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データ、法令、告示・通知等2023

京料理「登録無形文化財」 和食文化継承へ市も全力

【大阪支社】昨年11月17日に「京料理」が登録無形文化財に登録された。
 京料理は、京都の地で育まれてきた調理・しつらい・接遇・食を通じた「京都らしさ」の表現そのものであり、日本の生活文化に係る歴史上の意義と芸術上の高い価値を有することが高く評価された。 
 「登録無形文化財」とは、生活文化や芸能、工芸技術などを幅広く保護していくために2021年に新たに設けられた制度。京都市文化市民局では以前から、京料理を未来へ繋ぐための活動を行ってきた。今回の「登録無形文化財」登録を受け、さらなる発信を行っていく方針である。
 しかし、こうした保護活動へ積極的に取り組むのは、京料理を取り巻く環境の変化や担い手不足への危機感の表れでもある。京都市の文化芸術都市推進室文化財保護課の吉田暢宏担当課長は「かつては日常使いとはいかずとも、地元の人たちがお祝いの日などに京料理店を利用していた。近年はその文化が薄れ、観光客が主軸になった。地元の人たちにとって近くて遠い存在になってしまった」と話す。
 この対策として実施している企画の一つが「京料理 親子文化体験事業」だ。市内在住の親子が料理屋で京料理の講演を聞き、実食も出来るイベント。吉田課長は「まずは京料理とは何かを知ってもらうこと。そうすればその後の発信に繋げられるし、就職先の選択肢になることもある」と狙いを語る。
 京都市産業観光局が消費振興策として実施しているのが「京都レストランスペシャル」だ。市内選りすぐりの名店150店以上が参加し、期間限定メニューを特別価格で提供している。
 観光MICE推進室の恵良陽一課長は「食をテーマとした誘客の一つとして成果を上げている。食は旅行の目的として国内・海外客とも上位に位置している」と話す。また同局が外国への京料理発信に繋がる施策として取り組むのが、働きながら技術を学ぶ外国人料理人の受け入れ事業だ。日本料理アカデミー(村田吉弘理事長)との連携により、現在までに24名の外国人料理人を受け入れ、京料理の発信者を増やしている。
 さらに京料理にとって追い風となるのが、今年3月27日より文化庁が京都市上京区へ移転すること。文化庁は「食文化」も振興を目指す文化の一つであるとしており、今後の連携強化が注目されている。
 漬物や佃煮等は、日本の食文化の重要な要素である。京料理の「登録無形文化財」登録や、文化庁の京都移転が、和食業界全体の発展につながることが期待される。
【2023(令和5年)3月11日第5112号2面】

京料理「登録無形文化財」

京都大学 発酵食品が肥満抑制に  腸内環境改善の仕組み解明

 【大阪支社】京都大学の木村郁夫 生命科学研究科教授(東京農工大学特任教授)らの研究グループは、漬物やキムチのような発酵食品に含まれる乳酸菌「Leuconostoc mesenteroides(以下Lメセンテロイデス)」が作る菌体外多糖を摂取することで、腸内環境改善と肥満抑制に繋がることを明らかにした。
 本研究は木村教授、宮本潤基 東京農工大学テニュアトラック准教授、清水秀憲Noster株式会社研究グループ長(京都大学生命科学研究科受託研究員)らによる研究グループによるもの。
 「Lメセンテロイデス」は発酵食品の生産に用いられる乳酸菌の1種であり、糖質を基質として菌体外多糖EPSを生産する。
 これを摂取することで、宿主の腸内環境が変化し、主要な腸内細菌代謝物である短鎖脂肪酸の産生量を増加させ、肥満を防ぐことがマウス実験により明らかになった。すなわち、EPSは腸内細菌の餌となる食物繊維様物質としてプレバイオティクス効果を発揮することを発見したことになる。
 「Lメセンテロイデス」は微生物を直接摂取するプロバイオティクス乳酸菌としていたが、今回、EPSを介して腸内細菌の餌を増やすプレバイオティクス効果も同時に発揮すると明らかになり、シンバイオティクス乳酸菌として働くことが期待できることになった。
 また近年、注目を集めている乳酸菌の代謝産物を摂取することにより健康作用をもたらすポストバイオティクス成分としてもEPSは期待できる。
 近年の食の欧米化に伴う肥満や2型糖尿病などの代謝性疾患患者の増加は社会的な問題となっており、その予防・治療法の確立は急務と言える。腸内環境を制御する食習慣や腸内細菌の代謝産物が、肥満・糖尿病などの代謝性疾患に対する新たな標的として注目される今、ポストバイオティクス成分EPSやシンバイオティクス乳酸菌Lメセンテロイデスは、様々な分野における応用が可能となる。
 なお本研究成果は、2023年1月5日に、国際学術誌「Gut Microbes」にオンライン掲載された。
【2023(令和5年)3月11日第5112号2面】

フジッコ 蒸し大豆摂取で筋機能が向上

筋断面積の変化量と跳躍力の相関性
徳島大と共同研究で証明
【大阪支社】フジッコ株式会社(福井正一社長、神戸市中央区)は徳島大学大学院医歯薬学研究部生体栄養学分野教授の二川健氏との共同研究により、蒸し大豆の継続摂取が運動不足気味の健常人に対して、弱いながらも筋力増強に寄与することが明らかになった。
高齢者や寝たきりの方の骨格筋量や骨格筋機能を維持するために、たんぱく質を補給する様々な食品が利用されている。良質なたんぱく質には同化促進作用があり、筋力や筋パフォーマンスを向上させるのに役立つ。徳島大学大学院医歯薬学研究部ではこれまでに、大豆のたんぱく質が、寝たきりの患者さんの筋量と筋力を増加させるという研究結果を得てきた。
本研究では、運動不足気味のタクシードライバーを対象に、大豆摂取が筋機能に及ぼす影響について検証した。ほとんど運動を行っていない36~71歳の健康な男性タクシードライバー25名を対象とした症例対照研究を実施した。
対象を、毎日の食事(夕食)とともに蒸し大豆50g(フジッコ社製)を30日間摂取してもらう大豆食群(n=13)と、大豆を摂取しないコントロール群(n=12)の2群に分け、大豆摂取前と摂取開始30日後の両群の筋断面積と筋力・筋機能を測定した。
その結果、両食事群の体重の推移には有意な差は認められなかったが、大豆食群における30日間摂取後の筋断面積と握力は、コントロール群と比較して有意に高い値を示した。以上の結果から、大豆摂取は、運動不足のタクシードライバーの筋機能を向上させることが示された。
この研究成果は、日本栄養食糧学会の英文誌「Journal of Nutritional Science and Vitaminology」(68巻6号/2022年12月号)に掲載された。
【食料新聞デジタル30 2023(令和5)年1月30日号】

フジッコ HP
徳島大学 HP

日本フランチャイズチェーン協会 コンビニ統計2022年間集計 年間売上2年連続増

【食料新聞デジタル30 2023(令和5)年1月30日号】

日本フランチャイズチェーン協会 HP
https://www.jfa-fc.or.jp/

国分グループ本社・リンクアンドコミュニケーション 「健康と食、栄養に関する調査」

国分グループ本社株式会社〔本社:東京都中央区、代表取締役会長兼CEO:國分勘兵衛〕は、栄養士をネットワークし、食や健康・栄養に関するコンテンツを発信する、株式会社リンクアンドコミュニケーション〔本社:東京都千代田区、代表取締役社長:渡辺敏成〕の協力のもと、生活者アンケートを実施し、調査レポートを公開した。
アンケートは2015年より毎年実施しており、本年で8年目。「食のマーケティングカンパニー」として、生活者が健康や食事、栄養、調理に関してどのようなことを考え、注目し、行動しているのかを継続的に調べることにより、新規サービスの検討や新たな情報提供手法の模索など、様々な形で活用することを目的としている。今年の調査は主にインターネットにより、2,808名の回答を得た。

調査結果から同社が注目した3つのポイント
1) 食 :食事の準備では微増ながらもパックごはんが伸びる
2)健康:減塩志向者、食物繊維摂取志向者は健康の象徴?
3)その他:ダイエットの実行内容に3年前と大きな変化が!

調査の詳細は資料(PDF)をダウンロードし御覧ください。

【2023(令和5)年1月1日第5116号15面】
国分グループ本社 https://www.kokubu.co.jp/
リンクアンドコミュニケーション https://www.linkncom.co.jp/

2020(令和2)年 都道府県別漬物出荷金額(総務省・経産省 経済センサス)

全国計は約3315億円に
事業所あたり出荷額16%増
 総務省・経済産業省は、2021(令和3)年に実施した「経済センサス」において、2020(令和2)年分の実績数値を発表した。品目別統計表・地域別統計表が12月26日付けで公表され、漬物の都道府県別出荷額及び産出事業所数が明らかとなった。
 それによると、野菜漬物(果実漬物を含む)の出荷金額は3314億5500万円で前年比98・6%となり、3年連続で前年を下回る結果となった。
 事業所数は前年(1183)から178の減少となる1005で約15%減。1事業所当たりの平均出荷額は9年連続増加中。今年は3億3000万円と前年の2億8400万円を約16%上回った。
 10年前(2010年)事業所数は1540で、1事業所当たりの平均出荷額は2億813万円。この10年で事業所数は約35%減ったが、1事業所当たりの平均出荷額は大きく増加している。
 市場がシュリンクしている日本の食品業界では、多様化するニーズや価格競争、原材料価格高騰、後継者不足などの問題に対応するため、M&Aが行われ、寡占化が進む流れとなっている。その波は漬物業界にも顕著に表れている。
 東証プライム上場企業である株式会社ピックルスホールディングス(影山直司社長、埼玉県所沢市)の2020年2月期の売上は、前年から約7億5000万円増の414億円だった。2022年2月期の売上は、グループ会社や惣菜などの売上も含めて10年前(2012年2月期、216億円)の2倍以上となる450億円に上るなど、業績を伸ばしている。
 市場や流通の要求に対応できる企業が限られてきていることも大きな要因だ。全国に展開しているGMSやCVS、大手SMは発注数が多い上に、限られたリードタイム、価格、品質、世界基準の衛生管理、生産能力、物流、人員の確保、原料の安定供給など、リスクを含めた数多くの条件を満たさなければならず、大手メーカーに商品の注文が集約する流れは年々強まっている。
 それでも、漬物は一般的な食品とは異なり、地域で食されている特産品や旬の時期にしか味わえないものなど、大量生産、大量消費、通年供給に不向きな商材も多く、希少性のある付加価値商品として支持されている。近年では、秋田の「いぶりがっこ」や大阪の「水なす」が脚光を浴び、販売エリアを拡大している。
 県別出荷金額では、和歌山が458億7600万円で不動の首位を守った。前年比89・1%と下回ったのは、梅干しの原料不足による値上げや、新型コロナウイルスの感染拡大で土産、外食需要が減少した影響と見られる。2位も引き続き埼玉で、281億1000万円で前年比112・5%と大幅増となった。
 3位は群馬が266億4700万円、4位は栃木の210億310万円と、前年から入れ替わりがあった。5位には、前年6位だった愛知の184億4500万円がランクイン。続いて千葉、広島、長野となった。
 順位の変動は他県との兼ね合いがあるが、純粋に前年より出荷金額が伸びたのは21都県だった。その中で、最も大きく伸びたのは東京都。68億9900万円で前年比198・9%と伸ばし、順位も前年の24位から16位へと大きく上げた。三重県は14億8300万円で前年比161・2%と大幅増。奈良県も前年比144・7%と伸びている。
 出荷金額を事業所数で割った1事業所当たりの平均出荷額では、広島が前年比121%の7億9600万円でトップ。昨年は群馬の後塵を拝したが、平成20年から30年まで君臨してきた首位に返り咲いた。その群馬も同114%と上昇している。続く3位は千葉県で7億5300万円となった。(表・グラフ作成:食料新聞社)
【2023(令和5)年1月1日第5116号7面、食料新聞「デジタル30」2022年12月30日号併載】

タキイ種苗「2022年 野菜の総括」 「野菜の値段が高かった」と感じた人の割合は過去最高

タキイ種苗(瀧井傳一社長、京都市下京区)は、400人の男女を対象に「野菜」に関する調査(インターネット調査)を実施した。
本調査は(2015年~毎年実施)今年で8回目となり、今年ならではの「野菜」の世相を明らかにした。
(一部抜粋)

【調査結果TOPICS!】
■ 食べる機会が多かった野菜は、4年連続で1位「たまねぎ」2位「キャベツ」。
昨年はトップ5圏外になっていた、「きゅうり」が3位、「トマト」が4位に返り咲き。
代わって、「もやし」がランクダウン、「にんじん」「ねぎ」がトップ5圏外になりました。
■「今年は野菜の値段が高かった」と感じた人の割合は過去最高に。
特に高いと感じたのが「たまねぎ」「トマト」「キャベツ」でしたが、これらは高くても買う野菜の上位にも入っています。
「たまねぎ」は価格の高騰からか、購入量が減った野菜でも1位でした。
■ 約8割が創意工夫して野菜を食べているものの、工夫の余地には限界も。
「スーパーで見て安いものを買っている」「もやしなど比較的安価な野菜で補足・代替している」「料理に必要な最低限の野菜のみ買っている」が不動のトップ3。一方、「工夫は特にしていない」が20%を超え過去最高になりました。
■ 2022年4月以降行動制限が緩和されても、一段と慎重な行動を続ける傾向が見られる
「外食の頻度」「外出の頻度」「運動する機会」は増えた人より、むしろ減った人の方が多くみられ、反面「自炊の頻度」「自宅で過ごす時間」「テイクアウト・出前での食事の機会」は増えた人が上回りました。
報道でよくみられる「3年ぶりの行動制限のない〇〇」とは逆の印象です。
■ 約6割が自分や家族がほぼ毎日料理している「内食派」
中食や外食も採り入れながらも自炊しているのは9割に達していて、行動制限緩和された今も自炊頻度はさらに増加傾向にあるようです。そんな内食派が知りたい野菜の情報は「保存のしかた」がトップでした。せっかく買った高い野菜を無駄にしたくない気持ちが表れています。


図2「今年は例年に比べて野菜の値段が高かったと思うか」(N=400)
2022年の「野菜の値段と購入意向」
 コロナ禍が続く中で野菜価格の高騰を実感したのは過去最高の78.8%
コロナ禍に加え、ロシアによるウクライナ侵攻に起因する急激な円安、エネルギー高騰に天候不順が相次いで発生した2022年、日常生活に欠かせない野菜の価格にも大きな影響が及びました。
今年は例年に比べて野菜の値段が高かったと「思う」と答えた人が大幅に増えた昨年の68.1%から10.7ポイント増え、78.8%の人が野菜の値上がりを実感していたことがわかりました。記録的豪雨や猛暑の影響で野菜の価格高騰実感が高まった2018年(77.7%)を上回り、過去最高となりました[図2]。

その他、詳細はタキイ種苗ホームページへ →  https://www.takii.co.jp/info/news_221207.html
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