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特集リード2022

<酢漬特集> 健康機能性の価値を訴求

収穫された鳥取県産らっきょう
円安で値上げ機運高まる
 需要期を迎える酢漬への期待感が高まっている。
 気象庁は6日、関東甲信地方で梅雨入りしたと発表。前年(2021年)より8日早く、平年より1日早い梅雨入りとなった。
 梅雨明けは7月中旬と見られ、梅雨明け後は平年以上の暑さになると予想されている。酢漬の売れ行きは気温の上昇に比例するため、売場も熱くなることが期待されている。
 2020年はコロナの影響で巣ごもり需要が大幅に増加し、酢漬製品の売れ行きも大きく伸長。2021年は前年の流れが続き、平年比ではプラスとなった。
 今年に入るとコロナの感染者が減少。「まん延防止等重点措置」が全面解除となった3月22日以降、需要の動きはコロナ前に戻り、内食、中食関連商品の売れ行きは2019年の水準に戻った。
 酢漬も同様だが、小売店における生姜漬の動きは2019年比で10%前後のプラスとなっている。巣ごもり需要の増加で紅生姜を中心に売場が広がり、定着している流れとなっている。
 コロナ禍で高まった健康志向にマッチしたアイテムとして更なる可能性を秘めている。野菜の中で最も多くの水溶性食物繊維を含む楽京は、腸内で乳酸菌のエサとなって善玉菌を増殖させる。
 乳酸菌を摂取する腸活のプラス効果をもたらすことで、免疫力向上や整腸作用が期待できる。ここ数年は家飲みのおつまみとしての需要も増えてきた。
 生姜に含まれる「ジンゲロール」には殺菌作用があるだけではなく、悪玉コレステロール値を下げ、血糖値の上昇を抑える働きがある。また、生姜を加熱すると発生する「ショウガオール」には、傷ついた血管を修復して血流を良くし、動脈硬化を予防する働きがある。酢漬メーカーにおいても機能性表示食品として販売するケースが増えており、健康イメージは高まっている。
 酢漬市場を支える海外原料の動向は、製造コストや物流費の上昇、ウクライナ情勢の影響による海上輸送の混乱、輸入に不利となる円安の進行など、問題や課題が山積している。
 楽京は昨年産の原料価格高騰と製造コストの上昇を受け、今年4月から量目調整を行った。だが、その時は為替が加味されていなかったため、8月~9月を目途に円安分の価格転嫁が行われる見通しだ。
 2019年と2020年の原料価格が上昇するも、コロナの影響で主要な取引先である外食産業が大きなダメージを受けたこともあり、値上げのタイミングがバラバラとなった業務用生姜も為替の影響が大きく、年内に値上げを実施する機運が高まっている。
 酢漬市場を取り巻く環境は厳しさを増しており、適正価格での販売が急務であることに加え、商品の安定供給はより重要なポイントとなってくる。品質の維持、向上もさることながら、「健康」に寄与する素材であるということを再認識し、業界を挙げてその価値を訴求していく必要がある。
(千葉友寛)
【2022(令和4)年6月11日第5096号1、5~8面】

<わさび関連企業特集>

 わさび関連メーカー各社では、コロナ禍により観光土産や業務用販路の売上が減少する中、新たな取組を進めている。新商品開発では、わさびの可能性を広げるユニークな商品が続々登場。バーベキュースパイスや、アジアンテイストの調味料までその顔ぶれは多彩だ。4月に開催された漬物グランプリでは、田丸屋本店の「かつおのUMAMIわさび」が金賞を受賞。薬味として使用されることが多い「わさび」を、日常的に食卓で楽しんでもらえるようかつおだしをきかせて旨味たっぷりに仕上げた。また、地元食材を使用した商品開発も活発。静岡産わさびの他、浜松産エシャレットや遠州産メロンを使用したキムチも登場している。ようやく感染状況が落ち着き、観光土産や業務用販路に回復の兆しが見えてきた。海外観光客の受け入れも再開される中、わさび関連商品の売上アップに期待がかかる。
(藤井大碁)
【2022(令和4)年6月11日第5096号9・10面】

<深谷特集> 「野菜のまち」に新名所

深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム
 「野菜のまち」として知られる埼玉県深谷市に5月29日、新名所「深谷テラスヤサイな仲間たちファーム」がオープンする。
 同ファームは、埼玉県深谷市が進めている「花園IC拠点整備プロジェクト」の一環として、キユーピー株式会社(髙宮満社長、東京都渋谷区)が開業する複合型施設。「野菜にときめく、好きになる!みんなの笑顔を育むファーム」をコンセプトに、体験農園やマルシェ、レストランなどが設置される。
 5月29日のオープニングセレモニーには、キユーピーの髙宮社長、深谷市の小島進市長らが出席。地元の子どもたちを招待して「旬のヤサイ引っこ抜き」セレモニーも行われる予定だ。
 深谷市は昨年、NHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一の出身地として注目が集まり、渋沢栄一記念館や旧渋沢邸「中の家(なかんち)」といった関連施設が人気の観光スポットとなった。渋沢栄一は2024年より新一万円札の肖像画として描かれることが決まっており、まだまだ渋沢フィーバーは続く。
 多くの漬物メーカーが点在し〝関東一の漬物処〟としても知られる深谷市。漬物、油揚げ、蒟蒻など伝統食メーカーの取組を取材した。
(藤井大碁)
【2022(令和4)年5月21日第5094号1、4面】

<食品関連資材機器特集> 求められる省力化・省人化

ifia JAPAN 2022の会場
新たな食ビジネスを創出
 原材料価格に加え、原油価格、電気代、物流費、包装資材、調味料など、製造及び供給に関するあらゆるものの価格が上昇し、企業の経営環境は厳しい状況が続いている。また、輸入原料や輸入製品については、円安の影響も大きく、価格転嫁の動きが活発となっている。
 現在、全ての業種に求められているのが省力化・省人化。人手不足という大きな課題も抱える中、機械化を図って労働力を省き、コスト削減を目指す動きが一段と強まっている。
 このような状況下において、安全性、生産の効率化、品質の維持や向上は、より高いレベルで要求されている。そこで注目されるのが時代のニーズに対応しながら進化を続ける食品関連資材機器だ。5月18日~20日に東京ビッグサイトで開催された「第27回ifia JAPAN 2022」(国産食品素材/添加物展・会議)では、食品素材・食品添加物の最先端の情報が発信された他、サスティナビリティやSDGsに関係する機能性素材などが幅広く紹介。2万2697人が来場し、好評を博した。
 また、省人化、自動化、無菌化、ロボットやAI、食の衛生管理など食シーンの多様性に応える最先端の製品・技術・サービスを集結した世界一の食品製造総合展として、「FOOMA JAPAN 2022(国際食品工業展)」が6月7日から4日間、東京ビッグサイトで開催される。
 同会場での開催は3年ぶりとなり、出展社数は過去最多の865社。あらゆる角度からの提案で新たな食ビジネスの創出が期待されている。
【2022(令和4)年5月21日第5094号1、5~7面】

<漬物の素・夏の甘酒特集> 優れた健康機能性を訴求

サミット湯島天神南店の漬物の素売場(3月撮影)
ぬか床で食品ロス削減へ
 コロナ禍で健康志向が高まり、キムチ、ヨーグルト、納豆などの需要が大幅に増加した。これらの商品に共通しているのが「発酵食品」であること。発酵食品であるぬか床も同様に需要が増加し、市場も拡大した。
 ここ2年は売れるべくして売れた、と言っても過言ではない環境だった。2020年と2021年は新型コロナウイルスの感染拡大で巣ごもり需要が増加。これまで主婦の利用が多かったがぬか床だが、初心者も含めて若い女性や男性など幅広い世代の利用者が増えた。
 健康志向の高まりも追い風となった。感染の予防効果などが期待される乳酸菌がクローズアップされ、乳酸菌を含む食材や食品、飲料の需要が増加した。ぬか床で野菜などを漬けたぬか漬は直物性乳酸菌をはじめ、ビタミンB群やミネラルなど多くの栄養素を摂取できる発酵食品であることがメディア等を通じて広く紹介され、認知度が向上。全国的に大きな天候の影響がなく、野菜価格が安定していたこともプラスの要因だった。
 家庭で残った野菜をぬか床で漬ければ捨てずに食べられるため、食品ロス削減に貢献できることも魅力だ。食品ロスやSDGsへの関心が高まる中、「ぬか床」は家庭において心強い味方となる。
 今年は2020年、2021年の反動減が見られるが、コロナ前の数字より大幅な上昇を見せており、ぬか床市場の底上げになっている。今後は、利用の継続と新たなぬか床利用者の獲得が課題だ。
 奈良漬をはじめ、わさび漬やからし漬などにも利用される酒粕は、ここ2年間は業務筋への出荷が厳しい環境にあったが、今年は観光業に復調の兆しが見えており、期待が高まる。
 また家庭用では簡便化の波が訪れている。練粕を小容量化したものや、より軟らかくペースト状にした酒粕や吟醸粕をチューブ容器に詰めたものなどが各社から発売されている。粕漬だけでなく粕汁や甘酒作りにも便利だ。
 価値が見直されているぬか、酒粕、漬物の素だが、懸念点となるのが原料の高騰。ぬかは、米の消費減に応じて生産量が減少。また大豆粕など輸入に頼る他の飼料穀物の価格高騰に引っ張られ、ぬかの価格もここ2年間で4割ほど上昇している。
 酒粕も、未だ日本酒の消費量はコロナ以前の水準に戻っていない。特に近年は吟醸酒の人気が高まり、漬物用に適する水分の少ない普通酒の粕は減少の一途を辿っている。その他、塩や糖類、調味料や包材などの値上げも、漬物の素製品の原価に大きく影響。各社では秋口を目途に価格転嫁の動きがありそうだ。
 夏の売場でも定番となっている甘酒は、ブームとなった2016年ほどの勢いはないものの、「飲む点滴」と言われるほど高い栄養価があり、熱中症対策や夏バテ防止のアイテムとして支持されている。濃縮タイプは水などで割って甘酒にする他、調味料としての使用やスイーツの生地に混ぜ込むなど、幅広い用途で利用されている。
 コロナの影響に加え、高齢化社会を迎えている日本において健康志向は高まり続けることが予想される。発酵食品であるぬか床を主軸する漬物の素や甘酒は、優れた健康機能性を訴求できることが大きな強みであり、魅力だ。
 それぞれの素材は市場をさらに拡大するポテンシャルを有しており、これからの展開が注目される。
(千葉友寛、小林悟空)
【2022(令和4)年5月16日第5093増刊号1・4~6面】

<茄子特集> 初夏の彩りで季節感を演出

 漬物売場では初夏の訪れとともに茄子漬のアイテムが拡充。季節感を演出する商材として売場を彩っている。
 姿物を中心に、蓋を開けるだけで食べられる簡便性の高いカップ製品、サラダ感覚で食べられる皮むきのカットタイプやスライスタイプ、他の素材を合わせたミックスタイプ、一口タイプの小茄子など、幅広いアイテムがラインナップされ、多様なニーズに対応している。
 2020年と2021年は巣ごもり消費の増加に伴い、漬物全体の需要も大きく伸長した。2020年の茄子漬は需要期である5月から9月に大幅に需要が増加。2021年は前年の反動減で前年より減少する品目が多い中、茄子漬は通年で見ても前年並みで推移。コロナの影響がなかった2019年の需要期との比較では約20%増となっている。季節商材としての魅力が改めて実証するとともに、消費者に広く支持されていることを示した。
 気象庁の全般暖候期予報(3月~8月)によると、6月から8月の平均気温は、北日本を除き平年並みまたは高い確率がそれぞれ40%となっており、暑い夏になると予想されている。気温の上昇は茄子漬の売れ行きに連動するため、需要期に向けて大きな期待が寄せられている。
(千葉友寛)
【2022(令和4)年5月16日第5093増刊号1・10面】

<キムチ浅漬特集> 消費動向が大きく変化

価格ではなく価値の訴求を
 3月21日をもって新型コロナウイルス対応の「まん延防止等重点措置」が全面解除され、消費の流れも変化した。
 2020年1月に日本で初のコロナ感染者が確認されて以降、巣ごもり消費が拡大し、内食、中食の需要が増加。感染者は急激な落ち込みにはならないものの、徐々に減少しており、その動きに連動するように人出が増えて外食や外出が盛り返してきている。そのため、3月以降、内食、中食の需要は減少傾向となっている。
 コロナ禍で最も伸長したカテゴリーであるキムチは、乳酸菌を豊富に含む発酵食品の代表格として認知度が高まり、特需的な動きとなった。料理素材として幅広く利用できる汎用性の高さや賞味期限の長さも魅力で、家庭における常備菜としても支持された。
 だが、昨年は一昨年の数字には届かないため、売場では売上確保のため価格競争の様相となっている。それでも、コロナ前の2019年比ではプラスとなっており、裾野は確実に広がっている。消費者の健康志向は今後も高止まりすると見られ、価格ではなく価値の訴求が望まれている。
 旬の野菜で季節感を演出する浅漬売場では、夏野菜の代表格でもある胡瓜と茄子を中心とした売場が形成されている。また、オクラやブロッコリー、いんげんといったサラダ感覚で食べられる新しい素材の商品が定着し、新しい需要を創出している。
 コロナ禍においては、家飲み需要の増加に伴い、「おつまみ」や「食べきり」、簡便性といったニーズにマッチした少量タイプの売れ行きが好調だったが、今後の消費動向は不透明。コロナ感染者の増減で大きく変化する消費ニーズに柔軟に対応していくことが重要となりそうだ。
(千葉友寛)
【2022(令和4)年5月6日第5092増刊号1~4・10面】

<宮崎特集> 宮崎県伝統食品業界の現状と課題を知るアンケートを実施

間もなく旬を迎えるらっきょう畑
 宮崎県は、全国屈指の農業県だ。きゅうり、ピーマン、ミニトマト等の生産量は全国でもトップクラスを誇る。また、日本一の生産量を誇る干し大根、らっきょうなどを始め、漬物の生産県としても知られる。漬物出荷額は県全体で約82億円(2019年工業統計)あり、全国14位に位置している。
 その漬物製造業も、近年はコロナ禍による売上減少、原料調達、諸経費の高騰による製品値上げ、人員の確保など多くの課題が存在する。本紙ではそれらの課題について、宮崎県内の伝統食品業界にアンケートを実施した。
 コロナ禍により売上減少等の影響を受けた仕向け先としては、業務用、土産用が最も大きく、全体で15%程度の減少。最も影響が大きかった企業は50%以上のダウンも見られた。
 原料の確保については、沢庵用大根など自社栽培で確保する道筋を立てる企業がある一方、農家育成のため値上がりした農薬分を負担したり、良質な大根には報奨金を支払うなどの努力も見られる。らっきょう原料では、契約外での買い付け量が農家には分からないため、作付の時からメーカーと生産者の連携を求める声があった。
 調味料、プラスチックなど石化原料、光熱費等の高騰により製品値上げを実施し、また今年中に実施する企業もある。
 人員確保については、コロナ感染または濃厚接触者での休業、外国人実習生の補充がきかず、労働力不足が継続している。その一方、新卒者の採用や、人件費のアップを抑えるため新規募集を控えるなどの対策を行う企業もあった。
 コロナによる売上減に対しては、新たな販路開拓に取り組む企業も多く、また行政による補助金の積極的な利用も見られ、それぞれの特色を生かすため、困難な時代を乗り切る努力も見られる。それら宮崎県の有力企業を特集した。
(菰田隆行)
【2022(令和4)年5月6日第5092増刊号1、6~7面】

<漬物グランプリ2022特集> 全漬連 金賞以上確定の16品を発表

 全日本漬物協同組合連合会(野﨑伸一会長)は13日、「漬物グランプリ2022」の法人の部において、金賞以上の受賞が確定した16品を発表(別掲)した。全国の名産品、特産品、オリジナリティー溢れるこだわりの漬物が揃い、この16品の中からグランプリ1作品(農林水産大臣賞)、準グランプリ各部門より1作品(農林水産省大臣官房長賞)、地域特産品特別賞(1作品)が選出される。なお、上記3賞以外の12作品は金賞となる。
 各賞の結果は、4月29日に東京ビッグサイトで開催される第15回ホビークッキングフェア2022内で行われる「漬物グランプリ2022」特設ステージでの表彰式にて発表される。
 法人の部は「本漬部門」と「浅漬・キムチ部門」の2部門で、応募総数は106作品。1次審査は3月上旬に全国5ブロックで実施し、通過した本漬部門29品、浅漬・キムチ部門19品の計48品が3月28日に2次審査(決勝審査)として審査された。
 法人の部は東京家政大学院客員教授の宮尾茂雄氏を審査委員長とした6人の審査委員で審査を実施。個人の部では、全漬連の野﨑会長を含めた7人が審査委員を務めた。
 漬物グランプリ2022の2次審査に向けて野﨑会長は、「漬物グランプリを通して漬物の消費拡大に、結び付けたいと考えている。そういった意味では、審査委員の方には市場性も考慮して審査をお願いしたい。味の嗜好や量目、価格帯などをトータルで見ていただき、グランプリを受賞した作品が市場をけん引していくような形になることを望んでいる」とグランプリ作品への期待を語っている。
 審査方法は審査委員による書類・実食による審査。テーブルや椅子のアルコール消毒、手指消毒、検温、マスク着用などの新型コロナウイルス感染予防対策がとられた中、①彩り(見た目・ネーミング・考え方)、②素材の性質(機能性・地域性・時代性)、③味覚(味・香り・食感)、④安全性(生産・製造工程)、⑤販売価格(コストパフォーマンス)の5項目を各10点満点で採点。得点数を集計した後、審査委員による合議を行い、各賞を選出した。
 宮尾審査委員長は、「各社とも機能性や地域性を考慮した漬物を作っていて、時代のニーズに応じた工夫をしていると感じた。皆さんはプロなので、味については甲乙つけがたいものがあったが、関東や中部の漬物が目立っていた印象だ」と審査の感想を語った。
 なお、1次審査通過作品は「銀賞」以上が確定し、受賞ロゴが授与される。また、グランプリ、準グランプリ、地域特産品特別賞、金賞についても、それぞれ受賞ロゴが授与される。
 【法人の部・最終審査審査委員】(敬称略)
 ▼審査委員長:宮尾茂雄▼審査委員:桶谷茂守(有限会社セレンディブ)、原田ひ香(小説家)、松岡寛樹(高崎健康福祉大学)、武藤麻実子(日本食糧新聞社新製品事業部月間食品新製品トレンド編集長)、堺谷徹宏(グルマン・ゴーズ・トゥ・トウキョウ株式会社代表取締役)※個人の部の審査委員は上記の6人に野﨑会長を加えた7人で構成
 ※漬物グランプリ2022特集は電子版及び、「おいしい新聞 食料新聞社Ⓡ」(フェイスブック、インスタグラム、ツイッター)で順次アップしていきます。
【2022(令和4)年4月21日第5091号1、6~10面】

全漬連 HP

<泉州水なす漬特集> 30億円超で成長続く

丸々とした水なす
出だしは寒波と燃料高が影響
 大阪を代表する漬物、泉州水なす漬。水なすの皮は薄く柔らかくアクが少なく、みずみずしい果肉には甘みがあり、生食することもできる。りんごのような甘みを持つため元は「蜜ナス」と呼ばれたとする説さえある。他の茄子では代替できない唯一無二の茄子だ。
 かつてはローカル漬物だった水なす漬だが、いまや全国から引き合いのある存在となり、大阪府漬物事業協同組合(林野雅史理事長)の会員各位は「大阪の宝」と呼ぶほどだ。新型コロナウイルスの流行下でも、水なす漬は家飲み需要を受け好調に動いた。
 大阪府がまとめた「大阪府の農業データ」によれば、平成26年の水なす栽培面積は44haだったのが、令和元年には47haに増加。収穫量は3489tに上る(泉佐野市、岸和田市、貝塚市の合計)。粗生産額は10億円超、漬物加工を含めた総販売額は30億円超と推計される。
 今年の原料動向に目を向けると、鈍い滑り出しとなった。この時期はハウス物が主力となるが、厳しい寒波が続いたこと、そしてハウス内を加温するための燃料が高値となったため原料供給が少なく、価格も1個当たり10円以上高騰したためだ。栽培面積等は前年並であり、気温が上昇してきた現在は正常化しつつある。天候の影響を受けやすく、泉州地域以外の土壌では品質が保てない非常に繊細な素材であることは、販売拡大の障壁になっている。しかしそれゆえに、希少性・地域性が保たれ、地位を向上させた面もあるだろう。
 今回の特集でも、品質にこだわりを持つ泉州水なす漬メーカーを紹介する。
 (大阪支社・小林悟空)
【2022(令和4)年4月21日第5091号1、4・5面】


<調理食品特集> 地域密着で炊き上げる

クルミ甘露煮の製造(東京都大田区の丸安商店)
SDGs推進が若年層開拓の鍵
 佃煮・煮豆・惣菜を始めとした調理食品業界では、コロナ禍の影響により、業務用や土産物ルートが引き続き苦戦を強いられている。一方、量販店向けは堅調で、ご飯のお供として売場で安定した動きを示す。
 足元の課題となっているのが製造コストの上昇だ。原料・包材・燃料費・物流費など様々なコストが高騰し、他の食品業界同様に値上げの動きが広がっている。本紙が4月5日~8日にかけて実施した「値上げ動向」に関するアンケート調査には佃煮煮豆メーカーより30件、惣菜メーカーより29件の回答があった。
 それによると佃煮煮豆メーカーでは37%がすでに値上げを実施、57%がこれから実施する予定と回答。惣菜メーカーでは52%が値上げを実施、48%が実施予定と回答した。惣菜メーカーの値上げ実施率は予定も含めると100%に上った。また市販用の値上げ幅では、佃煮、煮豆が6~9%、惣菜では6~9%と10~14%が最も多かった(アンケート詳細は11面掲載)。調理食品業界では、大手メーカーが6月1日より市販用製品の価格改定を発表しており、これから本格的に値上げの動きが進んでいくとみられる。
 こうした状況下で、各メーカーが力を注ぐのが商品力の向上だ。単に値上げを実施するだけでなく、より価値ある製品づくりを目指し、美味しさや使いやすさの他、減塩や低糖質といった健康性の面でも取組を進めている。また新商品開発も活発で、内食需要に対応したおつまみ製品やスイーツ製品など佃煮煮豆の枠組みを超えた新しい商品が生まれている。
 もう一つの流れが地域密着型の取組だ。コロナ禍により業務用や土産物が苦戦する中、地元消費者へ販売していく重要性が再認識された。直売店の強化や、地域イベントへの参加により、佃煮煮豆ファンを拡大していく地道な取組が求められている。
 元来、佃煮は苦労して獲った魚介類を無駄にしたくないという漁師たちの知恵から生まれた保存食で、フードロスを減らすサステナブルフードの先駆けと言える。地域密着型の取組と共に、こうしたストーリーを発信し、SDGsを推進していくことが、課題となる若年層の開拓にも繋がっていく。
(藤井大碁)
【2022(令和4)年4月11日第5090号1、4~11、14面】

<栃木特集> 酢漬生産量が日本一

食卓の名脇役を供給
 栃木県は2019年の都道府県別漬物出荷金額で全国3位。1事業所当たりの出荷額も6億3800万円で全国3位。酢漬生産量日本一を誇る漬物生産県として需要を支えている。
 外食産業は人流が戻ってきたことで回復傾向にあり、がりや紅生姜などの業務用も復調してきている。また、テイクアウトの定着でミニパックの需要が増加しており、全体的な生産量は戻りつつある。
 中国国内の電力不足やゼロコロナ政策によるロックダウン、海上輸送に必要なコンテナ不足など、工場の稼働停止や物流などの問題があり、中国製品の輸入は不透明な部分が多くなっている。そのため、安定供給に加えて安心安全を訴求する国内製造の需要が増える流れとなっている。
 小売店向けの商品も冬休み、春休みと長期休暇があったことで、巣ごもり需要が伸長。家庭で簡単にできる粉もんメニューが増加し、紅生姜や新生姜は好調な売れ行きとなっている。
 生姜と楽京は海外産原料を使用した普及品と高付加価値の国産製品ですみ分けされているが、4月から原料原産地表示が完全義務化となり、国産原料や国産製品への切り替えを求める声が増えている。各メーカーでは幅広いアイテムをラインナップし、異なるニーズに対応している。
 寿司や焼きそばなどに欠かせない酢漬を製造する栃木県は、浅漬、茄子漬、唐辛子など、素材や地域性を生かした商品も作っている。食卓の〝名脇役〟を供給する各社の商品と取組を紹介する。
(千葉友寛)
【2022(令和4)年4月11日号1、12~14面】

<塩特集> 燃料高騰で値上げの年に

製法の理解広め地位向上を
人間の健康を守る必須ミネラルである塩。調味料としてはもちろん、防腐作用や脱水作用など様々な役割を持ちあらゆる食品に利用されてきた。
このように食の根幹を成す塩だが、今年は値上げの年となった。概ね㎏あたり8~10円程、約2割という大幅値上げとなった原因は製造諸コストの上昇、特に燃料の高騰にある。
日本では海水塩が主に利用される。海水は容易に手に入る分、製品価格は製造コストに左右される。海水から塩を取り出すには莫大なエネルギーを要するため、燃料の高騰は痛手となり、各社とも企業努力による吸収は不可能と判断した。
燃料に関し、もう一つ課題となっているのが脱炭素への社会的要請だ。各社、また業界団体では、エネルギー使用量を抑えるだけでなく、発生したCO2を別の物質に変換し活用する方法などが検討されている。どの方法にしても新たな投資は必須であり、その資金確保を見据えた値上げ、という面もある。
政治的要因もあり、燃料相場は今後も不安定になり塩業界にとって厳しい環境となる見通しだが、今回の価格改定を、塩の価値を再発信する機会と捉えることもできる。
日本の塩は高度な技術によって異物や汚染が極めて少ないこと、製法によって味わいや粒度が異なり適する用途が違ってくることなどを理解してもらうことが、価格改定へ理解を得るために必要であり、塩の地位を高めることにも直結していくと言える。
今回の「塩特集」では各社・団体こだわりの塩や塩関連製品を紹介するとともに、塩の啓蒙活動や、脱炭素への取組について紹介する。
【2022(令和4)年3月21日第5088号1、8~11面】


<梅特集> 梅業界に〝神風〟が吹く

個包装で新たな市場を創造
やや低調だった梅干の売れ行きが復調の兆しを見せている。
紀州梅は2019年と2020年が不作となったことで原料価格が上昇し、実質的な値上げを余儀なくされた。そのため、この2年の間に主力商品の量目は140gから120g、110gと減り、量販店などの売場では割高感が出てしまったことで苦戦を強いられた。
さらに、2019年から大きな問題となったのが量販店などで普及品の位置付けとなる低級品の原料価格も大幅に上がったことで、買い求めやすい紀州南高梅の商品が売場からなくなったことも要因とされる。
かつては売れ筋商品で販売量も多かった「つぶれ梅」は売場で見られなくなった。「つぶれ梅」の原料価格が上がり、価格の優位性を打ち出せる商品を供給することができなくなっている。かつては取り合いをしていた低級品の原料だが、現在は購入できるものの高値安定となっていることが大きな課題だ。
梅干の売れ行きは微減傾向だったが、紀州では2021年産の作柄が豊作型になったことで原料の価格、在庫量ともに落ち着き、増量企画や特売などの販促を実施することができるようになった。それらの動きが広がったことで昨年の秋以降、前年同月比で微増傾向が続いている。
メーカーによっても異なるが、全体的な動きを見ると量販店では微増から微減で堅調となっているが、観光土産や業務用は回復しきれておらず、梅干産業としては前年の数字には追い付いていない状況だ。
だが、今の梅業界には〝神風〟のような追い風が吹いている。紀州田辺うめ振興協議会は18日、梅干を製造する時にできる副産物「梅酢」から調製される「梅ポリフェノール(略称‥UP)」が新型コロナウイルスに対して阻害効果を持つことを確認したと発表した。新型コロナウイルス感染症への治療方法や投薬が確立しない中、新たな機能性の科学的なエビデンスが発表されたことで、梅製品への注目度は高まっている。
また、夏の天候にも注目だ。気象庁が2月25日に発表した6月~8月の天気予報によると、暖かい空気に覆われやすいため、北・東・西日本は「平年より高い」としている。今年の夏は例年以上の猛暑が予想され、「熱中症予防には梅干」という意識が高まれば需要が飛躍的に増加する可能性もある。
北京冬季五輪でも梅干が話題となった。カーリング女子ロコ・ソラーレの「もぐもぐタイム」で、中田食品が製造する個包装の梅干が食べられるシーンが大きな注目を集めた。
新型コロナの感染予防や衛生面での利点もある個包装は持ち運びが便利で、国内外問わずいつでもどこでも手軽に梅干を食べることができ、新たな市場の創造が期待される。今回の梅特集では各社の個包装商品を中心に改めて梅の魅力に迫った。
(千葉友寛)
【2022(令和4)年3月21日第5088号1、2~7面】

<群馬特集> 盛り上がる〝群馬グルメ〟 県内メーカーと組合が食育活動

家庭科用副教材『日本の伝統的な食について』
〝群馬グルメ〟が盛り上がっている。この一カ月だけでも、『マツコの知らない世界~群馬ラーメンの世界~』、『出没!アド街ック天国~群馬高崎~』、『秘密のケンミンSHOW~熱愛けんちん汁の謎に迫る!~』といった人気番組で続々と群馬グルメが紹介されている。
特に『出没!アド街ック天国』では高崎市の魅力をたっぷりと放送。東日本一の梅産地である箕郷梅林・榛名梅林の他、パスタや焼きまんじゅうといった群馬グルメが登場した。
県内の食品メーカーの取組も活発だ。新進とやまうでは漬物業界の活性化や福神漬の消費拡大のため食育活動で連携。小学校5・6年生向けの家庭科用副教材『日本の伝統的な食について』を共同制作し、群馬県と東京都の小学校約83校に1万部程度を配布した。
また群馬県漬物工業協同組合(武井均理事長)でもこの度、漬物文化の訴求や食育を目的としたPR動画を作成。作成した動画は3月下旬に組合ホームページにアップされる他、ユーチューブでの配信も予定しており、若い世代への漬物PRにも繋げていく。
全国2位の生産量を誇る〝群馬の梅〟の人気も上昇中だ。昨年、高崎市の名店がパスタの味を競い合う大会「キングオブパスタ2021」にて、カリカリ梅を使用したクリームパスタを出品したイタリア料理店「カーロ」が優勝。さらには、カリカリ梅をタルタルソースに使用した竜田バーガーがハンバーガーチェーン『ファーストキッチン』から3月中旬より期間限定で発売されるなど、料理素材としてのカリカリ梅の使用が増加している。
群馬県の梅メーカー5社で組織する「うめのわ」では1月22~23日に県内で開催された「第5回全国ウメ生産者女性サミット2022」に参加。シンポジウムでは県内の梅生産者と群馬の梅のブランド化などについて貴重な意見交換が行われた。
(藤井大碁)
【2022(令和4)年3月11日第5087号1・6~8面】


<東京特集>流行やトレンドの発信地 アンテナショップ巡りで旅行気分

年明けから新型コロナウイルスの感染者が急激に増加したが、新規感染者は緩やかに減少している。感染者の増減によって需要の流れも一変するが、巣ごもり消費は定着してきており、小売店の売れ行きは堅調となっている。また、外食も感染者の減少とともに回復傾向にあり、感染対策を徹底しながら生活する新しい様式が日常化してきている。
東京都によると2月1日現在の東京都の人口は、推計で1398万485人。世帯総数は723万3481世帯(参考値)といずれも減少傾向にあるが、世界を代表する都市の一つであり、新たな「日本の台所」と呼ばれる豊洲市場も開場から4年目を迎えるなど、日本最大の消費地としての影響力と底力は健在だ。
流行やトレンドの発信地でもある。銀座・東銀座・有楽町周辺では、各道府県のアンテナショップが並び、各地の名産品などを販売。コロナ禍で旅行や帰省ができない人も多い中、地方の特産品が揃う「アンテナショップ」を巡って旅行気分を味わう人が増えている。
東京にも他地域に負けない特産品がある。江戸時代まで起源を遡るべったら漬や江戸甘味噌、江戸の佃島が発祥とされる江戸前佃煮、江戸東京野菜・練馬大根を用いた練馬沢庵など、伝統の技術や製法で作られてきた名品を今に伝えている。東京特集では、〝東京ブランド〟の商品を広く紹介する。
【2022(令和4)年3月1日第5086号1・2・3・6面】


<SMTS特集>SDGsに食で貢献 漬物・佃煮はサステナブルフード

甲州小梅の干し作業(山梨・長谷川醸造)
「第56回スーパーマーケット・トレードショー(SMTS)2022」、「デリカテッセン・トレードショー(DTS)2022」(主催:一般社団法人全国スーパーマーケット協会)、「第17回こだわり食品フェア2022」(主催:一般財団法人食品産業センター)が16日~18日まで、幕張メッセ全館で開催される。
昨年同様にコロナ禍の開催となる今回も、徹底した感染対策の下、新しい生活様式に対応した商談展示会として実施される。
出展者数は1711社・団体、3029小間(1月15日現在)。今回も全国各地から自治体や地方金融機関等の取りまとめにより、1200社以上の地域産品メーカーが出展。海外からは6カ国、69社・団体、70小間が参加となる。
主催者企画では、「美と健康×食」、「サステナビリティ×食」の2つのトレンドテーマを打ち出した「食のトレンドゾーン」を新設。来場者に最新のトレンド情報と商品を紹介する。
近年、環境問題への関心の高まりにより世界的な潮流となった「SDGs(持続可能な開発目標)」。今回のSМTS、DTSにおいても、サステナブルフードや環境配慮型容器といったSDGsに対応する商品の提案が積極的に行われる予定だ。

三河伝統の本はぜ甘露煮(愛知・平松食品)
SDGsという観点では、伝統食品である漬物や佃煮も、食品を無駄なく食べようとする先人達の知恵から生まれたサステナブルフードと言える。漬物は漬けるという技法で、佃煮は炊くという技法をそれぞれ用いて、主に野菜や魚介類の保存性を高め、長きにわたり、食品ロス削減に貢献してきた。
最新のフードテックを駆使した食品に注目が集まりがちだが、日本には世界に誇る食文化が昔から存在し、日本各地の気候や風土に合わせて伝承されてきたことを忘れてはならない。SМTSは、まさにそのような地域に根付いた色とりどりの食に出会える場所だ。
今回もSМTSのメーンテーマとなるのが〝創ニッポン〟。全国各地の魅力的な産品を紹介することで、地域の活性化を図り、食を通してSDGsへ貢献していく。
【2022(令和4)年2月11日第5084号1~13面、18~20面】

<漬物の素特集>『ぬか床』で家庭の食品ロス削減 残った野菜を漬けて食べる

かぶのぬか漬(つけもと提供)
「ぬか床」が家庭での食品ロス削減に貢献する。その方法は、残った野菜を「ぬか床」で漬けるだけ。食品ロスやSDGsへの関心が高まり、世界的に地球環境等の問題が重要視される中、「ぬか床」が心強い味方となる。
食べられるのに捨てられる食品「食品ロス」は、食品メーカーやスーパーマーケットで多く発生していると思われているが、農林水産省及び環境省の「令和元年度推計」によると、食品ロス量の約半分(261万t)は家庭から発生している。
日本での食品ロスは年間570万t(令和元年度)と推計されており、日本の人口1人当たりの食品ロス量は年間約45㎏。日本では、家計における食費は消費支出の約4分の1(総務省「家計調査2020年」)を占めている。
また、世界の食料廃棄量は年間約13億tで、人の消費のために生産された食料の約3分の1(国連食糧農業機関「世界の食料ロスと食料廃棄(2011年)」)が廃棄されている。食品ロスは日本だけではなく、世界規模の問題となっている。
その問題の解決策の一つとして提案したいのが「ぬか床」の活用だ。野菜は日持ちが短く、冷蔵庫でも長期間保存しておくことはできないが、「ぬか床」にすれば栄養豊富で美味しいぬか漬にして食べることができる。また、「発酵」によって保存期間を長くさせることができ、ロングライフの要素も併せ持つまさにスーパーアイテムだ。
ここ数年、「ぬか床」の需要は上昇している。コロナ前の2019年頃から家庭で手軽にできる趣味として利用する人が増加。2020年はコロナの影響によって巣ごもり消費が増加し、おうち時間が増えたことによって「ぬか床」の需要が大幅に伸長した。売れ行きはメーカーによっても差があるが、年間で見ても120%~150%と好調だった。その中でもすぐに漬けることができる「熟成タイプ」の動きが目立った。
メディア効果も大きく、NHKでは2020年6月~2021年2月までの間に「ぬか漬」の特集を3回行うなど、その魅力を広く発信している。昨年は一昨年ほどの勢いはないものの、2019年比では2桁以上のプラスで推移。昨秋以降、野菜の価格が安定していることも追い風で、「ぬか床」以外の漬物の素も支持されている。
「菌活」「腸活」「菌トレ」などの言葉が広がっているが、総じて同じような意味を持つ。コロナ下で健康志向が高まる中、積極的に発酵食品を摂取して腸内環境を改善し、健康の維持増進を図るというものだ。2020年以降、キムチ、納豆、ヨーグルトの需要が急激に増加したことは、「菌活」や同じ意味として使用される「腸活」を実践する人が増えていることを示している。
「ぬか床」で野菜などを漬けたぬか漬は植物性乳酸菌をはじめ、ビタミンB群やミネラル、食物繊維など多くの栄養素を摂取することができ、整腸作用や免疫機能を高める効果が期待できる。優れた健康機能性も大きな魅力だ。
昨年5月の特集では「ぬか床」が売れているポイントを4つ(①巣ごもり需要の増加。②健康志向の高まり。③メディア効果。④安定した野菜価格)挙げたが、5つ目の候補として「家庭での食品ロス削減に貢献」を加えたい。売場で5つ目のポイントを消費者にPRすることができれば、それが現実味を帯びてくる。
(千葉友寛)
【2022(令和4)年2月11日第5084号1・16・17面】

<静岡特集>人気上昇〝食材の王国〟 移住希望先で全国1位に

東西に長く、日本一高い富士山や日本一深い駿河湾など多様な風土を持つ静岡県は〝食材の王国〟だ。伊豆、三島、静岡のわさび、焼津のまぐろやかつお、浜松のうなぎや海苔など、様々な食材が揃う。
県では、この多彩で高品質な農林水産物の中から、全国や海外に誇りうる価値や特長を備えた商品を、県独自の認定基準に基づいて「しずおか食セレクション」として認定。令和2年度も「新たまねぎはるたま」「はなびらたけ」など9品が新たに認定された。
静岡県の伝統食品メーカーでは、こうした豊かな食材を背景に、地場食材を積極的に使用した商品開発が活発だ。わさびを使用したわさび漬、まぐろやかつおを使用した角煮、うなぎや海苔を使用した佃煮といった伝統食品はもちろん、コロナ禍により人気が高まるキャンプやバーベキューでの使用を想定したわさび製品など、時代ニーズに柔軟に対応した商品も発売されている。
県への人気も上昇している。ふるさと回帰支援センターのアンケート調査によると、2020年の移住希望先の全国1位に静岡県が選ばれた。豊かな自然や温暖な気候、交通アクセスの良さなどの理由から、幅広い年代で人気を集めた。
コロナ禍によるリモートワークの普及などで、静岡県が持つ魅力は全国区になりつつある。2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、静岡県東部が舞台。大河ドラマで描かれる武家社会にちなみ、「ぶし(武士)のくに静岡県」としてもPRしていく。
(藤井大碁)
【2022(令和4)年2月11日第5084号1、9面】

<春を呼ぶ商材特集>巣ごもり消費に「桜花漬」 桜でんぶは恵方巻に

桜の花を塩漬した「桜花漬」
年が明け、春夏向け商品の商談が本格化している。売場は3月末から春夏向けの棚割りとなり、季節感を演出する「春を呼ぶ商材」が品揃えされる。
春を想起させる代表的な商品として需要が増加するのが桜の花を塩漬にした「桜花漬」。桜の花の香りと彩りが特徴で、祝いの席で提供される懐石料理や寿司、桜ご飯、桜茶、和菓子などで使用されている他、洋菓子、飲料、化粧品関係など、幅広い用途での利用が増えている。
桜は日本の国花で、外国人観光客にも好評を博し、箱根では人気商品となっていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で国内外の観光客が減少。観光土産用としての需要は減少傾向にあり、各メーカーでは自宅で「春」を楽しめるように家庭向けの製品を提案している。HPで桜花漬の用途例を紹介するなど、年明けから増加している巣ごもり消費につなげる取組を行っている。
希少価値の商材となっているが、産地では生産者の高齢化や後継者不足が深刻な課題となっており、生産量の維持は困難な状況となっている。桜の花は収穫期間が7日~10日と短く、収穫期の天候が収穫量に大きな影響を及ぼす。昨年の花付きは良かったが、原料状況は毎年異なり、一定数量を確保することは年々難しくなってきている。
白身魚の身をほぐして煎りあげた「桜でんぶ」も春を想起させる商材だ。ちらし寿司や巻き寿司に欠かせないアイテムであり、恵方巻の定番具材としてもお馴染みだ。
近年、様々な味わいが登場しバラエティー化した恵方巻だが、「桜でんぶ」を使用した伝統的な恵方巻の人気も根強い。昨年に続きコロナ下の節分となる今年も、巣ごもり中の貴重な家庭内イベントを盛り上げるアイテムとして恵方巻の需要拡大が期待される。
【2022(令和4)年2月1日第5083号1、6面】
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