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編集後記2024

【編集後記】4月1日号

第67回全国水産加工たべもの展で審査する日本昆布協会の吹田理事長と大調食の廣川理事長(奥)
審査の悩ましさ
 レシピコンテストなどを取材している折には記者も審査を依頼されることが時々あるのだが、毎回非常に悩まされる。
 審査シートを渡される場合には味、見た目、栄養、作りやすさなどの項目がそれぞれ10点満点で配点されていることがある。しかし、そのコンテストのテーマが「元気が出る〇〇」であれば栄養を重視して傾斜をかけるべきでは、「春を彩る〇〇」であれば見た目を重視したい…などと頭の中で右往左往しながら点数を付けることになる。
 さてこの度の全国水産加工たべもの展では、最終審査の際には取材しながら記者も一部を試食させてもらった。どれも美味しく、見た目も良いものばかりで、自分が審査員だったら心底悩んだはずだ。
 ところが、いざ結果発表を見てみると、どれも非常に納得感があった。学識者、同業者(メーカー)、消費者団体、生産者などそれぞれの視点が組み合わさり、公平かつ鋭い視点が生まれているのだろう。
 受賞商品の素晴らしさを、一般の人々にも知ってもらえることを願っている。そのきっかけ作りができるよう、本紙SNS「おいしい新聞」での発信を強化したい。
(小林悟空)
【2024(令和6)年4月1日第5158号5面】

【編集後記】3月21日号

東海漬物の親子ぬか漬教室
春休みの過ごし方
 今年の小学校や中学校の春休みは、東京都で3月23日~4月7日、大阪、名古屋、福岡もほぼ同期間だ。この2週間ほどの春休み、子どもたちは部活に励んだり、また親や友人たちと新作の映画を観に行ったりと、様々な過ごし方をするはずだ。
 東海漬物株式会社が地元豊橋で開催する「春休み親子ぬか漬け教室」を取材するため、会場の科学館を何度か訪れたことがある。ぬか漬け体験をし、きゅうりのぬか漬けを一緒に試食する仲睦まじい親子の姿を見ると、温かい気持ちになる。
 だが一方、別の取材では、食品メーカーが子ども食堂へ食品を寄贈する場に立ち会うこともある。子ども食堂のスタッフからは「子どもたちの中には、家庭で十分な食事を摂れず、学校給食が命をつないでいる子がいる。また家庭に居場所がなく、孤独に長期休みを過ごす子がいて、子ども食堂が心休まる居場所でありたい」という話も聞く。
  子ども食堂では、食事提供の他に、ボードゲームや卓球等のレクリエーションを用意しているところもあり、気軽に参加できる。子どもたちには、楽しい春休みを過ごし、笑顔で新学期を迎えてほしい。(高澤尚揮)
【2024(令和6)年3月21日第5157号10面】

【編集後記】3月1日号

あげたつもり募金
 2月14日のバレンタインデーと3月14日のホワイトデーは、菓子やギフト業界にとっては大きな商機となる1カ月である。
 しかし、職場や学校などでなかば儀礼的となっている、バレンタインデーの義理チョコとホワイトデーのお返しを「もったいない」と考える風潮もある。
 共栄火災海上保険では、もっと有意義な目的に使えないかと女性社員有志が発起し、1993年から「“義理チョコ・あげたつもり・もらったつもり”バレンタイン・チャリティ募金」を実施している。これはあげたつもり、お返ししたつもりで1口500円をチャリティ募金する活動。
 集まった募金は、マリ共和国(西アフリカ)の難民キャンプを支援するため、NGO(民間国際ボランティア組織)「マザーランド・アカデミー・インターナショナル」を通じて井戸や学校、医薬品倉庫の建設、砂漠化防止のための植林、近年では水田づくりのために活用されている。
 今年の結果を合わせた過去32年間の募金総額は、約5000万円。これも立派なSDGs活動として称えられて良いだろう。
(菰田隆行)
【2024(令和6)年3月1日第5155号5面】

【編集後記】2月1日号

持ち歩いている醤油のたれビン
地元の“醤油愛”
 日本の食卓に欠かせない調味料「醤油」。ネット通販が発達した現代でも、「醤油は地元のものでなければ」という嗜好が強い。
 九州の食文化を研究しているライター田端慶子氏は、江戸時代は家庭で醤油を仕込んでいたが、醤油造りに長けた人が出てくると、それを買い求める文化が定着した。
 交通網や流通網が発達していなかった昔は遠方に流通されなかったことで、地元の味が受け継がれていったと分析している。
 私は九州・福岡市の出身だが、東京単身赴任中の現在、関東の醤油は塩辛さが強過ぎて食べられない。そう、九州の醤油は「甘い」のだ。
 そこで実家の近くにあり、子供の頃から食べ慣れた醤油メーカーの商品を取り寄せ、お弁当などに添える「たれビン」に入れて持ち歩いている。
 福岡出身のお笑い芸人、博多華丸さんは、著書のグルメガイド本「食べずに終われんばい! in 福岡」の中で、人生最後の晩餐として食べたいという「華丸鍋」のレシピにも、私が愛用するメーカーの醤油を指定している。
 味の嗜好は人それぞれ。好みに合う醤油を見つけてみるのも、料理の楽しみ方の一つだ。
(菰田隆行)
【2024(令和6)年2月1日第5152号7面】

【編集後記】1月21日号

余った野菜もぬか漬に
ぬか漬で冬を乗り切る
 2052年までは1月20日が大寒の日となっている。昨年12月中頃までは暖冬、暖冬と誰もが口を揃えるほどだったが、年明けからは冷え込む日も増えた。震災復興中の北陸をはじめ各地で大雪も発生しているので、無事を祈るばかりだ。
 大寒の日は、全国ぬかづけのもと工業会(山西健司会長)が定めた「ぬか床の日」でもある。
 ぬか床というと胡瓜や茄子が豊富な夏のイメージが強い。しかし寒い冬の間は雑菌が繁殖しづらく、ぬか床はゆっくりと発酵が進むため味に深みのある良いぬか床ができる、と言われている。また秋に収穫された米の副産物であるぬかが出回る時期でもある。日本酒や味噌、醤油などにおいても「寒仕込み」が重宝されてきたように、発酵食品の仕込みを始めるのは冬が適していると、先人は熟知していたということだ。
 先日は、台湾の「酸菜白肉鍋」から着想を得て、ぬか漬を料理に使ってみた。京都・錦市場の桝俉で購入した壬生菜のぬか漬を豚汁に投入して軽く煮込んでみると、酸味が溶け出て食欲をそそるとても美味しい発酵鍋に変身した。
 寒い冬を乗り切るお供にぬか漬や発酵鍋をお試しあれ。(小林悟空)
【2024(令和6)年1月21日第5151号4面】

【編集後記】1月11日号

今いる場所から被災地支援 
 新年明けましておめでとうございます。元日に発生した能登半島地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災された方々にお見舞い申し上げます。また、一日も早い被災地での復旧、復興をお祈りいたします。
 「被災地ために何ができるか」と語る人がいる。企業・団体からのまとまった支援物資は、避難所で重宝される。しかし、個人からの支援物資の送付は、被災地での仕分けの手間を考慮し、受け入れない、さらには控えてほしいという声も聞く。
 例えば、個人で支援できることとして、義援金送付、ふるさと納税がある。ふるさと納税の場合、「返礼品なし」を選択すると、ポータルサイトに手数料が入らず、寄付先の自治体に直接、寄付金が届く。
 他には、被災地企業の商品を購入することでも支援になる。大阪の阪急百貨店では毎年1月頃、石川県の特産品を集めた物産展、「旨し、美し。金沢・加賀・能登展」を開催し、今年は1月11日に始まった。被災地企業への応援として、同百貨店は本催事の売上の3%を石川県に寄付すると発表した。
 私たちが、今いる場所から被災地支援を行うことは可能だ。ぜひ一考いただきたい。 
(高澤尚揮)
【2024(令和6)年1月11日第5150号9面】
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