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大阪府漬物事業協同組合 2024

天満菜約1tを収穫 なにわ伝統野菜の継承担う

なにわ伝統野菜の天満菜
生原料、塩漬け原料として引き取られる
 【大阪支社】大阪府漬物事業協同組合(長谷川豊光理事長)は、「なにわ伝統野菜」に指定されている天満菜を継承するため、栽培支援事業を行っている。
 3月1日には契約圃場でその収穫が行われ、辻漬物株式会社(辻博文社長、大阪府貝塚市、大阪漬協副理事長)にて生原料の引き渡しや塩漬け作業が行われた。
 天満菜は「大阪しろな」とも呼ばれるアブラナ科の野菜で、江戸時代から大阪市北区の天神橋付近で栽培されていたが、昭和30年代を最後に一度は市場から消滅した。
 しかし、2012年に同組合がその種子を入手して大阪府立環境農林水産総合研究所とともに栽培、種子の採取に成功、漬物として加工販売を推進するようになった。
 今年は1株当たり約1kgで、1090kgを収穫した。
 組合員4社が、一部を生原料として引き取り、残りの約700kgは辻漬物にて塩漬けした。
 辻副理事長は「天満菜の伝統は我々が守らなければ途絶えてしまうのは明白。商業的に拡大するのはまだ難しいが、伝統野菜の漬物へ積極的に取り組んでくれる組合員は多いので、伝統の価値普及に努めていきたい」と話している。
【2024(令和6)年4月1日第5158号2面】

三役会で事業詳細議論

 【大阪支社】大阪府漬物事業協同組合(長谷川豊光理事長)は3月19日、大阪市中央区の「がんこ寿司天満橋店」で三役会を開催。長谷川理事長の司会により、会は進められた。
 5月23日に開催される第55期通常総会に向け、提出議案の話し合いが行われた他、辻博文副理事長より、組合事業として3月1日に、自社の辻漬物株式会社(大阪府貝塚市)にて「なにわ伝統野菜」天満菜の漬込みを実施したことが報告された。本年収穫の天満菜は小ぶりで、かつ成長の過程で平年より気温が高い暖冬であったため、トウ(花茎のこと)立ちの傾向だった。
 また、3月17日に大阪市中央卸売市場で開催された漬物製造管理士技能評価試験関西ブロックに、同組合からは林野雅史顧問理事、辻博文副理事長が出席し、試験委員を務めたことも報告された。当日は1~3級合わせて32名が受検し、筆記試験(学科試験、技能要素試験)に加え、1級のみ実技試験がなされた。
 今後の事業としては、6月にゴルフコンペ・懇親会の開催を計画しており、同月には、例年実施される関西漬物協会の安全衛生講習会が開催されるため、組合員の受講を推奨する。
 さらに、大阪府の災害救助用漬物の備蓄事業の継続、食育事業の継続に加え、青年部の育成の他、2025年大阪・関西万博開催に際してPR案を固めていく方針が、確認された。世界へ日本の漬物の魅力を発信する。
【2024(令和6)年4月1日第5158号2面】

新年会で減塩講習会 塩味代替や新技術「ぬかパカ」も

長谷川理事長
 高井主任
講習会の様子
【大阪支社】大阪府漬物事業協同組合(長谷川豊光理事長)は16日、天王殿(大阪市天王寺区)にて講習会と新年会を開催。賛助会員を合わせて43名が出席した。
 講習会は黄鍾守副理事長の司会で開幕。大阪府立環境農林水産総合研究所(環農水研)の、食と農の研究部食品グループ高井雄一郎主任研究員が「減塩」や環農水研が提供する技術支援について講演した。
 環農水研はこれまで、泉州水なすのEマーク取得支援や、発色技術の改良、なにわの伝統野菜の母本選抜など様々な面で大阪漬協を支援してきた。
 講演に立った高井氏はまず、大阪漬協が協力した減塩製品に関するアンケート結果について報告。回答企業の過半数が減塩製品を扱っていること、特に小売用製品が増加していることが紹介された。
 一方、塩分に関する漬物メーカーの課題意識としては、漬物は低塩化が進んでいることの周知(高塩分のイメージ払拭)、カリウムや乳酸菌が豊富なことを考慮にいれた総合的な健康性の評価などが必要、などの回答が示された。
 これに対し、環農水研としては塩味を代替する技術や、美味しさを評価する技術などによる技術支援ができることを紹介した。
 この他にも、糠床が漬物に付着しづらくなる技術「ぬかパカ」や、泉州水なす色素の褐変防止技術、フリーズドライ食品の開発などにも技術移転が可能であることを発表すると、出席者から感心の声が上がった。
 続いて新年会では長谷川理事長が挨拶に立った。「まずもって能登半島地震の被災者にお悔やみを申し上げる。年明けから、漬物業界のみならず周辺業界でも廃業や倒産の報が相次いでいる。物価高騰など厳しい環境だが、今日この場で情報交換をして助け合っていこう」と危機感を持って呼びかけた。
 続いて来賓祝辞として環農水研の古川真総括研究員兼グループリーダーは「来年に迫った大阪・関西万博のテーマの一つが健康。減塩化などお力になれれば嬉しい」と話した。
 俣野貴彦副理事長は「高井氏の発表内で野菜のカリウム摂取が血圧低下に好影響があるとのことだった。減塩に偏りすぎず、漬物の美味しさと伝統を守りながら健康にも貢献できる形を模索していきましょう」と語り乾杯発声すると、しばしの歓談へ移った。
 最後は、未来の業界リーダーとして期待される松下雄哉理事と藤原年宏理事が、「大阪締め」の音頭を取り、中締めとした。
【2024(令和6)年2月21日第5154号2面】
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