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漬物JAS・全国漬物検査協会2021

全国漬物検査協会 令和3年度通常総会

西村会長
籠島副会長
佐藤専務理事
真野全漬連専務理事
戸谷氏
西川氏
木内氏
全漬検の通常総会
漬物の登録認定機関及びJAS格付のための依頼検査機関等である一般社団法人全国漬物検査協会(西村信作会長)は7月28日、東京都文京区の東京ガーデンパレスにて令和3年度通常総会を開催。各議案を審議し、今年度の方針を決定した。感染が拡大する新型コロナウイルスの収束が見えない中、漬物業界が抱える問題や課題について技術面から支援してきた全漬検は、改めて全日本漬物協同組合連合会(野﨑伸一会長)との連携を強化していくことを確認。役員改選では新理事が選任されるも出席者数が少なかったため理事会を開催することができず、8月上旬予定の書面議決による理事会で役員が決定する。理事会が開催されるまでは前期からの継続となる。HACCPの義務化や食品表示法の改正など、業界を取り巻く環境は大きく変化し、法令を遵守した取組が求められる中、漬物業界を側面からサポートする全漬検の重要性は増している。
消費者の食品に対する安全・安心、表示の信頼性等のニーズは年々高まっている。昨年度、全漬検に届いた問い合わせや相談は会員と会員以外企業等を合わせて120件(会員80%、会員以外の漬物企業等から15%)。表示(60%)、品質(8%)、添加物等(7%)、法令等(15%)について、的確な対応を行った。法令順守や衛生・品質管理の徹底が求められる中、漬物の登録認定機関であり、専門知識を持つ組織としてその重要性は増すばかりだ。昨年度のJAS格付のための依頼検査実績は、一昨年度と同様に増加。前年度(103・3%)の113・7%とさらに大幅な増加となった。コロナの影響で巣ごもり消費が増加し、家庭では白菜キムチや刻み醤油漬けの需要が増えている。また、前年度は減少した単価の高い調味梅干しや業務用のしょうゆ漬けの減少幅が小さくなるなど、コロナ前の状況に戻りつつあることが示されている。
総会で各議案を審議
 総会は佐藤惠専務理事の司会進行で籠島正直副会長の挨拶で開会。続いて西村会長が挨拶に立ち、「本会のようなJAS登録認証機関は、JAS業務や検査業務を実施する中で、食品に対する安全・安心の消費者ニーズに的確に対応する責務は重いと自覚しています。その責務を十分果たすことができますよう、また、理事会、総会で決定をいただきます諸事業が、コロナ感染の中にあっても、確実に実施がされますよう、関係者のご指導、ご支援を重ねてお願い申し上げます」と責務を全うすることを表明(挨拶全文別掲)し、協力を求めた。
 来賓紹介の後、農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品製造課基準認証室長の西川真由氏が挨拶を行い、「農水省は2030年までに輸出5兆円という大きな目標を立てている。また、世界的な異常気象が発生しているなかで農作物の日頃のケアはより重要となっており、国内対策もしっかり進めていきたいと考えている」と方針を述べた上で、「JASの普及、推進については我々もユーチューブや広報誌、HPを使って消費者に知っていただくための取組を行っている。有機JASの普及度は高まっているのだが、漬物も含めて色々なJASを知っていただくこともミッションの一つと認識している。引き続き皆様のサポートをいただき、JAS制度の更なる普及、啓発に向けてともに歩んでいきたい」と協力を求めた。
 佐藤専務より出席者と委任状の合計により総会の成立が報告され、西村会長が議長を務めて議案審議に移った。
 ▼第1号議案=令和2年度事業報告及び収支決算承認の件▼第2号議案=令和3年度借入金最高限度額承認の件▼第3号議案=令和3年度会費及び徴収方法承認の件▼第4号議案=役員報酬の最高限度額承認の件▼第5号議案=役員の改選の件▼第6号議案=その他。
 事業報告では、JAS格付のための依頼検査実績が1516件、2万5081tで、前年度の実績1547件、2万2058tに対して件数は31件減少。数量は3023t増加した。目標の検査数量2万500tを大幅に上回る数量となった。
 JAS製品の普及宣伝等については、JASマークの意味を消費者に認知してもらうために、JASマークの上部に「JASマークは、安全・安心の認証マーク」の標語を記載するように促すとともに、また、業界紙等の協力を得ながら、業界に必要な情報提供に努めた。
 全漬連との協力連携については、全漬連が実施する漬物業界の人材育成等のための「漬物製造管理士・技術評価制度」等への協力や漬物業界の技術的な相談に対応した。さらに、「外国人技能実習制度」、「発酵漬物認定制度」の試験、審査等における協力を行った。
 会員の異動については、令和元年度末(令和2年5月31日)現在における会員数はJAS工場会員72、一般会員37、団体会員22の計131だったが、本年度において脱退会員5(JAS工場会員1、一般会員2、団体会員2)の異動があり、令和2年度末(令和3年5月31日)現在の会員数は、JAS工場会員71、一般会員35、団体会員20の計126会員。
 役員改選は選考委員が理事・監事の候補者を選出し、承認。理事本人の出席が少ないため、理事会が開催することができず役付理事は次回の理事会が開催されるまで継続となった。新たな役付理事は8月上旬に開催予定の書面議決による理事会で決定する。
 その他の報告事項として、5月31日に実施された第2回理事会で承認された令和3年度事業計画及び収支予算が発表。令和3年度における重点事項として、①JAS制度関係業務②依頼検査関係業務③教育研修関係業務について報告。④その他としては、全漬連事業における技術的な諸課題に関して協力を行う。創立(1973年)50周年記念誌の作成に着手する。2月開催予定を延期した第30回漬物技術研究セミナーを11月中旬に開催する。
 来賓挨拶では独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)の木内岳志理事長、一般社団法人日本農林規格協会の戸谷亨会長、全漬の野﨑伸一会長代理の真野康彦専務理事が挨拶。木内理事長は、「私は鹿児島出身で、山川漬や高菜漬を食べて育った。漬物などの発酵食品のブームはコロナが拡大する前から始まっており、世界中に広がっている。我が家でも5、6種類の漬物を常備しており、毎食JAS製品が出てきている。今後はJAS及び我が国特有の発酵食品の国際化を進め、本物に対する需要に応えていく必要がある」と世界に向けた発酵食品のPRの重要性を訴えた。
 戸谷会長は、「漬物は日本の伝統的な発酵食品。私の妻は熊本出身で、高菜漬は欠かせない食材となっている。インバウンド消費が伸びない中、海外に和食文化を代表する漬物をPRする必要があり、JAS制度の普及も含めて期待していきたい」と語った。
 真野専務理事は、「コロナ禍で円滑に事業を進めていくことは難しい。そのような中で、外国人技能実習制度が3年目を迎え、2号移行により最長3年の外国人技能実習生受け入れが可能となった。今年から専門級の試験を実施しているが、試験問題を作る際には全漬検にもご協力をいただいている。引き続き全漬検をはじめ、業界関係各位のご協力をお願いしたい」と理解を求めた。最後に佐藤専務による閉会挨拶にて終了となった。
【令和3年度・4年度の役員(敬称略、50音順)】
▼理事:秋本大典、岩下和了、岩田孝逸、梅澤敏晴、遠藤栄一、大沢幸雄、大曽根洋佑、大羽恭史、奥野順一郎、奥村勝、籠島正直、片山吉朗、小崎好春、小林秀、古宮真一、佐藤惠、杉岡秀雄、照井善光、中田吉昭、西村信作、野﨑伸一、野田明孝、平野康治、平山勝己、藤川研四郎、松岡寛樹、真野康彦(新)、皆川昭弘、宮尾茂雄、吉川絵美子
▼監事:伊藤泰行、川勝恵一、菅野行雄、塩川正徳、馬場博
※前田安彦氏と栗田和典氏は退任
【2021(令和3)年8月1日第5065号5面】

西村会長 挨拶

衛生管理の徹底や見直し
HACCPの取組も推進
 今日のようなコロナ感染大流行の時期に、総会を開催する是非につきましては、出席者が少数のリモート会議や書面による開催も検討しましたが、本会の会員は130名以上の多数、また、今期は役員改選期でもあり、公益法人法や定款に基づく代理人を含めての議決が可能なことから、少人数の出席によって開催する総会としましたことを、ご報告いたします。
 なお、会場のホテル側とともに、コロナ感染防止の対応にできるだけ努めたつもりであり、ご理解をお願いします。コロナ感染予防ワクチンの普及により、感染が終息して一日も早く日常の生活や仕事に戻ることを願うものです。
 7月23日には東京オリンピックが開催されました。テレビ等での主な報道は、コロナ感染、異常気象による豪雨、土砂崩れなどの災害報道に、オリンピック報道が加わりました。今年の世界を見ますと、コロナ感染、異常気象による洪水、旱魃です。
 梅雨明け後は、西日本、東日本、北日本では酷暑状態が長く、九州地方は長雨という具合です。漬物原料である農産物の生育、収穫の心配が尽きることはありません。原料の確保は大切な課題であり、夏以降の天候の安定と秋冬野菜の豊作を祈念したく思います。
以前、漬物業界では、札幌市の白菜漬けを原因とするO157食中毒により大きな影響がありました。その後は漬物製造における製造管理の徹底がなされてきています。その結果はこの10年間、漬物企業の製品に食中毒の発生は全くありません。また、従業員の日常の手洗いと消毒の徹底、マスク・防止着用など服装は、コロナ感染の治療の防護服と同じであり、漬物企業やその従業員によるコロナ集団感染は全くないと聞いています。
しかしながら、消費者の食品の安全、安心への関心は依然として強く、その消費者のニーズに的確に応えていくためには、企業にとってはコストがかかり大変なことではありますが、コンプライアンスの徹底はもとより、食品の安全・安心のための対策を、これまで以上に行い、徹底していく必要があると考えています。
 厚生労働省は食品の衛生管理に関する食品衛生法の大改正をしまして、その中で2019年に食品業界全体に対するHACCP手法の義務化をして、猶予期間の2年間をおいて、今年6月完全実施としました。HACCP手法は、JAS認定工場が行っている品質管理の手法とほぼ同様の手法で行うものですので、各企業では、衛生管理の徹底や見直しを品質管理の手法で進めてみてはいかがと思うところです。
また、本会もHACCPの取組等に関して、すでに全漬連が作成しました小規模漬物業者向け衛生管理計画の手引書をベースとしまして、皆様のお手伝いをしたいと考えておりますので、今後もご相談くださるようお願いします。
 政府は和食の海外での普及とともに、農水産物や加工食品の輸出に力を入れて、2020年には1兆円を目標としていましたが、昨年からのコロナ感染拡大により、その目標は先延ばしになっていますが、食品の輸出振興に役立つようなJAS法の法律改正も行われ、製品の品質の規格に加えて、農林物資の取扱いなどの経営管理や試験等の方法など、様々な規格での運用が行われることとされました。
なお、改正JAS法の第71条では、JAS規格の活用を図るための施策として、国やFAMICがJAS規格に関する制度の普及に努めなければならないという、従来にない規定がされていまして、私どもは、農林水産省やFAMICが率先してJAS制度の普及を行っていくことを、期待しているものです。
 さて、今回の総会では、昨年の令和2年度の事業報告及び決算等を承認していただくこと、また、理事、監事の役員の改選を行うことであります。具体的な内容については、後程、事務局から説明、提案させますが、本会の主な事業であるJAS格付けのための依頼検査数量は、コロナ感染における内食、漬物の需要があって前年より大幅増となり、大変感謝しております。
 他の諸事業は、いわゆる3密になる業務のため計画中止、または延期としました。昨年度の皆様方のご支援に対しまして改めて感謝申し上げますとともに、次期の理事、監事の選出の方もよろしくお願い申し上げます。
 3年度の事業計画と収支・予算につきましては、5月末の理事会で承認いただきました。その骨子等については、本日の総会へのご報告としていますが、本会の経営基盤であるJAS依頼分析事業の長期的な減少をとどめるため、依頼分析の増加要請や新規の認証工場を増やす努力をいたしますので、JAS工場並びに会員の皆様には、特段のご協力をお願い申し上げます。
 本会は全漬連事務局と同じ事務所において、各々の業務を行っていますが、全漬連が取り組んでおります諸事業に、技術面での積極的な連携、協力をして、漬物業界発展に寄与して参りたいと思っております。
 最後に、本会のようなJAS登録認証機関は、JAS業務や検査業務を実施する中で、食品に対する安全・安心の消費者ニーズに的確に対応する責務は重いと自覚しています。その責務を十分果たすことができますよう、また、理事会、総会で決定をいただきます諸事業が、コロナ感染の中にあっても、確実に実施がされますよう、関係者のご指導、ご支援を重ねてお願い申し上げます。



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