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コラム2022

【記者の目】1月1日号

我慢はいつまで続く 値上げに踏み切れない日配業界
昨年はガソリン、電気・ガス、サービスをはじめ、食料品も多くの品目で値上げが実施された。この動きは「値上げラッシュ」と呼ばれ、年明け以降も続くと見られている。
食品関連では、食用油、マヨネーズ、小麦粉、パン、パスタ、コーヒー、ハンバーグ、醤油、豆乳、ポテトチップス、麺類、冷凍食品、牛丼など、様々な商品が値上げを公表している。
値上げの主な要因となっているのは原材料価格と物流費の上昇だが、人件費、燃料、電気代、包装資材、添加物など、製造に関するあらゆるコストが上がっており、「企業努力だけで吸収することができない」と説明する企業が大半だ。
元を辿れば新型コロナウイルスが大きなきっかけと考えられるが、人手不足、原油高、穀物の国際相場上昇、コンテナ不足、円安といった影響もあり、一企業はおろか日本だけの問題に留まらない。
「値上げラッシュ」は、製造コストの上昇によるもので、これまでの製品価格では採算割れとなることを示している。それは特定の業態だけではなく、製造に関わる全てのメーカーに当てはまることだ。
客観的に考えても、あらゆる製造コストが上がっている現状で製品価格が維持されている、ということには違和感を覚えるほど、メーカーを取り巻く環境は厳しさを増している。また、HACCP手法に基づいた衛生管理や改正された食品衛生法への対応など、クリアしなければならないハードルは年を追うごとに上がっている。
本紙関連の日配業界の動向を見てみると、原料価格が史上最高値を更新した中国産楽京など、値上げの動きが本格化している品目もあるが、全体から見ればごく一部にすぎない。さらに、値上げの方法も価格改定ではなく、量目調整が主流で、「実質値上げ」や「ステルス値上げ」と呼ばれるものだ。
日配業界が値上げに踏み切れない理由として、「小売店のバイイングパワーが強く、値上げを認めてもらえない」。「売れなくなる」。「競合社に売場を取られる」。「消費者離れにつながる」などが挙げられる。
昨年12月、ある流通大手は2022年3月末までPB商品の価格据え置きを発表し、その他の流通大手もその動きに続いた。これらの対応は小売店グループの過当競争を指摘する向きもある。
昨夏は長雨の影響で白菜と胡瓜の価格が3倍から10倍に暴騰したが、浅漬製品の価格は据え置きで、赤字製造を余儀なくされた。漬物業界では青果市場で行われている変動相場制導入の必要性が叫ばれているが、実現の目途は立っていない。
市場のシュリンクと寡占化は加速度的に進んでいる。原料や人手の確保は今後さらに難しくなるため、商品の安定供給は大きな課題となる。日本は給与水準が過去30年横ばいで、世界基準で見ても物価の上昇率が低い。海外原料については他国に買い負けている事例も起こっており、国産原料はもちろん、これまでのように原料を安く仕入れて安く売る、という商売が成り立つ情勢ではなくなってきている。
寡占化が進むと大手の商品は供給されるが、差別化を図れる地方名産品の衰退につながり、売場の同一化→価格競争の様相となる。メーカーは減少傾向にあり、供給できる企業が限られてくれば、現在の買い手市場から売り手市場に変化していくことも考えられる。
今、値上げができなければいつできるのか。我慢はいつまで続ければいいのか。持続可能な事業になっているのか。企業の思惑や方針は異なるが、取り巻く環境や置かれている状況は同じ。2022年は各企業、各業界にとって未来の行く末を左右する年になるかもしれない。
(千葉友寛)
【2022(令和4)年1月1日第5080号15面】
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