【大阪支社】全国ぬかづけのもと工業会(山西健司会長)は3月21日、愛知県名古屋市のミッドランドスクエアで令和7年度通常総会を開催。役員改選が行われ堀川敬生氏(株式会社宏昌食糧研究所、愛知県)が新会長に就任した。
冒頭、山西会長は昨年に小豆島で醤油蔵や佃煮・惣菜工場を見学した研修旅行を振り返った上で「当会会員の多くはぬか漬の素の専業ではなく、様々な製品の一つとして扱っている。だからこそ情報交換は必要」と工業会の意義を強調し、挨拶とした。
総会は山西会長が議長に就き進行し、①令和6年度の事業報告及び決算報告、②7年度事業計画及び予算案、③役員改選、④漬物祖神である萱津神社(愛知県あま市)での参拝並びに祈祷の件、⑤その他事項が審議され原案通り承認された。
②の事業計画について、研修旅行は2年に一度とし、来年度に実施予定。萱津神社の、ぬか床の日(大寒の日)に合わせた参拝と同日の総会実施はコロナ禍以降途絶えており今年は堀川氏が代表参拝したが、来年は実施する方針とした。
⑤その他事項では今後の活動方針について議論された。課題として挙げられたのが、ぬか漬の素の品質に関する基準が整備されていない点だ。工業会非加盟企業から虫の発生などトラブルが発生した事例が挙げられ「工業会の製品が安全であると訴えるためにも根拠を明示する必要がある」との意見があがった。
その後は各社近況報告を経て(別掲)、会場を移して懇親会が行われた。各社ぬか以外も扱っているため、異業種交流会のように互いの事業を教え合い、異業種の目線からアイデアを出し合う様子も見られる和やかな時間を過ごした。
【近況報告(発表順)】
◎丸島醤油(香川県)〓ぬか床は委託製品のみで、醤油が主力。醤油は値上げ効果で売上増となった。
◎高橋商店(香川県)〓昨年は夏以降の野菜が不足、高騰したため、ぬか漬の素は前年実績に届かなかった。ぬか原料も逼迫していたため無理はできない一年だった。
◎長﨑産業(石川県)〓米、煎ぬか、生ぬかの三本柱で営業しており、煎ぬかは受託製造に専念している。煎ぬかは漬物用の注文は減ったが、他業界から引き合いがあり前年並で推移した。米は高騰し、購買力のある都市部大手と地方中小事業者との差が鮮明化している。ぬかも地方では集めづらくなっていきそうだ。
◎厚生産業(岐阜県)=ぬか漬の素を含む漬物の素事業は、野菜不足で前年割れの結果に終わったが、麹事業が伸長したので会社全体ではカバーできた。価格改定は検討を進めている。原料面では、米麹は輸入米の活用も視野に入れなければならない状況。
◎つけもと(奈良県)= 漬物の素で値上げを実施し、野菜高騰も重なって市販は減収となった。しかし煎ぬかがパンや菓子業界から引き合いが強まっている。健康的なイメージや風味が評価されているので提案を強化していく。
◎宏昌食糧研究所(愛知県)= 漬物の素の製造は撤退し、委託製品にシフトしていく方針。もう一つの事業であった地元の愛知県西尾市産抹茶を使用したスイーツの素は好調で、2月18日にそれを使った「denosai02(デニッシュとお花のお店)」をオープンした。飲食店運営のノウハウを蓄積したら漬物カフェも立ち上げたいと夢を描いている。
◎向井珍味堂(大阪府)= きなこ、七味、青のりが主力。ぬか漬の素は現在扱っておらず、オブザーバーの立ち位置で、同じ和商材として協力したい。
冒頭、山西会長は昨年に小豆島で醤油蔵や佃煮・惣菜工場を見学した研修旅行を振り返った上で「当会会員の多くはぬか漬の素の専業ではなく、様々な製品の一つとして扱っている。だからこそ情報交換は必要」と工業会の意義を強調し、挨拶とした。
総会は山西会長が議長に就き進行し、①令和6年度の事業報告及び決算報告、②7年度事業計画及び予算案、③役員改選、④漬物祖神である萱津神社(愛知県あま市)での参拝並びに祈祷の件、⑤その他事項が審議され原案通り承認された。
②の事業計画について、研修旅行は2年に一度とし、来年度に実施予定。萱津神社の、ぬか床の日(大寒の日)に合わせた参拝と同日の総会実施はコロナ禍以降途絶えており今年は堀川氏が代表参拝したが、来年は実施する方針とした。
⑤その他事項では今後の活動方針について議論された。課題として挙げられたのが、ぬか漬の素の品質に関する基準が整備されていない点だ。工業会非加盟企業から虫の発生などトラブルが発生した事例が挙げられ「工業会の製品が安全であると訴えるためにも根拠を明示する必要がある」との意見があがった。
その後は各社近況報告を経て(別掲)、会場を移して懇親会が行われた。各社ぬか以外も扱っているため、異業種交流会のように互いの事業を教え合い、異業種の目線からアイデアを出し合う様子も見られる和やかな時間を過ごした。
【近況報告(発表順)】
◎丸島醤油(香川県)〓ぬか床は委託製品のみで、醤油が主力。醤油は値上げ効果で売上増となった。
◎高橋商店(香川県)〓昨年は夏以降の野菜が不足、高騰したため、ぬか漬の素は前年実績に届かなかった。ぬか原料も逼迫していたため無理はできない一年だった。
◎長﨑産業(石川県)〓米、煎ぬか、生ぬかの三本柱で営業しており、煎ぬかは受託製造に専念している。煎ぬかは漬物用の注文は減ったが、他業界から引き合いがあり前年並で推移した。米は高騰し、購買力のある都市部大手と地方中小事業者との差が鮮明化している。ぬかも地方では集めづらくなっていきそうだ。
◎厚生産業(岐阜県)=ぬか漬の素を含む漬物の素事業は、野菜不足で前年割れの結果に終わったが、麹事業が伸長したので会社全体ではカバーできた。価格改定は検討を進めている。原料面では、米麹は輸入米の活用も視野に入れなければならない状況。
◎つけもと(奈良県)= 漬物の素で値上げを実施し、野菜高騰も重なって市販は減収となった。しかし煎ぬかがパンや菓子業界から引き合いが強まっている。健康的なイメージや風味が評価されているので提案を強化していく。
◎宏昌食糧研究所(愛知県)= 漬物の素の製造は撤退し、委託製品にシフトしていく方針。もう一つの事業であった地元の愛知県西尾市産抹茶を使用したスイーツの素は好調で、2月18日にそれを使った「denosai02(デニッシュとお花のお店)」をオープンした。飲食店運営のノウハウを蓄積したら漬物カフェも立ち上げたいと夢を描いている。
◎向井珍味堂(大阪府)= きなこ、七味、青のりが主力。ぬか漬の素は現在扱っておらず、オブザーバーの立ち位置で、同じ和商材として協力したい。
【2025(令和7)年4月1日第5191号2面】
全国ぬかづけのもと工業会 http://www.nukaduke-kogyo.com/
東洋ライス 米糠摂取の有用性実証
プレバイオティクス機能を示唆
「金芽米」や「ロウカット玄米」で知られる東洋ライス株式会社(雜賀慶二社長、銀座本社=東京都中央区)の参画する研究グループは、米糠摂取により腸内の有用菌の増加や腸内細菌の多様性が高まることを、動物実験で証明した。
玄米粒を糠層、亜糊粉層、デンプン層(胚乳)の3画分に分画し、各米糠画分摂取による腸内細菌への影響の解明を目的にマウスを用いた動物実験を行った。
その結果、糠層摂取群や亜糊粉層摂取群で健康の維持増進に有用と報告されている各々異なる腸内細菌が増加することが確認された。
特に亜糊粉層摂取群では乳酸菌の一種である「Lactobacillus gasseri(ガセリ菌)」が増加した。糠層摂取群と比較し腸内細菌叢の多様性が高まることも初めて明らかにした。
これらの菌種はプロバイオティクスとして用いられる菌種であることから、米糠画分はプレバイオティクスとして機能することが示唆された。
本研究結果により、主食である米食(ごはん)の選択肢として白米や玄米のみでなく、同社製品の「金芽米」「ロウカット玄米」のように、亜糊粉層が残っていることで玄米の栄養を残しつつ白米と同じ食味である米など、消費者の個々の嗜好に合わせた栄養と食味を両立する米の普及拡大や消費者の健康増進に新たな可能性が見出された。
腸内細菌の多様性が高まることは、腸管バリア機能の向上や免疫応答の調節など、健康維持と密接に関連することが他の研究でも示唆されている。
多様性が高いことのメリットとして、多様な腸内細菌の菌種、すなわち代謝系が混在している方が、その代謝物も多様になり、多様性が高まることで生体に有用な細菌の代謝産物が増加し、疾病や生活習慣病などの予防につながると考えられている。
この研究は東洋ライスと、信州大学農学部食品免疫機能学研究室田中沙智准教授、信州大学大学院総合理工学研究科山口司恩氏らによる研究グループで行ったもの。
玄米粒を糠層、亜糊粉層、デンプン層(胚乳)の3画分に分画し、各米糠画分摂取による腸内細菌への影響の解明を目的にマウスを用いた動物実験を行った。
その結果、糠層摂取群や亜糊粉層摂取群で健康の維持増進に有用と報告されている各々異なる腸内細菌が増加することが確認された。
特に亜糊粉層摂取群では乳酸菌の一種である「Lactobacillus gasseri(ガセリ菌)」が増加した。糠層摂取群と比較し腸内細菌叢の多様性が高まることも初めて明らかにした。
これらの菌種はプロバイオティクスとして用いられる菌種であることから、米糠画分はプレバイオティクスとして機能することが示唆された。
本研究結果により、主食である米食(ごはん)の選択肢として白米や玄米のみでなく、同社製品の「金芽米」「ロウカット玄米」のように、亜糊粉層が残っていることで玄米の栄養を残しつつ白米と同じ食味である米など、消費者の個々の嗜好に合わせた栄養と食味を両立する米の普及拡大や消費者の健康増進に新たな可能性が見出された。
腸内細菌の多様性が高まることは、腸管バリア機能の向上や免疫応答の調節など、健康維持と密接に関連することが他の研究でも示唆されている。
多様性が高いことのメリットとして、多様な腸内細菌の菌種、すなわち代謝系が混在している方が、その代謝物も多様になり、多様性が高まることで生体に有用な細菌の代謝産物が増加し、疾病や生活習慣病などの予防につながると考えられている。
この研究は東洋ライスと、信州大学農学部食品免疫機能学研究室田中沙智准教授、信州大学大学院総合理工学研究科山口司恩氏らによる研究グループで行ったもの。
【2025(令和7)年2月11日第5186号18面】
東洋ライス