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漬物WOMAN 2022

漬物WOMAN

秋本食品株式会社 マーケティング部 開発室 奈良 のどか氏

商品開発のヒントを探す
SNSで漬物をPR
 秋本食品株式会社(秋本大典社長、神奈川県綾瀬市)のマーケティング部開発室の奈良のどか氏にインタビュー。近年は特に若い世代の「漬物離れ」が大きな課題となっているが、女性ならではの目線や考えを持ちながら、裾野の拡大や需要拡大に向けて常に商品開発のヒントを得ようと業務に取り組んでいる。
(千葉友寛)
◇    ◇
 ‐入社のきっかけは。
 「以前から地元で働きたいと思っていて、秋本食品の担当者の方が学校で開催された会社説明会に来ていたので会社のことを知りました。私は玉川大学の農学部で植物の勉強をしていて、LEDライトで植物を育てる研究をしていました。もともと食べることや料理をすることが好きで、食には興味がありました。大学のサークルでは3種類の小麦でうどんやパンを作ったらどの小麦が適しているか、などの研究をしていました。大学への進学や就職について考えた時、日常生活の中で人が食べることを止めることはないし、食関係の仕事はなくならないと思って入社しました」
 ‐好きな食べ物は。
 「梅干しです。自宅に梅の木があって、祖母や母が収穫した梅を使って梅干しや梅酒を作っていました。市販の梅干しも食べますが、やっぱり紫蘇の風味と色合いが食欲をそそる家庭漬の梅干しは、小さい時から食べていたので好きな味です。お菓子でも梅のフレーバーがあったら好んで食べます。市販品で一番好きな梅干しは中田食品さんの『しらら』です」
 ‐仕事内容について。
 「商品開発です。市場リサーチも含め、平均で1カ月に試作品を2、3品作ります。市場リサーチではスーパーやコンビニエンスストアを中心に、弊社にない商品の他、惣菜やお菓子など漬物以外の売場も視察します。注意して見ている点はトレンドの味、価格、素材、大きさなどです。漬物のトレンドで言えば、ぬか風味の商品が人気です」
 ‐若い人の漬物離れについて。
 「浅漬のライバルはサラダです。浅漬は本漬とサラダの中間に位置する存在だと思いますが、若い人はサラダを日常的に食べており、サラダ感覚で浅漬を食べている人はあまり多くはないと思います。塩分のイメージや価格、規格の問題もあると思いますが、コロナ下で家飲みをする方が増えている中、おつまみ感覚で食べられる味や規格の浅漬があれば支持されると思います。また、私もそうなのですが、女性は夕食やお酒を飲む場で炭水化物をあまり摂りません。漬物はご飯とセットというイメージが強いと思いますが、女性目線で言えばご飯というよりはおつまみ感覚で提案した方が共感を得られると考えています。規格も世帯人数が減少しているので、主流となっている内容量の200gは多いと思っています。現在のカップ容器は1回開けるとフタができないので、食べ切るか他の器に移さなければいけないので手間がかかります。そのようなことが要因となり、80gや100gのミニカップは割高ではあるものの、堅調な動きとなっています」
 ‐仕事の難しさは。
 「一番難しいのは決められたコストで商品を作るため、限られた原料や調味料しか使うことができない、という点です。同じ原料や調味料を使用するとどうしても同じような商品や味しか作ることができず、工場のオペレーションも増やせないので手間をかけることもできません。限られた条件の中でこれまでになかった商品を作り上げることは本当に難しいことです」
 ‐仕事のやりがいは。
 「単純に作ったものが美味しいと言われた時は嬉しいです。ただ、仕事をしていて楽しいという感覚よりも難しいという気持ちの方が強いです。旅行に行ってもスーパーを回ってしまいますし、地方の名産品にも目が行きます。心のどこかで商品開発に生かせないか、と思って何かを探している自分がいます」
 ‐漬物の需要拡大。
 「漬物は特に若い人の認知度が低いと思います。SNSが良いのか、売場でPRするのが良いのか分かりませんが、レストランやお店で浅漬が提供されて、美味しいと感じていただければ漬物売場でも売れるようになると思います。お店とのコラボ、他業界とのコラボは漬物の裾野を広げる可能性があり、若い人の目も引くことができると思います。今後はそのようなことも視野に業務に取組んでいきたいと考えています」
【2022(令和4)年10月11日第5108号2面】

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