食品の安全・安心対策徹底
消費者ニーズ対応に責務果たす
世界及び我が国を取り巻く状況は、新型コロナウイルス感染症との闘いが、半年以上も続き、その終息の見通しもない。社会、経済が大変な状況にある。そうした中で、感染防止対応をとりながら生活や社会・経済活動を続ける外はないものと考える。第1波感染時から学び、どのような状況で感染し易いかも分かってきた。医療面でも様々な治療が行われるようになっているが、まず自らの感染防止策、マスク着用、手洗い、消毒などを日々、励行することであろうかと思う。
本会はコロナ感染症流行の中、今回の総会を書面総会とすることも考えられたが、5月や7月初旬の理事会の開催では、3密を避けるための書面による決議などを頂くことを続けてきたこともあり、総会会場のホテル側では、3密を避ける感染リスク対応がとられていると判断し、令和2年度総会を開催することとした。今回の開催と小人数の出席者になったことのご理解とご了承をお願い申し上げる。
さて、我が国の社会・経済については、現在は大変良くない状況にあることは申すまでもない。国を挙げて取り組んでいた、数日前に開催予定の東京オリンピックも一年延期された。
食品業界、漬物業界にも大きな変化があった。わずか3カ月に満たない「ステイ・ホーム」の強い要請や学校の休校、自宅勤務の進めによって外食が減少して、自宅での内食が増え、この内食に必要となる食材や食品の大きな需要が起こった。
食品スーパー等が大繁盛し、飲食店や食品土産店は青息吐息の状況にある。漬物では、内食のご飯、カレーライス、焼きそばに必要な付け合わせやおかずとしての浅漬やキムチ、たくあん、紅しょうがなどが、小売店頭からたくさん購入されている。なお、現在は、非常事態宣言後の社会・経済活動や学校の再開により、食事のとり方、ありようが、元の状態に徐々に戻りつつあるようだが。
漬物業界では、7年前の札幌市の白菜漬を原因としたO157食中毒により大きな影響があった。その後は漬物製造における衛生管理の徹底がされてきている。しかしながら、消費者の食品の安全、安心への関心は依然として強く、その消費者のニーズに応えていくためには、企業にとってはコストがかかることではあるが、食品の安全・安心のための対策を、なおこれまで以上に徹底する必要があると思う。
厚生労働省は食品の衛生管理に関して、HACCP手法の義務化を本年から行なっているところだ。また、5年間の猶予期間を経て、食品表示基準の完全施行もなされ、コンプライアンスの徹底もまた、必須のことと思う。
今回の総会は、昨年の令和元年度の事業報告及び決算等を承認していただくことだが、本会の主要業務である、漬物のJAS格付依頼検査業務においては、先ほど申したような大きな変化が見られ、キムチ、浅漬の格付数量が大きく伸びたものの、業務用、学校給食用の漬物の格付依頼検査のない期間もあった。
本会の令和元年度の事業の具体的な内容については、後程事務局から説明、提案させるが、JAS格付のための依頼検査数量が計画を上回った。なお、JAS認証工場調査では、コロナ感染リスクを考慮した調査延期を行った。その他の諸事業については、計画に沿った形で、概ね終了することができた。皆様のご支援に対して改めて感謝申し上げる。
なお、令和2年度事業計画と収支予算については、5月末の書面による理事会で承認頂いた。その骨子等については、本日の総会へのご報告としているが、本会の経営基盤であるJAS依頼検査事業の長期的な減少をとどめるため、依頼検査の増加要請や新規認定工場を増やす努力をしたいので、認証工場並びに会員の皆様には特段のご協力をお願い申し上げる。
本会は、全漬連事務局と同じ事務室で各々の業務を行っているが、全漬連が取り組んでいる諸事業に、より連携を密にしながら、技術面の対応を積極的に行うなどして、漬物業界の発展に協力して参りたいと思っている。
最後に、本会のようなJAS登録認証機関としての認証業務や検査業務を実施している機関としては、食品に対する安全・安心の消費者ニーズに的確に対応する責務は重いものと認識しているので、その責務を十分果たすことができるよう、また理事会、総会で決定を頂く諸事業が円滑に実施されるよう、関係者のご指導、ご支援を重ねてお願い申し上げる。