国産米と乾燥野菜、刻んだカリカリ梅をブレンド。ガスや電子レンジで10分程度炊くだけで本格的な梅ご飯ができる。種類は「早炊き梅かぼちゃご飯」と「早炊き梅じゃがご飯」。
洋風の商品もある。「梅シロップ」は、果肉が入った梅シロップで、かき氷、梅ジュース、焼酎で割ると梅酒になる。パンケーキやホットケーキにかけるのもオススメだ。内容量は120gで賞味期限は12カ月。
「練り梅のオイル漬け」は、山梨県産梅に香辛料を加え、オリーブオイルと混合した。これまでにない練り梅で、鶏肉・豚肉・牛肉のソース、生野菜、温野菜、パンに付けるなど、アレンジも色々。スパゲッティの味付けに使えば梅スパゲッティができる。内容量は180gで賞味期限は12カ月。
甲州小梅干ができるまで

小梅を収獲
完熟した小梅を収穫します。カリカリ用の場合は梅が熟しきる前に若もぎします。

洗浄・選果
収穫した梅をすぐに水で洗浄した後、果径18mmを基準に選果します。

塩漬け
小梅を大量の塩で塩漬にします。

天日干し
自社敷地内にあるハウスで天日干しにします。小梅が均等に干し上がるよう、毎朝ざるを揺する作業が欠かせません。

塩慣れ
干し上がった小梅を3ヶ月間樽の中で熟成。塩角が和らぎ、まろやかな酸味が生まれます。

検査・包装・出荷
完成した小梅干は厳密な検査を経てから包装し、出荷されます。
記者の“ココがイチ押し!”
カリカリした食感と酸っぱさが心地よく、ついつい2個、3個と食べてしまう「甲州産小梅」。せっかくのチャック付き袋なのに、一気に食べきってしまいそうな美味しさです。暑い時期、カバンに忍ばせておけばクエン酸補給、塩分補給ができる強い味方になってくれます。
(担当記者:小林悟空)
企業紹介

明治39年3月より醤油製造業としてスタートして以来、110年以上の歴史をもつ長谷川醸造。甲州小梅の漬物製造を始めたのは昭和35年から。現在はこの2つが二大柱となって、だしつゆ、金山寺味噌、漬物各種と時代の変化に対応した食品製造を目指している。
特に山梨の特産である「甲州小梅干し」は主力として「地域の小梅生産者とともに生きる」を信念に、特産農産物振興の一翼を担う。
公式オンラインストア →こちらから
企業情報
会社 | 長谷川醸造株式会社 |
代表 | 代表取締役 長谷川 正一郎 |
創業 | 明治39年(1906年) |
業務内容 | 甲州小梅ぼし、醤油、だしつゆの製造・販売 |
住所(本社) | 〒400-0332 山梨県南アルプス市鏡中條3481 |
電話(代表) | 055-282-1516 |
FAX | 055-282-1704 |
ホームページ | https://www.umeume.co.jp/ |
メール | info@umeume.co.jp |
地図
同社では2019年に新ブランド「梅の楽園」を立ち上げ、甲州小梅を中心とした梅の加工品を多角的に展開。全ての商品が梅の赤色を基調とした色鮮やかで女性の目を引くスタイリッシュなデザインとなっており、お土産や贈り物に最適だ。
コロナ禍では積極的な商品提案を行うことができなかったが、コロナの落ち着きとともに小売店、土産店、セレクトショップなど、少しずつ販路が拡大してきている。
お米と梅をセットにした「梅の炊き込みご飯」は、炊飯器で炊くだけで本格的な梅ご飯を作ることができる。刻んだカリカリ梅を入れ、さっぱりと仕上げた。程よい酸味と梅の香りが食欲をそそる。種類は「梅と椎茸炊き込みご飯」と「梅とくらかけ豆の炊き込みご飯」。
「梅の早炊き味ご飯」は、特殊加工した国産米と乾燥野菜、刻んだカリカリ梅をブレンド。ガスや電子レンジで10分程度炊くだけで本格的な梅ご飯ができる。アイテムは「早炊き梅かぼちゃご飯」と「早炊き梅じゃがご飯」。
長谷川社長は小梅の加工品について、「小梅の生産量が減ればメーカーの出荷量も減って、売上も減ってしまう。しかし、梅を使用した加工品を製造すれば、梅そのものを販売するよりも少ない量で商品を作ることができる。小梅生産量の減少が懸念される中、将来に向けて安心感が出てきた。『炊き込みご飯』のシリーズは、これまで提案していたレシピを形にして販売する商品で、新しい売り方として期待している」と語った。
【2023(令和5)年7月21日第5135号2面】
健康情報『甲州小梅の健康機能性』ー甲州小梅に見出すアンチエイジング効果
【名取氏講演要旨】今回の研究では山梨県で栽培されている甲州小梅に多く含まれる特殊成分ポリフェノールに注目し、アンチエイジング効果に関する研究を行った。
甲州小梅より成分を抽出した液を線虫にかけたところ、老化マーカー分子の蓄積の減少や延命効果が確認された。線虫の平均寿命は23日だが、抽出液をかけた線虫の平均寿命は26日と1割伸びた。甲州小梅抽出液に有意な寿命延長効果が認められ、アンチエイジング効果を期待することができる、とした。
また、甲州小梅に由来するウメリグナン類に骨粗鬆症予防効果がある可能性が示された他、線虫を用いた神経変性疾患予防試験の結果、アルツハイマー病予防効果、食品成分による記憶・学習力向上効果、パーキンソン病予防効果ができることが分かった、と指摘した。
理事長に聞く
山梨県漬物協同組合 理事長 長谷川正一郎氏(長谷川醸造株式会社 社長)
大事に販売していく1年
◇ ◇
‐原料状況は。
「昨年の作柄は開花期に気温の乱高下や降雪があり、着果率が少なかった。そして収穫直前の降雹と低温の影響が大きく、全体的には6割作という凶作となった。小梅は長野県や群馬県でも生産されているが、どこの産地も大きな被害を受け、場所によっては壊滅的な被害が発生したところもある」
‐原料価格について。
「カリカリ梅用の価格は1割以上上がった。山梨県では生産者と加工業者の信頼関係が構築されており、産地ごとに原料の供給ルートが確立されている。我々は毎年わずかでも原料を高く買い上げる努力をしている。それは豊作の時も同じで、収入の安定化を目指している。昔から両者が助け合ってきた経緯があり、これまでは生産量の振れ幅ほど価格の変動がなかった。しかし、今年は原料が全く入らず、他県の業者が高値でも原料を購入しようとする流れもあったが、原料の絶対量が足りないため、どこのメーカーも予定数量を漬け込むことはできていないようだ」
‐販売状況は。
「昨夏は冷夏だったこともあり、猛暑で好調に売れた一昨年の夏と比べると売れ行きは大きく下回っている。値上げも実施して出荷数が減少している分、原料の使用量も減って助かっている部分もあるが、今年の新物が入ってくるまで原料をつなげることは難しい状況となっていることに加え、売上も落ちている。当社は豊作だった一昨年に漬け込みを増やしたこともあり、原料が切れる心配はないものの、限られた原料を大事に販売していく年になっている」
‐甲州小梅の魅力は。
「山梨県の小梅の生産量は全国一を誇り、製品の出荷量も全国第1位。質、量ともに山梨県が自慢できる特産品の一つだが、残念なことに県民をはじめ全国的にもあまり知られていない。今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されるので、日本のみならず世界の人に甲州小梅の魅力を知っていただく活動をしたいと思っている」
‐今後の活動について。
「一昨年1月の山梨漬協の新春賀詞交歓会で山梨学院大の名取貴光先生に講演していただき、アンチエイジング効果や認知症の予防効果など甲州小梅の健康機能性についての研究発表を行っていただいた。付加価値の要素となる特産品や健康機能性をPRしていくことが重要だ。2月1日に甲府市で開催された食育シンポジウム&ワークショップ『未来につなげたい食文化~おいしい発酵食生活で健康長寿~化』に参加した。同イベントは山梨県食品産業協議会の主催で、料理家の真藤舞衣子さんとパネルディスカッションを行った。今後はワイン業界などの他業種、行政、大学、研究機関と連携して甲州小梅の付加価値を高めていきたいと考えている」