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漬物研究同志会2024

<漬物研究同志会> 宮尾氏「常食量表示」提唱 家政大卒論生OGと漬物談義

前田副会長
宮尾名誉会長
吉川幹事
小林事務局長
 漬物研究同志会(近清剛会長)は16日、東京都中央区築地の築地食まちスタジオにて研修会を実施。事業報告、東京家政大学大学院客員教授で一般社団法人全国漬物検査協会会長でもある宮尾茂雄名誉会長による講演会、東京家政大学卒論生OGとの漬物談義、懇親会と、多くを学びながら、会の結束を強める一日となった。
 研修会は事務局の小林登氏が司会を務めて前田節明副会長が開会の挨拶を行い、「本日は宮尾先生の講演と東京家政大学卒論生OGとの漬物談義を行う。OGの方には我々の商品に対する率直な意見をいただけるので、参加者の皆さんは会社に持ち帰って今後の事業に活用していただきたい」と述べた。
 初参加の株式会社やまじょうの上西宗太社長と東京家政大学卒論生OG5名が紹介された後、事業報告として9月12日~16日に開催した台湾視察研修会、10月15日に行った女子会主催スタディツアー(滋賀視察研修会)、8月5日~29日に実施した夏期インターンシップ活動の報告が行われた。
 台湾視察研修会は腰塚美帆子氏がスライドを用いて報告を行い、問屋街の市場の視察、台湾の食文化体験などについて「台湾野菜の小さな白菜、ガガブタという水草、果物の生グァバなど初めての食材ばかりで、食材を見てその料理を食べるという、貴重な体験をさせていただいた」と感想を述べた。
 女子会主催スタディツアーは、吉川絵美子幹事が動画で同会会員であるやまじょうの工場、直営店、圃場見学などについて解説。「普段はあまり見せることがない工場の中を見せていただくなど、貴重な経験をさせていただいた。受け入れていただいた上西会長、上西社長をはじめ、本日も出席されている辰巳大輔部長を含む3名の方には1日案内をしていただき、大変感謝している」とお礼を述べた。
 引き続き吉川幹事が動画で夏期インターンシップ活動について、豊洲と築地の同社店舗の他、リモートで行った全7回の実習内容を報告。市場見学、漬物アレンジレシピ作成、POP制作、SNSでの情報発信、店舗における接客などのプログラムを説明した。吉川幹事は、「インターンシップの活動は今年で7年目となる。冬と夏の年2回実施し、これまで13回、計34名のインターンシップ生を受けれてきた。若い人に漬物を食べていただき、関心を持っていただくことが重要。草の根運動になるが、少しずつでも前進させていきたい。各企業においてもインターンシップの活用を検討していただければ幸いだ」とまとめた。
漬物研究同志会の研修会
東京家政大卒論生OGとの漬物談義
 続いて宮尾名誉会長が「江戸期の漬物」の演題で講演を行った。講演に先立ち、宮尾名誉会長は以前から提唱していた「漬物の栄養成分表示を常食量表示に」について説明を行い、野沢菜しょう油漬30gと調味梅干し1個の食塩相当量はともに0・6gで、食パン1枚(6切り)の0・7gより少ないことを指摘しした。
 その上で、「漬物の栄養成分は大半が100gでの表示となっているが、1回分食べる量とはかけ離れている。多くの漬物は30gくらいが常食量なので、栄養成分は大体3分の1くらいになる。常食量表示にすれば漬物の食塩相当量は1g未満。常食量表示の方が消費者にとっても分かりやすいし、消費者に適正な塩の摂取を理解してもらう上で有効な手段」と包材を変更するタイミングでの常食量表示変更を推奨した。
 講演では、江戸中期頃から色々な漬物の記録が出てくるようになり、江戸後期から河村屋(埼玉県大宮市)など漬物の専門店が出現し、レシピ本も出版されるようになった。天保7年(1836年)に出版された「四季漬物塩嘉言」には64種類の漬物の加工法が記載されており、これに記載されている千枚漬は紫蘇の葉を200~300枚重ねて漬けるものだった。この千枚漬はほぼ同様のものが現在も宮崎県の椎葉村で作られている。
 講演後、東京家政大学卒論生OGとの漬物談義が行われ、会員企業が提供した漬物20品を卒論生OGが試食し、商品のパッケージデザイン、漬物のサイズ、内容量、色、歯切れ、調味などを評価。それぞれの漬物の感想が述べられた。デザインやサイズについては、「食べ切りサイズで良い」、「カットしていて食べやすい」、「お土産に良い」、「見た目でイメージした通りの味だった」、「お皿に盛られたイメージ写真があった方が良い」、「パッケージの字が読めない」などの意見が出された。
 味については、「漬物とカレーの味が合わない」、「味が濃いので、カットの大きさを小さくした方が良い」、「色鮮やかで食感も良い」など様々な声が聞かれた。また、会員企業側からも「いくらなら購入するか」などの質問が出されるなど、活発な意見交換も行われた。卒論生OGの総評は後日、各会員企業に送付される。研修会後、会場を移して懇親会が開催され、懇親を深めた。
【2024(令和6)年11月21日第5180号2面】

<漬物研究同志会> 女子会スタディツアー 滋賀・やまじょうを訪問

吉川幹事
上西会長
上西社長
辰己部長
山上本店前で
部位で分けられた白菜に一同感嘆
 【大阪支社】漬物研究同志会(近清剛会長)は10月25日、女子会主催のスタディツアー「滋賀視察研修会」を開催した。同会会員である株式会社やまじょう(上西宗太社長、湖南市下田)の工場、直営店、圃場見学や、県内注目スポットを回る充実した内容となった。
 午前10時に米原駅に到着した一行は、やまじょう営業部の辰己大輔部長、山下誉志裕係長、坪倉尚志次長の3名の案内で本社へと向かい上西宗市会長、上西宗太社長らが出迎えた。
 上西会長は会社の歴史について「今年で創業88年。昔は農業の傍ら麹と味噌の製造を行っていたのだが、滋賀は水と野菜が良いからと奨められ下請けから漬物作りを始め、次第に自らの商いになっていった」と説明した。
 また県内に4店構える直営店について「自分が作りたいものを、価格設定から売り方まで自由にできる。本店(本社隣接)は住宅街の中にも関わらず中元、歳暮の注文にたくさん来てくれて観光地の店舗と同じくらい売上を出している。地域に愛される店になったと自負している」と語った。
 上西社長は「直営店は今後も展開したい。夏は下田なす、冬は日野菜という伝統野菜があるのが当社の強み。製造小売としては新参だが『近江つけもの』を掲げ差別化を図っている」とした。
 工場見学へ移ると、特に一同の目を惹いたのが『白菜大葉重ね』用の白菜。使用する白菜は分解して葉の色味や大きさを揃えて漬け込んでおり、山下係長が「手間はかかるが、重ねたときに色と食感が美しいグラデーションを描く」と話すと感嘆の声が上がった。
 また野菜を塩漬けして重石をかけるという基本を丁寧に守っている姿に「アッパー製品として扱われているのも納得」と全員一致で高く評価された。
 直営店はかつての古漬蔵を改装した本店と、日牟禮八幡宮敷地内にある八幡日牟禮店を訪問。近江つけものや、祖業である味噌を使った近江牛の味噌漬けなど独自の商品を販売する。
 圃場では下田なすと千枚漬用の大蕪を見学。下田なすは、やまじょう本社の位置する湖南市下田地区原産の「近江伝統野菜」の一つ。一般的な茄子よりも繊細で生産者が減っており、自社栽培に取り組んでいる。商品発売は7月下旬~10月の期間限定で今シーズンは終了している。
 また大蕪は近江八幡市大中地区の契約圃場を見学。琵琶湖からほど近く豊かな土壌と水があり、比叡おろしと呼ばれる寒風が吹く風土が、甘みときめ細かい蕪を作る。
 この他、滋賀を代表する菓子メーカーとして知られるようになった株式会社たねや(山本昌仁社長、近江八幡市)が運営する「たねや 近江八幡日牟禮ヴィレッジ店」で昼食を取り、敷地面積約3万7000坪のフラッグシップショップ「ラコリーナ」でのショッピングを楽しんだ。
 同志会幹事で女子会担当を務める吉川絵美子氏は「やまじょうさんは圃場、工場で味も見た目も最高のこだわりを持ってモノづくりをし、それを自らブランディングして売る姿は大変刺激になった。同業者の工場を見せてもらうことは非常に貴重な機会となった」と総括した。
 辰己部長は「流通企業が見学に来られることは多いが、同業者にお見せするのは緊張感がある。当社では当たり前と思っていることが皆様には珍しく映る、という経験は強みや課題の発見につながる」と述べた。
 【スタディツアー参加者】吉川絵美子(吉岡屋)、山田摩耶(若菜)、萩原友美(萩原食品)、腰塚美帆子(秋本食品)、宮城恵美子(宮城商店)、松宮由美(山豊)、北尾ゆみ子(京つけもの川久北尾商店)、小林登(事務局)、報道2社※敬称略、順不同。
【2024(令和6)年11月11日第5179号3面】

<漬物研究同志会> 台湾視察研修会を実施 日本との歴史や食文化に触れる

龍山寺を訪問する参加者
天日塩が作られている北門井仔脚瓦脚鹽田
 漬物研究同志会(近清剛会長、宮尾茂雄名誉会長)は12~16日、2018年以来、6年ぶりの海外研修となる台湾視察研修会(台南3日、台北2日間)を実施した。
 一行は台湾の古都である台南、橋仔頭製糖工場跡(現台湾糖業博物館)、隆田酒廠、烏山頭ダム(八田興一記念館)、水仙宮市場、北門井仔脚瓦脚鹽田(天日塩製塩)などを訪問。故宮博物院、東三水街市場などを視察し、台湾の発展に貢献した日本人の功績や歴史を学び、現地の食文化に触れる機会となった。
 13日に訪問した台湾糖業博物館は、日本統治時代の1902年に操業を開始した台湾最初の近代的製糖工場だが、1999年に役割を終え、操業を停止した。工場の創設に関わったのは農業経済学者の新渡戸稲造で、1901年に台湾総督府技師として赴任し、糖務局長として台湾の製糖事業近代化に尽力したことから、「台湾砂糖の父」という栄誉を与えられている。
 現在、製糖工場及びその敷地の一部をそのまま博物館として保存し、公開されている。工場の建屋と内部の製造装置の大きさと複雑さは圧巻で、サトウキビの輸送、圧搾、不純物の除去、蒸発、結晶、分蜜、包装など、実際の製糖の流れを知ることができる。ほとんどの製造装置や検査器具類が当時のまま残されており、当時の様子を今に伝えている。
 烏山頭ダムに向かう途中で立ち寄った「隆田酒廠」は、日本統治時代、アルコールの増産需要に応えて、1939年に設立された醸造所だったが、戦後は麹工場となり、近年は高粱酒造りに重点が置かれている。2012年には、台湾初のバイオテクノロジーと酒造技術を融合させた薬味養生酒造所として稼働しており、販売も行っていることもあって、多くの見学者で賑わっていた。
 烏山頭ダムは、台湾統治時代、10年の工事を経て1930年に完成した当時東洋一といわれる広大なダム貯水池で、嘉南平野に広がる水田の貯水池として大きな役割を担っている。
 ダムの建設を指揮したのは、日本人土木技師の八田與一。現在、烏山頭ダムは公園として整備され、八田與一の銅像と墓が貯水池に向かって建てられている。また、八田與一を顕彰する記念館も併設されており、そこでは日本語の解説ビデオを観ることができる。
 八田興一はその功績から台湾で最も尊敬されている日本人の一人となっており、台湾の教科書にもその偉業が掲載されている。また、八田興一は地域の人のために病院や学校を建設するなど、ダム、灌漑用水の他に地元に多くの功績を残している。
 台南にある水仙宮市場に足を踏み入れると、蔬菜、果実、水産練り製品、鮮魚、乾物やテイクアウトの飲食店などが並び、大勢の客で賑わっていた。
 同志会のメンバーも地元の産品や普段見かけることのない珍しい農産物を興味深く視察した。
 次に訪れた台南の北方にある北門井仔脚瓦脚鹽田は、壺や甕のかけらの「瓦盤」を敷き詰めた結晶池で、海水から天日を利用して天然塩を製造する「瓦盤塩田」。粘土と砂地を利用した通常の塩田に比べて、瓦盤は熱が伝わりやすく水分の蒸発が速いので、細かな塩の結晶ができる。
 2002年に台湾にあった5カ所の大規模な塩田は全て閉鎖されたが、北門井仔脚瓦脚鹽田は、文化遺産を継承する観点から続けられており、年間約80トンの天日塩が作られている。塩田跡や史料はしっかりと保存されていて、製塩業の歴史や文化を次の世代に受け継いでいる。
 視察に加え、台南では地元の海鮮料理や台湾料理を味わい、親交を深めた。台北では2日間の短い滞在期間となったが、鼎泰豊で名物の小籠包を味わい、故宮博物院では、幸いにも見学者が少なかったこともあって、国宝級の美術品をゆっくりと観賞することができた。伝統文化や遺産(日本統治時代の遺産を含めて)を大切に保存、継承する台湾の姿勢に好感を覚え、日本との絆を改めて感じさせる研修旅行となった。
【参加者(敬称略)】
宮尾茂雄、皆川昭弘、小暮始、小暮愛美、前田節明、鶴泰博、鶴邦子、水溜政典、柴垣勝己、吉川絵美子、腰塚美帆子、小林登 ※順不同
【2024(令和6)年9月21日第5174号6面】

<漬物研究同志会> 豊洲視察研修会を開催 宮尾名誉会長が提言「常食量表示に」

近会長
前田副会長
宮尾名誉会長
小林事務局長
漬物研究同志会の研修会
「豊洲 千客万来」を視察
 漬物研究同志会(近清剛会長)は7月25日、東京都江東区豊洲で視察研修会を実施。東京中央漬物株式会社会議室で研修会を行い、豊洲千客万来の視察後は築地に移動して懇親会を開催した。
 研修会は事務局長の小林登氏が司会を務めて前田節明副会長が開会の挨拶を行い、「異常気象で色々な作物が影響を受けており、原料としては厳しい状況となっている。いまも暑い日が続いているが、全国から集まった皆さんとともに宮尾先生の講演を聞いて今後のことをしっかり考えていきたい」と語った。
 活動報告では吉川絵美子幹事が4月12日に開催したスタディツアー「川越視察研修会」、2月~3月に実施したインターンシップ実習について、動画で映像を見ながら説明を行った。吉川幹事は、「インターンシップ実習の取組は今年で7年目。東京家政大の生徒とやらせていただいているが、各社でも学生と接点を持ちたい、従業員のプレゼンに使いたい、という会社があれば是非活用していただきたい」とPRした。
 また、今後のスケジュールについては、9月12日から16日の台湾視察研修、10月25日の女子会スタディーツアー(訪問先は検討中)、11月16日の東京家政大卒論生及びOGとの漬物談義が予定されていることが報告された。
 続いて東京家政大学大学院客員教授で一般社団法人全国漬物検査協会会長でもある宮尾茂雄名誉会長が「漬物とナトカリ比」のテーマで講演を行った。塩の役割は主に食品加工と生体機能に分けられ、食品加工では塩味、浸透圧、調理に分類される。食品群別摂取量食塩相当量は1日10・1gで、漬物は0・4%。1人当たり食塩摂取量の3分2は醤油や味噌、その他の調味料など、調味料に由来している。おいしいとされる味噌汁の塩分濃度は0・8~1・0%でお椀一杯(200ml)当たりの食塩は1・6~2・0g。
 主な食品の常食量に含まれる塩分量を比較すると大半の漬物は1g以下。宮尾氏は、「漬物の栄養成分表示は常食量ではなく100g表示となっているが、他の食品は常食量での表示になっている。常食量での表示は消費者に適正な塩の摂取を理解してもらう上で有効な手段。全漬連ともガイドラインの作成などについて話し合っているが、このようなことを業界から発信していく必要がある」と指摘した。
 海藻や野菜などに含まれるカリウムは、腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して尿中への排出を促進するため、血圧を下げる効果がある。また、塩分(ナトリウム)を摂取してもカリウムを多く摂取していればナトリウムは体外に排出されることから、ナトリウムとカリウムのバランスは国際的にも重視されるようになってきている。このナトリウムとカリウムのバランスを指標としたものが尿ナトカリ比。
 「これまで漬物はカリウムが多く含まれると言ってきたが、幅広い素材の中でカリウム含量はばらつきがある。漬物の中でナトカリ比が低いのは沢庵や野沢菜漬だが、品目ごとの特性に応じたPRが必要だ」と見解を示した。
 講演会後、今年2月1日に東京・豊洲市場場外にオープンした商業施設「豊洲 千客万来」を視察。江戸の町並みを再現した「食楽棟」と温浴施設などがある「温浴棟」から構成されており、連日国内外の観光客で賑わっている。インバウンド需要を意識した高価格帯の料理や若い人をターゲットにした目新しい商品などに触れ、刺激を受けた。
 「豊洲 千客万来」視察後は築地に移動し、「すしざんまい 奥の院」で懇親会を開催し、情報交換を行いながら懇親を深めた。
【2024(令和6)年8月1日第5169号14面】

<漬物研究同志会>「川越視察研修会」開催 河村屋川越店で“漬物寿司”

河村屋川越店で(前列右が染谷社長)
漬物寿司が楽しめる「春プレート」
松本醤油店にて
川越パターテで(前列右から三人目が金児社長)
 漬物研究同志会(近清剛会長)は4月12日、女子会主催のスタディツアー「川越視察研修会」を開催した。
 スタディツアーには、東京家政大学大学院客員教授の宮尾茂雄氏をはじめ15名が参加。近年、蔵造りの町並みが人気を集めている埼玉県の川越にて、河村屋川越店や新進グループの川越パターテ、松本醤油商店などを視察した。
 一行はJR川越駅に集合。小林登事務局長から当日のスケジュールなどについて説明が行われた後、河村屋川越店の松岡由起店長が川越の歴史や近年のトレンドを紹介しながら川越市内を案内。氷川神社や菓子屋横丁といった観光スポットを回った。
 その後、河村屋川越店にて、河村屋の染谷静香社長の出迎えを受け、昼食として「漬物寿司」を楽しんだ。同店は昨年8月にリニューアルを行い、店舗内に飲食スペースを設置。明るくモダンな店内では、旬の食材を使用した漬物寿司を提供、地ビールや地酒と共に楽しめると若い世代からも好評を博している。 
 漬物寿司のネタは、漬物にチーズや薬膳を組み合わせることで、食材のマリアージュを意識。当日のメニュー「春プレート」は、春キャベツや筍など旬の食材を使用した漬物に、ゴーダチーズや燻製オリーブオイルなどの洋風食材を合わせた漬物寿司の他、薬膳バーニャカウダやかき揚げを盛り合わせた色鮮やかな一皿。華やかな外観とその美味しさに一行から感嘆の声が漏れた。
 染谷社長は同社の取組について説明。現在、マーケティング、ブランディング、PRの3点に力を入れており、優秀な人材の採用やDX化を推進していること。また今後は浅草店のリニューアルを行い、増加するインバウントへ対応していくことなどを目標として語った。
 続いて、一行は川越で約250年続く蔵元である松本醤油店を訪問。松本公夫社長の説明を聞きながら醤油蔵を見学した。
 さらに、川越パターテでは、パターテ・ジャパンの金児裕子社長の出迎えを受け、川越名物のさつまいものジェラートやニョッキなどの人気メニューに舌鼓を打った。
 JR川越駅に戻り、川越視察研修会は終了。吉川絵美子幹事の挨拶により、散会となった。
【参加者(順不同・敬称略)】
 宮尾茂雄(東京家政大学大学院)、吉川絵美子(吉岡屋)、藤原静子、渡辺真里子(東京中央漬物)、染谷静香、松岡由起(河村屋)、萩原友美(萩原食品)、宮城恵美子(宮城商店)、山田摩耶(若菜)、遠山昌子(赤城フーズ)、腰塚美帆子(秋本食品)、星由夏(酒井甚四郎商店)、小林登(事務局)
【2024(令和6)年5月1日第5161号2面】

<漬物研究同志会> 第44回総会を実施 インターンシップ生の実習報告も

近会長
宮尾名誉会長
小林事務局長
関口社長
 漬物研究同志会(近清剛会長)は5日、東京都千代田区のAP東京丸の内にて、第44回総会及び東京家政大学管理栄養学科学生による株式会社吉岡屋でのインターンシップ実習報告、同大学大学院客員教授で一般社団法人全国漬物検査協会会長でもある宮尾茂雄名誉会長による講演会が開催された。
 第1部の総会は、小林登事務局長が司会を務めて近会長が開会の挨拶を行い、「本日も色々な勉強をさせていただきたいと思っている。全国の皆さんと集まれる機会はあまりないので、事業の規模も関係なく親交を深めていただきたい」と語った。
星氏
 令和5年度事業報告及び収支報告、令和5年度監査報告、令和6年度事業計画は原案通り承認、可決。事業計画では7月に視察研修会、11月に東京家政大学卒業生OGとの漬物談義を予定。また、コロナで中止していた海外視察研修会も検討していることが報告された。女子会スタディツアーは4月12日に、株式会社河村屋川越店で実施する。
 新会員紹介では昨年9月に入会した株式会社酒井甚四郎商店広報の星由夏氏と今年1月に入会した関口漬物食品株式会社の関口悟社長がそれぞれ自己紹介を含めて挨拶を行った。
修了証を授与された飯塚さん(中央)を祝福する近会長(左)と吉川幹事
漬物研究同志会の総会
 第2部の活動報告では、吉岡屋でインターンシップ実習を行った東京家政大学管理栄養学科の飯塚日菜乃さんが内容を報告。漬物が好きでよく食べていることや吉岡屋の漬物を使ったアレンジレシピ実習に興味を持ち、インターンシップに参加した。
 実習内容は漬物の効果・歴史、アレンジレシピ開発・試作・試食、SNSの投稿、漬物の販売など。アレンジレシピでは、漬物に苦手意識を持った子供をターゲットにした「ちくわごぼうの肉巻き」とお酒好きの大人にオススメの「奈良漬マリネ」を考案。ポイントを捉えたPOPも作成した。
 昨年8月から9月にかけて計7回のインターンシップ実習を通して学んだことについては飯塚さんは、「漬物は乳酸菌を豊富に摂取でき、美肌や腸活、肥満防止にも貢献できる。ただ美味しいというだけでなく、体へのメリットが多いということが分かった。1日1回は取り入れることを心がけている」と理解を深めたことを明かし、「若い人にも漬物の魅力を知ってもらい、効果やアレンジ方法を発信できたらいい」とまとめた。最後に吉岡屋の社長でもある吉川絵美子幹事より修了証が授与された。
 続いて令和5年秋の叙勲・褒章で前田食品工業有限会社の前田節明会長が黄綬褒章を受章したことが報告され、前田会長は「天皇陛下に手が届くところで私の話を聞いていただいたことは宝物」と皇居で天皇陛下に拝謁した時のエピソードを披露し、謝意を示した。
 講演会は宮尾名誉会長が「香辛料」の演題で講演。本題に入る前に年代別1人1日当たり漬物消費量、1人1年当たりの漬物購入額の推移、人口減少と産業の衰退、世界で人気の高い日本食について解説。漬物需要の促進として、「和食文化をPRする場合は米食を増やすことで伝統的な食文化のプラスになる。また、塩との関係についても漬物に含まれる塩分量は他の食品と比べても高くはない。それよりも野菜に含まれるカリウムが大事なので、そのPRが必要。塩分(ナトリウム)と野菜等(カリウム)の摂取バランスを表すナトカリ比の概念を普及させることが重要だ」と指摘した。
 香辛料のテーマでは、分類や基本作用、加工食品における位置付けなどについて、「香辛料の主な作用として矯臭や賦香、辛味、着色がある。その他、防腐、抗菌、抗酸化作用もある。漬物と香辛料は遠い位置にいるかもしれないが、若い人に受けるものが生まれる可能性もあるので本日の資料を取っておいて、活用していただきたい」と話し、各スパイスの特徴を説明した。
【2024(令和6)年3月11日第5156号5面】
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