全日本漬物協同組合連合会(野﨑伸一会長)の業界活性化次世代委員会(秋本大典担当副会長、遠藤栄一委員長)は14日、第3回会議をWebで開催。14名が参加した。同委員会は昨年9月に第1回目の会議を東京の全漬連事務所で実施し、第2回目は京都で研修会を開催。第3回目は東京で開催予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、Zoomを活用したWeb会議に切り替えての開催となった。議題はコロナ禍における各委員の現状報告と今後の対策で、漬物は健康に寄与できる発酵食品であることや塩分などの情報を消費者に正しく伝えていくことの重要性が改めて示された。
【家庭用製品の売れ行き】①東京の売上は昨年と変わらない。②4~6月家庭用製品の売上はプラス。③例年1番の繁忙期である年末を越える忙しさだった。④3月~4月は売上がアップ。5月は横ばい。
【業務用の売れ行き】①売上はコロナの影響で落ち込んだが、7月からは前年対比プラスで推移している。②3月から業務用、対面販売用製品売上は激減。また、原料入荷制限も重なり売上は昨対を割った。③4~5月の売上が厳しかった。
④3月は低迷したが、徐々に回復傾向にある。家庭用製品と合わせると売上は前年比若干プラス。⑤売上は全社で見ると前年に少し届かなかった。⑥業務用が多いため厳しい状況だった。
【原料】①梅は今までにないほどの不作。過去に無い大不作の年である。
【コロナ対策】①アフターコロナを見据えて動画を作成。営業活動に有効活用できた。製品の作り方を動画で伝えることで商談の成功率も上がり効果を実感。新しい発見だった。②コロナによって営業担当者の意識に変化が見られた。テレワークを通してサンプルの事前送付を行うなど、バイヤーさんとのコミュニケーションを深めることができ、昨年を超える成果を出すことができた。生産体制の見直し、生産能力を上げるための取り組みを実施した。③ネット販売の強化、フェイスブックでの情報発信を積極的に行った。社内ミーティングを活発に行い、社内の組織活性化に努めた。保育園の管理栄養士の方と共同で、子供たちに漬物を食べてもらう機会を増やしてもらう取り組みを行っている。④自社内の施設を見直し、きれいにしたことで、社員の自発的な動きが見られるようになった。⑤求人の応募が急増(コロナにより食品業界への安心性、価値の向上が考えられる)。メディアでのキムチ紹介と原料調達不足が重なり、営業事務でパンクが発生。⑥電話やウェブを活用し社内での見直しを行った。⑦緊急事態宣言前からのテレワーク導入、フレックスタイム、スーパークールビズを取り入れて働く環境の改善。社内改革に力を入れている。⑧ネット通販を開始した。⑨在宅の環境整備に苦戦した。⑩工場見学中止の代わりに、自宅配送や企画の提案を積極的に行った。⑪オンライン販売での進め方が必須。
【今後の対応策】①業界活性化に向けて、総会や業界紙での活動内容開示を積極的に行っていきたい。②量販店向けの製品作り(特に惣菜)、アレンジメニューのきく商品開発に力を入れていきたい。③現在の客層は年齢が高い。次世代消費者を意識した取り組みを行っていきたい。商品開発の際の着眼点(ターゲット層やPRポイント等)をどこに置いているのか、情報交換を行っていきたい。④漬物を残すために価値を上げ、積極的にPRしていきたい。⑤コロナ禍での漬物をどのように残していくか、仮説を立て取り組んでいきたい。⑥フェイスブックやインスタの開始も検討している。⑦世代活性化委員の活動として海外視察の意見もあったが方針を変える必要がある。免疫をキーワードにPRするのが効果的なのではないか。また、漬物が持つ〝発酵の力〟の認知が少ないので広めていきたい、併せて〝塩分は敵〟を打破する取り組みを行っていただきたい。
◆平井副委員長
「一般的には少し価格設定の高いものが売れない傾向にある。医療と食が好調産業のように感じる。医食同源を日本人の文化の中に残していくような取り組みを行っていきたい。料理人の方々に和食の概念や漬物のことを伝えたい。また、漬物の塩分が高いという間違った認識について、管理栄養士の方々と組んで活動して認識を変えることが大事。漬物業界では今後広報力の強化、ネット販売への注力が必須であると考える。漬物=発酵食品との認識が少なく、同じ発酵食品であるヨーグルトの認知度と大きな差がある。この違いは今までの広報活動の差にあると考えている」
◆遠藤委員長
「今回はコロナ禍の中で、集まることができず、平井副委員長からの提案もあってWeb会議を開催した。生姜塩蔵価格は、畑の状況にもよるが昨年の倍になることが見込まれる。コロナの影響もあり原料調達が難しくなってきている。社員には売上が落ちても諦めず、我慢する姿勢が大事だと伝えている。次世代活性化委員会は、全国から優秀な方々が集まっている。各委員においてはコロナ禍でも前向きに頑張っている事が分かった。大変な状況はみんな同じ。この様な時期だからこそ、各委員の意見や取組をヒントにピンチをチャンスに変える時だと思う。
【食料新聞デジタル 令和2(2020)年7月30日号】