本文へ移動

インタビュー2024

1月21日号 DTS特別インタビュー

(一社)全国スーパーマーケット協会 事業部流通支援課兼事業創造室 チーフディレクター 籾山朋輝氏

売場テーマは価値創出
おにぎり部門エントリー大幅増

 デリカテッセン・トレードショー2024(以下、DTS)が2月14日から16日まで幕張メッセにて開催される。DTSは中食産業の最新情報を発信する商談展示会。主催者企画「お弁当・お惣菜大賞」は近年注目度が上昇、売場の販促ツールとして大きな存在になりつつある。DTS会場内では今年も受賞商品の一部を実食できるフードコートを展開する予定だ。DTSを主催する一般社団法人全国スーパーマーケット協会事業部流通支援課兼事業創造室チーフディレクターの籾山朋輝氏にインタビュー。籾山氏は『お弁当・お惣菜大賞』の今年のエントリー商品の特徴について言及。商品開発の傾向が〝価格訴求”から〝価値訴求〟へ変化していることを挙げた。(藤井大碁)
 ーデリカ売場の販売動向について。
 「値上げが進んだことにより、惣菜カテゴリーの売上は、SM3団体統計調査の直近3カ月のデータを見ても、既存店で前年比3~6%増と好調が続いている。だが、同時に人件費や製造コストも上昇しており、利益面は売上ほどには伸びていないのが実情だ。全体的には、即食や簡便性を求める生活スタイルに加え、家飲みも定着しており、引き続きスーパーの惣菜への需要は堅調に推移していると言えるのではないか」
 ー今回のDTSの見どころ。
 「出展者数は前回よりやや増加し、50社・団体、238小間の規模になる。新規出展も10社程あり、中食産業に特化した様々な最新情報を発信するので是非ご注目頂きたい。『お弁当・お惣菜大賞』の受賞商品の一部を実食できるフードコートを今回も展開する他、デリカ関連のメニューを来場者に食べ比べしてもらう『食べくらべ体験 STAND』では、バックヤードでの導入が進むスチームコンベクションオーブンの活用メニューとして、注目が高まっている『ドリア』を試食して頂く予定だ」
 ー「お弁当お惣菜大賞2024」エントリー商品の特徴。
 「今回のエントリー商品を見てみると、極端な価格訴求型の商品が減っている。製造コストの高騰により、価格とクオリティの両立が難しくなった。その代わりとして、今回目立ったのが、メニューや食材に一捻り加えて、オリジナリティを演出した商品のエントリー。ご当地食材を使用したり、一つの弁当内で食べ比べが出来たり、様々な工夫を凝らすことにより価値を創出した商品が多く入賞している。またカテゴリーごとの特徴では、おにぎり部門のエントリー数が大幅に増加した。物価高で商品の一品単価が上昇する中、200~300円で一食完結できるこだわりのおにぎりのエントリーが増えた。一方、各国料理部門のエントリー数が減少した。コロナ禍で海外旅行に行けなかったため、家で海外の料理を食べて、旅気分を味わうというトレンドがあったが、そうした売場の企画が減少していることが見て取れる」
 ーデリカ売場の課題。
 「引き続き人手不足が大きな課題となっている。デリカ売場の商品を全て自社製造することは難しく、力を入れるもの、入れないものを見極めて、自社で作り切れない部分については、仕入れ商品をうまく活用していくことが求められている。また、コロナ前のデリカ売場でよく見られていた裸売りが未だ復活できないというのも売場にとっては課題の一つだ。裸売りができれば、華やかでシズル感のある売場が演出できるため、現在のテーマとなっている価値の創出にも繋がる」
 ー今後について。
 「即食や簡便性へのニーズは強く、惣菜への需要は引き続き高まっていくのではないか。近年、冷凍食品の進化も著しく、カテゴリーによっては惣菜と冷凍食品の棲み分けが進んでいく可能性もある。また、物価は今後も上昇していくと思うので、これまで以上に創意工夫を重ね、付加価値の高い商品の開発が必要になる。こらから先は、完全にコロナ明けの環境となるので、今年は、今後のデリカマーケットを占う意味でも重要な1年になると考えている」
【2024(令和6)年1月21日第5151号6面】

デリカテッセン・トレードショー公式サイト
https://www.delica.jp/

1月21日号 この人に聞く

神尾食品工業株式会社 常務取締役 神尾繁樹氏

漬物製造管理士1級合格
会社をブラッシュアップ
 全日本漬物協同組合連合会が昨年10月に実施した漬物製造管理士試験で1級に合格した神尾食品工業株式会社(神尾賢次社長、神奈川県小田原市飯泉)の神尾繁樹常務取締役にインタビュー。試験にチャレンジした目的や試験を通じて学んだことなどについて話を聞いた。また、小田原の名産である桜花漬や十郎梅の生産や製品の製造については、「共存の意識で対応していく必要がある」と強調した。(千葉友寛)
◇    ◇
 
漬物製造管理試験の1級に合格した。
 「これまで3級、2級の試験を受けて合格していたのだが、コロナの影響で1級試験が実施されず昨年10月に試験を受ける運びとなった。当社に1級の取得者は1人いるのだが、会社の経営に携わるものとして法令や品質管理、微生物、分析関係の内容を勉強したいと思っていたので試験を受けることはマストだと考えていた」
 
ー合格した時の心境。
 「やはり嬉しかった。試験に向けて半年くらい前から帰宅後や仕事の合間の時間を利用して勉強した。もちろん、毎日時間が取れるわけではないので、やれる時に少しずつ勉強していた。漬物は種類が多く、歴史もある。勉強を通じて目的としていたこと以外にも多くのことを学ぶことができた。衛生管理についてもHACCPの内容を知っているのと知っていないのでは製造現場を見る目が変わってくる。全て担当者に任せていればいい、ということではなく、経営者としても知識を持っていた方が様々な視点から会社をブラッシュアップすることができる。当社は梅干しの製造が多く、浅漬に携わることはないのだが、試験を通じて浅漬製造のプロセスなども学べたことは良かったと思っている。自分を磨きたい、知識を増やしたい、という意欲のある方は、経営者でも営業マンでも事務の方でも是非、チャレンジしてほしい。試験を通じて実務に活かせることは多々ある」
 
ー技能実習制度について。
 「現在、当社に技能実習生はいないのだが、日本全国で人手不足が叫ばれている中、今後は技能実習生の受け入れも視野に入れていく必要がある。技能実習生制度はこれからどのような形になっていくか分からないが、当社としても業界としても注視していく必要がある」
 
ー桜花漬の動きは。
 「コロナの5類移行でインバウンドも回復し、末端の製品が動き出している。原料の出荷は前年を上回っていて順調なのだが、生産者の減少や収量減などのため不足気味となっている」
 
ー小田原の梅について。
 「小田原の曽我梅林を代表するオリジナル品種の十郎梅は、手もぎのため収穫にも製造にも手間がかかる。十郎梅は皮が破れにくく、果肉が多いという特徴があり、産地性も合わせて紀州南高梅にはない部分をPRすることができる。しかし、他産地と同様に生産者の減少や高齢化が問題となっている。桜の花や梅を継続して生産していただけるよう、我々や流通も含めて共存の意識で対応していく必要がある」
 ー新年の抱負を。
 「私は入社12年目で、常務取締役に就任して6年目になるが、まだまだ実績がなく学ぶことが多いと感じている。現在は業務の全てを見ていて、人事、現場の合理化、社内の整備、原料の対応などに取り組んでいる。3月に34歳になるが、製造管理士の1級合格は一つのステップで、商品開発や実務に活かせるようにもっと力をつけていきたいと思っている。業界の皆様方におかれては、引き続きご指導、ご鞭撻をお願いしたい」
【2024(令和6)年1月21日第5151号6面】

神尾食品工業 http://kamio.co.jp/

株式会社天政松下 代表取締役社長 松下雄哉氏

SNS代行「ゼロべー」
認知度向上、人材採用で成果
 株式会社天政松下(松下雄哉社長、大阪市西淀川区)はSNS、特にYouTubeやTikTokといった動画サービスでの発信に注力し、認知度向上や人材採用で成果を上げてきた。この度その経験を活かし、動画制作・SNS運用代行を行う新会社「株式会社ゼロべー」を立ち上げた。松下社長は企業のリクルートやブランディングにおいて動画SNSの活用の重要性を語った。
(大阪支社・小林悟空)
◇    ◇
 ‐自社のSNS運用について。
 「天政松下としてインスタグラムやX(旧ツイッター)は以前から運用していたが、2022年春から大学ベンチャーで起業したメンバーとYouTubeやTikTok動画にも着手した。動画は文字や写真と比べて手間はかかるが、その効果は十分にある。特にYouTubeショートやTikTokはバズりが起こりやすく拡散性が非常に高い。認知や興味の拡大という側面では非常に有効だ」
 ‐動画投稿の効果は。
 「一番顕著なのが人材採用への影響。動画投稿以降、求人媒体サイトからの応募率は全国平均の倍近くに跳ね上がった。動画で当社を知って検索して応募したと話す学生の子もいて入社した」
 ‐人材採用に効果がある理由は。
 「求職者の知りたい情報は業種、労働条件はもちろんだが、実は社内の年齢層や雰囲気といった働く環境を非常に気にしている。情報が求人記事とホームページだけだとどうしても得られる情報量が少ない。ライバル社と条件が同じだった場合、情報量が多く働くイメージができる企業が優位になる。つまり人材獲得競争において社内のリアルな情報をいかに開示するかが重要になる。新会社ゼロべーではリクルートの強化を考えている企業の力になりたいと考えている」
 ‐サービス内容は。
 「動画の企画から撮影、編集、アップロード、分析、アカウント管理まで全て代行させていただく。クライアントにやっていただくのは撮影の協力と投稿前のチェックだけ。YouTubeショートとTikTokへ週2本(月8~9本)投稿で、撮影時間は月一回で3時間ほどで済む」
 ‐料金は。
 「料金はYouTubeショート、TikTokを各週2本(約月8)月額25~28万(税抜)。SNSの運用代行としては低価格に抑えて顧客がチャレンジしやすい環境を一番に考えている。動画SNSを自社で行おうとすれば、時間もテクニックも必要で片手間では難しい。また離職リスクなども考えると中小企業にとっては現実的でない。外注するのが最も低リスクであると実感を持って言える」
 ‐今後の活動は。
 「12月に設立が終わったので、1月から本格的に活動していく。設立前から契約の話を進めていただいている企業もある。中小企業が発信力を強化するお手伝いができればと思っている」
【2024(令和6)年1月11日第5150号9面】

大和屋守口漬総本家 代表取締役社長 青木茂夫氏

伝統を守りつつ変化する
生産者の作りがい生む施策支援
 株式会社大和屋守口漬総本家(愛知県名古屋市)では、青木茂夫常務取締役が昨年8月29日に代表取締役社長に就任した。青木新社長は、外資系企業に25年務め、50歳の節目で2022年に同社へ入社した。守口漬を代表するメーカーの5代目社長として、自社の伝統的な味を継承しつつ、消費拡大にも取り組み、社員のモチベーションを高めたいと抱負を語った。
(高澤尚揮)
◇    ◇
 ―青木新社長の経歴は。
 「1972年生まれで、高校まで愛知県岡崎市で育った。大学は東京に進み、早稲田大学大学院経営管理研究科でMBAを取得。学生時代から、スポーツビジネスとマーケティングに関心があったため、ナイキジャパンには24歳で転職し、25年間務めた。同社では、スポーツマーケティングに長年携わり、ディレクター職を最後に、50歳で大和屋守口漬総本家に入社した。鈴木昌義現会長は義兄であり、入社前から同社の状況や将来について議論することもあった」
 ―社長就任での抱負。
 「鈴木昌義現会長は20年に渡り社長を務め、『節目の年から、会社に変化をつけたい』という想いで、社長職を私に譲った。伝統のある守口漬の味など守るべきことは守り、変えるべきことは変えていきたい。当社は『一灯をともす』という言葉を大切にしており、社員のモチベーションを上げる評価制度の確立、守口大根の生産者の作りがいが生まれる施策を実行していく」
―自社の強みは。
 「守口漬を代表するメーカーの一社として、歴史に誇りがあり、お客様にも、商品の品質・歴史で信頼していただいている。扱う守口漬は、漬物の中でも一目置かれる存在だ。また当社は、みりん粕漬のブランド『鈴波』と、粕製品の『八幸八』、鈴波と姉妹店でお弁当を扱う『六行亭』があり、相乗効果がある。シナジーを加速させたい」
―守口漬の市況は。
 「お中元、お歳暮の市場が縮小する中で、既存のお客様に引き続きご支持いただけるよう、新たな取組を検討する。一方で、地元でも若年層を中心に、守口漬自体の認知度が下がっていると感じる。若年層へ守口漬のおいしさ、伝統性などの魅力に興味を持ってもらえるようPRもしていきたい」
―業界へ伝えたいことは。
 「守口漬、奈良漬、粕漬のPRは一社だけでなく、業界単位で行う必要があり、当社からは鈴木会長や私を中心に引き続き参加して参ります。皆様、よろしくお願い申し上げます」
 【青木茂夫新社長の略歴】▼1972年愛知県岡崎市生まれ▼早稲田大学大学院経営管理研究科でMBA取得▼ナイキジャパン社に25年勤務し、ディレクター職、経営会議メンバーを歴任後、2022年に大和屋守口漬総本家に入社。2023年10月に代表取締役社長就任。
【2024(令和6)年1月11日第5150号12面】

大和屋守口漬総本家 

1月1日 新年号 トップ・インタビュー

東京中央漬物株式会社 代表取締役社長 齋藤 正久氏

売上は前期比106・6%で推移
2回目の価格改定を想定
 東京都公認の漬物荷受機関である東京中央漬物株式会社(東京都江東区豊洲)の齋藤正久社長にインタビュー。2023年の振り返りや、24年3月期の業績等について話を聞いた。今期の売上はキムチと沢庵の動きが良く、11月までで前期比106・6%と好調に推移。また、値上げが一巡したことで数量に大きな変化はないものの、値上げによる増収効果が出ている。2024年物流問題については、安定供給を果たすため共同配送の可能性を探る意向を示した。
(千葉友寛)
  ◇      ◇
‐昨年を振り返って。
 「コロナの5類移行で人が外に出るようになり、飲食店や観光関係の動きが戻ってきた。インバウンドも増えてきているが、お土産の購入数は増えておらず、業界でも動きが良いところとそうでないところの差がはっきりとしている。また、人の足が地方に向いていることで地方のSMも良くなってきた。業界の値上げについては一巡し、数量は同じだが値上げした分だけプラスになっている。当社は昨年度の売上が良くなかったが、値上げによって底上げできている流れだ」
‐24年3月期の売上について。
 「昨年の2月から良い数字となり、11月までで前期比106・6%と好調に推移している。数量は大きく変わらないのだが、多くの品目で値上げが実施され、その分がプラスになっていると感じている。あと、飲食関係の業務筋の数字が伸びている。売れているのはキムチと沢庵。キムチは漬物の枠を飛び越えた存在として食卓に浸透している。沢庵は重量が前年の8割となっているものの、金額はほぼ同じとなっており、個食タイプやスライスタイプが増えていることが分かる。一本物はお得感があるが、食べきれないという側面もある」
‐キムチや沢庵以外の動きは。
 「梅干しはトータルで103%と微増している。今年は猛暑と残暑の影響もあり、7月から10月まで動きが良かった。生姜も伸びている。売れているのは紅生姜。夏に冷やし中華や焼きそばが売れたことで数字が伸びた。また、新生姜は引き続き安定した動きとなっている。浅漬も微増となっている。SMでは増えていないと思うが、当社は業務関係の得意先が多いことや野菜高の影響もあってプラスとなっている。総じて言えることは、漬物の需要は落ちてはいない、ということだ」
‐値上げの動きは。
 「海外原料や海外完成品は数回の値上げを実施しているが、国内原料や国内加工品については大体の商品が1回は値上げを実施して一巡した。しかし、その後も包装資材や調味料、電気代などは上がり続けており、4月には物流費も上がる。今の価格では採算が合わなくなる可能性が高く、多くの品目で2回目の価格改定が実施されるものと想定している。小売店との商談については、ベンダーの力も問われている。採算が合わない商売をしても意味がないし、他と同じことをやっていても価格の競争になる。漬物以外の商品を見ても、値上げを数回行っても必要とされる商品は売れ続けている。漬物が必要とされるのか、されないのか。単純に価格を上げる、ということだけではなく、食べる理由や価値をPRしていくことも重要で、漬物は198円や298円でなければ売れない、という固定概念を変えていく努力も必要だ」
‐2024年物流問題について。
 「当社も物流費が上がっていて、大きな問題ととらえている。当社は物流機能がないので、得意先とも話をしていかなければならないのだが、共同配送の可能性を探っていく必要が出てくる可能性もある。物流費が上がることも問題だが、運べる量が減ってしまうことも大きな問題。一社だけで解決できる問題ではないので、安定供給を果たすために協力し合える部分は協力していきたいと考えている」
‐2024年の抱負を。
 「これまでの当社のノウハウを活かして得意先に合う商品をメーカーとともに開発し、新しい商品を作っていきたいと考えている。商品開発と言っても、ただ商品を作るだけではなく、どこの売場で売るのか、売り先も選定するところまで踏み込んでやりたい。SMで売れても市場で売れない商品もある。また、その逆もしかりで、どこから声がかかるか分からないが、社内でも部門の枠を飛び越えて商品会議を行い、必要とされる商品をメーカーとともに作り上げて売場に落とし込んでいきたい。定番商品だけでは数量を増やすことができない。ならばこちら側から『このような商品もある』と提案していく必要がある」
【2024(令和6)年1月1日第5149号3面】

東京中央漬物 電子版「地域セレクション特別会員」
https://www.syokuryou-shinbun.com/pages/1293/

東海漬物株式会社 代表取締役社長 永井 英朗氏

キムチと沢庵が好調で増収
成長見据え世代交代を推進

 東海漬物株式会社(愛知県豊橋市)の永井英朗社長にインタビュー。第82期(2022年9月~2023年8月)を顧みて、第83期期首及び値上げに関する状況などについても話を聞いた。今期は選択と集中をテーマにアイテムの集約を図り、生産性を高めていく方針を示した。また、同社の新役員選任及びグループ会社の経営トップの交代で人事と体制が変わったことについて、次世代の成長を見据えて世代交代を推進していることを明かした。
(千葉友寛)  
  ◇   ◇
 ‐第82期決算について。
 「コロナで巣ごもり需要が増加し、過去最高の収益となった2021年8月期(80期)と比較すると、81期は減収減益となったが、82期は再び盛り返して増収となった。様々なコストが上がっていることもあり、利益については厳しい状況が続いているが、目標とした数字はクリアすることができた。増収となった主な要因としては、下期にキムチが伸長したことが上げられる。6月にテレビで『キムチ』が取り上げられたことや7月の増量企画が追い風となり、月間の売上で見ると7月は過去最高の数字となった。また、キムチに続いて沢庵の売れ行きも良かった。けん引しているのはカップのスライス沢庵」
 ‐83期のスタートについて。
 「キムチは引き続き好調だが、値上げした『きゅうりのキューちゃん』が非常に厳しい状況である。しかしながら数量は大幅に落ちているものの、98円の特売が減って店頭売価が上がっていることを考えれば値上げの効果は出せていると思っている。2月以降は新しいCMを入れたり、販促を行っていく予定だ。上期はまだスタートしたばかりだが、キムチと沢庵が引き続き好調で現時点では売上、利益ともに予算を達成している」
 ‐浅漬の動向について。
 「選択と集中をテーマに、数字が上がっている『ぷち浅漬』シリーズをしっかりと売り込んでいる。また、液なしでそのまま食べてもよし、ひと手間加えておかずになる新ジャンルの浅漬製品の第2弾を3月に発売する予定。この商品は当社の説明不足でコンセプトが伝わらず支持されなかったが、新しい需要の開拓を目指して再挑戦する」
 ‐本漬の動向は。
 「原料価格が上がっている部分もあるが、相変わらず為替の影響が大きい。直近では円高傾向になってきているが、1ドル110円の時と比較するとまだまだ円安である。『きゅうりのキューちゃん』は内容量を減らして価格も上げた。今後はきゅうりを中心に様々な海外原料手当てのやり方も変えていく必要がある。国産大根については、当社では昨年1月に沢庵の価格を約10%上げたのだが、数量は落ちなかった」
 ‐製造コストが上がり続ける中、今後の値上げの動きについて。
 「製造コストに加え『2024年物流問題』は大きな問題だ。漬物でも漬物以外でも日配の共同配送を希望している企業があれば、当社も検討していきたいと考えている」
 ‐原料面と製造面の課題は。
 「価格要因と天候要因の影響が大きくなるが、国内については産地を広げて選択と集中に取り組む。新しい産地については農業に進出する、ということではないが、拡大に向けて動いていく。製造面については人手の部分が大きい。当社では全体の約50%が中途採用。工場もパートの比率が高くなっている。設備投資をすることは可能だが、それを活用できるほどの生産量や人材を確保できるのか、という問題がある。近年は転職がスキルアップにつながるということもあり、ポジティブに捉えられている。そのような意味では中途で人材を確保しやすい環境でもあるということだ」
 ‐今後の戦略について。
 「営業面では売り込みたい商品をしっかりと売っていく、ということ。流通が目まぐるしく変化する中で、売価も含めてしっかりと対応していく必要がある。今期のテーマとしては選択と集中。利益至上主義ではないが、今後の展望が見えない商品は止める、という決断も必要だ。留め型やPBもあるが、最低でもここまでは利益が出ないとやれない、という線引きをしっかりやる、ということ。当社は浅漬の製造を行ったことでアイテム数が増えたのだが、今後はアイテムの集約を図り、生産性を高めていく。不得意な分野の商品については、他社の力を借りてOEMでの供給も視野に入れている」
 ‐御社をはじめグループ企業で新役員が選任され、人事と体制が変わった狙いは。
 「一言で言えば世代交代。私が考えていた計画よりは2年遅れたが、今回の人事で東海漬物の常務が2人退任し、新しく3人の取締役が就任した。グループ会社においては3社の社長が退任し、東海漬物の3人の常務がグループ会社の社長に就任した。いつの時代も同じだが、人の入れ替わりは必ずある。このタイミングを見誤ると大変なことになる。新体制で新たな追い風が吹き、グループ全体の成長につながることを期待する」
【2024(令和6)年1月1日第5149号5面】

東海漬物
https://www.kyuchan.co.jp/

株式会社食料新聞社
〒111-0053
東京都台東区浅草橋5-9-4 MSビル2F

TEL.03-5835-4919(ショクイク)
FAX.03-5835-4921
・食料新聞の発行
・広報、宣伝サービス
・書籍の出版
TOPへ戻る