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業界インタビュー2021

 

7月1日号 徳島特集「トップに聞く」

7月1日号 徳島特集「トップに聞く」
 
辰巳屋食品株式会社代表取締役・徳島県漬物加工販売協同組合理事長 田中民夫氏
PBからNBへ重心移す
組合内で原菜取引を推進

辰巳屋食品株式会社(田中民夫社長、板野郡藍住町)は昨年、奈良漬を宮内庁へ献上し「宮内庁献上漬物製造元」の認定を得た。また自社ホームページ(HP)の立ち上げや千枚漬製造への進出など新たな取組を始めている。さらに田中社長は徳島県漬物加工販売協同組合の理事長にも就任している。田中社長に自社ブランドの育成や、組合での原料野菜の取引推進などについて考えを聞いた。
(大阪支社・小林悟空)
◇ ◇
‐宮内庁献上の経緯。
「農業部門を通じて、宮内庁の方とお話をする機会を得たのがきっかけだった。農業から奈良漬製造まで行っていることを話したところ関心を持っていただいた。その後、味や製造工程、原料など様々な審査をクリアして、令和2年に宮内庁へお納めすることが決まった。大変光栄なことで、嬉しく思う」
 
‐販売への反響は。
「やはり好影響がある。販売店からお声がけいただくことが増えたし、消費者からの印象も良くなったようだ。品質には以前から自信を持っていたが、お墨付きを頂いたことで、より客観的に伝えやすくなった」
 
‐HPも立ち上げた。
「自社ブランドを育成し、消費者まで繋げる狙いがある。これまではPBでの製造が多かったが、食品表示法の改正で製造者表記が義務化されるのを受け、販売店側が管理の手間のかかるPBからNBに切り替える流れとなっているためだ。そんな折に宮内庁献上品となれたことは幸先が良かった。こうして当社の名前が少しずつ有名になっていけば、売上にも繋がるし、社員にとっても誇りになると感じている」
 
‐奈良漬以外の商品は。
「当社は加工品部門と農業栽培部門がある。加工品部門は菊花漬や酢漬を製造しているのに加え、昨冬から千枚漬の製造を始めた。メーカー数の減少から要請を受けてのことだったが、計画の120%程度と初年度としては順調に製造できたので、今冬はもっと増やす方針。千枚漬は年末の短い期間で爆発的な売れ方をするため工場稼働率の管理が難しくなると言われるが、歳暮用の奈良漬は早めに作ることで調整できると考えている」
 
‐組合では理事長に就任した。
「基本的には松尾俊彦前理事長の方針を踏襲して、加盟企業のサポートに力を尽くしていきたい。食品衛生法や食品表示法の改正に関する周知、外国人技能実習制度の運用円滑化などがある。また情報共有の機会をこれまで以上に促進し、原料野菜の取引を推進することが必要と考えている」
 
‐原菜のやり取りについて。
「昨年はコロナにより野菜の需給が不安定になった。同じ野菜を扱っていても増減が全く逆となることもあり、一社で対応するのは不可能と言ってよい状態だった。徳島は野菜産地として青果、塩蔵野菜を出荷し全国の食品産業を支えているが、組合内でやり取りできるようになれば供給や生産量の安定に繋がる。それは将来的には徳島の地位向上にも繋がっていくと思う」
【2021(令和3)年7月1日第5062号3面】
 
 
 

2月11日号 SMTS特集 特別インタビュー

2月11日号 SMTS特集 特別インタビュー
 
秋本食品 代表取締役専務食品事業本部長(兼)マーケティング部長 秋本善明氏
専業の強みを発揮
オンリーワン企業に

秋本食品株式会社(秋本大典社長、本社=神奈川県綾瀬市)の代表取締役専務食品事業本部長(兼)マーケティング部長の秋本善明氏に新型コロナウイルスの影響、業務用、販売店、量販店の販売動向などについて話を聞いた。秋本専務は2021年を昨年以上に厳しくなると予想し、同社との取引先で組織され、会員相互の企業発展と親睦を目的とする秋本会(近清剛会長=株式会社三奥屋社長)の会員企業に対し、生き残るために目指すべき3つのポイントを示した。
(千葉友寛)
◇     ◇
―業務用、専門店の販売動向は。
「業務用は1回目の緊急事態宣言時に売上が一気に落ちた。給食関連はストップしたため、売上はゼロとなった。人が店にいかなくなったことで飲食店や中食向けも落ちた。緊急事態宣言が解除され、徐々に回復してきたが、落ちた分の売上を取り戻すまでには至っていない。会社における業務用のウエートは大きくないのだが、通年で見ると大きく落ち込んでしまった。専門店はもっと厳しい状況だ。スカイツリーは館が1カ月休業となったため、その間はソラマチ店も休業となった。鎌倉あきもと本店も夏から秋口にかけて休業した。GoToトラベルがスタートして前年以上の売上を記録した月もあったが、新型コロナウイルス感染者の拡大とともに再び客足が遠のいた。2回目の緊急事態宣言発出後、本店は土日のみ営業としている。ソラマチ店は毎日営業しているが、観光客は皆無に等しく全体の客数も減少しているので苦戦が続いている」
―量販店の動向は。
「業務用や専門店とは逆に好調が続いている。弊社は売上の大多数が量販店向け商品。巣ごもり消費が増加したことで量販店の売上がプラスとなり、漬物はその流れに引っ張られてプラスとなった。昨年4月から6月は特需的な動きを見せ、弊社の売上も1年を通して前年を大きく上回っている。品目別で売れ行きが一番増えたのはキムチで、年平均で120%前後となっている。この流れは我々が努力したというよりも、消費者が食品を量販店で購入する動きが定着してきたという自然的なものにキムチブームが合わさったもの。野菜相場との関連性もあるが、野菜相場が安定した12月以降は一旦前年並みに戻っている。しかし直近の数字はまた上昇傾向にあり、巣ごもり需要が復活した事がうかがえる。ただ、今の流れがいつまで続くか予想することは難しく、この状況に甘んじているだけでは前年の売上を維持することはできない。漬物の需要を維持、拡大させていくためには今後の状況を見極めながら新しいことにチャレンジしていくことが必要だ」
―秋本会会員への対応や商談について。
「来社については原則禁止ではないが、来社していただく場合でも少人数、滞在も短い時間でお願いしている。弊社ではバイヤーと各メーカーの担当者に来ていただいて棚割り商談会を開催しているが、コロナの影響もあり大人数で実施することができず、現在はバイヤーと弊社の担当者と限られたメーカーだけで行っているが、いずれリモートでの参加も視野に入れる必要がある。春夏向けの棚割りはほぼ形になってきた。メーカーの方には弊社の商品部に現場の情報を伝えていただきたい。交流の場が減っているので、日頃のコミュニケーションがより大事になってくる。やり方としては電話、メール、ズームと様々な方法があるので、積極的にアプローチしていただきたい」
―新商品の動きは。
「新商品の投入は難しい環境だ。バイヤーとの商談はリモートが増えていて、味見をすることができないばかりか商品の魅力や情報を伝えきれない。仮に商品が入ったとしても試食を提供することができず、味の想起や食べ方提案を行うことができないため、販促を実施することもできない。それならば味や食べ方を知っている定番品を買おう、ということになる。昨年は売場の変化があまりなかった。画一化した売場にならないよう弊社も絶えず新商品開発を行っているが、今のタイミングで新商品を展開していくためには根気強く販売していくことが重要だ」
―今年の動向予測を。
「コロナの収束が見えないため、今年の経済は昨年よりも上向くことはないと見ている。経済が落ち込めば財布の紐は固くなり、量販店も低価格化の流れになることが予想される。そうなると、ベンダーやメーカーに値下げが要求される可能性もあるし、そういったことを想定しておかなくてはならない。今年は消費者の目がより厳しい1年になる。利益を維持するために規格変更やコスト削減、生産の効率化などを図る必要がある」
―秋本会会員へメッセージを。
「厳しい状況の中で生き残るためのポイントは3つある。①価格など変化への対応力。②価格を下げなくても売れるようなオンリーワン商品を持っている、または作り上げる。③必要とされるブランド力のある企業になる。この3つのどれかを目指していかないと、これから先の見通しは立たない。中途半端な行動や考え方は一番良くない。我々は総合メーカーベンダーだが、幅広いアイテムを取り扱うということではなく、専業の強みを今こそ発揮する時だと思っている。自分たちの強みを見極め、それをブラッシュアップすることに集中してオンリーワンの企業を目指す。弊社もそれを目標に進んでいきたい」
【2021(令和3)年2月11日第5048号2面】
 
 
 

バイヤーインタビュー 荒井商事株式会社

バイヤーインタビュー 荒井商事株式会社
 
D&Aカンパニー 流通事業部商品課 国内商品チーム課長 浅見功太郎氏
高価格帯製品を訴求
巣ごもりでハレの日需要高まる

荒井商事株式会社(神奈川県平塚市)は、およそ100年前に、米穀および雑穀問屋として創業。現在はグループにおける食品流通事業として、神奈川県・埼玉県を中心に、『アルズフーズマーケット』(5店舗)、『ワタナベストアー』(7店舗)といった食品スーパーを展開している。和日配バイヤーを務めるD&Aカンパニー流通事業部商品課国内商品チーム課長の浅見功太郎氏に、各カテゴリー動向や今後の見通しなどについて聞いた。(藤井大碁)
◇      ◇
―昨年を振り返って。
「3~4月頃は、キムチ、納豆、ヨーグルト、チーズ、甘酒などの発酵食品が伸びた。前年比150%を超え異常値となるような商品も出てきて、メーカーによっては供給が追い付かなくなるケースもあった。緊急事態宣言が発出されてからは、パスタを始めとした麺類の需要が増え、異常値を記録した。5月以降は全体的に落ち着いて来ているが、キムチや納豆は、未だに高止まりが続いている。現在は、2度目の緊急事態宣言が出ているが、各メーカーと頻繁にやりとりして情報収集に努めている。当初、昨年の緊急事態宣言の時より買いだめ需要はないだろうという話であったが、蓋を開けてみるとテレビ放送の影響などもあり、商品供給が追いつかないケースも出てきており、商品確保に努めている状況だ」
―漬物売場の動向。
「漬物では、キムチ・梅干しの動きが特に良かった。両カテゴリー共に棚を広げ、キムチは個包装品や少容量品、梅干しは低塩品や、やはり少容量品のラインナップを増やして対応している。梅干しは、コロナ前は平均単価500~600円程だったものが、980円程の高価格帯も売れ始めている。その他、沢庵も伸長した。全体的には高価格帯の商品割合が増えたことにより単価が上がったが、需要は落ちずにむしろ上がっている印象だ」
―佃煮・煮豆売場の動向。
「コロナ禍でも、さほど伸びていない。単価アップを狙いボリュームパックを展開してみたが、そこまでのインパクトは出ていない。駅周辺の店舗では、小容量品や単価の高い国産品の品揃えを増やし対応している」
―おせちの動向。
「おせち関連の売上は前年比108%と好調に推移した。郊外の店舗は最後まで売上が伸びたが、駅周辺の店舗は12月26日ぐらいがピークで、最後の2日間は通常時と変わらず、おせちの売上が前年比を下回る店舗もあった。例年であれば29~30日がピークとなるはずが、昨年は密を避け、早めに購入されるお客様が多かったのではないだろうか。巣ごもりによりおせちが売れるというのは大方予想通りであったが、店舗立地により売上に差が開くのは意外だった。今年の年末も昨年同様の状況であれば、早めに対策を立てていきたい」。
―その他の和日配アイテムの動向。
「こんにゃくは単価が低い製品が売れる傾向にあり、単価アップが課題となっている。駅周辺の店舗では国産品や少容量品のアイテムを増やし対応している。納豆はテレビの反響も大きく、メーカーの出荷調整があったもののかなり伸びた。豆腐は、小分けパックの商品が伸びた」
―消費者ニーズの変化。
「コロナ禍初期は、内容量が多くて安いものが売れる傾向にあったが、次第に高価格帯の製品をお客様が手に取るようになっていった。外食ができないため、家で100円~200円増やしてでも、美味しいものを食べたいというニーズが出てきている。また、箸をつつくのを避けるため個包装タイプの需要も上がっている」
 
アルズフーズマーケット戸塚店
―商品の選定基準。
「市場のトレンドに合っていても、各店舗のトレンドに合っていなければ売れないので、実際の店舗で何が売れているのかを把握し、それをもとに仮説を立て、商品選定を進めている。数字で見えない部分に関しては、実際店舗でお客様の反応を見たり、従業員と話をして確認している」
―価格と品質。
「高価格帯の製品であっても、値段が高すぎては、なかなか売れないので、商品の価格帯を3つくらいに分けて、裾のところから2つ目くらいの商材で価格ラインを揃えている。ミドルラインの品揃えを充実されることにより、お客様の選択肢を増やしている」
―今年期待しているアイテム。
「大豆ミートは、ここ最近アイテム数が増えており、健康性も高いので力を入れていきたいと思っている。もともと若い世代を狙って展開していたが、シニア層でも関心が高いことが分かった。さらに認知が進めば、売上も上がってくるのではないか」
―今後の見通し。
「コロナ以降、ハレの日の需要は、高まっているので、引き続き力を入れていきたい。ひな祭り、クリスマス、年末年始など、この状況のままであれば、外食せずに家でその分お金をかけて楽しむという傾向は続くだろう。各イベントに合わせて、高価格帯製品を訴求し、このニーズをしっかりと取り込んでいきたい」
当日、インタビューには同社D&Aカンパニー流通事業部の石井誠氏(加工食品バイヤー)と尾﨑哲哉氏(菓子・米バイヤー)も同席。各担当カテゴリーの商品動向について聞いた。
―加工食品の動向。

「巣ごもり需要で、鍋スープなど、特に小分け商品が売れている。インスタントコーヒーも伸長し欠品気味となっている。漬物の素、キムチの素、ぬか漬け関連も、自分たちで作ろうという流れの中で伸びた商品だ」
―菓子、米の動向。
「コロナ禍により、シリアルや大袋の菓子製品は伸びたが、ガムや飴は通勤する人が減り、需要が大幅に減った。米は、外食が売れずに米の相場が大きく落ちている。緊急事態宣言が発出された際は、買いだめで売れたが、その後の凹みの方が大きい」
(取材日は1月15日)
【2021(令和3)年2月11日第5048号4面】
 
 

SMTS特別インタビュー

SMTS特別インタビュー
 
株式会社五味商店 代表取締役社長 寺谷健治氏
〝こだわり商品〟コロナ下も伸長
「日常での美味しさ追求」に応える

『スーパーマーケット・トレードショー2021』(2月17日~19日・幕張メッセ)において、全国から厳選した食品を紹介する株式会社五味商店(千葉県我孫子市)の「こだわり商品コーナー」(会場9ホール)は今回で22回目の出展となる。スーパーマーケット・トレードショーの実行委員も務める五味商店の寺谷健治社長に現在の消費トレンドや今後の動向について聞いた。(藤井大碁)
◇       ◇
―「こだわり商品コーナー」の見どころ。
「今回は、感染症予防を徹底した上で、安全第一の開催となる。小間数は110社で昨年とほぼ変わらないが、全てのブースを半小間スペースにして、その分ブース内の通路を広くとり、来場者が密にならないよう準備している。新規出展者は全体の1割程度と例年よりは少ないが、全国から厳選したこだわり商品が集まるので、今回も注目してほしい」
―コロナ下の商品動向について。
「巣ごもり需要により、我々の主要販売先であるスーパーマーケットの売上が上がる中、弊社が取扱うこだわり商品についても好調に推移している。外出自粛で飲食店に行くことが難しいため、内食をどうレベルアップするかということがテーマとなっており、家庭内で楽しめるこだわり食材を手に取る人が増えている。また旅行に行けないため、旅行気分が味わえる地域フェアへのニーズがあり、商品供給の要請が現在も多くきている」
―コロナ以降、売れ筋商品に変化はあるか。
「味は保守的なもの、いつも食べている美味しいものを求めるという傾向が強くなっている。そのため、昨年は新商品として導入してもらっても、定番にならなかった商品の割合が非常に多かった。家で料理する機会が増えたため、乾物や基礎調味料などは特に伸びている」
―3月決算に向け今期の業績は。
「ここまでは前年比107%で推移している。コロナ以降は一店舗あたりの売上が130~140%というところがある一方で、百貨店などでは半減しているところもあり、明暗が分かれている。近年、拡大を続けてきたライフスタイルショップなど非食品市場については、コロナ下で食品の取り扱いを増やす売場が多く、引き続き順調に推移している」
―現在のトレンドについて。
「ある新聞記事で目にしたが、『日常でのおいしさ追求』という言葉があり、まさにこれだと思った。例えば、味噌について、昨年一年間の前年比を見てみると、味噌全体では若干マイナスとなっているが、私共が扱う味噌はプラスで推移している。節約志向と贅沢という両極に対して、客層が2つに分かれるのではなく、〝一人十色〟と言うように、同じ人がうまく財布を使い分けている。賢く節約しながらも、自分が好きな物には積極的に投資し、日常での美味しさを求める。これが現在の消費トレンドになっているのではないか」
―こだわり商品の価値やニーズ。
「我々もこだわり商品の取り扱いを21年間やってきたが、その背後にあるのは、やはり〝日常生活の中でどれだけ豊かな食生活ができるか〟だ。そこに焦点を当てた売り方をしていければ良いと思っている。大手が圧倒的な売り方をしている中で、ごく小規模な市場ではあるが、そうした価値観を持った人達はいらっしゃるので、そういう人に向けてしっかりと日常の美味しい食材を提供していく。それが、弊社の取り扱う味噌が前年比で少し伸びている背景ではないか」
―今後について。
「今回のコロナ禍により、一本足打法は非常にリスクに弱いということが明らかになったので、販売先の分散化は大切なテーマだ。さらに、これからは人口減少により、何もしなければ売上は自然に下がっていく。人口ピラミッドも大きく変化し、2060年には、20~64歳までと、65歳以上の割合がほぼ同じになると言われている。ミレニアル世代、ゆとり世代、さとり世代といったこれから消費の主役を担う世代の価値観が、各世代で違うということを把握し、商品開発を行っていかなければならない。万人向けの商品を作っても買ってもらえない時代がやってくる。『魚の目』を駆使することで、時代の空気を読み、商品に取り込んでいくことが求められる」
【SMTS小間番号:9‐108】
【2021(令和3)年2月11日第5048号5面】
 
 
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