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九州うまかモン トピックス

 

2019年5月6日号 「特別インタビュー」

2019年5月6日号 「特別インタビュー」
 
「この人に聞く」
鹿児島大学農学部 講師 加治屋勝子氏

桜島大根に血管改善機能 トリゴネリン 人体にも有効
 鹿児島大学(鹿児島市)農学部食料生命科学科生分子機能学研究室の加治屋勝子講師、南雄二准教授らの研究グループは、浜松ホトニクス株式会社中央研究所の數村公子氏らとの共同研究により、桜島大根に含まれる「トリゴネリン」が血管に作用して機能改善をもたらすことを発見した(本紙既報)。加治屋講師に、研究のきっかけや今後の動向について伺った。
(菰田隆行、敬称略)
 
‐桜島大根に機能性成分があるという研究を始めたきっかけは。
加治屋 元々、私は栄養士なので〝予防医学〟という見地から、病気にならないように食品で何とかしたいと考えていました。ここ15年ほどは、循環器系の〝血管〟について研究をしています。それは何故かというと、血液は酸素や栄養を運んでくれるもので、生きるために絶対必要なものです。
その血液の通り道である〝血管〟がボロボロになると、うまく身体が機能しないということはよく分かっています。しかし、その血管を健康に保つためにはどうしたら良いかという点についてはなかなか研究が進んでいません。
それで私たち(研究班)は血管を健康に保つためには、どんな食べ物を摂るのがいちばん良いだろうか、という研究を開始しました。最初は特にターゲットを絞らず、食べられる物なら片っ端から調べようということで農産物、生薬、種などいろいろな天然物をたくさん調べてきました。その中で、一番最初に血管に対して良い作用が見込める、と分かったのが桜島大根でした。
 
‐桜島大根は鹿児島の特産物だったので研究対象になった?
加治屋 実は、最初はそうではないんです。私は鹿児島出身で、この仕事のために5年前に帰ってきて始めたことだったので、鹿児島の農産物でそういうものがあれば良いなとは思っていましたが、鹿児島県産に限らずあらゆる食材を調べていました。その中で、桜島大根に血管を健全に保つ作用があると分かった時には、何か面白いというか、私がここに帰ってきたことに意味があったのかなと、運命的なものを感じました。
 
‐栄養士の仕事で鹿児島を離れていた?
加治屋 栄養士を目指して入った大学の卒論研究が面白く、研究畑に進みました。大学院で博士号をとり、山口大学医学部で循環器系の研究をしながら講師をしていました。しかし、私の目指していた予防医学の研究は医療の現場で続けるのはなかなか難しかった。食品の分野で研究をしたいと思っていたところに鹿児島大学の農学部で空きがあり、地元でもあったので応募し、帰ってきたというわけです。
 
‐桜島大根に含まれる血管を健全に保つ成分とは。
加治屋 トリゴネリンという成分で、これ自体はもともと存在し、知られていました。ただ、それは植物が生長するために必要な、いわゆるビタミンのような成分として知られていたのです。
それが人にとって良い成分であるのが分かってきたのはごく最近のことで、桜島大根の中にあるということを発見したのは私たちが最初です。
トリゴネリンはコーヒー豆にも存在していますが、高温の焙煎過程で損失してしまい、私たちが飲むコーヒーにはほとんど入っていません。ですから、私たちが口にすることができる食材で高濃度のトリゴネリンを摂ることができるのは、桜島大根が今のところ唯一の食材と言って良いでしょう。
 
‐桜島大根は調理してもトリゴネリンはなくならない?
加治屋 同じトリゴネリンでも植物の中で蓄積している存在の仕方が違っていて、糖などいろいろなものと結合して守られているので、茹でたり揚げたりして加熱してもほとんどなくならないのです。
 
‐今回、天陽会中央病院の臨床試験で、人体にも有効ということが判明した。
加治屋 私たちが血管に良いという効果は確かめたのですが、試験管実験ではは分からない、食べた時に血液に乗って身体全体にちゃんと運ばれているのかを調べてもらいました。血管への作用が見込める桜島大根170gを10日間、14名の被験者に食べてもらいました。
おでん2切れほどの量ですが、食事として食べられる量で作用があるのは珍しく、高濃度な機能性野菜と言えると思います。
今回のトライアルで、食べる前と後で比較した時に間違いなく血液にトリゴネリンが残っており、実際に血管機能が改善されるということが分かりました。今後は第2段階として、期間や持続性、つまり1週間に一度食べれば良いのか、毎日必要なのか、間隔を空けて食べてもらうなどの実験をしていきたいと思います。人数も20名ぐらいから最終的には50名ぐらいの方々でやってみたいです。
また今回のトライアルは健康な人で平均年齢が33歳くらいの若い方々にお願いしたのですが、次回はちょっと症状のある方でも試してみたいと思っています。中央病院は予防医学を積極的に推進している病院なので、こうしたトライアルに協力していただき大変助かっています。
 
‐桜島大根にこうした作用があるということをどうやって広めて行けば?
加治屋 生産量や輸送の問題もあるので、関東方面にはなかなか流通は難しいと思います。加工品を持って行けたら、少しは理解が広がるのかなと思います。加工レベルでトリゴネリンがどうなるのかを調べたところ、茹でたり揚げたり、レトルト加工では全く失われないことが分かりました。漬物にした時も漬け汁にわずかに流出するだけで97%残留することが分かっています。
この他にもいろいろな加工ができると思いますのでこうした情報を発信できれば、いろいろな食品メーカーさんに利用していただけるのではないかと思います。また、実の部分だけでなく葉部にも含まれていますが、葉っぱは廃棄してしまうため、乾燥させて加工向けにしようという動きもあります。
また、サプリメントメーカーからもさっそくオファーがあったのですが、トリゴネリンを食物繊維やビタミンなどと一緒に、丸ごと食材を食べて摂れればそれが理想的だと考えています。
また、こうした桜島大根の良さが若い人にも伝わり、「作ってみたい」と思ってくれれば、後継者問題の解決にも繋がります。今後も研究を続け、少しでも広がるお手伝いをできればと思っています。
【2019(令和元)年5月6日第4977号8面】
 
鹿児島大学→ https://www.kagoshima-u.ac.jp/
浜松ホトニクス㈱ 中央研究所→ https://www.hamamatsu.com/jp/ja/
 
 
 

鹿児島県漬物商工業協同組合 桜島大根部会が発足

鹿児島県漬物商工業協同組合 桜島大根部会が発足
 
上園食品
 
中園久太郎商店
 
藤崎商事
 
山川食品
   
血管機能改善の成分「トリゴネリン」が話題に
 
 鹿児島県漬物商工業協同組合(中園雅治理事長)では、血管改善機能があるとされる成分「トリゴネリン」を含む鹿児島の伝統野菜『桜島大根』の普及拡販を図るため、「桜島大根部会」を発足。初代部会長に藤崎茂実氏(藤崎商事代表取締役社長)が就任した。
 桜島大根の成分「トリゴネリン」については本紙既報の通り、鹿児島大学農学部食料生命科学科生分子機能学研究室の加治屋勝子講師、南雄二准教授らの研究グループが、浜松ホトニクス株式会社中央研究所の數村公子氏らとの共同研究により、トリゴネリンが血管に作用して機能改善をもたらすことを発見し、その機能性成分と作用メカニズムを解明。2018年に米国科学雑誌に掲載された。その後、鹿児島市の中央病院で臨床試験も行われ、人体に有効であることが確認された。
※食料新聞電子版、加治屋勝子講師インタビュー(上記)参照
 今年初めには、NHKテレビで「モンスターラディッシュ」として世界的にも注目されていることが報じられ、フリーズドライ製品や大福餅などの製品開発が進んでいること、鹿児島名物の「しろくまアイス」にも使用されていることなどが紹介された。
 桜島大根は青果流通はごくわずかで、加工向けは漬物が大半を占める。県内でも数社が漬物加工を手がけており、同組合加盟の企業では上園食品、中園久太郎商店、藤崎商事、山川食品の4社が製造。トリゴネリンが話題になったこともあり、2月18日に桜島で行われた情報交換会の後、4社中3社が出席して話し合い、部会発足となった。
 藤崎部会長は今後の活動について「理想的な形としては臨床試験等を行い、薬事法など法律に触れない形で特保や機能性表示食品の認可を取れれば一番ベスト。ただ、コロナの影響で観光土産向けなどが不振となっているため、費用負担などの面も含めて慎重に進めていきたい」としている。
 来たるべき需要回復期に向け、同部会の動向が注目される。
 
 
 
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