6月6日は「梅の日」 各地で豊作と発展願い奉納
紀州梅の会(会長=真砂充敏田辺市町)は6月6日の「梅の日」に合わせて、全国各地で記念行事を開催した。
梅干部会の紀州田辺梅干協同組合(中田吉昭理事長)は、和歌山県田辺市にあり多くの参拝客を集める熊野本宮大社にて記念式典を開催し梅を奉納。また参道で一般参拝客に梅干を振る舞うなどPR活動も行った。
梅の日制定から15年目に当たる今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため規模を縮小して開催となったものの、梅生産者、梅干加工業者、関連業者、行政関連の関係者らが出席し、梅の恵に感謝すると共に梅産業の発展、そしてコロナ禍の収束を願った。
式典は祝詞奏上に続いて梅漬神事に入り、九鬼家隆宮司に続いて中田理事長を筆頭に、紀州梅の会各氏が梅漬の神事を執り行った。この梅漬はJA紀南が預かり、10月10日に梅干に仕上げて再び奉納する。
その後は御神楽奉納、玉串奉奠など一連の神事が終了した後は九鬼宮司と、主催者代表として中田理事長が挨拶を述べた。九鬼宮司は「熊野本宮は蘇りの地とされる。皆様の願いは、コロナ禍の収束に繋がるはず」と述べた。
次いで中田理事長は、梅の日制定は五穀豊穣と健康を願い京都の賀茂神社へ梅を奉納した故事に由来するとし「梅の豊作と梅産業の発展を祈願させていただくとともに、梅の力で皆様の健康に貢献できるよう祈願した。梅にはウイルスに負けない体作りに役立つ効果もある」と語った。
最後は一般参拝客へも梅ジュースを振る舞い、大谷喜則副理事長が乾杯発声して記念行事を終了した。
京都でも梅を奉納
京都市の上賀茂・下鴨神社への恒例の梅行列は中止となり、代表5人による京都の『献梅の儀』は午前11時に下鴨神社より始められ、上賀茂では午後に同様の形で執り行われた。同行事は2006年から毎年行われている。
下鴨神社では宮司の先導で本殿に拝し、新物の青梅10㎏と同神社象徴のカンアオイの植栽を献納。濱田洋団長始め、赤松宗典住職、田上雅春献梅司ほか2名を合わせて5名が梅干し部会を代表して参加した。
献梅の儀は紀州梅業界並びに関連産業の平穏無事、繁栄を祈願、厳粛裡に進められた。当日は土曜日だったが神社境内には例年のような人出はなく、静かな催しとなった。地元の人なのか「毎回6月と10月の梅の行列を見に来ている」というカメラ持参の人もいたが、「今年は止むを得ないですね」と境内を後にしていた。
参拝後、濱田団長は「今年の作柄が大変厳しい現況にあり、同時に販売先の一時休業やこれからの中元需要への対応など不透明なことが多い。それだけに例年に増して真摯に真剣にお願いをした」と今年のシーズンにかける思いを語っている。
【2020(令和2)年6月8日第5023号2面】