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日本漬物産業同友会 2022

令和4年度定時総会を開催

遠藤会長
遠山副会長

遠藤栄一氏が新会長 情報を共有して事業展開

 日本漬物産業同友会(宮前有一郎会長)は10日、Web会議システム(Zoom)にて、令和4年度定時総会を開催。第4号議案の役員選挙では、宮前会長が退任し、遠藤栄一副会長が会長、遠山昌子会計理事が副会長に就任。新型コロナウイルスや原料資材関連のコストアップ、為替の影響など、業界を取り巻く環境は今後も不安定で不透明となっているが、新体制で情報を共有しながら有益な事業を展開していく方針が示された。
 総会は山本正憲理事の司会進行で、宮前会長が開会の挨拶を行い、「現在の世の中は不確定要素が多く、漬物業界も激動の時を迎えている。本日は価格の適正化に向けた情報交換会も開催させていただくが、厳しい状況の中でも情報交換は同友会の核になるものだと思っているので、ご協力をお願いしたい」と述べた。
 総会は宮前会長が議長を務めて議事を進行。第1号議案の令和3年度事業報告、第2号議案の令和3年度決算・監査報告、第3号議案の令和4年度事業・予算案は、原案通り承認、可決された。
 令和4年度事業計画では、原料対策委員会を9月に開催を予定している他、研修旅行、タイムリーな情報交換・講演会、食育を視点とした同友会ならではの漬物需要進行に向けた事業も検討する。また、令和4年度予算案では、食育に関する新規事業を行う予算として20万円が上程され、承認された。
 第4号議案の役員選挙については宮前会長がWeb上で選挙を実施することについて説明を行い、理事会で作成した新役員案を提出。全会一致で承認された。新会長に就任した遠藤会長は、「宮前会長は日本漬物輸入事業協同組合が解散した後、後継団体として日本漬物産業同友会を発足させるなど大変な苦労があった。宮前会長がいなかったら、この会はなかった。宮前会長のように色々な提案ができるか分からないが、会の方針は変わらずざっくばらんに意見を言い合える会にしていきたい」と抱負を語り、遠山新副会長も「会長をサポートしていきたい」と語った。
 来賓の全日本漬物協同組合連合会の鎌田洋行事務局長と同会に初めて参加した出席者が挨拶を述べた後、籠島正雄理事が閉会挨拶を行い、「食育については新たな取組の提案が出てきている。足元の部分も大事だが、将来に向けて何をしていかなければならないのか、ということについては我々の役割は重要だと感じている。今後はそのような議論もしていきたいと考えている」と未来に向けた活動の必要性を訴えた。
 【新役員】(敬称略)
 ▼会長:遠藤栄一▼副会長:遠山昌子▼会計理事:宮前有一郎▼理事:浅田康弘、梅澤綱祐(原料対策委員長)、籠島正雄、山本正憲(研修旅行委員長)▼監事:菅野嘉弘
日漬同友会の情報交換会

価格適正化へ情報交換 二度目の値上げに言及も

 総会終了後、梅澤原料対策委員長の発案で、価格適正化へ向けた情報交換会が開催された。
 梅澤委員長は「原料対策委員会は各原料状況が出揃う9月に開催してきた。しかし現在、新型コロナウイルスやロシア問題等により急激な物価高、為替変動が起こっている。情報共有することで、価格適正化へ向けた指針となるため、緊急で情報交換会を開きたい」と意図を説明した。
 情報交換会には漬物メーカーに加え商社、包装資材メーカーも参加し、コスト上昇の状況やそれらへの対応方針が説明された。
 全社共通課題としてまず挙げられたのが、海外原料の輸入における物流の遅延と費用高騰。特に貨物船の不足や積み下ろし作業の停滞が深刻で、通常2週間程度の納品が数カ月に遅延する事例が多発しており、早めの在庫確保が必須となっている。費用高騰は企業の収益を圧迫している。
 原因はコロナ、ロシア問題、燃料高騰、世界中での物流量増加など複合的であり、解決の目処は立っていない。中国国内を陸送し、余裕のある港から出荷するなどの対応も検討されているが、陸送費が高く継続性は低い。
 また多くの原料がドル建てで取引されている中、急激な円安が輸入価格に強く影響している。ドルは今年1月に115円だったが、5月には130円超と約13%の円安となった。今春値上げした製品はこの円安を織り込めておらず、秋口に再度の見直しが必要との声も上がった。
 また野菜栽培ではロシア問題によって肥料が40%の高騰。農業資材や機械も値上げとなり全作物に影響を与え、少々の作付増では吸収しきれず価格は上昇する可能性がある。
 さらに、日本以外の経済成長が進んでいること、日本企業の要求する規格が厳しいことなどから、買い負けする事例が増えており、取引価格の見直しに迫られているとの指摘もあった。
 包装資材は、ナフサやポリエチレンといった原料が不足している。値上げを避けられないだけでなく、安定供給にさえ不安があると報告。調味料も原料穀物の高騰により上昇しており、今後さらなる上昇が予想される。
 物価上昇の傾向は今後も止まらない状況を踏まえ、ベンダー業を営む東京中央漬物の齋藤正久社長は「漬物業界でも値上げはやむを得ず、当社の取引メーカーからも続々と案内が来ている。得意先へはその原因を説明できるよう、メーカー各位と協力して取り組んでいる」と話した。
 また三井食品工業の岩田孝逸会長は「これまでは小売店が売価帯を決め、それに合わせて商品を作っていた。メーカーがコストを積み上げ、適正価格を提示するのが本来のあり方だと思う」と指摘した。
 最後に遠藤会長が「前例や他社に依らず、原価計算をして適正価格を各社で判断し、実現していける業界にすることが必要」と呼びかけ、終了となった。
 作物別の原料事情、日本での価格改定状況の次の通り。
 ▼生姜=2021年産フレッシュ生姜のオーダーが少なく種生姜の価格が下落。生産農家の栽培意欲が落ち、作付面積が中国、タイともに縮小した。肥料高騰もあり、価格は上昇すると予想。契約栽培でもコスト上昇分は買取価格に反映せざるを得ない。
 業務用生姜漬は調味料等の高騰を背景に7月から値上げを実施する動きがあり、円安を織り込んだ第2弾の値上げも検討している。
 ▼らっきょう=2021年産の中国産原料が過去最高値を更新。各社では4月に規格変更や値上げを実施した。本年は作付が増えたものの、諸物価の上昇によりさらなる原料高騰の可能性がある。
 ▼梅=中国産は不作の見通し。国産の関東産地は、収量が昨年を下回る懸念。農家の減少も深刻。梅原料のほか、塩の価格上昇の影響も大きい。カリカリ梅の場合は競合がガム、飴など菓子業界のため、価格改定には慎重な姿勢。
 ▼干し沢庵=農家の高齢化により収穫量が減少しており対策が急務。業界的には価格改定は遅れているが、今春から値上げした企業もある。
【2022(令和4)年5月16日第5093号1、3面】
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