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【バイヤー必見】やまじょう 千枚漬

 

千枚漬

やまじょうの秋冬を代表する漬物が「千枚漬」だ。

特徴はしっかりと北海道産昆布の旨味が利いた味わいと、かぶら自身が持つなめらかな食感や甘み。

かぶらを薄くスライスしたいわゆる”丸千枚(100g入)”は、年末のピークには1日3万パックもの製造をこなす。

また年明けからは、この千枚漬を扇状にカットした「扇千枚」も販売する。「千枚漬」と比べて内容量が多めの130gとしており、お得感のあるボリュームと食べやすい形状でユーザー拡大を狙っている。

 

 

千枚漬作りのこだわり



契約農家の畑

こだわり①

――厳選した大かぶら

美味しさの鍵となる大かぶらは、主に県内の契約農家から仕入れたものを使用する。

琵琶湖周辺の肥沃な土壌で冷たい颪(おろし)風を受けて育った大かぶらは、大きく、実が引き締まる。この大かぶらの繊維質な皮を剥き、中心の柔らかく甘みの詰まった部分だけを使用している。2021年冬の滋賀県産大かぶらは、台風の被害を受けず、品質・収穫量ともに良好となる見込みだ。

状態を見ながら職人が漬込む

こだわり②

――独自の二度漬製法

熟練の技術が生きる漬込みにおいては、砂糖、酢、味醂などで作った特製の調味液と、天地返しをして二度漬をする独自製法を採用している。

 

千枚漬の漬込みも天地返しも職人が手作業で行っているため、非常に手間と時間がかかる製法だが、品質第一の姿勢で製法を守る。

 

最新の知見や技術に基づいた衛生管理・品質管理と、職人の手仕事を融合させることで大手企業でも真似のできないこだわりの味を生み出している。

昆布入りの贅沢な千枚漬

こだわり③

――年末を彩る「丸千枚」

「千枚漬」は、甘酢がおせちの与の重にも繋がり、丸い形が円=縁に掛かる縁起物であることから、年末年始に需要のピークを迎える。
 
同社の「千枚漬」は大かぶらを薄くスライスした、高級感ある「丸千枚」で、冬の食卓を彩る。高付加価値商品といえる位置づけで、ピーク時には1日に3万パックもの製造が必要となるほどの絶大な人気を誇る商品だ。

 

年末年始のピークを過ぎる年明けからは、食べやすくお得感のある「扇千枚(130g)」を提案している。昆布も細切りにされており余すこと無く楽しめる。

通年商品

やまじょうの通年商品(一部)をご紹介。この他にも独自の漬物が揃っている。

昆布割

「千枚漬」の技と味を大根へ応用した商品。

大根のパリパリ感と昆布の利いた味わいが人気。

 

しょうゆ仕立て大根

しっかりと漬け込んだ大根をしょうゆで味付けした逸品。

しょうゆの風味と、大根の歯切れ良い食感が楽しめる。

 

乳酸発酵

刻みすぐき茶漬け

乳酸発酵した「すぐき」を、大根や日野菜と合わせた。

熟成漬物の旨味が味わえる逸品。

乳酸発酵

下田なすの味しば

近江の伝統野菜「下田なす」をしば漬に。
自然な酸味が食欲をそそる。
 

乳酸発酵 壬生菜しば

壬生菜をしそやみょうがと合わせてしば漬に。

シャキシャキ食感がご飯と相性抜群。

乳酸発酵 日野菜茶漬

伝統野菜「日野菜」をぬかに漬け乳酸発酵。

ぬかの風味を残しつつ、食べやすい味付けに仕上げた。

近江伝統野菜の季節商品

下田なすの浅漬

土作りから手掛ける「下田なす」

冬の千枚漬に並び、夏の看板商品となっているのが「下田なす」である。

 

下田なすとは、同社が本社を構える下田地区で明治時代から栽培される伝統野菜。水分豊富でやわらかな実と薄い皮。特に実はリンゴのような甘味があり、アクが少ない。この「水分豊富なやわらかさ」という特徴は一方で栽培の難しさにも繋がっており、乾燥しないよう常に水分補給が必要で、生育には多くの手間がかかる。

下田なす浅漬(ホールタイプ/カットタイプ)
このため一時は栽培が減っていた下田なすだったが、同社は自社農場・契約農場を広げ土作りから行い、丹念に育てる。こうしてできた下田なすを浅漬に仕上げると、皮の弾けるような食感、素材本来の甘味と程よい塩気が楽しめる、夏にぴったりの漬物となった。

 

商品は、2020年からホール物に加えてカットタイプも発売しており、より気軽に楽しめるようになった。

下田なす


同社は、夏には「下田なす祭り」を開き、地域住民に収穫や漬込み体験をしてもらなど近江伝統野菜のブランド化に様々な角度から取り組んでいる。(直近2年間は新型コロナウイルス拡大防止のため中止)

2021年からは地元湖南市の伝統野菜「朝国ショウガ」の復興にも取り組み始めた。上西専務は「地域性ある商材の価値は高まっているので、地域文化の継承は『近江つけもの』を掲げる当社にとって重要なこと」と話し、活動へ意欲を見せている。

紙面アーカイブ 2024年7月21日号<滋賀特集> 新社長に聞く

株式会社やまじょう  代表取締役社長 上西宗太氏

味で選ばれる漬物作りを 新規ファン獲得へ開発加速
 近江漬物を製造販売する株式会社やまじょう(滋賀県湖南市下田)は7月1日をもって上西宗太専務が代表取締役社長に就任、上西宗市社長は代表権のある会長となった。上西新社長は、自社の強みは旬の野菜を重石を効かせて漬ける美味しさであると話す。原料確保や少子高齢化に対してもその技術を活かした新製品開発が一番の対応策との考えを示す。
(大阪支社・小林悟空)
◇    ◇
 ‐略歴を。
 「1983年7月3日生まれの41歳。大学卒業後は東京と京都の漬物メーカー2社で、合わせて3年ほど勤務した。漬物業界は20年弱経験していることになる。やまじょうに入社してからは千枚漬を中心とした製造部から始め、営業や事務仕事など一通り経験してきたつもりだが、改めて会社の在り方や漬物業界の将来を深く考えなければ、と立場の重みを感じている」
 ‐貴社の現状は。
 「量販店や生協向けを中心としたメーカー部門と、県内4か所に出店している直営店『近江つけもの山上』が二本柱となっている。直近の業績としては、コロナ禍で落ち込んでいた直営店と業務用製品がほぼ回復した。昨今のコスト上昇に対応した価格改定もご理解いただき、売上としては計画通りに推移している」
 ‐強みは。
 「地場の野菜、旬の野菜をしっかりと重石を効かせて漬け込むという基本を大切にしていること。当社製品は高価格帯に位置していると思うが、それでも購入してくださる方がいるのは美味しさを評価していただいているからだと思う。これからも品質の維持、向上を第一とする姿勢を守っていきたい」
 ‐売れ筋製品は。
 「通年製品としては『昆布割』を始めとした大根製品が軸となっていて、夏場は伝統野菜の下田なす、冬は千枚漬が季節ものとしてよく売れる。課題となっているのが大根の原料確保。最近は年々夏場の確保が厳しくなり、お客様へ迷惑をかけてしまい当社にとっても大きな機会損失となっている。このため現在は熟成タイプ、つまり日持ちが良い新製品開発に着手している」
 ‐今後の課題は。
 「少子高齢化への対応が最も根本的課題だと考えている。直営店、量販店とも主要顧客は50代以上であり、彼らは今後食が細くなっていくし、今の40代以下が漬物を食べるようになってくれるとは限らず、新規ファンを獲得しなければ生き残りは厳しくなる。その対応策はやはり、当社の技術を活かせる新製品開発に尽きると思う。売れる商品を作ることは社員の待遇改善や設備投資にも繋がる。これまで以上に柔軟に、スピード感をもって実現していきたい」
【2024(令和6)年7月21日第5168号22面】

やまじょう
https://www.yamajou.co.jp/

2022年11月1日号9面

会社概要

山上本店(湖南市)

会社
株式会社やまじょう
代表
代表取締役 上西 宗市
設立
昭和23年6月
所在地(本社)
滋賀県湖南市下田3335番地
電話(代表)
0748-75-1151
FAX
0748-75-1192
事業内容
漬物製造業
資本金
4,500万円
従業員数
90名
主要販売先
全国各スーパー様・全国各地区生協様・百貨店漬物売場様等
ホームページ

本社所在地

滋賀県湖南市下田3335番地

株式会社食料新聞社
〒111-0053
東京都台東区浅草橋5-9-4 MSビル2F

TEL.03-5835-4919(ショクイク)
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