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「梅」業界活動 2020

全漬連 梅委員会

Web会議の参加者
コロナ対策でWeb会議 19名が参加
需要期も深刻な原料不足
全日本漬物協同組合連合会(野﨑伸一会長)は5日、梅委員会(河島歳明担当副会長、中田吉昭委員長)をWeb形式で開催。新型コロナウイルスの感染拡大防止のためで、日本漬物産業同友会(宮前有一郎会長)のメンバー4名を含む19名が参加した。今年の作柄は全国的に悪く、紀州南高梅は半作という過去にない厳しい状況となっている他、群馬、山梨、長野は平年の3~4割減と2年連続の凶作。長梅雨などの影響もありコロナ禍における需要の増加は見られなかったが、梅雨明け後は全国的に気温が上昇。特需が発生した2年前と同じように熱中症対策のアイテムとして需要の増加が見込まれるが、原料不安が拭い切れず、積極的な販売はできない状況だ。生梅価格の上昇などに伴う原料価格の高騰、生産者の高齢化や後継者不足はより深刻な問題となっており、ブランドを守りながら限られた原料を大事に販売する1年になりそうだ。
◇ ◇
司会を務めた中田委員長は、「本日は新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、Web環境での委員会として開催させていただく。長かった梅雨も明けて猛暑の季節になっている。例年、6月に漬けた梅を干し始める時期に東京に集まるのだが、今年はズームミーティングの形で開催する。これも新型コロナ時代の新しい活動スタイルだと思う。梅製品の出荷も最盛期に入っている。各地の作柄、相場、売れ行き、原料状況など、情報交換の場とさせていただきたい」と挨拶し、議事を進行した。
【①製品(国内産及び海外産)の販売状況について】
《群馬》5月、6月は良かったが、7月は天候も悪く、落ち込んだ。関東は8月になって暑くなってきたので、今後の動きに期待している。ただ、お盆前の注文の後が心配。
梅干の土産関係はダウン。量販店はそこまで落ち込んでいないが、梅雨時期が長かったので売れ行きは停滞している。巣ごもり需要の増加で売れると思っていたが、天候が悪かったためか伸びなかった。冠婚葬祭向けについては大きなダウンにはなっていない。
《東京》
一昨年は良かったが、昨年は悪かった。コロナ下においては売れると見ていたが、昨年の9割程度に留まっている。業務用の動きは悪い。8月以降、暑くなっていくので売れていくと見ている。ただ、国産は作柄が悪いので、欠品にならないように価格改定は避けられないだろう。
《山梨》
業務用は2、3割落ちていて、土産はゼロに近い数字となっている。量販は5~10%落ちている。
《和歌山・みなべ》
前年割れの状態が今も続いている。国内、海外ともに10~15%ダウンしている。通販は巣ごもり消費の影響で、全般的にアップしている。
土産関係は店が休んだこともあり売上は大幅に下がっている。団体旅行もないので、その需要もなく、個人旅行も完全に戻ってきていない。前年比で2~3割。
《和歌山・田辺》
観光、土産品関係については、人の動きがなかった4月~6月はゼロに近い。7月と8月は少し戻ったが、元のように戻る兆しはまだ見えない。通販は全体的に良かった。
《栃木》
業務用は3月から落ち込み、市販用も含めると3割減となった。観光関係、飲食店が休業や時短営業となっていた影響が大きい。
天日干しされる梅(和歌山県田辺市)
生産維持へ施策を検討  全国的な原料不足が浮き彫りに
 
【②国内産の作柄と漬込状況について、国内産原料の在庫状況と見通しについて】
《群馬》

花の時期が終わって平年作と見ていたが、実際の作柄は悪かった。昨年は雹による大きな被害があったのだが、今年も主要産地の榛名で雹害が発生した。かりかり梅に使用する青梅は5月中旬からスタートし、6月中旬まで入荷した。雹害があった昨年と比べるとA品は増えているものの、全体の作柄は平年の3、4割減。価格も上昇した。
全農群馬の数字を見ると、全体で1350t、全農群馬経由で出ている量は6月末時点で前年比121%、単価はキロ523円で同137%。白加賀の数量は同281%だが、平年比で見ると1~2割減、価格はキロ525円で前年比110%。昨年の470円は群馬における過去最高額だったのだが、今年は55円アップしている。
かりかり梅原料については、豊作の年はJAに600t入るのだが、今年は320tだった。昨年が雹害で足りない状況だったので、各社購入意欲は強かったのだが、どの業者も必要量を購入することができなかった。東北の梅を購入する動きもあり、価格が上がっている。
《山梨・長野》
山梨は平年の8割作、長野は平年の7割作。昨年も大不作だったが、おととしの在庫があった。しかし、今年は持越し在庫がない。1年間販売していく上では不安がある。昨年、業者によっては途中で品切れになったところもあり、今年も同じ状況になる。
4月下旬に山梨で会議した時は平年作が期待できるという話だった。しかし、5月は雨が少なく、気温も上がらなかったことから粒数はあるものの、実太りしなかった。価格は昨年と同額でスタートしたが、梅が出てこなかったので中盤から価格が上がり始め、長野では終盤に5割上がった。
2年連続の大不作で、業務用中心の小梅は品切れになるところもある。また、今年から業務用はやらないという声もある。値上げして弁当に入らなくなってしまう、という危機感がある。これ以上梅の生産を減らさないためにも販売価格を上げて仕入れ価格も上げていきたいと考えている。絶対量が減っているので、慢性的な原料不足は続くと見ている。新規に梅の木を植える人もいない。減る量をいかに遅らせられるかということがポイント。長野は減るスピードが速い。
《和歌山・みなべ》
暖冬で開花が10~14日早かった。気温が低く交配が進まず、着果も少なかった。収穫も2週間早く終わった。昨年は平年の9割作だったが、今年は半作から6割作。青果市場では青梅の引き合いが強く、市場に相当量が流れた。農家で漬けた量がどれだけあるのか不安。
《和歌山・田辺》
7月22日にJA紀南が発表した資料によると、今年の南高の開花期間は21日間と平年並みだったが、昨年12月から本年2月にかけて気温が高く、満開期は2月3日と平年より2週間早い開花状況となった。授粉樹との開花は若干ずれた程度だったが、満開期に平年を下回る気温となり、開会期間中の気象変動が大きく、収穫前の定点着果量調査では、着果量は前年・平年より少なかった。
出荷は小梅で5月15日、古城は5月19日、南高は5月28日から始まったが、当初からの着果不良と4月、5月の平年を下回る降水量により、実肥りは鈍化し例年になく少ない出荷量となった。7月22日時点の生産見込量は小梅が349tで平年比42%、古城が174tで同29%、南高が1万5053tで同68%、在来系が276tで同53%。
【③海外産の作柄と漬込状況について、海外産原料の在庫状況と見通しについて】
中国は暖冬で梅の開花が早かった。梅の木の休眠から開花までの期間が短く、養分を蓄えられず、受粉率が低下した。旧正月明け以降は気温が高く、毎日のように雨が降ったため、成熟が加速して収穫は例年より早いスタートとなった。
白紛梅は3月下旬から4月中旬に収穫、青竹梅は4月上旬から5月中旬の収穫となった。今シーズンの傾向として、産地によって収量、品質のばらつきが大きい。永泰県は大豊作となったが、他の産地は不作となった。詔安県はここ3年で一番数量が少なかった。中国の産地がやや北上していると感じている。
大粒傾向で2Lの割合が多く、価格は昨年より若干安い。輸出と国内需要の低迷によって価格の上昇は見られなかった。昨年は在庫調整のため漬け込み数量は減少したが、今年は昨年より増えた。
中国はコロナの影響もあり量販店の動きが悪く、2月から4月は2、3割減。ただ巣ごもり需要は増加傾向にあり、砂糖漬け加工梅食品などは徐々に数量が増えている。米国と中国の貿易問題については、梅への直接的な影響はないと見られるが、今後影響が出てくる可能性がある。
【④今後の取組み、産地の育成について】
《山梨》

産地の回復や量が増えることは考えられない。畑が道路になったり、宅地化も進んでいる。高齢化も進み、若い人はやらない。一番は買い取り価格を上げることだが、需要と供給のバランスがある。業者としては悩ましいところだ。
《群馬》
生産者の高齢化が進み、10年で100人減っているという話もある。産地を守るため、群馬の加工業者5社で「うめのわ」という団体を作り、ブランド力を高める活動をしている。末端のお客様に高く買っていただけないと私たちも高く購入できない。生産者も生活を守れるレベルの価格になれば若い人もやる、という話も聞いている。ブランド力を向上させるために色々な取組みを実施してきたが、今年は予定していた活動がコロナの影響でできていない。行政や生産者と話し合いの場を持ちながら産地のために業者として何ができるのか模索している。
Webで配信したり、メディアに発信していければ良いと考えている。ヨーロッパに販売している梅干が売れているので、梅のブランドを海外でもアピールしていきたい。
《和歌山・みなべ》
数年前に価格が安くなり、梅農家の後継者不足が問題となった。また世界的にハチが少なくなっていることもあり、昨年と今年は交配の問題があった。南高梅をベースにした自家受粉する品種の開発が必要なのかもしれない。品種改良は進んでいるが、どう普及させていくかということも課題。農家については外国人研修生を活用して農業振興していくことも一つの方法で、農業経営者になることを推奨している。
◆中田委員長
「産地では収穫期に人手が足りていない。漬け込みも自分たちでやれる量だけ行い、その他は生で出荷する流れ。全体の漬け込み量が減少していくことが懸念される。いかに人手を確保するか。耕作放棄地を若手の農業従事者に管理してもらうような施策が必要。農事法人化して農業をしながら人手を支援する農業サポートを行う事業者も出てきている。経営者として農地を管理して人を雇って量を確保する。今後はいかに減少を食い止めていくかということが重要になる。多くの農産物は人手と天候に大きく左右される。梅に限らず、漬物業界はこれから難しい時代に入って行く」
◆泰地武氏
「どこの産地も大変な状況。気候もおかしい。生産者の高齢化も進んでいる。原料は限られており、しっかり販売していくこと大事。1年通して販売するためにも安売りはできない。適正な価格で販売していくことが重要だ」
◆河島副会長
「このような時期なのでWebでの会議を実施することになったが、移動しなくてすむため全漬連でも導入していきたい。コロナの影響は色々な形で波及していると思うが、梅を食べたらコロナに効いた、という話が出てきたら需要が増える。皆さんが安心して原料を確保し、販売につなげられるように本日の情報交換を活用していただきたい」
【2020(令和2)年8月11日第5030号1、13面】
 

紀州田辺梅干協同組合

中田理事長
梅供養をする参列者
情報交換会
梅供養と情報交換会  凶作でブランド維持に危機感
【大阪支社】紀州田辺梅干協同組合(中田吉昭理事長)は7月21日、和歌山県田辺市下三栖の報恩寺(通称善光寺)において第55回梅供養を実施した。合わせて情報交換会、臨時総会も開催した。
梅供養では、今年も組合員や協賛企業、梅生産農家等の参列を得た。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、社会的距離を保った上での参列となったが、一同は丹精込めて仕上げた梅干を仏前に供えた。般若心経の唱和や焼香を行い、梅への感謝を捧げ、物故者供養並びに梅産業の一層の隆盛を合わせて祈願した。
梅供養の後は紀南文化会館に場所を移し、情報交換会を開催した。中田理事長は梅供養を振り返って改めて梅、先人の功績、農家や関係者らの協力に対し感謝の言葉を口にした上で「コロナ禍で大変な時代となった。梅も半作程と見られる厳しい状況だが、産地維持に全力を尽くしたい」と危機感を表した。
初めに、今年度の梅の収穫状況等についてJA紀南は「青梅出荷(メーカー漬)が増え流通経路が複雑になっているため把握は困難になってきている」と前置きした上で「一つの指標となる塩の出荷量は7150トンと、昨年の7割程度なのに加え、使い切れていない農家がほとんど。つまり、半作~6割作ということになる」と、凶作であることを強調した。
原因としては気候面に加え獣害や、樹の老化、園地ごとの灌水設備の差についても言及があり、農家育成の重要性が指摘された。
作柄は「青果出荷の時点では秀65%、優13.5%、良10.7%、外10.8%。サイズは4L=8%、3L=28・5%、2L=39・4%、L=19・4%、M=4%、S=0・7%。球数が少ない割には球太りが良くなかった」と分析した。
原料の在庫状況に議題が移ると、昨年も不作であり、不足感があるとの声が各社から上がった。市場ニーズに応える商品供給が出来なくなれば、売場が他産地産に置き換わり、ブランド維持に影響が出る恐れがあることから、産地一体となって安定供給に努める必要が説かれた。
中国産原料については9割作であったが、中国国内で販売が停滞していることや価格競争が起きていることから、原料価格は現状では下がっている。ただ、日本からの注文状況によっては変動する可能性があり予測は難しい。
売れ行きは量販店向けでは、新型コロナ第一波の間は健康イメージで販売増が期待されたものの、おにぎり・弁当用途が減り苦戦。7月に入ってからは昨年を上回るとの報告があった。中元商戦は立ち上がりが遅れたものの例年並みまで持ち直した。ネット通販は好調で新規顧客も増加した。
厳しい状況にあるのが業務筋。特に都市部でテレワークが継続され、コンビニおにぎり向けや外食店向けの出荷が低調。給食や病院食向けは緊急事態宣言が明け回復してきた。
情報交換終了後、臨時総会が開催され、次年度の役員改選の方法を協議。審議の結果、役員選考委員会による指名推選の方式が採用されることとなった。またPR委員会からは梅の卓上カレンダーを制作中であること、県と協力して行う「梅干で元気!!キャンペーン」の実施予定について報告を行った。
【2020(令和2)年8月1日第5029号1面】
 

梅議連総会

大島会長
二階幹事長
梅議連総会の会場
日本医師会の横倉会長(右)
日本看護連盟の大島会長(中)
医療団へ梅干を贈呈 秋に梅酒漬込み式挙行へ
梅産業の振興を目的とした「梅振興議員連盟」(大島理森会長)は3日、東京都千代田区の衆議院第一議員会館1階国際会議室にて第24回総会を開催した。コロナウイルス感染防止対策により、和歌山県みなべ町の小谷芳正町長、埼玉県越生町の新井雄啓町長、群馬県JAはぐくみはリモートでの参加となった。
門博文議員の司会進行でまず大島会長(衆議院議長)が挨拶に立ち、コロナウイルス対策で多忙を極めている議員と、ゲスト参加の公益社団法人日本医師会の横倉義武会長、日本看護連盟の大島敏子会長に対して労いの言葉をかけた後、「梅は東洋、日本の伝統的な産物で、多様に愛されてきた長い歴史がある。この生産の振興を一層図るため、諸先生方と力を合わせて努力して参りたい」と語った。
次に、同議連の二階俊博幹事長が挨拶に立ち、「コロナ対策で大変な中、梅が少しでも役に立てばと今日は心ばかり用意している。この気持ちを頑張っておられる医師、看護師にお伝えしたい」と語った。また、「毎年総会での恒例となっている梅酒漬込み式が今回は中止となっているが、秋頃に世の中が落ち着いたら漬込み式で集まれば良いのでは」と提言。会場から拍手を受け、門議員は「事務局と調整し、必ず実現させます」と述べた。
続いて日本医師会の横倉会長、日本看護連盟の大島会長に「感謝の梅」贈呈式が行われ、議連の大島会長と二階幹事長から、それぞれ感謝状と梅干一万粒の目録と箱が手渡された。
議事では農林水産省から前年度決議内容の対応状況についての説明がリモートを通じて行われる予定だったが、機器の不具合により書面での確認とした。続いて、門議員が8項目の決議案を読み上げて採択されたが、二階幹事長から「この決議に対しては、ひとつひとつ責任ある答えを出さねばならない」と提言があり、実現を追いかけていくことが確認された。
機器の調整時間を利用して出席した伊藤忠彦議員、小渕優子議員、大塚拓議員、金田勝年議員、髙木毅議員が、地元の〝梅〟への思いを込め、それぞれ一言ずつ所信を述べた。
次に産地別の取り組みについては、和歌山県みなべ町の小谷芳正町長、JA紀州の芝光洋組合長、埼玉県越生町の新井雄啓町長、群馬県JAはぐくみの担当者からそれぞれ、リモート画面を通じて製品開発の状況など、取り組みについて報告が行われた。
【2020(令和2)年6月8日第5023号2面】

紀州梅の会

梅漬神事に臨む九鬼宮司
中田理事長
京都を訪問した濱田団長(右から2人目)ら
6月6日は「梅の日」 各地で豊作と発展願い奉納
紀州梅の会(会長=真砂充敏田辺市町)は6月6日の「梅の日」に合わせて、全国各地で記念行事を開催した。
梅干部会の紀州田辺梅干協同組合(中田吉昭理事長)は、和歌山県田辺市にあり多くの参拝客を集める熊野本宮大社にて記念式典を開催し梅を奉納。また参道で一般参拝客に梅干を振る舞うなどPR活動も行った。
梅の日制定から15年目に当たる今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため規模を縮小して開催となったものの、梅生産者、梅干加工業者、関連業者、行政関連の関係者らが出席し、梅の恵に感謝すると共に梅産業の発展、そしてコロナ禍の収束を願った。
式典は祝詞奏上に続いて梅漬神事に入り、九鬼家隆宮司に続いて中田理事長を筆頭に、紀州梅の会各氏が梅漬の神事を執り行った。この梅漬はJA紀南が預かり、10月10日に梅干に仕上げて再び奉納する。
その後は御神楽奉納、玉串奉奠など一連の神事が終了した後は九鬼宮司と、主催者代表として中田理事長が挨拶を述べた。九鬼宮司は「熊野本宮は蘇りの地とされる。皆様の願いは、コロナ禍の収束に繋がるはず」と述べた。
次いで中田理事長は、梅の日制定は五穀豊穣と健康を願い京都の賀茂神社へ梅を奉納した故事に由来するとし「梅の豊作と梅産業の発展を祈願させていただくとともに、梅の力で皆様の健康に貢献できるよう祈願した。梅にはウイルスに負けない体作りに役立つ効果もある」と語った。
最後は一般参拝客へも梅ジュースを振る舞い、大谷喜則副理事長が乾杯発声して記念行事を終了した。
 
京都でも梅を奉納

京都市の上賀茂・下鴨神社への恒例の梅行列は中止となり、代表5人による京都の『献梅の儀』は午前11時に下鴨神社より始められ、上賀茂では午後に同様の形で執り行われた。同行事は2006年から毎年行われている。
下鴨神社では宮司の先導で本殿に拝し、新物の青梅10㎏と同神社象徴のカンアオイの植栽を献納。濱田洋団長始め、赤松宗典住職、田上雅春献梅司ほか2名を合わせて5名が梅干し部会を代表して参加した。
献梅の儀は紀州梅業界並びに関連産業の平穏無事、繁栄を祈願、厳粛裡に進められた。当日は土曜日だったが神社境内には例年のような人出はなく、静かな催しとなった。地元の人なのか「毎回6月と10月の梅の行列を見に来ている」というカメラ持参の人もいたが、「今年は止むを得ないですね」と境内を後にしていた。
参拝後、濱田団長は「今年の作柄が大変厳しい現況にあり、同時に販売先の一時休業やこれからの中元需要への対応など不透明なことが多い。それだけに例年に増して真摯に真剣にお願いをした」と今年のシーズンにかける思いを語っている。
【2020(令和2)年6月8日第5023号2面】
 
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紀州梅の会

収穫期を迎える南高梅(和歌山県田辺市)
6月6日は「梅の日」 梅の健康機能性に再注目
6月6日は「梅の日」。紀州梅の会は、平成18年に6月6日を「梅の日」と制定し、毎年賀茂神社、和歌山県の熊野本宮大社と須賀神社に無病息災と平穏を祈願して梅を献上。その他、東京大田市場での「和歌山の梅フェア」、総理大臣への梅贈呈等の記念行事を開催し、紀州梅の認知度とブランド力の向上を図っている。
今から460余年前(1545年)、雨が降らずに人々は困っていた。時の天皇は6月6日、京都の賀茂神社に梅を奉納して祈ったところ、雷鳴とともに雨が降り始め、五穀豊穣をもたらした。
人々はその天恵の雨を「梅雨」と呼び、梅に感謝するとともに災いや疫病を除き、福を招く梅を「梅法師」と呼んで贈り物にするようになったと言われている。
薬膳としても貴重な梅は、宮中での天皇や上司に贈り物として献上されていたことがお中元の原型とされている。これらの話が宮中の日記「御湯殿上の日記」に記されていたことから、その故事にちなんで6月6日を「梅の日」に制定した。
梅干は江戸時代に入ると庶民にも広まり、親しまれるようになった。現代も和食の伝統的な食材の一つとして多くの人に愛されている。
梅の健康機能性は昔から言い伝えられてきたが、近年は研究によって科学的に実証されるようになり、夏の熱中症対策のアイテムとして定着。猛暑になると供給に支障が出るほど夏の需要は商品の売れ行きも活発になる。
紀州梅効能研究会(殿畑雅敏会長)は、和歌山県立医科大学准教授の宇都宮洋才氏(医学博士)を中心とする研究グループと紀州梅干メーカー(4社)が参加し、共同研究を行うこととなった。
その結果、従来からの研究成果等を含め、梅リグナンのインフルエンザ予防・胃がん予防・糖尿病予防(血糖値上昇抑制作用)・食中毒予防・動脈硬化の抑制作用・血液浄化作用・抗酸化作用など様々な効能や健康効果を、科学的なデータに基づいて医学的に検証・解明。最新の研究で梅干の中にダイエット(脂肪燃焼効果)を期待できる成分(バニリン)が含まれていることを見出すと、テレビで取り上げられて話題となった。
また、再注目されているのがインフルエンザ予防効果。梅からインフルエンザウイルスの増殖を抑制する新規機能性化合物を発見し、今後、応用に向けた研究への発展が期待されている。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、梅によるウイルス増殖抑制効果は多くの視線が注がれる可能性がある。
広く知られることわざに「梅はその日の難逃れ」とある。数百年の時を超え、改めて梅の健康機能性が注目されている。
【2020(令和2)年5月25日第5022号1面】
 
紀州梅の会 →こちらから
 

3月9日号梅特集 梅の里観梅協会

咲き誇る梅林
みなべ町で梅まつり  暖冬で開花は10日以上早く
和歌山県みなべ町では梅の里観梅協会(片山清範会長)が主催する「第55回梅まつり並びに内中源蔵翁頌徳慰霊祭」が2月11日、小殿神社にて営まれ、参列者は先人の業績を讃えるとともに感謝を捧げた。今年は暖冬の影響で昨年より10~14日ほど梅の開花が早まり、この日はちょうど見頃の樹も多く多数の観梅客で賑わっていた。
内中源蔵翁とはこの地に梅畑を開いて、今日の梅産業の発展の礎を築いた人物。毎年2月11日に、その遺徳を讃える梅まつりが開催されている。翁が開いた梅林は、多くの人々がその遺志を継ぎ、今や名実ともに日本最大に成長し「一目百万、香り十里」と称されるまでに。2月から3月初旬の開花時期には梅林が一般開放され、国内外から多数の観光客が訪れる。
この地の梅林の特徴は、その殆どが食用種である点である。開園期間中には、紀州産梅を利用した料理を屋台で味わったり、「梅の種飛ばし大会」などのイベントも行われた。
小谷みなべ町長や坂本県議らが「当地域の基幹産業」と話す通り、紀州梅干は全国で知られるブランド梅干として無くてはならない存在となっている。毎年発表される経済産業省の工業統計調査野菜漬物の出荷金額において、和歌山県は不動の1位であることからも、紀州産梅干の市場価値の高さが窺える。
「第55回梅まつり並びに内中源蔵翁頌徳慰霊祭」では、このように観光・食品の両面から恵みをもたらす梅と先人たちへ、改めて感謝の心を思い出す機会となった。
【2020(令和2)年3月9日第5013号3面】
 
 
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